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《米国》ユッカマウンテン処分場のための推奨輸送ルート決定

2003年12月23日、米国の連邦エネルギー省(DOE)の民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)は、米国の高レベル放射性廃棄物処分場として予定されているネバダ州ユッカマウンテンの処分事業に関して、ネバダ州内に鉄道を建設する場合の推奨ルートをカリエンテ・ルートに決定したと発表した。また、現時点での第2候補は、カーリン・ルートとするとの決定も行っている。

ユッカマウンテン処分場への高レベル放射性廃棄物の輸送については、エネルギー長官が大統領へサイト推薦を行った時の添付資料の一部である環境影響評価書(EIS)において検討が行われていた。輸送方法は、基本的に鉄道または道路による2種類の方法の検討が行われているが、EISにおいてもその約95%を鉄道輸送とすることが好ましいとのDOEの評価結果が示されている。

EISにおいて鉄道輸送については、5ルートが候補として調査されており、このうち、カリエンテ・ルート及びカーリン・ルートを含む3ルートは、ユッカマウンテンにネリス空軍基地エリアの北からアプローチする経路となっている。今回推奨ルートに決定された2ルートは、南からアプローチする他のルートと比較して、より人口も少なく、安全で確実、遅延の無い輸送のために最適なものとしている。EISでの5ルート選定に当たっては、EISの草案(DEIS)に対して公聴会やパブリック・コメントにより寄せられた意見も検討されている。

今回、推奨ルートが決定されたことを受けて、DOEは輸送方法の決定を行う予定であり、主に鉄道輸送とすることがネバダ州における輸送方法として選定された場合は、今回の推奨ルート決定についての官報公示から30日以上経過後に実際のルート選定を行うとの意向を示している。これらの選定結果もまた官報で公示される。ネバダ州内輸送が主に鉄道方式になる場合には、具体的な線路敷設計画に対するEIS実施計画通知がDOEから出される予定である。EIS実施に当たっては、その実施範囲についてもパブリック・コメントが募集され、EIS手続完了までには数年を要する見通しが示されている。

24年間にわたって高レベル放射性廃棄物の処分を実施するDOEの計画では、全米で年間約175回の輸送が実施される見込みとなっている。原子力規 制委員会(NRC)から処分場操業の許可発給が見込まれる2010年までは、廃棄物の処分場への輸送は行われない予定である。

EISで示されたネバダ州内の鉄道輸送ルート候補

【出典】

  • 連邦エネルギー省民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)プレスリリース
    (http://www.ocrwm.doe.gov/newsroom/documents/corridor_pr.pdf)
  • Spent Nuclear Fuel Transportation, DOE
    (http://www.ocrwm.doe.gov/ymp/sr/snf_trans.pdf)

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )