諸外国での高レベル放射性廃棄物処分

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フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物処分

フィンランド

国別編(詳細情報):フィンランド
フィンランド 1.HLWの発生状況と処分方針 | 2.地層処分計画と技術開発 | 3.処分事業に係わる制度/実施体制 | 4.処分地選定の進め方と地域振興 | 5.処分事業の資金確保 | 6.安全確保の取り組み・コミュニケーション

現在の状況 (ポイント)


1. 高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針

  • 原子力エネルギー政策の動向
  • 使用済燃料の発生と貯蔵(処分前管理)
  • 処分方針

ポイント

  • フィンランドでは、原子力発電から生じる使用済燃料を再処理せず、高レベル放射性廃棄物として処分する方針です。処分する前は、各原子力発電所で中間貯蔵しています。

2. 地層処分計画と技術開発

  • 2.1 処分計画
  • フィンランドでは、オルキルオトの地下約400mの結晶質岩中に使用済燃料を直接処分する計画です。使用済燃料を銅製容器と鋳鉄製容器の2重構造のキャニスタに封入して処分します。処分場の操業開始目標が2020年に設定されています。
  • 2.2 研究開発・技術開発
  • 実施主体のポシヴァ社は国内外の研究機関、大学、コンサルタント会社等の外部機関に委託して処分技術や安全評価等に関する研究を進めています。また、スウェーデン等の国際協力による研究開発も進めています。国内の主要な研究機関はフィンランド技術研究センター(VTT)です。

3. 処分事業に係わる制度/実施体制

  • 3.1 実施体制
  • 3.2 処分に関わる法制度
  • 高レベル放射性廃棄物処分に関わる規制行政機関は、政府、雇用経済省、放射線・原子力安全センター(STUK)であり、雇用経済省は処分事業の管理・監督、STUKは安全規制という役割を各々担っています。また、政府は処分目標(サイト選定の段階と目標時期)の決定と一般安全規則の策定を行うほか、処分場の建設・操業の許可発給を行います。
  • 実施主体は原子力発電事業者2社が共同出資して設立したポシヴァ社という民間会社です。

4. 処分地選定の進め方と地域振興

  • 4.1 処分地の選定手続き・経緯
  • フィンランドでは1983年から、高レベル放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に向けた調査がスタートしました。サイト調査が段階的に進む途中から、建設許可申請の審査ステップよりも早い時期に、重要な原子力施設について、その建設が社会全体の利益に合致するという判断を政府が決定するステップが法制化されました。地元自治体の受け入れ意思の存在がなければ、政府は最終処分場の計画を承認できません。こうした法制度のもとで、2001年にユーラヨキ自治体のオルキルオトが最終処分地に決定しています。
  • 4.2 地域振興方策
  • 実施主体のポシヴァ社は、処分場の立地による経済メリットを明らかにしています。また地元自治体は、税制において固定資産税率のアップを通じて財政的優遇措置が受けられるようになっています。さらにポシヴァ社との間で協力協定を締結しています。

5. 処分事業の資金確保

  • 高レベル放射性廃棄物の処分費用は、原子力施設許可取得者(電力会社)が負担しています。処分費用は、雇用経済省が所管する国家放射性廃棄物管理基金(VYR)に積み立てられています。基金に積み立てられる費用には、高レベル放射性廃棄物の処分費用のほか、中間貯蔵費用と輸送費用、さらにその他の放射性廃棄物の処理・中間貯蔵・輸送・処分費用、及び原子炉施設の廃止措置費用等も含まれています。

6. 安全確保の取り組み・コミュニケーション

  • 6.1 地層処分の安全確保の取り組み
  • 実施主体は、サイト選定の各段階及びそれに引き続く環境影響評価(EIA)、原則決定手続において、それまでに得られた研究開発成果や地質環境データ等の最新の知見に基づいて処分概念の検討と安全性の評価を行ってきました。現在、実施主体は最終処分地において地下特性調査を行うとともに必要な研究開発や設計研究を行っており、その成果に基づいて、建設・操業許可申請において処分の安全性を評価します。
  • 6.2 処分事業の透明性確保とコミュニケーション
  • フィンランドでは、サイト決定の原則決定手続で地元自治体の賛成が必要とされるほか、自治体・住民の意思・意見反映が制度面でも確立されています。さらにポシヴァ社は、自主的にさまざまなコミュニケーション活動を精力的に行っており、フィンランドにおける特徴の一つともなっています。
  • 6.3 意識把握と情報提供
  • 実施主体のポシヴァ社は、処分事業の理解を得るための活動として、一方的な情報提供活動ではなく住民が情報を入手し、意見を表明できる場をさまざまな形で設けてきました。また環境影響評価の中では、住民の意識調査も行われています。





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hlw/fi.1329362160.txt.gz · 最終更新: 2012/02/16 12:17 (外部編集)