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以前のリビジョンの文書です
スイスにおける高レベル放射性廃棄物処分
スイスでは、放射性廃棄物の発生者が処分費用を負担しなければならないことが2005年2月に施行された原子力法で定められています。廃棄物発生者である電力会社及び連邦政府は、放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)の放射性廃棄物管理に関する調査・研究活動などに必要な費用を負担しています。
スイスでの放射性廃棄物管理の資金確保では、拠出金制度と引当金制度が併用されています。
原子力発電所の運転中に係る放射性廃棄物管理費用については、2005年2月に施行された原子力法により、原子力発電所の所有者が引当金を計上することにより資金確保をしています。
原子力発電所の廃止措置後の放射性廃棄物管理については、必要な費用を賄うために設立された放射性廃棄物管理基金に対して、電力会社が毎年拠出金を支払う義務を有しています。2000年3月に放射性廃棄物管理基金令が制定され、原子力発電所の閉鎖後の廃棄物管理活動全般に必要な費用を基金化する制度が確立しました。この政令は2007年12月に、原子力施設の廃止措置基金に関する政令と一本化され、廃止措置・廃棄物管理基金令となりました。放射性廃棄物管理のための基金の積立対象となるのは、原子力発電所の閉鎖後に必要となる以下の費用です。
この基金は、連邦評議会が設立した管理委員会によって管理されており、この委員会が費用の想定額についての決定も行います。基金への払い込みは2001年末から始まり、2011年末における放射性廃棄物管理基金の残高は約28.3億スイスフラン(約3,080億円)です。(1スイスフラン=109円として換算)
基金への拠出金および引当金は、5年に一度行われる放射性廃棄物の費用見積りに基づいて決定されます。最近では原子力発電事業者の団体であるスイスニュークリアが2011年に費用見積りを発表し、連邦原子力安全検査局(ENSI)が評価しました。これ受けて2012年から2016年までの拠出金および引当金が決定されています。次回の費用見積りは2016年に実施される予定です。
放射性廃棄物の発生者が負う管理義務に基づいて、NAGRAの事業費用は、現在、発生者からの引当金に基づく処分場へのプロジェクトへの支出により賄われています。現在スイスでは閉鎖された原子力発電所は存在しないため、「放射性廃棄物管理基金」による支払いはありませんが、原子力発電所の廃止措置の後では、NAGRAの活動費用は基金からの払戻金で賄われることになります。
処分費用の見積額内訳
source: NAGRA
NAGRAは、スイスにおける高レベル放射性廃棄物の処分費用の総額(2011年時点)は約45億スイスフラン(約4,900億円)と見積っています。
処分費用見積額の内訳(概算)は、サイト選定を含む概要承認までの準備作業費が4.4億スイスフラン(80億円)、サイト特性調査施設の建設・操業費が9.2億スイスフラン(1,000億円)、処分場建設費が11億スイスフラン(1,200億円)、処分場操業費用8.8億スイスフラン(960億円)、処分場モニタリング費用が約10億スイスフラン(1,100億円)、処分場の閉鎖費用が2.3億スイスフラン(約250億円)です。(1スイスフラン=109円として換算)
備考:通貨換算には、日本銀行の基準外国為替相場及び裁定外国為替相場のレート(平成25年12月中において適用)を使用しています。