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HLW:SE:chap5
スウェーデンにおける高レベル放射性廃棄物処分
- 全体構成(章別)
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2. 地層処分計画と技術開発
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5. 処分事業の資金確保
目次
5. 処分事業の資金確保
5.1 処分費用の確保(制度)
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高レベル放射性廃棄物の処分費用は、原子力発電所を所有、運転する電力会社が負担しています。この処分費用を賄うため、電力会社は毎年政府が決定する拠出金を原子力廃棄物基金に積み立てています。基金に積み立てられる費用には、高レベル放射性廃棄物の処分費用のほか、中間貯蔵、低中レベル放射性廃棄物処分、及び原子力発電所の廃止措置に必要な費用も含まれています。
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基金で確保する費用には、実施主体のSKB社が立地に向けた調査を行う自治体の場合に、自治体が行う情報提供活動のための費用も含まれています。
処分費用の確保制度
スウェーデンにおいては、1981年に制定された資金確保法により、将来に必要となる放射性廃棄物管理全般の費用を賄うための基金制度が確立されました。基金の積立対象には、高レベル放射性廃棄物の処分費用のほか、中間貯蔵、中低レベル放射性廃棄物処分、及び原子力発電所の廃止措置費用が含まれています。費用の負担者である電力会社は、毎年政府が決定する拠出額に基づき、基金に対して拠出金を支払います。拠出金の額は、原子炉を40年運転する場合に発生する使用済燃料や放射性廃棄物を処分するために必要なコストをもとにして、原子力発電会社ごとに発電電力量1kWh当たりの単価として決定されます。
原子炉を運転する電力会社は、株主である親会社に原価で売電する卸電力会社です。このため、料金単価を上乗せした形で親会社に売電し、拠出金を「原子力廃棄物基金」に3ヶ月ごとに納付します。拠出金は国債などで運用されます。2013年末残高は514億クローネ(約7,710億円)です。
また資金確保法の1995年の改正により、基金への拠出とは別に、原子炉を40年以上運転する場合に発生する追加費用を電力会社が担保の形で預ける義務が導入されています。
原子力廃棄物基金の年度末残高推移(市場価格)
source: Kärnavfallsfonden, Activity Report 2013
5.2 処分費用の見積もり
プラン2013報告書(SKB社、2013年12月)
原子力廃棄物基金によって賄われる廃棄物管理費用全般の見積りは、電力会社の共同出資で設立されたスウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)が3年ごとに行っています。現時点の最新の見積りは『プラン2013:原子力発電によって発生する放射性廃棄物の管理のために必要な2015年以降の費用』に示されています。
放射性廃棄物管理費用の内訳
source: SKB Plan2013
見積りの対象には、使用済燃料のキャニスタ封入関連費用、地層処分場関連費用のほか、使用済燃料集中中間貯蔵施設であるCLABの維持運営費用、原子炉廃止措置費用、廃棄物輸送費用、研究開発費用などが含まれます。これらの費用は原子力廃棄物基金で賄われるものです。SKB社は2014年までの支出累計を約272億クローネ(約4,080億円)としており、2015年以降も992億クローネ(約1兆4,900億円)の費用が発生すると推定しています。
高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の
処分関連費用見積り
2014年までの 支出(累計) |
2015年以降での 発生見込み |
|
---|---|---|
キャニスタ封入 関連費用 |
5.0億SEK (75億円) |
156.5億SEK (2,348億円) |
地層処分場 関連費用 |
43.4億SEK (651億円) |
287.5億SEK (4,313億円) |
合計 | 492億SEK(7,380億円) |
1SEK(スウェーデンクローネ)=15円で換算。四捨五入のため合計は合わない
source: SKB Plan2013
プラン2013では、高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の地層処分場関連費用とキャニスタ封入関連費用は右下の表のように評価されています。これらの金額を合計すると、使用済燃料約12,600トン(ウラン換算)の処分費用は492億クローネ(約7,380億円)となります。
備考:通貨換算には、日本銀行の基準外国為替相場及び裁定外国為替相場のレート(平成26年12月中において適用)を使用しています。
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1スウェーデン・クローネ=15 円として換算
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