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米国のエネルギー省(DOE)のカールスバッド・フィールド事務所(CBFO)は、2021年4月8日付けのニュース記事において、軍事起源のTRU廃棄物の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)について、2つの代替処分パネルの建設などに係る補足分析(SA:Supplement Analysis、以下「補足分析」という。)を完了したことを公表した。補足分析は、1969年国家環境政策法(NEPA)の要件を満たすためのものであり、代替処分パネルの建設によっても環境への影響に重大な変化が生じることはなく、現行の環境影響評価書(EIS)は引き続き有効であるとのDOEの判断が示されている。WIPPでは、2014年2月の放射線事象によって、処分エリアの一部のエリアが汚染されたことなどから、代替処分パネルの建設が提案されたものである。

新たに建設される代替処分パネルは、WIPPの既存の処分パネルと同様の方式で掘削され、処分パネル内に設置される処分室も既存と変わらない設計となっている。WIPPの各々の処分パネルには、長さが約300ft(約91m)、幅が33ft(約10m)、高さが13ft(約4m)の処分室が7つ設けられている。代替処分パネル(第11処分パネル及び第12処分パネル)は、以下の配置図に示されるように、既存の処分パネルとは離れた位置に建設される計画となっている。

代替処分パネル(第11処分パネル及び第12処分パネル)の提案配置図

WIPPにおけるTRU廃棄物の処分容量は、1992年WIPP土地収用法において620万ft3(約17.6万m3)と規定されている。建設される第11処分パネル及び第12処分パネルは、未使用の処分パネルの代替として建設されるものであり、WIPPの処分容量は変更されない。WIPPの既存の処分エリアでは、第1処分パネル~第8処分パネルのアクセス坑道として使用されていた部分について、第9処分パネル(相当)及び第10処分パネル(相当)として廃棄物が定置される予定となっていたが、2014年2月の放射線事象による一部エリアの汚染、及び岩盤管理状態の悪化による作業安全上の問題から、未使用のまま閉鎖されることとなった1

既存処分エリアの未使用処分スペース

補足分析によれば、第11処分パネル及び第12処分パネルの掘削にはニューメキシコ州環境省(NMED)の事前の承認が必要とされている。DOEは、2023年夏にNMEDの承認を得ることにより、第8処分パネルでの操業終了時に代替処分パネルでの定置が可能になるように計画している。なお、これら代替処分パネルへのアクセス坑道の掘削については、2021年夏にも開始される可能性があると指摘している。また、DOEのニュースリリースによると、WIPPでの将来的な開発については、2021年の後半に開始する予定のパブリックミーティングで議論することとなっている。

【出典】


  1. 第9処分パネルに相当するエリアは、2016年に閉鎖の方針が決定され 、未使用のまま閉鎖された []

韓国で2016年に策定された「高レベル放射性廃棄物管理基本計画」(以下「基本計画」という)の見直しのために産業通商資源部(MOTIE)が設置した「使用済燃料管理政策再検討委員会」(以下「再検討委員会」という)は、2019年5月から進めてきた使用済燃料の管理政策の見直しに関する検討を踏まえ、2021年3月18日に、政府に対する勧告を公表した。再検討委員会は今後、勧告を政府に伝達した上で、活動を終了することとなっている。

再検討委員会は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の漸進的な脱原子力政策に沿った場合の使用済燃料の発生量予測の変化などを踏まえて、使用済燃料の最終処分と中間貯蔵、管理施設のサイト選定手続き等の課題について、専門家検討グループや市民参加団を設置するなどして検討を進めてきた。再検討委員会による政府への勧告は、以下のように8項目にわたっている。

  1. 使用済燃料の管理の原則
    • 今後の「第2次高レベル放射性廃棄物管理基本計画」(以下「第2次基本計画」という)1 の策定に当たって、「原子力発電所の持続可能な発展」という記述を残すか否かを、さらにコミュニケーションを実施した上で検討すべきである。
    • 使用済燃料管理の原則に「意思決定の可逆性」と「回収可能性」に関する原則を追加すべきである。
  2. 使用済燃料政策決定システム
    • 使用済燃料管理政策の決定過程について、具体的な国民参加の原則と手続きなどを含む制度案を策定すべきである。
    • 使用済燃料管理政策を担当する独立行政委員会の新設を優先的に考慮すべきである2
  3. 最終処分施設や中間貯蔵施設の確保
    • 新たに策定する第2次基本計画では、同一サイトに最終処分施設と中間貯蔵施設の両方を建設する政策を優先すべきである。ただし、最終処分施設のサイト確保の不確実性を理由に別のサイトに中間貯蔵施設を確保しようという意見や、リスク分散の観点から分散型の中間貯蔵施設を確保しようという意見にも配慮すべきである。
    • 地層処分技術の安全性と現時点での実現可能性や、基本計画に示されたサイト選定期間(12年間)の適切性に関しては、様々な意見があることを考慮した上で、地層処分の安全性を中心とした技術開発と、サイト選定に関連した地域の受容性の向上のため、具体的な推進策を策定すべきである。
  4. 管理施設のサイト選定の手順
    • 第2次基本計画の策定の過程において、科学技術的妥当性と国民・住民の受容性の両方を確保できるサイト選定の原則と手続きを提示すべきである。
    • 専門家検討グループが設置に合意したサイト選定委員会の構成や運営、サイト選定手続の法制化等について、具体的な方策を策定すべきである。
    • 住民の合意と科学技術的な評価等に基づいて、受容性の高いサイト選定手続きを策定すべきである。
  5. 管理施設の立地地域の支援原則と方法
    • 第2次基本計画策定の過程において、地域コミュニティを対象に支援するという原則に基づいて、住民が共感でき、地域社会全体に利益が均等に行き渡る合理的な支援策を策定すべきである。
    • 支援の原則と範囲について法制化し、これらの法令には、住民からの意見収集の方法を含めるべきである。
    • 具体的な支援対象範囲を定めるに当たっては、管理施設との距離を考慮して、専門家、住民などと積極的にコミュニケーションすべきである。
  6. 使用済燃料の一時貯蔵施設の拡充
    • 月城(ウォルソン)原子力発電所の使用済燃料の一時貯蔵施設の増設については、原子力安全委員会の許認可等の法的手続きが行われており、地域の意見収集の結果、市民参加団の81.4%が増設に賛成した3 。政府は適切な時期に、安全性を確保しつつ月城原子力発電所の使用済燃料の一時貯蔵施設を増設すべきである。
    • 政府と原子力発電事業者は、法令上公開可能な情報を最大限に公開して透明性を高めて、積極的な説明とコミュニケーション活動を展開して、原子力発電所と一時貯蔵施設の安全性に対する国民の信頼を獲得できるように努力すべきである。
    • 第2次基本計画の策定過程において、使用済燃料の一時貯蔵施設の定義と建設のための手続きに関する法的、制度的な整備案を策定すべきである。
    • 使用済燃料の一時貯蔵施設の設置に関する地域支援と補償システムを精査して、合理的な地域支援方策を策定するために努力すべきである。
    • 使用済燃料の一時貯蔵施設の拡充については、再検討委員会による月城(ウォルソン)原子力発電所の使用済燃料の一時貯蔵施設の増設に関する意見収集の経験も踏まえ、第2次基本計画の策定過程において、原子力発電所立地地域住民、市民社会、原子力産業界などの利害関係者の参加のもと、新たに議論を進めるべきである。
  7. 使用済燃料の発生量と貯蔵容量飽和の展望
    • 貯蔵容量の飽和見通しの推定に関する専門家の多様な意見を十分に検討して、重要な管理施設が段階的に適切な時期に設置できるように方策を策定すべきである。
  8. 使用済燃料の管理技術の開発
    • 第2次基本計画の策定において、地層処分をはじめとする様々な最終処分方式の安全性と妥当性の検証技術を確保できる方策と研究支援体制を早急に整備すべきである。
    • 見解が分かれた政策決定と技術開発の連動の有無等の関係もバランスよく確立し、使用済燃料の管理政策と関連技術の開発が有機的に推進されるようにすべきである。

再検討委員会は、勧告をより体系的に実行に移すには、使用済燃料管理特別法の制定が必要であり、同法には、使用済燃料の定義などの基本概念からサイト選定の手続きと誘致地域の支援などに至るまで、使用済燃料の管理政策全般を含める必要があると勧告している。また、再検討委員会のキム・ソヨン委員長は、勧告の内容の多くが立法政策事案であるため、政府と国会が協力して取り組む必要があると指摘している。

【出典】


  1. 高レベル放射性廃棄物管理基本計画は2016年7月に策定されており、今回の再検討委員会の勧告において、今後策定される改定版の高レベル放射性廃棄物管理基本計画は「第2次高レベル放射性廃棄物管理基本計画」と呼ばれている。 []
  2. 新たな委員会の設置について、勧告によると、専門家検討グループからは国務総理傘下に諮問委員会を設置する案、独立行政委員会を設置する案、原子力振興委員会傘下に専門委員会を設置する案などが出された。全国を対象とした意見収集では、独立行政委員会を設置すべきという意見が多数意見となった。 []
  3. 勧告をまとめた報告書は、月城原子力発電所の使用済燃料の一時貯蔵施設増設に関する意見収集において、対立が激化し、手続きをスムーズに進めることができなかったことにも言及している。 []

フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は2021年3月24日に、地層処分場(CIGÉO)の設置に関する社会経済評価(Évaluation socioéconomique)の報告書及びANDRAの同報告書に対する政府の投資総局(SGPI)1 による評価・見解を示した報告書を公表した。ANDRAは、公益宣言(DUP)2 の申請の一環として、3年間以上にわたり社会経済評価を実施しており、その結果を2020年8月に報告書として取りまとめていたが、これまで公表を保留していた。フランスでは、公的機関による投資額が1億ユーロ(124億円、1ユーロ=124円として換算)を超えるプロジェクトに関する社会経済評価の際には、政府の投資総局(SGPI)による評価・見解の取得が義務付けられている3 。そのため、ANDRAは、SGPIによる報告書が2021年2月に完成するのを待って、今回、ANDRAによる社会経済評価の報告書をSGPIによる報告書と併せて公表した。

ANDRAは、今後の地層処分場の開発の進め方を変えた4つのオプションを比較検討することにより、現行の計画に基づいて地層処分場の開発を進めることが、将来世代に最も配慮した有益なオプションであると結論づけている。

■ANDRAによる社会経済評価の概要

ANDRAは社会経済評価について、費用と便益とを分析することにより、事業への投資が十分な価値を生み出すかどうかを判断するために使用されるものと説明している。地層処分事業のような商業目的ではない公益事業は、経済的収益を生み出すことはまれであるものの、社会経済評価においては、経済的収益に加えて、健康、社会、環境などに関わる価値が検討される。様々な種類の価値を比較するために、金銭の時間的価値、CO2排出量の価値などを通貨単位に置き換えるとともに、仮想的な事故の発生を想定して、その影響に対する保険料の支払い行動や長期的な経済影響等を推定している。

社会経済評価の目的のためにANDRAは、今後約600年4にわたる将来のフランス社会が①安定であり、経済成長が継続するシナリオ、②持続的かつ深刻な制度的、社会的危機(国土での戦争等)が発生することで、経済成長が停滞し、安全水準が低下することで事故リスクが増大する不安定化シナリオの2つのシナリオを想定した上で、地層処分事業の進め方に関する4つのオプションでの費用と便益を比較している。ANDRAは、社会が不安定化するシナリオで仮定する混沌とした状況を予測することはできないものの、合理的に排除することもできないと述べている。

