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フランス

フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、2015年10月12日に、長寿命低レベル放射性廃棄物の処分プロジェクトの進捗に関する報告書を公表した。本報告書においてANDRAは、オーブ県のスーレーヌ・コミューン共同体1 における地質調査の結果、処分場の設置に適した特性を持つ粘土層の存在を確認し、地質調査を継続する10㎞2の区域を特定している。長寿命低レベル放射性廃棄物には、以下のような廃棄物が含まれる。

  • ラジウム含有廃棄物(主に希土類、ジルコニウム、ウランの鉱石の処理により発生)
  • 黒鉛廃棄物(主に黒鉛減速炭酸ガス冷却炉(GCR)の運転、廃止措置により発生)
  • アスファルト固化廃棄物等

今回ANDRAの報告書において、これらの長寿命低レベル放射性廃棄物の処分プロジェクトの進捗は、以下の通りとしている。

<長寿命低レベル放射性廃棄物の特性>

長寿命低レベル放射性廃棄物は、2013年時点で約9万m3が存在しており、フランス国内の放射性廃棄物の総量の6%、放射能量の0.01%を占める。同廃棄物には半減期の極めて長い核種(例えば、塩素36、半減期約30万年)が含まれていることから、深さ100m程度の地層中に処分するオプションも検討していたが、廃棄物の特性に関する研究が進み、新たに特定した放射能インベントリに基づき、浅地中処分(深さ約20m)を検討できるようになった。

<処分場のサイト選定>

ANDRAは、2008年に長寿命低レベル放射性廃棄物処分場のサイト選定の公募を開始し、2009年にはオーブ県にある2つの自治体(コミューン)であるオークソンとパール・レ・シャヴァンジュを選定した。しかし、両自治体とも自治体議会の反対を受けて、選定プロセスから撤退した。これを受けて政府は、ANDRAに対し、すでに原子力施設が立地しているサイト近傍の自治体、または2008年のサイト選定公募に応募した自治体における研究を検討するよう指示した。その後、すでに低レベル放射性廃棄物の処分場が立地しているオーブ県のスーレーヌ・コミューン共同体がサイト選定に向けた調査の実施を承諾したことを受け、ANDRAは2013年7月からスーレーヌ・コミューン共同体の50km2の区域において地質調査を開始した。調査の結果、浅地中処分場の設置に適した特性を持つ粘土層の存在を確認し、地質調査を継続する10㎞2の区域を特定した。

<処分場の設計>

長寿命低レベル放射性廃棄物の浅地中処分場の設計については、原子力安全機関(ASN)が2008年5月に公表した「長寿命低レベル放射性廃棄物処分のサイト調査に関する安全性の一般方針」に示された安全目標等に基づいて検討した。ANDRAは、①地表からの開削、②地下での処分スペースの掘削の2つのオプションのいずれかの採用に向けて、さらに研究を継続している。なお、ANDRAは、廃止措置に伴って今後発生する極低レベル放射性廃棄物についても、長寿命低レベル放射性廃棄物に隣接した区域における処分が可能であると考えている。

<プロジェクトの今後の計画>

ANDRAはスーレーヌ・コミューン共同体において特定された10km2の区域において、処分場サイト選定のための補完的な調査を2015~2016年にかけて実施する。また、処分場の設計に関する検討も継続し、特に、開削方式を採用した場合に、掘削した土を埋め戻した後の挙動について研究を進める。これらの研究結果に基づきANDRAは、2018年に処分場の設計案を作成し、設置許可申請書の提出に向けた作業を進める。

 

今回ANDRAが公表した報告書は、2013~2015年を対象とした「放射性物質及び放射性廃棄物管理国家計画」(PNGMDR)の施行に関する2013年12月27日のデクレ(政令)に基づいたものである。本デクレにおいては、ANDRAが2015年6月30日までに、黒鉛廃棄物とアスファルト固化廃棄物の管理シナリオ及び地表からの開削と覆土による処分プロジェクトのフィージビリティに関する報告書について、エネルギーと原子力安全の担当大臣に提出しなければならないと定めている。なお、フランスでは、2006年放射性廃棄物等管理計画法に基づいて、政府が3年間毎に「放射性物質及び放射性廃棄物管理国家計画」(PNGMDR)を策定することになっており、次の国家計画の策定は2016年の予定である。

 

【出典】

【2016年4月20日追記】

フランスの原子力安全機関(ASN)は2016年4月6日、長寿命低レベル放射性廃棄物の管理研究に関する2016年3月29日付の見解書を発表した2  。ASNは今回の見解書において、長寿命低レベル放射性廃棄物の種類が多様であることから、それら全てを単一処分場で処分するには多くの課題があるという認識を示しているが、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が処分場の設置を想定している粘土層の機能(低透水性、水理地質学的条件、厚さ等)、処分場の操業中及び閉鎖後の安全性に関する予備的安全評価(廃棄物の化学的毒性による影響、廃棄物に含まれるウランやラジウムの放射性崩壊に伴って発生するラドンによる被ばく等)に関して、ANDRAが研究を継続するにあたっての要求や勧告を今後示す方針を表明した。

ASNは今回の見解書において、ANDRAが2015年10月12日に公表したANDRAによる長寿命低レベル放射性廃棄物の処分プロジェクトの進捗に関する報告書について、以下のような意見を示している。

  • 処分場を設置することを想定している粘土層の下には帯水層があるが、この帯水層への放射性核種の移行を防ぐために、粘土層のうち処分場を設置する面よりも深い部分の特性(厚み、均質性、低透水性等)に関する詳細な分析を行うべきである。
  • ANDRAは処分対象となる長寿命低レベル放射性廃棄物のインベントリを明確にする必要がある。
  • ANDRAは、長寿命低レベル放射性廃棄物の処分場に採用する技術オプション及び安全オプションをASNに提出したうえで、侵入リスクや放射性物質及び化学物質の拡散に対する防護について、慎重な決定論的安全評価アプローチに基づく予備的安全評価を提出すべきである。
  • ANDRAが想定しているスーレーヌ・コミューン共同体における処分場の設置を補完する措置として、ANDRAは第2の処分場の設置可能性を検討し、2017年半ばまでに、候補サイトを選定するための方法論を提出するべきである。

なお、フランスではASN等が2016年内に、2016~2018年を対象とした「放射性物質及び放射性廃棄物の管理に関する国家計画」(PNGMDR)を取りまとめる予定である。ASNは今回公表した意見書において、PNGMDRで規定する長寿命低レベル放射性廃棄物の処分プロジェクトのスケジュールに関して、ANDRAが提示していたものよりも慎重なものとする見解を示している。ASNは、ANDRAの安全オプションの提出が2021年末、処分場の設置許可申請を2025年末まで行い、処分場の操業開始を2035年にする案を示している。

【出典】

  • 低レベル長寿命放射性廃棄物の管理研究に関する2016年3月29日付のASN見解書第2016-AV-264号、Avis no 2016-AV-264 de l’Autorité de sûreté nucléaire du 29 mars 2016 sur les études relatives à la gestion des déchets de faible activité à vie longue (FA-VL) remises en application du Plan national de gestion des matières et des déchets radioactifs 2013-2015, en vue de l’élaboration du Plan national de gestion des matières et des déchets radioactifs 2016-2018
    http://www.asn.fr/content/download/102318/751420/version/2/file/2016-AV-0264.pdf
  • 2015年10月12日、ANDRA、長寿命低レベル放射性廃棄物処分プロジェクトの進捗に関する報告書、PROJET DE STOCKAGE DE DÉCHETS RADIOACTIFS DE FAIBLE ACTIVITÉ MASSIQUE À VIE LONGUE (FA-VL) RAPPORT D’ÉTAPE 2015
    http://www.andra.fr/download/site-principal/document/editions/rapport-etape-favl.pdf

 


  1. オーブ県の複数のコミューン(自治体)の広域行政組織 []
  2. 2013~2015年を対象とした「放射性物質及び放射性廃棄物の管理に関する国家計画」(PNGMDR)の施行に関する2013年12月27日のデクレにおいて、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)による長寿命低レベル放射性廃棄物の処分プロジェクトの進捗に関する報告書について、ASNが意見を示すべきことが規定されており、今回の見解書はこれに基づいたものである。 []

フランスの憲法院(Conseil constitutionnel)1は2015年8月5日に、「成長、活動、経済機会の平等のための法律」(2015年7月9日成立)のうち、地層処分場の設置許可申請スケジュールの変更等を定めた条文を含む複数の条文が違憲であるとの決定を行った。憲法院が違憲と決定した条文は施行されず、憲法院の決定に対する不服申立ても認められない。

フランスでは議会で成立した法律は大統領による審署により執行力が与えられるが、審署前に、国会議員60人以上の求めがある場合には憲法院に合憲性審査を付託することが可能である。今回の法律に関する合憲性審査は、約200人の国会議員が2015年7月15日に審査を付託したものである。

今回の法案を提出した経済・産業・デジタル省のマクロン大臣は2015年8月6日付のプレスリリースにおいて、憲法院が当該条文を違憲と判断した理由として、同法の目的との関連が弱いこと、または、法案審議で取り上げられたタイミングが遅かったことであると指摘している。なお、同大臣は、今秋以降の議会において、これら違憲と判断された条文に規定された措置について再検討する方針を明らかにしている。

 

【出典】


  1. 憲法裁判所である憲法院(Conseil constitutionnel)は、議会の議決後、大統領による審査・署名前の法律に対する違憲審査、大統領選挙の選挙管理、大統領及び国会議員の選挙に関する裁判等を行う。司法権にも行政権にも属しない機関である。参考:http://www.kantei.go.jp/jp/sihouseido/pdfs/dai5gijiroku-2.pdf []

フランスで2015年7月9日に、地層処分場の設置許可申請スケジュールの変更、可逆性の定義、パイロット操業フェーズの導入等に関する規定を含む「成長、活動、経済機会の平等のための法律」が成立した。本法律の制定に伴って、2006年放射性廃棄物等管理計画法において規定されていた「可逆性のある地層処分」の処分場の設置許可申請時期が2015年から2017年に改定された。また、2006年放射性廃棄物等管理計画法での多くの規定が取り込まれている環境法典が改正され、「パイロット操業フェーズ」が正式に導入されることとなった。

フランスでは、2006年放射性廃棄物等管理計画法及び環境法典において可逆性のある地層処分場の設置について規定されており、2006年放射性廃棄物等管理計画法では、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が2015年に地層処分場の設置許可申請書を提出することが規定されていた。一方、設置許可申請書の提出に先立って、2013年5月から約7カ月間にわたって公開討論会が開催されており、ANDRAはこの結果をふまえ、2014年5月に、地層処分プロジェクトの継続に関する新たな方針を示し、設置許可申請スケジュールの変更や、パイロット操業フェーズの導入等を提案していた。今回下院で最終可決された法律には、これらのスケジュール等を変更する規定が含まれている。なお、2006年放射性廃棄物等管理計画法では、2015年に設置許可申請書が提出された後、政府が地層処分の可逆性の条件を定める法案を提出することになっているが、今回の法律により、環境法典に可逆性の定義が盛り込まれた。今後、政府は、パイロット操業フェーズが終了した後の操業中を対象として、地層処分場の可逆性の実施に関する条件を定める法案を策定することとなる。

今回下院で最終可決された「成長、活動、経済機会の平等のための法律」では、可逆性のある地層処分場について以下のような内容が規定されている。

  • 2006年放射性廃棄物等管理計画法に規定された地層処分場の設置許可申請時期を2015年から2017年に変更する。
  • 環境法典に以下の内容を規定する。
    -「可逆性」とは、将来世代にとって、段階的な地層処分の実施に際して下される決定の見直しが可能であることである。可逆性によって、一定の期間中に地層処分場内に定置済の廃棄物パッケージを回収する可能性が担保されるとともに、当初設計に基づく処分場を将来の選択に合わせて変更することが可能となる。
    -地層処分場の可逆性の原則については少なくとも10年に1度の頻度で見直す。
    -操業者は、地層処分場における実地試験を実施し、地層処分場の可逆性と安全性の立証を強固にすることを目的としたパイロット操業フェーズを導入する。このフェーズにおいては、全ての廃棄物パッケージは容易に回収できる状態で維持されなければならない。このフェーズにおける試験には、廃棄物パッケージの回収試験も含まれる。
    -デクレ(政令)による設置許可の発給後、原子力安全機関(ASN)がパイロット操業フェーズの操業を許可する。
    -パイロット操業フェーズの結果については、ANDRAが報告書をまとめるとともに、ASN及び国家評価委員会(CNE)が見解を提示する。さらに公衆意見聴取の対象区域内に全部又は一部が所在する地方公共団体に対する意見聴取を行う。
    -ANDRAの報告書はASN及びCNEの見解とともに、議会科学技術選択評価委員会(OPECST)に提出される。OPECSTはANDRAの報告書について評価し、放射性廃棄物管理政策を担当する議会上下両院の委員会に、評価作業を報告する。
    -政府は今後、可逆性の条件に代えて、パイロット操業フェーズの終了後の操業中における地層処分場の可逆性の実施に関する条件を定める法案を策定する。
    -操業中の地層処分場の可逆性の実施に関する条件を定める法律の公布後、ASNは地層処分場の全面的な操業の許可に関する見解を表明する。法律に定められる可逆性の実施に関する条件を満たしていない場合、全面的な操業は許可されない。

