ロシアにおける放射性廃棄物管理の実施主体である国営企業ノオラオ社(NO RAO)は、2020年7月13日のプレスリリースにおいて、ロシア中部のトムスク州セベルスク市で計画している浅地中処分場に対して、安全規制機関である連邦環境・技術・原子力監督局(Rostekhnadzor)が立地・建設許可を発給したことを公表した。
NO RAO社は、立地・建設許可を受けた浅地中処分場において、セベルスク市にあるシベリア化学コンビナート1 から発生する低中レベル放射性固体廃棄物を主に処分する計画であり、処分容量は15万立方メートルになるとしている。また、処分場の建設は2021年の第3四半期から開始する予定であるとし、建設の第一段階では、管理棟などの建屋や処分場の輸送インフラ、サイトへのアクセス道路の建設等が実施されるとしている。
今回の許可発給に先立ち、地元自治体において2018年11月に公聴会が開催されていた。また、2019年5月にNO RAO社は、国家環境審査において環境影響評価書に対する肯定的声明を受け取っていた。国家環境審査での肯定的声明は連邦環境・技術・原子力監督局による許可発給に必要な条件となっている。
ロシアではこれまでに、スヴェルドロフスク州のノヴォウラリスク市において、国内で最初となる浅地中処分場の操業が2016年に開始されている 。NO RAO社は、チェリャビンスク州オジョルスク市などでも低中レベル放射性固体廃棄物の浅地中処分場を立地する計画である。
【出典】
- ノオラオ社、2020年7月13日付けプレスリリース(ロシア語)
http://www.norao.ru/press/news/2415/ - ノオラオ社、2019年5月31日付けプレスリリース(ロシア語)
http://www.norao.ru/press/news/2300/ - ノオラオ社、2018年11月1日付けプレスリリース(ロシア語)
http://www.norao.ru/press/news/2220/ - 放射性廃棄物等安全条約に基づくロシア国別報告書(第5回)、2017年
https://www.rosatom.ru/upload/iblock/53d/53dc4676fb14b71f3e32ac651e64e3ff.pdf
- シベリア化学コンビナート(SCC)では過去に軍事用プルトニウムの生産が行われていた。現在は商業用のウランの精錬、転換、濃縮等が行われている。 [↩]
(post by t-yoshida , last modified: 2023-10-17 )