  • オプション1:ANDRAが現在計画している地層処分場の2段階の進め方:2030年頃から開始するパイロット操業フェーズでは、模擬廃棄体及び実廃棄体を用いて処分場の安全性に関わる試験を実施し、その評価を行う。その後、処分場全体の操業許可を取得した後に、2040年頃より2100年頃にかけて長寿命中レベル放射性廃棄物の処分を行い、2080年頃から2145年頃に高レベル放射性廃棄物の処分を行う。
  • オプション2:長寿命中レベル放射性廃棄物のみに限って処分する条件の下、パイロット操業フェーズを開始し、2040年より長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分を行う。高レベル放射性廃棄物については、管理方法の研究を継続し、2070年に地層処分または超深孔処分のいずれかの実施が決定される。
  • オプション3:パイロット操業フェーズを開始するが、放射性廃棄物の地層処分の可否判断に至らず、2070年まで地層処分以外のソリューションも含めた研究開発投資を継続する。2070年に地層処分または超深孔処分の実施が決定される。長寿命中レベル放射性廃棄物と高レベル放射性廃棄物の処分方法には様々な組み合わせがありうる。
  • オプション4:地層処分場の初期投資を先送りし、2070年頃まで放射性廃棄物を長期貯蔵しつつ、研究開発を継続する。2070年時点での将来に向けた決定では、地層処分の実施や長期貯蔵の継続等、様々な選択がありうる。

ANDRAは、今回の地層処分場(CIGÉO)の設置に関する社会経済評価に関し、以下のような結果を示している。

  • 現行の計画に基づいて地層処分場の開発を進めるのが、将来世代に最も配慮した有益なオプションである
  • 長期貯蔵(オプション4)は、社会が不安定化するリスクを完全に排除しない限りは地層処分場の開発(オプション1)に対する優位性はなく、将来世代に配慮したオプションであるとは言えない
  • 今後150年間で社会が不安定化するシナリオの発生確率を10%程度とみた場合、地層処分は、放射性廃棄物を安全に、また、将来世代が負担するコストを抑制しつつ管理することを保証するものであると言える

■政府の投資総局(SGPI)の評価・見解

ANDRAによる社会経済評価報告書を受けて、SGPIは2020年9月に、カウンター・エキスパートに位置付けられる専門家チームを任命した。専門家チームは2020年12月から2021年1月にかけて、ANDRAやフランス電力株式会社(EDF)等の廃棄物発生者・責任者、政府関係機関等からのヒアリングや地層処分場の建設候補地の訪問調査に加え、2名の哲学者からの意見聴取を実施し、2021年2月5日に独自の評価を取りまとめた報告書をSGPIに提出した。

SGPIは、ANDRAが取りまとめた社会経済評価報告書に関して、「地層処分プロジェクトは、不安定な社会において放射性廃棄物が十分な監視がなされないままの状態で貯蔵される場合の環境リスクや公衆衛生リスクに対して、有益な価値を提供するものである」とした肯定的な見解を示している。なお、今回のSGPIの見解は、2021年第2四半期に予定された公益宣言(DUP)に関する公開ヒアリングに供されることになっている。

 

【出典】


  1. 投資総局(SGPI)は、首相の権限の下で、未来への投資計画の実施に責任を負うとともに、主要な公共投資プロジェクトの社会経済評価や、ヨーロッパの投資計画の調整を行う機関である。 []
  2. 公益宣言(DUP)は、公用収用法典に基づいて、公共目的で行う開発のために私有地を収用する際の行政手続きである。当該開発プロジェクトを実施する事業者からの申請を受けて、公開ヒアリングを実施したうえで、政府が公益宣言を発出する。 []
  3. フランスでは「公的投資の評価手続きに関する2013年12月23日のデクレ」に基づき、公的機関による投資額が2,000万ユーロ(約25億円、1ユーロ124円として換算)を超えるプロジェクトに関する社会経済評価の実施が義務付けられている。ANDRAは「商工業的性格を有する公社」(EPIC)として、公的機関に該当する。さらに、投資額が1億ユーロを超えるプロジェクトの場合、政府の投資総局(SGPI)による評価の取得が必要となる。 []
  4. ANDRAは、600年間という評価期間は他のオプションと比較した場合の地層処分の長所を示すのに十分な長さではないこと、また「これを超えると評価結果の変動がわずかになる」という閾値となる期間は600年間よりも短いことを説明している。さらに、規制機関による地層処分に関する安全指針において記録保存期間が500年間とされていることを参考として示している。 []

フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、2021年2月26日付けプレスリリースにおいて、地下特性調査施設(ONKALO)において、統合機能試験(Joint Functional test(フィンランド語の略称はYTK))1 と呼ばれる試験のための試験用坑道の掘削を開始していることを公表した。統合機能試験は、処分施設の試運転(コミッショニング)の一部と位置付けられ、使用済燃料を収納していないキャニスタを用いて、処分環境下で実際に使用される機器・装置を用いて小規模スケールで模擬的な処分を実施する。Posiva社は、統合機能試験により、最終処分作業に関連する作業工程を計画どおりに実施可能であることを実証したいとしている。

ONKALOでは、地下約420mにおいて、処分場を構成する主要坑道の一部(約60m分)が掘削済である。ポシヴァ社は統合機能試験の開始に向けて、この主要坑道から側面方向に分岐する長さ80mの処分坑道の掘削を今冬から開始しており、2021年2月時点で48m分の掘削を完了させている。ポシヴァ社は現在、掘削が完了した処分坑道のうち19m~48mの区間において、掘削に伴う亀裂や水みちの発生状況や岩盤への影響を確認する調査を実施している。この調査の後に残る32m分の掘削を再開し、2021年4月から5月頃には、全長約80mの処分坑道を完成させる予定である。なお、実際の処分坑道の典型的な長さは350mであり、統合機能試験のために掘削される処分坑道はこれより短いものとなっている。

