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《カナダ》天然資源大臣が使用済燃料の長期管理アプローチを決定-核燃料廃棄物管理機関(NWMO)の「適応性のある段階的管理」を採用

カナダの天然資源省は、2007年6月14日付けのニュースリリースで、使用済燃料の長期管理アプローチとして、2005年11月に核燃料廃棄物管理機関(NWMO)が提案した「適応性のある段階的管理」(詳しくは こちら)を承認したことを公表した。カナダの核燃料廃棄物法によれば、使用済燃料の長期管理アプローチについては、NWMOの提案を受けて、天然資源大臣が勧告を行うことになっている

同ニュースリリースによると、「適応性のある段階的管理」は、使用済燃料を長期間、安全に管理するものであり、使用済燃料はモニタリングされるとともに、回収可能性が維持される。また、燃料のリサイクルの可能性を含めた将来の技術進歩の活用も意図しているとの、天然資源大臣の見解を示している。

今回のニュースリリースと同時に公表された背景情報によると、使用済燃料の長期管理アプローチ「適用性のある段階的管理」は、以下のような主要な3段階を有し、市民、利害関係を有する地域、地方自治体、州などの継続的な関与を保証しながら進められることになっている。

  • 情報が提供され、受け入れ意思を有するコミュニティ内のサイトへの使用済燃料(SF)の集中管理に向けた準備を進めながら、既存の原子力発電所でのSF管理の継続
  • 上記の集中管理サイトにおいて浅地中貯蔵施設で中間的な貯蔵(段階)を実施するか否かの決定
  • モニタリングと回収可能性の維持を継続した地層処分場へのSF収容に向けた処分場の位置決めとサイトでの準備

同背景情報によると、今後、NWMOは、核燃料廃棄物の長期管理に関する法律に基づき、原子力発電会社などの廃棄物所有者が拠出した基金を利用しながら、政府の決定を実施することになるとしている。また、十分に情報が提供され、受け入れ意思を有する地域内に適切なサイトを選定するには、時間がかかる可能性があると述べられている。サイト選定手続きは、オンタリオ、ニューブランズウィック、ケベック、サスカチュワンの各州に重点を置いたさらなる関与活動も含める見通しとされており、適切なサイトが決定された後は、集中中間貯蔵施設の建設に向けた、厳格な環境影響評価及び許認可手続きを踏むことになるとしている。

また連邦政府は、核燃料廃棄物法に基づき、公共の利益を守るため、NWMOの活動を継続的に監査することになるとしている。

【出典】

  • 天然資源省、2007年6月14日付けニュースリリース http://www.nrcan-rncan.gc.ca/media/newsreleases/2007/200750_e.htm
  • 天然資源省、2007年6月14日付けニュースリリースの背景情報 http://www.nrcan-rncan.gc.ca/media/newsreleases/2007/200750a_e.htm

【2007年6月28日追記】

2007年6月27日、総督は、核燃料廃棄物法に従い、天然資源大臣の勧告を受けて、使用済燃料の長期管理アプローチとして「適応性のある段階的管理」を決定した旨が、カナダ官報に公示された。

  • カナダ官報 PartII, Vol.141, No.13, Registration SI/2007-63、2007年6月27日
    (http://canadagazette.gc.ca/partII/2007/20070627/pdf/g2-14113.pdf)

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )