諸外国での高レベル放射性廃棄物処分

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hlw:ch:chap5

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HLW:CH:chap5

スイス

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5. 処分事業の資金確保

5.1 処分費用の確保(制度)

  • 廃棄物発生者である電力会社及び連邦政府は、処分実施主体の放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)の活動費用を負担しています。また、電力会社は原子力発電所の閉鎖後の廃棄物管理全般に必要となる費用を賄うため、放射性廃棄物管理基金への拠出金も負担しています。

処分費用の負担者

スイスでは、放射性廃棄物の発生者が処分費用を負担しなければならないことが2005年2月に施行された原子力法で定められています。廃棄物発生者である電力会社及び連邦政府は、放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)の放射性廃棄物管理に関する調査・研究活動などに必要な費用を負担しています。

また、電力会社は原子力発電所の閉鎖後の廃棄物管理に必要な費用を賄うために設立された<acronym title=“Entsorgungsfonds”>放射性廃棄物管理基金</acronym>に対しても、毎年拠出金を支払う義務を有しています。この基金の対象は、廃棄物の輸送・貯蔵・処分などを含めた放射性廃棄物管理全般に係る費用です。


処分費用の確保制度

スイスでは、2000年3月に放射性廃棄物管理基金令が制定され、原子力発電所の閉鎖後の廃棄物管理活動全般に必要な費用を基金化する制度が確立しました。この政令は2007年12月に、原子力施設の廃止措置基金に関する政令と一本化されています。この政令で、放射性廃棄物管理のための基金の積立対象となるのは、原子力発電所の閉鎖後に必要となる以下の費用です。

  • a. 廃棄物の輸送及び処分
  • b. 使用済燃料の輸送及び処分
  • c. 処分場の50年間の監視段階
  • d. 処分場の設計、計画、計画管理、建設、操業、閉鎖及び監視
  • e. 放射線防護措置及び作業被ばく防止措置
  • f. 官庁による許認可及び監督
  • g. 保険
  • h. 管理費用

この基金は、連邦評議会が設立した管理委員会によって管理されており、この委員会が費用の想定額についての決定も行います。基金への払い込みは、2001年末から始まり、2010年末における放射性廃棄物管理基金の残高は、約28億210万スイスフラン(約2,430億円)です。(1スイスフラン=86円として換算)


5.2 処分費用の見積もり

NAGRAは、スイスにおける高レベル放射性廃棄物の処分費用の総額は約38億スイスフラン(約3,270億円)になると2006年時点で見積っています。処分費用見積額の内訳は、サイト選定を含む概要承認までの準備作業費が約8億スイスフラン(約690億円)、サイト特性調査活動及び処分場建設費が14億スイスフラン(約1,200億円)、処分場操業費用6億スイスフラン(約520億円)、処分場モニタリング費用が約6億スイスフラン(約490億円)、主処分施設閉鎖費用が約2億スイスフラン(約170億円)、処分場全体の閉鎖費用が約2億スイスフラン(約170億円)などとなっています。(1スイスフラン=86円として換算)



備考:通貨換算には、日本銀行の基準外国為替相場及び裁定外国為替相場のレートを使用しています。

  • 1スイスフラン=86円として換算


スイス 1.HLWの発生状況と処分方針 | 2.地層処分計画と技術開発 | 3.処分事業に係わる制度/実施体制 | 4.処分地選定の進め方と地域振興 | 5.処分事業の資金確保 | 6.安全確保の取り組み・コミュニケーション

hlw/ch/chap5.1330169809.txt.gz · 最終更新: 2012/02/25 20:36 (外部編集)