■統合機能試験は2023年に開始予定

統合機能試験(YTK)では、今回掘削している処分坑道の床面に4つの処分孔を掘削し、実規模の模擬キャニスタを定置し、その周囲に緩衝材(ベントナイト)を設置した後、処分坑道を埋め戻すまでの一連の運用性を試験し、検証する。処分坑道の埋め戻し後においては、処分孔を対象としたモニタリングは行わないが、処分孔周辺の地下水流動等のモニタリングは実施する予定である

統合機能試験に使用される処分坑道は実際の処分坑道と同等であることから、ポシヴァ社は、今回の坑道掘削作業の計画段階から、規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)と協力して実施している。STUKは、将来の操業許可申請に伴う安全審査を視野に入れて、統合機能試験を監督することになっている。

ポシヴァ社は、統合機能試験のための処分坑道が完成した後に、実際の最終処分に使用する最初の5本の処分坑道の掘削を開始する予定であり、処分施設の操業許可を得た後に、使用済燃料を収納したキャニスタを用いた最終処分を行う予定である。ポシヴァ社は、今回のプレスリリースにおいて、この5本の処分坑道のうちの1本での最終処分が2025年頃に始まる見通しを明らかにしている。

【出典】


  1. ポシヴァ社は、以前は統合作動試験(Joint operation test)と表現していた。 []

カナダ原子力安全委員会(CNSC)は、2021年1月29日、放射性廃棄物の管理に関する規制要件とガイダンスを定めた規制文書「REGDOC-2.11.1 廃棄物管理 第1巻:放射性廃棄物の管理」(以下「REGDOC-2.11.1第1巻」という。)を新規に策定するとともに、関連する既存の規制文書「REGDOC-2.11.1 廃棄物管理 第3巻:放射性廃棄物の処分のためのセーフティケース」(以下「REGDOC-2.11.1第3巻」という。)を改訂したことを公表した。CNSCは2018年12月に、今回策定されたREGDOC-2.11.1の上位文書にあたる規制文書「REGDOC-2.11 カナダにおける放射性廃棄物の管理及び廃止措置の枠組み」を策定しており、その下位に属する廃棄物管理に関する規制文書REGDOC-2.11.1シリーズを以下の3巻の文書で構成する計画であった。今回のREGDOC-2.11.1第1巻の策定により、REGDOC-2.11.1シリーズの規制文書が出揃ったことになる。

  • REGDOC-2.11 カナダにおける放射性廃棄物の管理及び廃止措置の枠組み
    (2018年12月発行)

    • REGDOC-2.11.1 廃棄物管理 第1巻:放射性廃棄物の管理
      (2021年1月発行) ※今回新たに発行
    • REGDOC-2.11.1 廃棄物管理 第2巻:ウラン鉱山廃棄物の岩石及び鉱さいの管理
      (2018年11月発行)
    • REGDOC-2.11.1 廃棄物管理 第3巻:放射性廃棄物の処分のためのセーフティケース
      (2021年1月発行、第2版)※今回第1巻の発行にあわせて改訂

■REGDOC-2.11.1第1巻の概要

今回新たに策定されたREGDOC-2.11.1第1巻は、原子力安全管理法に基づく許認可取得者である事業者に対して、放射性廃棄物管理に係る要件とガイダンスを定めた規制文書である。一般要件として、許認可取得者は、「廃棄物の安全な管理に責任を負わなければならない」、「廃棄物管理の安全性確保のためのプログラムを開発し、実施しなければならない」、「安全性を継続的に改善するために操業経験や類似施設からの教訓、科学技術の進歩を利用しなければならない」などと定め、放射性廃棄物管理の各段階(発生、取扱、処理、輸送、貯蔵、処分)における事業者の責務を示している。その上で、廃棄物の貯蔵施設と処分施設について、それぞれ施設の設計、建設、操業に関する要件を示している。

REGDOC-2.11.1第1巻においてCNSCは、放射性廃棄物の貯蔵施設、処分施設の双方に対する一般要件として、「適用される規制に従い、放射性廃棄物処分施設のライフサイクル全体のセーフティケースの開発、実施、維持」を要求している。さらに、処分施設については、閉鎖後安全評価についても開発、実施、維持を要求している。

■REGDOC-2.11.1第3巻の改訂

REGDOC-2.11.1第1巻におけるセーフティケース及び閉鎖後安全評価の規制要求に対応するため、今回のREGDOC-2.11.1第1巻の策定と同時に、放射性廃棄物処分のセーフティケース開発及びそれを裏付ける安全評価活動に係る規制要件とガイダンスを定めたREGDOC-2.11.1第3巻の改訂も行われた1

CNSCは、廃棄物処分施設の許認可のためにセーフティケースをCNSCに提出しなければならないとしており、放射性廃棄物処分のためのセーフティケースと安全評価の定義を示し、セーフティケースの役割や構成要素、要件などを示している。また、セーフティケースには、サイトの特性や廃棄物の特性、人工バリア及び天然バリアの記述などの処分システム全体に関する定性的・定量的な説明を要求している。

 

【出典】


  1. 今回の改訂により、REGDOC-2.11.1第3巻のタイトルが変更された。2018年5月初版のタイトルは「放射性廃棄物管理の長期安全性の評価」であったが、2019年5月改訂版では「放射性廃棄物の長期管理のためのセーフティケース」となり、今回2021年1月改訂版において「放射性廃棄物の処分のためのセーフティケース」に変わった。 []

英国の地層処分事業の実施主体である放射性廃棄物管理会社(RWM社)は、2021年1月14日付けのプレスリリースにおいて、英国カンブリア州のアラデール市が地層処分施設(GDF)のサイト選定プロセスにおける「調査エリア(Search Area)」の特定に向けてワーキンググループを設置したことを公表した。ワーキンググループは、調査エリアの特定を行っていくが、プロセスを進めるための「コミュニティパートナーシップ」の設置に向け、参画する初期メンバーの募集を行うとしている。なお、2018年12月から開始したサイト選定プロセスにおいて、ワーキンググループの設置に至ったのは、2020年11月のコープランド市に続いて今回が2例目である。

■ワーキンググループの設置までの経緯:初期対話

アラデール市は、原子力施設が数多く立地するコープランド市の北に隣接しており、原子力産業に従事している住民が多く居住している。アラデール市は以前、2008年6月に開始された英国白書「放射性廃棄物の安全な管理-地層処分の実施に向けた枠組み」に基づく地層処分場選定プロセスにおいても関心表明を行っていたが、カンブリア州議会での反対多数の議決により、当時の選定プロセスから撤退している 。

英国政府の2018年政策文書『地層処分の実施-地域社会との協働:放射性廃棄物の長期管理』(以下「2018年政策文書」という)で設定されたサイト選定プロセスでは、地層処分施設の設置に関心を示す者、または、設置候補エリアを提案したい者であれば、地層処分事業の実施主体である放射性廃棄物管理会社(RWM社)と初期対話(initial discussion)を開始できることになっている 

アラデール市では、官民再生パートナーシップによる地域再生事業などを手掛けるGenR8 North社1 が地層処分施設の立地に関心を示し、GenR8 North社とRWM社の初期対話が実施された。ワーキンググループのウェブサイトでは、初期対話の期間にRWM社が取りまとめた初期評価レポート(Initial evaluation report)が公表されている。RWM社は、既存の情報に基づけば、GenR8 North社が関心を示すエリア2 は地層処分施設を設置できる可能性を有しているとの結論を示している。

アラデール市のワーキンググループの検討対象エリア(出典:アラデール市ワーキンググループウェブサイトの図を一部修正)

アラデール市のワーキンググループの検討対象エリア(出典:アラデール市ワーキンググループウェブサイトの図を一部修正)

■ワーキンググループの設置と構成

2018年政策文書で設定されたサイト選定プロセスでは、初期対話において、地層処分施設(GDF)の設置に向け、さらなる検討を進めていくことに合意した場合には、当該地域の自治体組織に報告して、コミュニティ全体での協議に発展させていくための準備組織「ワーキンググループ」を設置することになっている。

今回アラデール市で設置されたワーキンググループでは、議長にヨークシャーデールズ国立公園局の元メンバー3 であるジョスリン・マナーズ-アームストロング氏が就任する。また、ワーキンググループには、アラデール市議会、RWM社及びGenR8 North社が参加する。なお、GenR8 North社の意向もあり、アラデール市のうちの湖水地方の国立公園の敷地は検討対象から除外されることとなっている。

■今後の取組

コープランド市のワーキンググループと同様に、アラデール市のワーキンググループも、今後、コミュニティ全体の市民の参画を得て、市民の意見を理解するとともに、適性を有するサイトや受け入れの意向を持つコミュニティを追求していくため、さらなる検討対象となる「調査エリア」の特定を行っていくとしている。また、RWM社とともにプロセスを前進させていく「コミュニティパートナーシップ」の初期メンバーの募集もワーキンググループの課題となっている。

【出典】


  1. GenR8 North社は、カンブリア州に拠点を置く企業である。コープランド市における地層処分施設の立地にも関心を示しており、RWM社との初期対話を行っており、現在、コープランド市のワーキンググループにも参加している。 []
  2. 湖水地方の国立公園を除く、アラデール市の領域と隣接する沿海部を意味している。 []
  3. 英国における各国立公園局(National Park authorities)のメンバーは、法律に基づき、議会や国務長官により任命される。 []
潜在的適性地域国家マップ(CNAPI)

潜在的適性地域国家マップ(CNAPI)
(出典:国家放射性廃棄物センターウェブサイト)

イタリアの放射性廃棄物管理の実施主体である「原子力施設管理会社」(SOGIN)は2021年1月5日に、環境・国土・海洋保護省(MATTIM)及び経済開発省(MISE)の承認を得て、国家放射性廃棄物センター(Deposito Nazionale)のサイト選定に向けた潜在的適性地域国家マップ(CNAPI)を公表した。このマップには67カ所の候補サイトが示されており、いずれかの場所において、イタリア国内で発生した極低レベル及び低レベル放射性廃棄物を受け入れる浅地中処分場のほか、高レベル及び中レベル放射性廃棄物の集中貯蔵施設(CSA)を立地する計画である。

イタリアでは、4基の原子炉が運転していたが、1986年のチェルノブイリ原子力発電所での事故を受け、いずれも1990年までに閉鎖された。原子力発電所で発生した低レベル放射性廃棄物などは、発生元で貯蔵されている。一方、使用済燃料は、原則として海外で再処理する方針であり、再処理のため既にフランスと英国へ輸送されている。今後、原子力施設の廃止措置に伴って多くの放射性廃棄物が発生すると見込まれており、また、使用済燃料の再処理によって発生した高レベル及び中レベルの放射性廃棄物はイタリアに返還されることになっている。

■国家放射性廃棄物センター(Deposito Nazionale)の概要

SOGINが計画する国家放射性廃棄物センター(Deposito Nazionale)に設置される浅地中処分場では、極低レベル及び低レベル放射性廃棄物を合計で約7万8,000m3を処分する計画であり、このうち約5万m3は原子炉の運転及び廃止措置により発生した放射性廃棄物で、残りの約2万8,000m3は医療、産業及び研究活動で発生した放射性廃棄物である。なお、処分対象廃棄物のうち4万5,000m3は、今後発生する放射性廃棄物である。

浅地中処分場と同じ敷地内に建設される高レベル及び中レベル放射性廃棄物の集中貯蔵施設(CSA)では、約1万7,000m3の貯蔵容量を予定しており、うち約400m3は、使用済燃料と海外での再処理で発生したガラス固化体とされている。

国家放射性廃棄物センター(Deposito Nazionale)に隣接して、テクノロジーパーク(Parco Technologico)を設置する計画であり、放射性廃棄物管理、放射線防護、環境保護の分野における国際共同研究等の研究開発や訓練センターの構想を具体化していく予定である。

国家放射性廃棄物センターと隣接するテクノロジーパークの地図

国家放射性廃棄物センターと隣接するテクノロジーパークの地図
(出典:国家放射性廃棄物センターウェブサイト)

国家放射性廃棄物処分場に建設される浅地中処分場の概念図

国家放射性廃棄物処分場に建設される浅地中処分場の概念図
(出典:国家放射性廃棄物センターウェブサイト)

■今後の予定

SOGINは、潜在的適性地域国家マップ(CNAPI)の公表と併せて、公衆協議の開始を表明した。今後6カ月間にわたって実施される公衆協議には、候補サイトの地元自治体当局、経済界、労働組合、大学、研究機関が参加し、国家放射性廃棄物センターの建設による経済効果や地域開発などを検討することとしている。公衆協議の結果を踏まえ、SOGINはCNAPIの改訂を行い、環境・国土・海洋保護省(MATTIM)、経済開発省(MISE)、インフラ・交通省(MIT)及び安全規制機関である国家原子力安全・放射線防護監督局(ISIN)の見解を踏まえて、MISEがCNAPIの改訂版である適性地域国家マップ(CNAI)を承認する。その後、SOGINは、地域の関心表明を求め、サイト選定を進めていくとしている。

【出典】

カナダの天然資源省は、2020年11月16日付けのニュースリリースで、放射性廃棄物政策の見直し(modernize)に向けて、公衆、先住民、廃棄物発生者、州政府などの様々なステークホルダーを含む全国民的な関与プロセス(inclusive engagement process)を開始したことを公表した。天然資源省は、カナダの放射性廃棄物政策が、今後も国際的な最良の慣行に合致するとともに、既存及び将来発生する放射性廃棄物の管理活動を牽引するリーダーシップをもたらすものとしたい考えである。また、天然資源省は、この関与プロセスの一環として、カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)に対して、放射性廃棄物の所有者及び発生者、先住民、カナダ国民と協働して、低・中レベル放射性廃棄物を含めた包括的な放射性廃棄物管理戦略を開発するための対話を主導するよう要請したことを明らかにした。

■放射性廃棄物政策の見直しの背景とスケジュール

カナダの現行の放射性廃棄物政策は、連邦政府が1996年に策定した「放射性廃棄物政策の枠組み」に基づいており、放射性廃棄物の発生者と所有者による処分のための制度と資金確保に関する責任について、以下のように定めている。

  • 連邦政府は、放射性廃棄物処分が安全に、環境面で健全に、包括的に、費用対効果の高い形で、また統合的に実施されるようにする。
  • 連邦政府は、廃棄物発生者と所有者が承認された処分計画に従って資金確保と操業の責任を果たすことができるようにするために、政策を策定し、それらの者を規制・監督する責任を負う。
  • 廃棄物発生者と所有者は、汚染者負担の原則に従い、処分やその他の放射性廃棄物に関して必要となる施設のための資金確保、組織、マネジメント及び操業に責任を負う。
  • 廃棄物発生者は、規制上の審査と承認が必要になる施設や活動に関する計画を策定して実行し、また承認を得たら、報告や遵守に関する審査に加えて、許認可で定められた要件と条件に従う。

「放射性廃棄物政策の枠組み」に基づいて、1997年に安全規制に関する「原子力安全管理法」が制定されたほか、2002年に使用済燃料の長期管理の枠組みを定める「核燃料廃棄物法」が制定され、使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)が設立された

NWMOは、核燃料廃棄物法によって、使用済燃料の長期管理アプローチを開発し、天然資源大臣に提案する任務を与えられた。NWMOは、カナダ国民との関与プロセスを展開し、聴き取った意見を集約・反映して「適応性のある段階的管理」(詳しくは こちら)を提案した。NWMOが提案したアプローチは、天然資源大臣の勧告を踏まえた2007年6月の総督決定により、カナダの使用済燃料の長期管理アプローチとして決定した。NWMOは、2010年5月に使用済燃料処分場のサイト選定を開始し、現在は2カ所の自治体でサイト選定が進められている

一方、低・中レベル放射性廃棄物については、オンタリオ・パワージェネレーション(OPG)社が所有するブルース原子力発電所サイトでの地層処分場(DGR)の建設を目指していたが、プロジェクトに対する賛否を問う先住民による投票結果を受けて、OPG社は2020年1月31日、同サイトにおけるDGRの建設を断念し、代替サイトを検討する方針に転じている

このような状況から、連邦政府は今回、カナダの全ての放射性廃棄物を安全かつ長期にわたって管理するための確固とした政策と明瞭な道筋を示すため、ステークホルダーと協力し、カナダ国民と対話していく考えを表明した。天然資源省は、カナダ国民との対話に向けた特設ウェブサイトを設置しており、廃棄物の最小化(minimization)と貯蔵施設に関する情報提供を行っているほか、質問を提示して回答を求めるディスカッションペーパーを公表している。その他のトピックのディスカッションペーパーも追加される予定である。カナダ国民との関与プロセスは、2021年3月31日までを継続する。天然資源省は、関与プロセスを通じて寄せられた意見を集約した報告書を公表して、コメントを募集した後、2021年秋には最新化した政策を公表する予定である。

■包括的な放射性廃棄物管理戦略の開発

天然資源大臣は、低・中レベル放射性廃棄物を含めた放射性廃棄物政策の見直しに向けたカナダ国民との関与プロセスの開始の公表に先がけ、2020年11月13日に核燃料廃棄物管理機関(NWMO)に書簡を送り、カナダにおける唯一の包括的な放射性廃棄物管理戦略(an integrated strategy)の開発のための対話をNWMOが主導するよう要請していた。

天然資源大臣は、現行の放射性廃棄物政策においては放射性廃棄物の発生者と所有者(以下「事業者」という)に対して、それぞれが個別に廃棄物管理計画(長期を含む)を開発するよう求めており、様々な事業者が多様な取組を検討しているものの、そのような取組が対話を通じてステークホルダーやカナダ国民に周知されなければならないと指摘している。また、事業者は自らが管理する放射性廃棄物の特性を最も良く理解しており、それらの事業者が協力して唯一の包括的な放射性廃棄物管理戦略を開発しなければならないとも考えている。こうした理由から、天然資源大臣は、事業者やステークホルダー、カナダ国民との対話を始めるにあたり、これまで使用済燃料管理と公衆関与のリーダーを果たしてきたNWMOが適任であるとしている。

天然資源大臣は、今後開発していくカナダの包括的な放射性廃棄物管理戦略には、以下の要素が含まれなければならないとしている。

  • 現在と将来における廃棄物量という観点からの、カナダにおける現在の放射性廃棄物管理の状況の説明。なお、小型モジュール炉(SMR)を導入した場合に発生する廃棄物や、廃棄物の特性、場所及び所有権を考慮する。
  • カナダの放射性廃棄物の長期管理や処分方策における現行の計画と進捗のアップデート、及び対処しなければならないギャップ。
  • 現在及び将来の放射性廃棄物インベントリに対応するための概念的なアプローチ。これには、様々なタイプの放射性廃棄物の長期管理や処分のための技術オプション、及びカナダにおける放射性廃棄物の長期管理施設のそれぞれに関するオプションを含む。
  • 廃棄物の長期管理施設の計画、統合、設置及び操業に関する考慮事項。

天然資源大臣からの要請を受けたNWMOは、低・中レベル放射性廃棄物の包括的な管理戦略に関して、実用的な勧告を連邦政府に提示したいとの考えとともに、使用済燃料の長期管理アプローチの開発から実施を通じ、カナダ国民との関与に関する20年にわたる経験と知識を活用して協力する姿勢を明らかにした。

【出典】

フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は2020年11月6日に、地層処分場(CIGÉO)の設置に関する公益宣言(DUP)について、2020年8月3日に環境連帯移行省へ申請したことを明らかにするとともに、2021年第2四半期に予定されている公開ヒアリングに向けた資料一式(下記コラム参照)を公表した。ANDRAは、地層処分場プロジェクトが環境に与える影響の防止策、地域におけるメリットを示した上で、同プロジェクトがDUPを受けるに値する公益性を持つことを主張している。

公益宣言(DUP)は、開発プロジェクトの公益性や正当性を政府が認定するものである。政府は、開発プロジェクトを実施する事業者からの申請を受けて、公開ヒアリングを実施し、申請内容の審査を行う。その後、政府の諮問機関であり、行政最高裁判所でもある国務院(Conseil d’État)の勧告を経て、政府がDUPをデクレ(政令)として発出する。DUPは、開発プロジェクトに必要な手続きの上位要素とみなされ、開発プロジェクトの都市計画への編入や、事前の工事の許認可取得に必要とされる。また、公用収用法典に基づいて、公共目的で行う開発のために私有地を収用する際の行政手続きとしても、政府によるDUPの発出が必要とされる。なお、地層処分場(CIGÉO)の建設には、DUPとは別に、設置許可を申請し、設置許可の発給を受けることが必要となる。

ANDRAは、DUP申請に関する公開ヒアリング向けて公開した資料において、地層処分場(CIGÉO)プロジェクトが環境に与えるマイナス影響の評価と影響を抑制するために講じる措置、地層処分プロジェクトによる地域へのメリット等について説明している。ANDRAは、環境へのマイナス影響について、人間の健康への影響はないとしているが、環境影響を抑制するため、以下のような措置を講じるとしている。

  • 一部森林の維持等、景観を損なわないための措置
  • 排水の汚染防止処理等、地上及び地下水源への影響を抑制する措置
  • 主に建設期間中の騒音・粉じん対策、道路の渋滞防止措置
  • 地層処分場(CIGÉO)の操業開始後の放射性排気や廃液の放射性物質の濃度を規制限度以下に抑えるための措置
  • 地域における生物多様性や生態系を維持するための措置

一方、ANDRAは、地層処分場(CIGÉO)プロジェクトによって地域におけるメリットとして以下を挙げている。

  • 経済発展と雇用創出
    ANDRAやその他関連設備やインフラ等の工事を実施する事業者により、建設期間中には最大2,000人、操業期間中には600人程度の新規雇用が創出される。
  • 地域の人口構成の変化
    2030年までに、ムーズ県南部で1,000人程度の住民増(大半は15歳~64歳の現役世代)となる見通しがある。
  • 税収
    地域における税収は、地層処分場の建設から操業までの期間中に総額59億ユーロ(約7,000億円。2017年3月時点での試算値)に上る。
  • 生活枠組みの改善と地域の魅力の増大
    2019年10月に政府と地域の関係者、ANDRA、事業者等が締結した地域開発計画(PDT)では、以下の方向性が提示されている。

    • 地層処分場(CIGÉO)の建設と操業に必要なインフラ整備の実施
    • 地層処分場近傍地域における社会・経済的ポテンシャルの強化
    • 整備措置を適切に組み合わせることによるムーズ県及びオート=マルヌ県の地域の魅力の向上
    • これら2県が備える経済・環境の魅力を維持する取り組み

今回ANDRAが公開したDUPに関する公開ヒアリング向け資料は、以下の8テーマ・19の文書から構成されている。なお、ANDRAによるDUP申請については、2021年第2四半期中にも公開ヒアリングが開始される計画である。

公益宣言(DUP)に関する公開ヒアリング向け資料一覧(8テーマ・19文書)

<①地層処分プロジェクトの紹介>

  • 資料0:地層処分場(CIGÉO)に関する非技術的な紹介
  • 資料1:プロジェクトの目的や必要性に関する説明
  • 資料2:地層処分場(CIGÉO)配置図
  • 資料3:工事全体図面
  • 資料4:最も重要な構造物の主な特徴
  • 資料11:工事による道路の通行止めの防止策

<②環境:影響と影響緩和策>

  • 資料6-1:地層処分場(CIGÉO)プロジェクトの環境影響評価
  • 資料6-2:地層処分場(CIGÉO)プロジェクトの環境影響評価の非技術的な要約

<③法的枠組み>

  • 資料7:法律、行政関連情報
  • 資料8:地層処分場(CIGÉO)プロジェクトについて提起された政府諮問機関等の見解
  • 資料10:公益宣言(DUP)申請に関するANDRA理事会の2019年12月12日の決定

<④公衆との協議>

  • 資料9:地層処分場(CIGÉO)プロジェクト検討への公衆参加に関する総括

<⑤経済>

  • 資料5:概算費用見積書
  • 資料13:地層処分場(CIGÉO)プロジェクトで開発する輸送インフラの社会経済的評価

<⑥都市化>

  • 資料12:都市計画文書との整合性確認

<⑦国土>

  • 資料14:国土開発整備の見通しに関する総括

<⑧読者の理解を助ける補足資料>

  • 資料15:用語集及び略語集
  • 資料16:読解ガイド
  • 資料17:附属書

【出典】

英国カンブリア州のコープランド市は、2020年11月4日付のプレスリリースにおいて、地層処分施設(GDF)のサイト選定プロセスにおける「調査エリア(Search Area)」の特定に向けてワーキンググループを設置したことを公表した。ワーキンググループは、情報発信を目的としたウェブサイトを開設するとともに、調査エリアの特定と提案、並びに「コミュニティパートナーシップ」の設置に向け、コミュニティパートナーシップに参画する初期メンバーの募集を行うとしている。なお、2018年12月から開始したサイト選定プロセスにおいて、ワーキンググループの設置に至ったケースは今回のコープランドが初めてとなる。

■ワーキンググループの設置までの経緯:初期対話

コープランド市には、セラフィールド酸化物燃料再処理工場(THORP)などの多くの原子力施設が立地している。同市は以前、2008年6月に開始された英国白書「放射性廃棄物の安全な管理-地層処分の実施に向けた枠組み」に基づく地層処分場選定プロセスにおいても、関心表明を行っており、コープランド市議会は次段階に進むことを賛成多数で可決していたが、カンブリア州議会での反対多数の議決により、コープランド市は当時の選定プロセスから撤退している

英国政府の2018年政策文書『地層処分の実施-地域社会との協働:放射性廃棄物の長期管理』(以下「2018年政策文書」という)で設定されたサイト選定プロセスでは、地層処分施設の設置に関心を示す者、または、設置候補エリアを提案したい者であれば、地層処分事業の実施主体である放射性廃棄物管理会社(RWM社)と初期対話(initial discussion)を開始できることになっている。コープランドのワーキンググループは、ウェブサイトにおいて、地層処分施設の立地に関心を示した4者とRWM社の初期対話の期間にRWM社が取りまとめた4つの初期評価レポート(Initial evaluation report)を公表している。

  • コープランド市議会(対象エリア:コープランド市とその沖合)
  • 民間企業(対象エリア:低レベル放射性廃棄物処分場(LLWR)近郊の沖合)
  • 民間企業(対象エリア:コープランド市とその沖合)
  • 個人(対象エリア:ギル・スコーア採石場と海岸の平原)

RWM社は、既存の情報に基づけば、コープランド市議会を含む4者が関心を示しているエリアはいずれも地層処分施設を設置できる可能性を有しているとの結論を示している。

 コープランド市のワーキンググループの検討対象エリア(出典:コープランド市ワーキンググループウェブサイトの図を一部修正)


コープランド市のワーキンググループの検討対象エリア(出典:コープランド市ワーキンググループウェブサイトの図を一部修正)

■ワーキンググループの設置と構成

2018年政策文書で設定されたサイト選定プロセスでは、初期対話において、地層処分施設(GDF)の設置に向け、さらなる検討を進めていくことに合意した場合には、当該地域の自治体組織に報告して、コミュニティ全体での協議に発展させていくための準備組織「ワーキンググループ」を設置することになっている。コープランド市は、RWM社の初期評価レポートの提出を受け、2020年7月にコープランド市議会執行部において、以下の条件の下でワーキンググループの設置に向けて、RWM社と検討を進めることを決定した。

  • 現在、湖水地方の国立公園の敷地内にあるコープランド市の領域は、最初から検討対象として除外すること1
  • 現在コミュニティと進められているプロセスでは、GDFを沖合に設置することも可能となっていることを踏まえ、沖合も検討対象とすること
  • 市議会は、ワーキンググループの議長として、信頼できる独立した人物を任命したいと考えており、また市議会が負担するサイト選定プロセスに参加するために必要な正当な費用は全て補償されるべきであると考えていること

地層処分施設の設置に関心を示していた4者及びRWM社間でワーキンググループの設置に同意が得られたことを受けて、今回、初期のワーキンググループのメンバーのうち、自治体組織であるコープランド市からワーキンググループの設置が公表されることとなった。ワーキンググループの議長には、カンブリア州の南に位置するランカシャー州・ランカスター市議会の事務総長等を歴任してきたマーク・カリナン氏が就任する。なお、ワーキンググループのメンバーには、RWM社も含まれる。

■今後の取組

ワーキンググループは、今後、コミュニティ全体の市民の参画を得て、市民の意見を理解するとともに、適性を有するサイトや受け入れの意向を持つコミュニティを追求していくため、さらなる検討対象となる「調査エリア」の特定と提案を行っていくとしている。また、RWM社とともにプロセスを前進させていく「コミュニティパートナーシップ」の初期メンバーの募集もワーキンググループの課題となっている。

【出典】


  1. RWM社による初期評価の対象となった場所についてサイト調査への関心を表明した、コープランド市議会以外の3者も、湖水地方の国立公園の敷地は検討対象から除外するべきであるとの見解を示していた。 []