カナダにおける核燃料の廃棄物管理の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、「適応性のある段階的管理」の実施に関して、2008年~2012年の5年間における実施計画案をまとめて2008年4月に公表し、意見募集を2008年5月16日までの期限で実施した。
カナダでは、2007年6月の政府による使用済燃料の長期管理アプローチの決定を受けて NWMOが実施主体として活動を開始し、「適応性のある段階的管理」の実施に向けた7つの戦略的目標を策定している。今回の実施計画案は、この戦略的目標に基づいて調和的かつ体系的な方法で活動を進めるために、今後5年間について行動計画をまとめたもので、年内の策定が見込まれている 。
同計画案では、関心を有するカナダの国民及び先住民との長期的な関係の構築、技術及び社会学的な知見に基づく広範な研究の推進、確実な資金確保、技術革新などに関する継続的な評価・調整・検証の実施、NWMOの組織管理体制の構築及び維持、実施主体としての組織整備、サイト選定手続きの立案及び開始について、それぞれ2008年から2012年までの5年間の中で設定された具体的な計画が示されている。
この内、NWMOが2008年末までに実施を予定しているものとして、以下のような項目などが挙げられている。
- コミュニケーション戦略の立案のためのヒアリングの実施
- 若年層や先住民等の参加の促進など、公衆との関係強化に向けた様々な取り組みの実施
- 一般的な地球科学的サイト基準の策定
- 処分の概念設計のための廃棄体定置方法の評価
- 独立した技術評価グループの設置及び会議の年1回以上の開催
- 各社(オンタリオ・パワージェネレーション社、ハイドロ=ケベック社、ニューブランズウィック・パワー社、カナダ原子力公社)の信託基金に関する監査済みの財務報告書などのウェブサイト上での公開
- 常勤職員数の50人程度までの増員
- サイト選定手続きの立案に関する国民との対話の開始・進行を目的とした討議文書、公衆との対話を支援する情報冊子などの準備
また、NWMOは手続き、コミュニケーション、及び意思決定における公開性と透明性の確保を掲げており、その具体化に向けた「透明性の確保に関する方針案」も今回の計画案と共に公開している。
【出典】
- 核燃料廃棄物管理機関(NWMO)、ウェブサイト http://www.nwmo.ca/Default.aspx?DN=cbc15874-140c-4831-b045-4a78599ebdbc&l=English
- Implementing Adaptive Phased Management 2008-2012, Draft Plan for Public Comment, April 2008, NWMO
- Dialogue on Proposed Transparency Policy, Draft Policy, April 2008, NWMO
【2008年8月8日追記】
核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、自身のウェブサイトにおいて、意見募集期間に寄せられたコメントを反映した、2008年~2012年の5年間における実施計画書を公表した。
- 核燃料廃棄物管理機関(NWMO)ウェブサイト http://www.nwmo.ca/Default.aspx?DN=1ab9c5c2-93ad-41e7-a894-d21b7db3bdf2
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )