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このWebサイトでは、諸外国における高レベル放射性廃棄物の最終処分や地層処分の計画の動きに注目し、 "海外情報ニュースフラッシュ"として 最新の正確な情報を迅速に提供しています。 ニュースフラッシュを発行した後も、記事トピックをフォローしています。必要に応じて、情報の"追記"を行っています。


英国イングランド東部に位置するリンカンシャー州議会は2021年10月12日に、地層処分施設(GDF)のサイト選定プロセスにおける「調査エリア(Search Area)」の特定に向けてワーキンググループを設置した。リンカンシャー州議会は、同州東部の北海に面したイーストリンジー市にあるテッドルソープ・ガスターミナル1 の跡地利用を検討する一環として、2021年7月には英国の地層処分事業の実施主体である放射性廃棄物管理会社(RWM社)との初期対話を開始していた。このため、このワーキンググループは「テッドルソープGDFワーキンググループ」(Theddlethorpe GDF Working Group)と名付けられている。テッドルソープGDFワーキンググループは、情報発信を目的としたウェブサイトを開設するとともに、当面はテッドルソープ及びその周辺エリアでの関心を高めるため、リーフレットの配布や情報イベントを開催する予定である。

テッドルソープWGエリア

テッドルソープGDFワーキンググループの検討対象エリア
(RWM社の初期評価レポートを元に原環センターにて作成)

RWM社は、既存の情報を基にリンカンシャー州議会向けに作成した初期調査レポートにおいて、テッドルソープ・ガスターミナル跡地及びその周辺エリアは地層処分施設(GDF)を設置できる可能性を有していると評価している。また、RWM社は、GDFの設置によって、イーストリンジー市2 が目指している地域経済の構造転換に貢献する可能性があるとの考えを示している。

 

■テッドルソープGDFワーキンググループの構成と今後の活動予定

英国において2018年12月から開始した地層処分施設(GDF)のサイト選定プロセスにおいて、ワーキンググループの設置に至ったのは、2020年11月のコープランド市、2021年1月のアラデール市 に続いて今回が3例目である。

テッドルソープGDFワーキンググループの設立時点では、RWM社とリンカンシャー州議会の代表者のほか、ガスターミナルが所在する地域自治組織(準自治体)であるテッドルソープ・パリッシュ議会がメンバーとして参加している。同ワーキンググループは、イーストリンジー市議会に参加要請をしていることを明らかにしている。今後、同ワーキンググループは、コミュニティ全体の市民の参画を得て、市民の意見を理解するとともに、適性を有するサイトや受け入れの意向を持つコミュニティを追求していくため、さらなる検討対象となる「調査エリア」の特定やRWM社とともにプロセスを前進させていく「コミュニティパートナーシップ」の初期メンバーの特定も行う予定である。

 

<参考:初期対話とワーキンググループの設置について>

英国政府の2018年政策文書『地層処分の実施-地域社会との協働:放射性廃棄物の長期管理』(以下「2018年政策文書」という)で設定されたサイト選定プロセスでは、地層処分施設の設置に関心を示す者、または、設置候補エリアを提案したい者であれば、地層処分事業の実施主体である放射性廃棄物管理会社(RWM社)と初期対話(initial discussion)を開始できることになっている  。

また、2018年政策文書で設定されたサイト選定プロセスでは、初期対話において、地層処分施設(GDF)の設置に向け、さらなる検討を進めていくことに合意した場合には、当該地域の自治体組織に報告して、コミュニティ全体での協議に発展させていくための準備組織「ワーキンググループ」を設置することになっている。

 

【出典】


  1. テッドルソープ・ガスターミナルでは、北海の約100kmを超える沖合にある海上掘削基地と海底パイプラインで結び、日産約400万m3の天然ガスを生産していた。2018年8月に生産を終了。プラント施設の廃止措置が行われており、2022年には農地への転用が可能な状態に戻される予定である。 []
  2. イーストリンジー市は、面積が約1,762km2、人口が約14万人の農業と観光業を産業の中心とした自治体である。 []
電動の連続掘削機による掘削

電動の連続掘削機による掘削

米国のエネルギー省(DOE)環境管理局(EM)は、2021年10月12日付けのニュースリリースにおいて、軍事起源のTRU廃棄物の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)において、地下処分施設で計画が進められている既存の8つの処分パネルのうち、最後となる第8パネルの掘削が完了したことを公表した。第8パネルの掘削は、2013年遅くに開始されたが、WIPPで2014年2月に発生した火災事故及び放射線事象により地下処分施設の掘削活動は中断され、その後、第8パネルの掘削活動は2018年1月15日に再開された

また、本ニュースリリースでは、第8パネルでは引き続き、電力、鉱山電話、壁面保護の金網(chain link)、空気モニタ等の設置作業が行われるが、現在廃棄物の定置が行われている第7パネルが一杯になる予定の2022年4月には、第8パネルでの廃棄物定置のための準備が整うことが示されている。第8パネルの各処分室は、幅が33フィート(約10m)、高さが15~16フィート(約4.6~4.9m)、長さが300フィート(約91m)となっている。なお、WIPPの各パネルは、7つの処分室で構成されている。

第8パネルへと進む岩塩運搬トラック

第8パネルへと進む岩塩運搬トラック

さらに、本ニュースリリースによれば、第8パネルの掘削活動では電動の連続掘削機が使用され、第8パネルのすべての処分室の掘削完了により、ニミッツ級空母の1.5倍に当たる157,000t以上の岩塩が掘削された。岩塩の掘削ずり(岩石片)は、岩塩運搬トラックでホッパーまで運ばれ、ホイストで5tずつ地上に搬出される。岩塩の掘削ずりの一部は、地下処分施設の閉鎖などで使用される。第8パネルの掘削活動が完了したことにより、連続掘削機は今後、既存の処分エリアから西側に向かって、建設中の立坑につながる坑道の掘削に使用されることとなる。

WIPPの地下施設と第7・第8パネル(2021年6月15日時点)

WIPPの地下施設と第7・第8パネル(2021年6月15日時点)

なお、WIPPでは、既存の8つの処分パネルの西側の離れた位置に2つの代替処分パネルを建設する計画が進められており、今後、代替処分パネルへのアクセス坑道の掘削も予定されている。

【出典】

米国の政府説明責任院(GAO)は、2021年9月23日に、米国における民間の使用済燃料について、行き詰まりを打開して永久的な処分方策を構築するためには連邦議会の行動が必要とする報告書(以下「GAO報告書」という。)を公表した。GAO報告書は、エネルギー省(DOE)及び他の機関の文書をレビューするとともに、20名の専門家及び25名のステークホルダーにインタビューし、使用済燃料処分の解決策を構築するために必要であると専門家が指摘した行動について検証している。その結論としてGAO報告書では、連邦議会に対し、(1)1982年放射性廃棄物政策法(NWPA)を改正して、DOEによる同意に基づくサイト選定プロセスの実施を可能とすること、(2)放射性廃棄物基金を再構成して信頼できる十分な資金を確保することが必要と指摘している。

GAO報告書は、使用済燃料管理政策の立案及び歳出法案の制定に係る権限を有する者として、連邦議会上下院の歳出委員会エネルギー・水資源開発小委員会の委員長、その他の関連委員会の委員長に宛てた書簡の形式が採られている。最初にGAO報告書では、民間使用済燃料の現状、使用済燃料に係る法制度及びプログラムの歴史、民間使用済燃料に係る連邦政府の債務、民間使用済燃料の管理に係る主要な報告書についての背景情報を整理した上で、GAOがインタビューした専門家が必要と指摘した連邦議会の行動が検証され、最後に結論及び勧告が示されている。

使用済燃料貯蔵に係る連邦政府債務の推定及び予測のグラフ

民間使用済燃料の貯蔵に係るエネルギー省(DOE)債務の推定及び予測

GAO報告書では、行き詰まりが続くことにより、環境・健康・セキュリティ上のリスクや気候変動対策、税負担に与える影響について、専門家が特に懸念を示していることが示されており、その例として、連邦政府の債務が増加し続けることを示す図が掲載されている。また、GAO報告書では、永久的な処分場を開発しないことに伴うリスクに加えて、民間使用済燃料を管理する責任を果たせないことにより、連邦政府が直面する債務が数百億ドルに上ることを鑑みて評価を行ったものであると説明している。

GAOは、米国では民間使用済燃料の管理がそれぞれ個別の(ad hoc)システムで行われており、例えば、貯蔵に用いられる技術が多様であると最終処分に影響を与えるなど、将来の処分に係る意思決定及び費用に影響を及ぼすことを指摘している。さらに、GAO報告書では、ほとんど全ての専門家が、民間使用済燃料の解決策の構築とプログラム費用を削減するためには統合的な戦略が不可欠との見解を示しており、エネルギー省(DOE)は連邦議会の行動なしには、そうした戦略を十分に構築・実行することはできないことを指摘している。

■同意に基づくサイト選定プセスの検証

GAO報告書では、同意に基づくサイト選定プロセスについても検証している。米国では、エネルギー省(DOE)が2015年に公衆との関わりの取組みを開始し、同意に基づくサイト選定プロセス案を検討した。このプロセス案は最終化されていないが、DOEが検討した同意に基づくサイト選定プロセス案には、GAOがインタビューした専門家のほとんど全てが重要であると合意する、効果的なサイト選定プロセスに必要な要素が含まれていることが、下表のように示されている。また、連邦議会が1982年放射性廃棄物政策法(NWPA)を改正し、ユッカマウンテンに代わる、または追加の貯蔵/処分オプションを認めた場合は、DOEのサイト選定プロセス案の最終化が、集中中間貯蔵施設/永久的な処分施設の同意に基づくプロセスの実施を支援するものになり得ると指摘している。

効果的なサイト選定プロセスの要素

効果的なサイト選定プロセスの要素

専門家

カナダ

フィンランド

スウェーデン

WIPP

DOE案

早期の関与・働きかけ

先住民族政府・州の重要な役割

N/A

N/A

×

段階的で柔軟なアプローチ

×

自発性及び撤退権

十分な情報を得た上での同意(インフォームドコンセント)

地域に合った(tailored)便益

凡例:✓;効果的なサイト選定プロセスの要素が含まれている、×;要素が含まれていない、N/A;該当せず、
専門家;GAO報告書でインタビューした専門家、WIPP;廃棄物隔離パイロットプラント、DOE案;DOEの同意に基づくサイト選定プロセス案(2017年)
出所)GAO報告書より作成

■GAOによる勧告

GAO報告書の結論において、米国では、過去10年間にエネルギー省(DOE)には民間使用済燃料管理のプログラムがない状態が続いたことを指摘した上で、使用済燃料管理の全ての側面について専門家間で合意が得られているわけではないが、いくつかの提案は時を経ても一貫しており、そのほとんどが連邦議会の行動に掛かっているとして、以下の4つの検討事項を勧告している。

  1. 民間使用済燃料の集中中間貯蔵施設及び永久的な処分場のサイト選定、開発、建設に係る新しい同意に基づくサイト選定プロセスを認めるように1982年放射性廃棄物政策法の改正を検討すべきである。
  2. 使用済燃料処分プログラムを運営するため、政治から切り離され、リーダーシップの継続性を確保できる独立機関のようなメカニズムの創設を検討すべきである。
  3. 放射性廃棄物基金について、永久的な処分場の開発・建設・操業のために使用される基金からの支出が、民間使用済燃料プログラムのライフサイクルコストに基づいたものとなるように再構成を検討すべきである。
  4. 使用済燃料の輸送、中間貯蔵及び永久的な処分の計画を含む、統合的な廃棄物管理戦略(integrated waste management strategy)を、1982年放射性廃棄物政策法の改正と一貫する形で構築し、実施するようエネルギー省(DOE)に指示することを検討すべきである。

さらに、GAO報告書では、エネルギー省(DOE)に対して、公衆との関わりの取組みを継続して、同意に基づくサイト選定プロセス案の最終化を行うべきとの勧告も示されている。GAOは、連邦議会の行動がなくても、DOEは将来の連邦議会の決定に資する基盤作りのための行動を起こすことは可能であり、特に、公衆と関わりにおいて、信頼を醸成するためにできることはあると指摘している。GAOがインタビューした専門家のほとんどが、公衆は使用済燃料管理に関してはDOEを信頼しておらず、信頼を回復するためには、他国や廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)の立地で得られた教訓など、公衆との関わりを促進して信頼を醸成するための良好事例を確認することを勧告している。これに対してDOEは、GAOの勧告に同意すること、DOEは同意に基づくサイト選定活動を再開しており、2022年早期には「同意に基づくサイト選定プロセス案」の改定を行う予定であることを回答している。

GAO報告書は、2020年5月から2021年9月にかけて、一般に認められた政府監査基準(Generally Accepted Government Audit Standards:GAGAS)に従って実施された業績監査について報告するものであり、GAOの権限1 の下で実施された。GAOは、GAO報告書の策定に当り、レビューした文献の著者や「米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会」の参加者を含む141名の専門家と126のステークホルダーをリスト化したうえで、最終的に20名の専門家と25名のステークホルダーを選定してインタビューを行った。ステークホルダーは、種々の組織から賛成・反対の意見を収集するように選定しており、インタビューの対象には地層処分場のサイト選定・開発で先行するカナダ、フィンランド、スウェーデンの担当も含まれている。GAO報告書の添付資料では、インタビュー対象者の選定方法、実際にインタビューを実施した20名の専門家の名前、米国における使用済燃料管理関連の重要決定の経緯などが示されている。

【出典】

  • 政府説明責任院(GAO)報告書、「民間使用済燃料:行き詰まりを打開して永久的な処分の解決策を構築するためには連邦議会の行動が必要」(2021年9月23日)
    https://www.gao.gov/products/gao-21-603

  1. 正確には政府説明責任院(GAO)の院長となる監査総監(Comptroller General)の権限 []

米国テキサス州議会は、テキサス州内において使用済燃料を含む高レベル放射性廃棄物の処分または貯蔵を禁止する法案を2021年9月2日に可決し、2021年9月9日に州知事の署名を得てテキサス州法(H.B.7、以下「処分・貯蔵禁止法」という。)として成立した。テキサス州では、中間貯蔵パートナーズ(ISP)社がテキサス州アンドリュース郡で使用済燃料等の集中中間貯蔵施設の建設・操業を計画しており、原子力規制委員会(NRC)で許認可審査が行われている。NRCは、ISP社の集中中間貯蔵施設の許認可審査について、2021年7月29日に最終環境影響評価書(FEIS)を公表しており、2021年9月末までに許認可に係る決定を行う予定としている 。NRCによる許認可については、NRCの環境影響評価に係る連邦規則(10 CFR Part 51)において、NRCが環境保護庁(EPA)にFEISを提出し、EPAが連邦官報においてFEISの受領を告示してから30日間は許認可の発給に係る決定を行うことはできないものと規定されており、このため、EPAがFEIS受領を連邦官報で告示した2021年8月13日から30日経過後にNRCは許認可の発給が可能となる。ただし、今回の処分・貯蔵禁止法(H.B.7)の成立により、NRCが中間貯蔵施設の建設・操業に係る許認可を発給した場合においても、州による環境関連の許可が得られなくなることから、実際の集中中間貯蔵施設の建設・操業は行えないこととなる。

今回成立した処分・貯蔵禁止法(H.B.7)は、テキサス州健康・安全法典(Health and Safety Code)第401章「放射性物質及び他の放射線源」に条文を追加して修正するものであり、以下のような内容の規定が置かれている1

第1条
1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)(NWPA)第2条で定義される「高レベル放射性廃棄物」と「使用済燃料」を含むものとして、健康・安全法典で「高レベル放射性廃棄物」を定義。

第2条
テキサス州環境品質委員会(TCEQ)は、運転中または過去に運転していた発電用原子炉及び研究炉に対するものを除き、NRCから高レベル放射性廃棄物の貯蔵に係る許認可発給を受けた施設の建設または操業について、連邦水質浄化法(CWA:Clean Water Act)の下での一般建設許可の発給または汚水関連の計画承認や許可発給を行ってはならない。

第3条
運転中または過去に運転していた発電用原子炉及び研究炉における貯蔵を除き、州間協定(コンパクト)に基づく放射性廃棄物処分施設の許認可保有者を含め、何人もテキサス州内において高レベル放射性廃棄物を処分または貯蔵してはならない。

第4条
第2条の規定は、本法施行後に提出される許可または許可変更の申請書に対してのみ適用される。

第6条
本法は、両院議員の3分の2以上の投票を得た場合には即時に発効する。それ以外の場合には、2021年12月5日に発効する。

処分・貯蔵禁止法(H.B.7)は、テキサス州議会上院では2021年9月1日に31対0(ゼロ)、下院では2021年9月2日に119対3の賛成多数で可決されたことから、2021年9月9日のテキサス州知事の署名により即時に有効となっている。

処分・貯蔵禁止法案は、中間貯蔵パートナーズ(ISP)社が集中中間貯蔵施設の建設を計画しているアンドリュース郡を選挙区に持つランドグラフ・テキサス州下院議員によって提出された。ランドグラフ議員は、2021年9月3日付けのプレスリリースにおいて、特別会期で処分・貯蔵禁止法案を審議対象に指定した州知事に謝意を示した上で、低レベル放射性廃棄物施設は支持するものの、放射能がより強い高レベル放射性廃棄物の貯蔵への拡張には反対するというアンドリュース郡住民の意思を代表することが同議員の責務であることなどを表明している。テキサス州知事は、ISP社の集中中間貯蔵施設に係る環境影響評価のコメント募集において、施設の建設・操業に反対することを表明していた

アンドリュース郡理事会(commissioners court)では、NRCがアンドリュース郡及びテキサス州住民の意思を尊重し、同郡における集中中間貯蔵施設の許認可手続きを直ちに中止すること、アンドリュース郡判事及び理事会は使用済燃料等の集中中間貯蔵の立地を拒否することなどを、2021年7月30日に決議していた。アンドリュース郡の決議に対してNRCは、2021年8月27日付けの書簡において、決議書の送付に謝意を示した上で、ISP社の集中中間貯蔵施設がNRC規制要件に適合するかを判断する安全性評価報告(SER)を発行する予定であり、2021年9月に許認可発給に係る決定を行うことを伝えている。なお、アンドリュース郡理事会は、現在の州知事が就任した同日の2015年1月20日に、ウェースト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社が低レベル放射性廃棄物のWCS処分場に隣接して使用済燃料の集中中間貯蔵施設を建設する計画について、支持する決議を行っていた。また、WCS社は、地元の支持が得られることを前提として、NRCに建設・操業の許認可申請を行うことを表明していた。

米国における民間事業者による使用済燃料の集中中間貯蔵施設の建設に向けた事例としては、過去に民間燃料貯蔵(PFS)社によるユタ州スカルバレーにおける中間貯蔵施設の例がある。このPFS社によるスカルバレー中間貯蔵施設プロジェクトは、2006年2月にNRCの建設・操業に係る許認可を取得したが、ユタ州等による反対のなか、土地貸借契約や国有地での輸送について連邦内務省(DOI)の承認が得られなかったことなどから、NRCに建設許可の終了を要求するなど、計画は進まなかった。なお、PFS社によるスカルバレー中間貯蔵施設は、民間の原子力発電事業者が共同で中間貯蔵を行うものであったが、ISP社の集中中間貯蔵施設では、エネルギー省(DOE)が所有権を取得した使用済燃料を貯蔵することが想定されている。

中間貯蔵パートナーズ(ISP)社の集中中間貯蔵施設は、テキサス州アンドリュース郡のウェースト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社の自社所有サイトにおいて、WCSテキサス低レベル放射性廃棄物処分場に隣接する区画で建設を計画しているものである。WCS社は、2016年4月28日に、使用済燃料等の集中中間貯蔵施設の建設・操業に係る許認可申請書をNRCに提出していたが、WCS社の売却の動きなどもあり、WCS社とOrano USA社との合弁会社として設立されたISP社が、2018年6月8日に、集中中間貯蔵施設の許認可審査の再開をNRCに申請していた。WCS社サイトについては、エネルギー省(DOE)が環境影響評価を実施するなど、クラスCを超える(GTCC)低レベル放射性廃棄物(以下「GTCC廃棄物」という。)の処分に関する検討も行われており、NRCによるGTCC廃棄物処分の規制に係る検討が続けられている。なお、GTCC廃棄物は、今回成立した処分・貯蔵禁止法(H.B.7)の対象には含まれていない。

【出典】

 

【2021年9月16日追記】

米国の原子力規制委員会(NRC)は、中間貯蔵パートナーズ(ISP)社がテキサス州アンドリュース郡で計画している使用済燃料等の集中中間貯蔵施設について、建設・操業に係る許認可を2021年9月13日に発給した。NRCは、ISP社の許認可申請書の審査に基づいて、許認可で承認される活動は公衆の健康と安全を脅かすことなく実施できること、これらの活動はNRC規則(10 CFR Part 72)を遵守して実施されることについて、2021年9月13日付けのISP社宛の許認可書送付書簡において、合理的な保証があるなどと判断したことが示されている。ただし、テキサス州法の処分・貯蔵禁止法(H.B.7)が成立していることなどにより、州による環境関連の許可が得られず、集中中間貯蔵施設の建設・操業については、実際には行えないことが見込まれる。

今回NRCが発給した許認可は、中間貯蔵パートナーズ(ISP)社に対し、最大5,000トンの使用済燃料と231.3トンのクラスCを超える(GTCC)低レベル放射性廃棄物(以下「GTCC廃棄物」という。)を、40年間にわたって受領、保有、移転及び貯蔵することを許可するものである。ISP社は、その後の7段階で施設を拡張し、最大で40,000トンの使用済燃料を貯蔵する計画を示しているが、施設を拡張するごとにNRCによる安全審査と環境審査を受けて許認可変更を行うことが必要となる。

2021年9月13日付けのNRCのニュースリリースでは、許認可審査においては安全性とセキュリティの技術的審査、環境影響審査、及びNRCの原子力安全・許認可委員会(ASLB)による裁決手続が実施されており、環境審査では多数の一般公衆からの意見も評価したこと、裁決手続では地域や全国組織の申立人から提起された争点の解決が行われたことが示されている。NRCのウェブサイトでは、今回の許認可発給に係る以下の文書が公表されている。

  • 許認可書(物質許認可、SNM-2515)
  • 許認可書の前文(Preamble)
  • 許認可送付書簡
  • 公開版の最終安全性評価報告書(FSER)
  • 技術仕様書(Technical Specifications)
  • 意思決定記録(ROD)2

許認可書(SNM-2515)本体では、初期貯蔵容量の集中中間貯蔵施設を建設するのに十分な資金が確保されるまで建設を開始してはならないこと、顧客が使用済燃料等の所有権を保持することなどを顧客との契約で規定すること、操業に必要な資金をエネルギー省(DOE)または他の使用済燃料所有者が責任を持つことを規定した契約を操業前に締結することなど、許認可条件が規定されている。また、NRCの連邦規則への適合に必要とされる技術仕様書も許認可の一部とされている。

NRCのニュースリリースでは、今回の許認可は、使用済燃料の集中中間貯蔵施設に対する2件目のものであり、最初の許認可は民間燃料貯蔵(Private Fuel Storage)社に2006年に発給されたものの、建設されなかったことも記載されている。また、NRCはニューメキシコ州リー郡における同様の施設に係るホルテック・インターナショナル社の許認可申請書の審査を行っており、2022年1月に許認可に係る決定を行う見込みも記載している。

中間貯蔵パートナーズ(ISP)社の集中中間貯蔵施設の建設・操業に係る許認可申請については、原子力安全・許認可委員会(ASLB)が主宰する裁判形式の裁決手続によるヒアリングの開催を要求して、シエラクラブ等の環境団体や地域の石油・ガス生産者/鉱業権者が争点を提出していた。ASLBが当初に1件のみ有効と認めた争点も、その後にISP社が指摘された欠陥を修正したことから無効とされ、すべての争点が否認された。ASLBに争点を否認された参加申立人らは、NRCの委員会に対する不服申立ても否認されたことから、訴訟を提起している。

なお、テキサス州のアボット知事は、個人のSNSアカウントにおける2021年9月14日の投稿において、西部テキサスの油田地帯における高レベル放射性廃棄物の廃棄(dump)について、それを阻止するための法律に署名したこと、テキサス州は米国の高レベル放射性廃棄物の廃棄場所(dumping ground)にはならないことを表明している。

【出典】

 

【2021年9月27日追記】

米国のテキサス州は2021年9月23日に、原子力規制委員会(NRC)が中間貯蔵パートナーズ(ISP)社に対して2021年9月13日に発給した使用済燃料等の集中中間貯蔵施設の建設・操業に係る許認可について、取り消しを求める訴状を第5巡回区連邦控訴裁判所に提出した。

テキサス州3 によるNRCへの訴状では、NRCが許認可を発給した命令(order)は不法(unlawful)であると認定して無効にすること、及び発給された許認可を取り消すことを求めているが、その理由など詳細は示されていない。なお、1954年原子力法第189条「公聴会及び司法審査」では、裁判形式の裁決手続による公聴会の対象となるNRCの委員会決定について、訴訟の対象となることを規定しており、テキサス州は連邦控訴裁判所規則の規則15に従って訴状を提出している。

【出典】


  1. 実際の処分・貯蔵禁止法(H.B.7)では、対象となる条項は健康・安全法典の条文番号で参照されるなどしているが、細部の省略も含めて概要の記述としている。
    なお、第5条では可分条項(規定の一部が無効とされても他の条項の有効性には影響がないとする規定)が置かれている。 []
  2. 意思決定記録(ROD:Record of Decision):米国では連邦政府機関が環境に影響を及ぼす可能性がある措置を実施する際には環境影響評価の実施が1969年国家環境政策法(NEPA)により規定されている。この場合、その最終的な決定内容については、検討した代替案や影響緩和策を含めて「意思決定記録」として連邦官報で告示することが必要とされている。 []
  3. 本訴訟の原告は、厳密にはテキサス州、テキサス州知事、テキサス州環境品質委員会(TCEQ)の3者となっているが、まとめて「テキサス州」と表記している。 []
使用済燃料処分場及びキャニスタ封入施設のイメージ(SKB社提供)

使用済燃料処分場及びキャニスタ封入施設のイメージ(SKB社提供)

スウェーデン政府は2021年8月26日付けプレスリリースにおいて、スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)が操業している使用済燃料集中中間貯蔵施設(CLAB、1985年操業開始)の貯蔵容量に関して、現行の8,000トンから11,000トンへの引き上げを許可する決定を行ったことを明らかにした。今回の貯蔵容量引き上げは、SKB社がKBS-3概念1 と呼ばれる処分概念を採用した使用済燃料の最終処分システムの実現に向けて、同社が2011年3月に環境法典及び原子力活動法に基づく許可申請書を提出した以降、安全審査等が実施されている事業案件を構成する原子力活動の一部を構成するものである。スウェーデン政府は、審査中の事業案件について部分的な決定を行った理由について、CLABの貯蔵容量が逼迫する可能性のある2023年以前に許可プロセスが完了しない場合、スウェーデンにおける安定的な電力供給が脅かされるリスクがあり、これを回避するためであると説明している。

スウェーデン政府は、CLABの貯蔵容量引き上げ以外の使用済燃料のキャニスタへの封入及び最終処分に関する審査は継続する。スウェーデン政府は、使用済燃料の最終処分場に関する審査を進めているが、その決定に至るにはまだ数ヶ月を要するとの見通しを明らかにした。

■使用済燃料の最終処分システムに関する今後の審査プロセスへの影響

現在、スウェーデンでは、使用済燃料の最終処分場及びキャニスタ封入施設に関する許可申請として、環境法典及び原子力活動法の2つの法律に基づく3つの許可申請書の審査が並行して進められている(以下の囲みを参照)。このうち、キャニスタ封入施設に関しては、オスカーシャムに立地している使用済燃料集中中間貯蔵施設(CLAB)を拡張する形で建設し、一体の施設として運用する計画である。

SKB社は、2011年3月に最終処分場とキャニスタ封入施設に関する申請書を提出した時点では、CLABの貯蔵容量引き上げは将来的に必要であるものの、実際に必要となる貯蔵容量幅が不透明であったことから申請内容に含めていなかった。しかし、2011年3月の東京電力(株)福島第一原子力発電所事故後に実施されたストレステスト(原子力施設の安全性に関する総合評価)で特定された脆弱性対策に対応すべく、SKB社は2015年3月にCLAB及びキャニスタ封入施設の設計変更に伴う申請書の補足を行っており、使用済燃料を稠密に配置するなどの方法により、CLABの地下プールを増設せずに対応可能な貯蔵容量である11,000トンへの引き上げを申請内容に盛り込んだ。

※使用済燃料処分場の実現に向けて審査中の申請書

①オスカーシャムにおけるキャニスタ封入施設の建設許可申請書
(2006年11月にSSMに提出、2011年3月16日更新、2015年3月31日補足)…原子力活動法に基づく申請
②フォルスマルクにおける使用済燃料処分場の立地・建設許可申請書
(2011年3月16日にSSMに提出)…原子力活動法に基づく申請
③使用済燃料の処分方法及び関連施設の立地選定に係る許可申請書
(2011年3月16日に土地・環境裁判所に提出)…環境法典に基づく申請

環境法典に基づく審理を実施していた土地・環境裁判所及び原子力活動法に基づく審査を行っていた放射線安全機関(SSM)は、2018年1月に、それぞれの審査意見書を政府に提出している。これまでの審査プロセスでは、それらの意見書を踏まえた政府決定を待ち、その内容を受けて土地・環境裁判所及びSSMにおいて許可条件を定める手続きが行われることが想定されていた。

SKB社は2021年8月27日に、CLABが立地するオスカーシャム自治体が最終処分システム全体に関する最終的な決定が行われずにCLABの貯蔵容量だけを引き上げることに反対していることに触れ、今回の政府決定はオスカーシャム自治体の考えに沿ったものではないとのコメントを公表した。さらに、SKB社は、環境法典に基づき土地・環境裁判所で審理された事業案件の一部に限って政府が判断を行ったケースは前例がないことから、使用済燃料の最終処分システムに関する今後の審査プロセスの停滞を懸念するとしたコメントを公表した。

【出典】


  1. KBS-3概念とは、スウェーデンで開発された使用済燃料の処分概念であり、使用済燃料を銅製のキャニスタに封入し、処分坑道の床面に掘削した処分孔に定置して、キャニスタの周囲を緩衝材(ベントナイト)で囲うというものである。本概念を検討した報告書の略称に由来しており、フィンランドも同様の処分概念を採用している。 []

連邦放射性廃棄物処分安全庁(BASE)が設置した公衆参加の枠組みである「サイト区域専門会議」は、処分実施主体である連邦放射性廃棄物機関(BGE)が2020年9月に取りまとめた『サイト選定手続き第1段階の中間報告書』(以下「中間報告書」という)について、2021年2月から6ヶ月間にわたってレビューを実施している。2021年8月6日から8月7日に開催されたサイト区域専門会議の第3回会合において、これまでのレビュー結果及び提言事項が取りまとめられた。サイト区域専門会議は、BGEがドイツ全土から最終処分にとって好ましい地質学的前提条件が存在すると判断される90区域を抽出したものの、それらが国土の54%を占めている点に関して、より絞り込まれたものを期待していた一般の感覚とは異なっているとの指摘をした上で、サイト選定手続き第1段階の目標である「地上探査候補サイト地域」の確定に向け、BGEが行うさらなる絞り込みにおいて、公衆参加の機会となる「サイト区域専門フォーラム」の設置を提言に盛り込んだ。一方、サイト区域専門会議の活動は、第3回の会合をもって終了する。サイト区域専門会議の報告書は、1ヶ月以内にBGEに提出される予定である。

■サイト選定手続き第1段階における公衆参加の形態

ドイツ全土の母岩別のサイト区域の分布

サイト区域専門会議は、「高レベル放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という)に基づいて、連邦放射性廃棄物処分安全庁(BASE)が事務局として招集する会議体であり、サイト選定における公衆参加を推進する役割を有している。サイト区域専門会議の参加者は、一般市民のほか、BGEが取りまとめる中間報告書で判明するサイト区域候補の地域団体、社会組織、科学者であり、サイト選定法に規定された各種組織には、事前にBASEから参加招請が行われた。

サイト区域専門会議の会合は主にオンラインイベントの形式で開催され、全体会議やサイト選定法に規定されている除外基準や地球科学的な評価基準の内容や適用を個別に扱うワークショップのほか、地層処分場の母岩(粘土岩、結晶質岩、岩塩)、地域計画、公衆参加と透明性などのテーマ別ワーキンググループで議論が行われた。参加者は、全体会議後などに並行的に行われていたこれらのワークショップやワーキンググループに自由に参加して質疑を交わしたり、ワーキンググループで取りまとめる提言文書に対する賛否投票を行うことができた。全3回のサイト区域専門会議を通じ、合計で約4,900人が参加した。

サイト区域専門会議において、BGEは、中間報告書の内容を会議の参加者に説明するとともに、今後「地上探査候補サイト地域」の提案をBGEが作成するにあたり、サイト区域専門会議の結果を考慮することになっている。

■サイト区域専門会議の主な提言と今後の対応

サイト選定法では、サイト選定手続き第1段階の後半において、BGEが、サイト区域における予備的安全評価を実施するとともに、地球科学的な評価基準や地域計画面での基準1 を適用し、さらなる絞り込みを行うことになっている。サイト区域専門会議は、BGEに対し、予備的安全評価及び地域計画面での基準の適用手法の開発を進めるよう求めている。また、それらの基準の適用に対する公衆参加を計画するため、BGEの作業マイルストーンを早急に明らかにするよう求めている。さらに、公衆参加を実現する役割を担うBASEに対し、サイト区域専門会議の後継となる「サイト区域専門フォーラム」を設置し、サイト選定手続き第1段階後半においても、一般市民及びサイト区域の各種組織への情報提供を継続し、サイト選定プロセスへ参加する意欲と能力の向上を図るよう求めている。

サイト区域専門会議の提言を受け、BGEは、さらなる絞り込み方法の検討案を2022年3月に公表する意向を表明した。また、BASEは、公衆参加のデザインに向けたロードマップを2021年秋に取りまとめる考えを表明した。

【出典】


  1. サイト選定法に規定されている住宅地域からの距離、飲料用地下水源や自然保護地域の有無など11項目で構成される評価基準 []

米国の連邦議会下院の歳出委員会は、2021年7月16日に開催した法案策定会合において、放射性廃棄物処分関連の2022会計年度1 の「エネルギー・水資源開発歳出法案」(H.R.4549、以下「歳出法案」という。)を承認し、2021年7月20日に下院本会議に提出した。提出された歳出法案は、7分野の歳出法案が束ねられて包括歳出法案(H.R.4502)とされ、2021年7月29日に下院本会議で可決された。今後は、連邦議会上院での歳出法案の審議に移ることとなる。ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可審査手続きの再開等のための予算については、エネルギー省(DOE)や原子力規制委員会(NRC)の2022会計年度の予算要求資料でも要求されていなかったが、今回提出された歳出法案においても計上されていない。なお、下院歳出委員会エネルギー・水資源小委員会のメンバーであるネバダ州選出のリー下院議員(民主党)からは、ユッカマウンテン計画のための予算の計上を阻止し、同意に基づく解決策をエネルギー長官に指示する規定を盛り込むために取り組んだことなどを伝えるプレスリリースが発出されている。

■放射性廃棄物処分関連の予算項目

今回提出された歳出法案では、「放射性廃棄物処分(Nuclear Waste Disposal)プログラム」として27,500千ドル(約28億8,750万円、1ドル=105円で換算)が計上されている。放射性廃棄物処分プログラムの予算は、中間貯蔵に係る活動を含め、1982年放射性廃棄物政策法の目的を遂行するための放射性廃棄物処分に係る活動に必要とされる予算とされており、このうち7,500千ドル(7億8,750万円)は放射性廃棄物基金(NWF)から支出されるものとされている。DOEの研究開発プログラムについては、歳出法案では「原子力(Nuclear Energy)」全体の予算として1,675,000千ドル(約1,758億円)が示されているのみとなっており、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物(以下「高レベル放射性廃棄物」という。)の管理・処分に係るプログラムの内訳は示されていない。

歳出法案に付随する下院歳出委員会報告書(H.Rept.117-98、以下「委員会報告書」という。)においては、「放射性廃棄物処分プログラム」の27,500千ドル(28億8,750万円)のうちの20,000千ドル(21億円)は使用済燃料の中間貯蔵のための予算とされ、放射性廃棄物基金から支出する7,500千ドル(7億8,750万ドル)については放射性廃棄物基金の監督活動に係る予算とされている。なお、DOEの予算要求では、「放射性廃棄物処分プログラム」の予算は放射性廃棄物基金の監督活動に係るものとして7,500千ドルのみが計上され、中間貯蔵については、燃料サイクル研究開発(R&D)プログラムの「統合廃棄物管理システム(IWMS、Integrated Waste Management System)」の一部として20,000千ドルが要求されていた。

また、DOEの予算要求では、中間貯蔵プログラムの開発・実施をサポートするための予算が研究開発プログラムの一部として計上とされていたのに対し、委員会報告書では、研究開発プログラムではなく、エネルギー長官の現行の権限内で連邦中間貯蔵施設のサイト選定に向けた活動を実施すること、その実施に際しては同意に基づくアプローチを用いることが指示されている。さらに、委員会報告書では、1982年放射性廃棄物政策法においては、同法の制限2 の前段階で様々な活動が可能であることなどを指摘している。

DOEの高レベル放射性廃棄物処分関連の研究開発に係る予算について、委員会報告書では、燃料サイクル研究開発(R&D)プログラムの下で、「使用済燃料処分等研究開発」の一般的な研究開発活動を継続するための予算として62,500千ドル(65億6,250万円)が計上されているほか、「統合廃棄物管理システム(IWMS、Integrated Waste Management System)」の予算として18,000千ドル(18億9,000万円)が計上されている。使用済燃料処分等研究開発について、委員会報告書では、予算額のうち5,000千ドル(5億2,500万円)は先進燃料の短期的な課題に対応することを指示するとともに、統合廃棄物管理システム(IWMS)については、地域輸送の再開に係る評価や調整の取組み、廃止措置済みの原子力発電所等での準備活動の継続が指示されている。

米国で超ウラン核種を含む放射性廃棄物(TRU廃棄物)の地層処分場として操業中の廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)について、委員会報告書では、DOEの予算要求額と同額の430,424千ドル(451億9,452万円)が計上されている3 。また、委員会報告書では、2021会計年度の歳出法で指示したインフラ改善計画の説明4 が未了のため、歳出法案成立後15日以内に連邦議会に報告するようDOEに指示している。

その他の機関について、歳出法案及び委員会報告書では、原子力規制委員会(NRC)の予算については、「核物質・廃棄物安全」の予算項目についてNRC要求と同額の予算が計上されているが、集中中間貯蔵施設に関するものなどの内訳は示されていない。なお、NRC予算では、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査活動等のための予算は計上されていない。また、放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)については、要求額と同額の3,800千ドル(3億9,900万円)の予算が計上されている。

2022会計年度の歳出法案及び委員会報告書の情報をまとめると、放射性廃棄物処分関連の予算は、下表のような構成となっている。

 

予算項目

プログラム

サブプログラム
(サブプログラムがない場合は括弧内に概要説明)

2022会計年度歳出予算(単位:千ドル)

財源

DOE

原子力(Nuclear Energy)

[歳出法案には、全体の予算額として1,675,000千ドルが記載されているのみ]

燃料サイクル研究開発
(Fuel Cycle Research and Development)

[委員会報告書に、本プログラムの下でのサブプログラムの予算額が記載されている]

使用済燃料処分等研究開発(Used Nuclear Fuel Disposition R&D)

62,500

一般

統合廃棄物管理システム(IWMS)
(Integrated Waste Management System)

18,000

放射性廃棄物処分
(Nuclear Waste Disposal)

放射性廃棄物処分(Nuclear Waste Disposal)

(中間貯蔵を含め、1982年放射性廃棄物政策法の目的遂行。なお、DOEの予算要求では、中間貯蔵に係る20,000千ドルの予算は統合廃棄物管理システム(IWMS)に含まれていた)

27,500
※うち20,000は中間貯蔵、7,500はNWF監督等

20,000は一般、7,500はNWF

国防環境クリーンアップ
(Defense Environmental Cleanup)

廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)

WIPP操業ほか
(換気システム等の設備更新を含む)

430,424

一般

独立機関

原子力規制委員会(NRC)

高レベル放射性廃棄物処分

(高レベル放射性廃棄物処分場の許認可審査)

0

NWF

放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)

活動費

(DOE研究開発活動の評価等)

3,800

NWF

NWF:放射性廃棄物基金

【出典】


  1. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2022会計年度の予算は2021年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  2. 1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)では、原子力規制委員会(NRC)が処分場の建設認可を発給するまでは監視付き回収可能貯蔵(MRS)施設(集中中間貯蔵施設)の建設を禁じるなど、中間貯蔵施設の開発について処分場開発の進展と関連付けた制限規定が置かれている。 []
  3. 廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)については、DOE予算要求書では保障措置・セキュリティ予算の一部として別途6,806千ドル(約7億1,460万円)が要求されており、総額は437,230千ドル(約459億920万円)とされているが、歳出法案及び委員会報告書では保障措置・セキュリティ予算の内訳が明示されていないため、保障措置・セキュリティ予算を除くWIPP関連の歳出予算額を示している。 []
  4. 2020年12月27日に成立した2021会計年度包括歳出法(H.R.133、Public Law No.116-260として成立)では、付随する説明文書において、WIPP関連の道路使用やインフラ改善に係る将来の資金需要について、法の成立後90日以内に上下両院の歳出委員会に報告書を提出することを指示していた。 []

フランスの国家評価委員会(CNE)は、第15回評価報告書を議会科学技術選択評価委員会(OPECST)に提出し、2021年7月にCNEウェブサイトで公表した。CNEは、2006年の放射性廃棄物等管理計画法 の規定に基づいて、放射性廃棄物等の管理に関する取組や調査研究等の進捗状況について毎年評価を行い、評価結果を報告書に取りまとめて議会に提出している。なお、前回の第14回報告書は、2020年7月16日に公表されている 。

フランス政府は2020年4月に、2019年から2028年を対象として、温室効果ガス排出量の削減やエネルギー効率向上、再生可能エネルギーの開発促進等を目標とした基本政策となる「多年度エネルギー計画」(PPE)を発行している。原子力発電に関しては、総発電電力量に占める比率を2018年時点の71.7%から2035年までに50%とすること等を示しており、これを実現するため、現在MOX燃料が装荷されている90万kW級原子炉の閉鎖等を計画する等、核燃料サイクルや放射性廃棄物等の管理のあり方にも影響を与えるものとなっている。CNEは、第15回評価報告書において、PPEが核燃料サイクルに及ぼす課題を中心として評価を行っており、以下のような章構成にて報告書を作成している。

第Ⅰ章:多年度エネルギー計画(PPE)の課題
第Ⅱ章:地層処分の代替策
第Ⅲ章:核種分離に関する研究と開発
第Ⅳ章:地層処分場(CIGÉO)
第Ⅴ章:国際展望:ガバナンスプロセスに向けて

各章における課題に関し、CNEは主に以下のような点を指摘している。

<多年度エネルギー計画(PPE)の課題>

  • 加圧水型軽水炉(PWR)におけるプルトニウムのマルチリサイクルは、現時点で未解決の重要課題である。除染・廃止措置、極低レベル放射性廃棄物の処分容量の拡張、設計が進んでいない長寿命低レベル放射性廃棄物処分場の設置に関する計画立案は、研究を要する課題である。
  • 脱炭素化したエネルギーミックスに統合された、安定的かつ競争力のある原子力産業を確立するための取組が実施されなければ、新たな人材を研究開発に引きつけるのは難しい。

<地層処分の代替策>

  • 地層処分の代替策は、①放射性廃棄物の最終的な管理を可能にする、②少なくとも地層処分場と同等の長期にわたる安全性を達成する、③近い将来あるいは遠い将来の世代に負担をかけないという3つの条件を満たさなければならない。将来世代に負担をかけないためには、施設の長期安全性を維持するために人的な介入を必要とせず、そのための資金が現世代の整えた手段によって確保されていることが前提条件となる。
  • 長期貯蔵は地層処分の代替策になりえない。核種変換1 をベースとした様々な概念のみが代替策として考えられる。
  • 核種変換について、現在検討されている技術は、これから進歩が必要になるとしても、相応のリソースを傾注した場合、21世紀末までには商業規模の施設の実現が可能と考えられる。その実現のためにも、使用済燃料の再処理を継続しなければならない。
  • 一方で、すでにガラス固化された長寿命高レベル放射性廃棄物、核種変換が現実的ではない長寿命中レベル放射性廃棄物、核種分離・変換に由来する最終廃棄物を管理するために、地層処分を行う施設は必要である。

<核種分離に関する研究と開発>

  • 多年度エネルギー計画(PPE)に示されたPWRでのプルトニウムのマルチリサイクルの実現には、MOX使用済燃料の再処理が必要であるが、2030年までの商業化の実現可能性を判断できるようにするために、研究開発計画を速やかに明確化すべきである。
  • 使用済燃料に含まれるアメリシウムは地層処分に最も不向きな元素である2 。したがって、PWRでのプルトニウムのマルチリサイクルにおいては、MOX使用済燃料の再処理プロセスにおいてアメリシウムを抽出・分離し、核種変換することが望ましい。フランスでは特殊なプロセスが実験室規模で開発されたが、今後は商業化が課題となる。
  • PPEにより決定された戦略の信頼性は、核種分離に関する研究にかかっているため、この研究に高い優先度を与えるべきである。

<地層処分場(CIGÉO)>

  • 予定されている地層処分場の設置許可申請において、処分対象の放射性廃棄物のリファレンス・インベントリに変更がない限り、CIGÉOプロジェクトに係わる研究開発や設置許可デクレ(政令)の準備に対して、多年度エネルギー計画(PPE)が影響を及ぼすことはない。
  • 国家評価委員会(CNE)は最近、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は地層処分場の設置許可を申請するのに十分な科学的知識と技術的要素を有していると結論した。ただし、次の2つのテーマについては、設置許可申請の前に、あるいはその審査が終わるまでに、さらに知識を補強する必要がある。
    • 放射線分解と腐食により水素が発生し、その結果、処分場内で長期間のうちに一時的な圧力上昇が生じると見込まれている。ANDRAは、この現象を想定した処分場の設計基準を遵守しているが、問題となる物理的プロセス及び実施される技術的方策に関わる裕度を明確にすべきである。
    • ビチューメン(アスファルト)固化された長寿命中レベル放射性廃棄物の処分は、火災リスクの点で留保が付いている。このテーマに関する国際レビュー の結論は、廃棄物発生者による適切な作業プログラムの明示を促すものであったが、まだ結果が出ていない。

<国際展望:ガバナンスプロセスに向けて>

  • 多くの国における放射性物質及び放射性廃棄物の管理に関するガバナンスのプロセスを評価することにより、優れた取組の要素を抽出することができる。
  • 明瞭かつ透明な戦略的ガバナンスプロセスは必要条件であり、このプロセスの第一の目的は、現時点で直接関わりのある地元住民の正当な利益に配慮しつつ、将来世代を尊重できるような方策に関する積極的な研究への国民コミュニティの関与を確立することである。

【出典】


  1. 核種変換とは、長寿命放射性元素を分裂させることにより短寿命元素に変える技術である。 []
  2. 2020年発行のCNEの第14回評価報告書では、次のように説明している。「高レベル放射性廃棄物に関しては、EPR2におけるマルチリサイクルによってPuインベントリが安定して推移するようになる一方で、その同位体の劣化に伴ってマイナーアクチノイド(MA)の発生量が大幅に増加することになると考えられる。したがって、UOX燃料を使用して、また、50GWd/t程度の燃焼度で運転されるEPR2の場合、1.5kg/tのMAが生成され、その中には0.7kgのアメリシウム(Am)が含まれることになる。これに対して、MOX燃料が装荷されたEPR2の場合、同様の燃焼度において7.7kg/tのMAが生成され、その中には6.4kgのAmが含まれる。主な核分裂生成物が崩壊した後のガラスの発熱の主要因はAmであるため、この増加は地層処分場においてパッケージの処分に必要な面積の拡大につながることになる。」 []
北山に建設される地下研究所のイメージ図(出典:BRIUG)

北山に建設される地下研究所のイメージ図(出典:BRIUG)

中国核工業集団公司(CNNC)の下部組織である北京地質研究院(BRIUG)は、2021年6月17日に、高レベル放射性廃棄物処分場の候補地域の一つである西北地域にある甘粛省北山(ペイシャン)において、花崗岩を対象とした地下研究所の建設プロジェクトを開始したことを公表した。この地下研究所は「中国北山地下研究所」1 と呼ばれており、スパイラル状のアクセス坑道、3本の立坑、地下560m地点に設置される主研究施設、地下280mに設置される補助研究施設等で構成されている。地上部分の敷地面積は2.47km2、坑道の総延長は約13.4kmである。ゴビ砂漠の西部で実施される建設プロジェクトの工期は7年を予定しており、当初は建設現場へのアクセス道路や水、電気、通信等の敷地整備を進め、3年目からトンネルボーリングマシン(TBM)を利用した地下掘削を開始する計画である。

北京地質研究院(BRIUG)は、地下研究所を建設する意義について、中国における高レベル放射性廃棄物処分の研究開発を推進し、国民の信頼を高めるという社会的価値を備えていると説明している。中国北山地下研究所の建設は、中国の2016~2020年を対象とした国家目標を定めた第13次五カ年計画における重点プロジェクトの一つとして位置づけられている。

■中国の高レベル放射性廃棄物の処分方針

中国では、2017年9月1日に成立した原子力安全法において、高レベル放射性廃棄物は地層処分する方針を定めており、地層処分の実施主体は、原子力発電事業等を実施する国営企業体である中国核工業集団公司(CNNC)である。CNNCの下部組織の一つである北京地質研究院(BRIUG)は、高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する研究開発を実施している。

処分場候補サイト調査対象地域

中国における高レベル放射性廃棄物の処分事業は、2006年2月に策定された「高レベル放射性廃棄物地層処分に関する研究開発計画ガイド」で設定された3段階の活動計画に沿って進められている。第1段階の2006年~2020年の期間では、実験室レベルでの研究開発と処分場のサイト選定、地下研究所の設計及び処分場の概念設計、安全評価を進めることとなっている。中国核工業集団公司(CNNC)は、6カ所の高レベル放射性廃棄物処分場の候補地域(西北地域、内モンゴル地域、華東地域、西南地域、広東北部地域、新疆ウイグル地域)について、予備的な比較検討を実施して西北地域の北山を重点対象とし、サイト選定における地質・水文地質学的条件、地震学的条件及び社会・経済的な条件に関する調査を実施した。

北京地質研究院(BRIUG)は2016年に、地下研究所建設プロジェクトの提案を起草するとともに、甘粛省北山(ペイシャン)において、地下研究所のサイト評価のためのデータ取得を目的としたボーリング孔の掘削を進めていた。中国北山地下研究所の建設プロジェクトは、2019年に中国の最高の国家行政機関である国務院の同意を受け、国防科学技術工業局によって承認された。

■第2段階以降の活動計画

活動計画の第2段階となる2021年~2040年の期間では、地下研究所の建設、地下研究所での各種試験、プロトタイプ処分場のフィージビリティ評価と建設許可申請、安全評価を実施する計画である。北京地質研究院(BRIUG)は今後、中国北山地下研究所の建設プロジェクトを進めるほか、放射性廃棄物管理のための政策等を担当する国家原子能機構(CAEA)の委託を受けて、国内外の研究者や専門家の交流を推し進める国の研究開発プラットフォームとなる「高レベル放射性廃棄物地層処分イノベーションセンター」を設置する計画である。

活動計画の第3段階となる2040年~今世紀半ばにかけては、プロトタイプ処分場において、実廃棄体を用いた試験を行い、処分場の総合的な機能を検証し、実際の地層処分場の建設許可申請と安全評価、環境影響評価を行うこととなっている。

【出典】


  1. 中国語では「中国北山地下实验室」と表記される。 []

フィンランド国有の有限責任会社で研究開発機関であるフィンランド技術研究センター(VTT)は、2021617日付のプレスリリースにおいて、VTTが所有する研究炉FiR1の廃止措置に関して、フィンランド政府が許可を発給したことを公表した。廃止措置に伴い発生する低中レベル放射性廃棄物は、ロヴィーサ原子力発電所を所有・運転するフォルツム・パワー・アンド・ヒート社(FPH社)が今後、ロヴィーサで貯蔵・処分する計画である。なお、FiR1の廃止措置に伴って発生する低中レベル放射性廃棄物の総放射能量は5テラベクレル(TBq)以下であり、中間貯蔵用容器へ収納した場合は140トン、100m3程度になると推定されている。

研究炉FiR1は、首都ヘルシンキの西隣のエスポー市にある旧ヘルシンキ工科大学(現在のアールト大学)に置かれ1962年に運転を開始し、1971年にVTTへ移管された。これまで原子力に関する教育訓練や放射線治療などで活用されてきたが、VTT2015年にFiR1の運転を停止し、2017年に政府へ廃止措置に係る許可を申請した。なお、FiR1は、フィンランドで廃止措置される初めての原子力施設となる。

研究炉由来の放射性廃棄物管理について

フィンランドでは原子力法に基づいて、原子力利用に伴い発生する放射性廃棄物については発生者がその管理・費用に対して責任を有することが定められている。VTTは、研究炉FiR1の運転及び廃止措置で発生する放射性廃棄物について、その処分を含めた管理の計画・実施に関する責任を有している。これまでのFiR1の運転で発生した放射性廃棄物は、研究炉の施設内において貯蔵されている。また、VTTは原子力法に基づいて、雇用経済省(TEM)が所管する国家放射性廃棄物管理基金(VYR)に廃棄物管理費用を積み立てている。

VTTは放射性廃棄物処分場を有していないため、国内の原子力発電事業者と交渉を行い、20203月にFPH社と研究炉の廃止措置に係る協力協定を締結した。FPH社は、協力協定に基づき廃止措置に係る計画策定、原子炉の解体、低中レベル放射性廃棄物の貯蔵・処分を実施することとなる。今後FPH社は、それらの放射性廃棄物をロヴィーサ原子力発電所において貯蔵・処分するために必要な許可を取得する予定である。VTTは、2017年に政府へ提出した廃止措置に係る許可申請書において、自社が責任を有する放射性廃棄物について、それらが処分される処分施設が閉鎖されるまで、引き続き管理責任を全うすることを記している。

なお、研究炉で使用していた燃料は米国から供給されたものであり、米国との協定に基づいて20211月に使用済燃料は米国へ返還されており、研究炉に由来する高レベル放射性廃棄物はフィンランドに存在しない。フィンランドでは原子力法により使用済燃料の輸出入は禁止されているが、研究炉の使用済燃料については例外扱いとなっている。

今後の予定

VTTは、廃止措置に向けた準備を既に開始するとともに、並行してFPH社と協力して廃止措置計画書の最終化を進めている。放射性物質を含む構造物の解体を開始するには放射線・原子力安全センター(STUK)の許可を受ける必要があるため、VTT2022年初頭に廃止措置計画書を提出し、審査を受ける計画である。2022年末にはFPH社が解体作業を開始し、解体には約1年を要する見通しである。廃止措置の完了後、原子炉が設置されていた建屋は所有者であるアールト大学に返還されることとなっている。

【出典】