当初、政府は、現在も議会で審議中の「グリーン成長のためのエネルギー転換に関する法案」において、地層処分場の設置許可申請スケジュールの変更等について規定する方針であったが、最終的に2014年6月に下院に提出された法案には、規定は盛り込まれなかった。また、今回可決された「成長、活動、経済機会の平等のための法律」は上下両院における2回の審議を経て、下院で最終可決されたものである。

 

【出典】

フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、2015年7月1日に、国家放射性廃棄物インベントリレポートの2015年版を公表した。ANDRAは2006年の放射性廃棄物等管理計画法の規定に基づいて、3年毎にインベントリレポートを改訂しており、前回のレポート改訂は2012年に行われていた

今回取りまとめられた国家放射性廃棄物インベントリレポートは、次の3つのレポートで構成されており、ANDRAのホームページからダウンロードできる。

  • 総論レポート
  • 廃棄物分類別インベントリ(廃棄物の特性分類別のインベントリ情報を整理)
  • 地域別インベントリ(地域別のインベントリ情報を整理)

※現在公開されているものは、いずれもフランス語版のみ。

総論レポートによれば、2013年末時点でフランス国内に存在する放射性廃棄物の総量は約146万m3であり、2010年末時点のインベントリを整理した3年前のレポートから14万m3増加している。ANDRAは前回のレポートからの廃棄物量の変化について、発電、調査研究、産業・医療分野などでの通常の廃棄物の発生に加えて、次のような要因を挙げている。

  • 廃止措置中のブレニリス原子力発電所(モンダレー発電所のガス冷却重水炉)からの使用済燃料の再処理の決定に伴う、高レベル放射性廃棄物の減少(以前はこの使用済燃料を高レベル放射性廃棄物として計上していた)。
  • ビチューメン(アスファルト)固化を予定していた一部の長寿命中レベル放射性廃棄物の処理方法の変更に伴う廃棄物量の増加。
  • モナザイト(トリウム等の原料となる鉱物)の加工によって発生するラジウム含有廃棄物の処理方法の変更に伴う長寿命低レベル放射性廃棄物量の増加。
  • 長寿命中レベル放射性廃棄物の一部が、長寿命低レベル放射性廃棄物に分類変更されたことに伴う長寿命低レベル放射性廃棄物量の増加。

 

【出典】

フランスにおいて放射性廃棄物等の管理に関する取組、研究・調査等の進捗状況を評価する国家評価委員会(CNE)は、第9回評価報告書を2015年6月18日にCNEウェブサイトで公表し、地層処分プロジェクトなどに対する見解を示した。

CNEは、2006年の放射性廃棄物等管理計画法の規定に基づいて、放射性物質及び放射性廃棄物の管理に関する研究・調査の進捗状況について、「放射性物質及び放射性廃棄物管理国家計画」(PNGMDR)に定める基本方針を基準として毎年評価し、その結果を報告書に取りまとめて議会に提出することになっている。なお、前回の第8回報告書は、2014年6月10日に公表されている

CNEは、第9回評価報告書の「要約と結論」において、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が進める地層処分場の設置許可申請に向けた研究開発状況について、以下のような見解を示している。

  • ANDRAが地層処分場の設置許可申請を行う時期は、放射性廃棄物等管理計画法で定められた期限の2015年ではなく、2017年頃になる予定である。CNEとしては新たなスケジュールが遵守されることを期待する。
  • ANDRAは、高レベル放射性廃棄物の処分坑道において発熱性のある廃棄物パッケージの定置の最適化作業を進めており、その一環でカロボ・オックスフォーディアン粘土層の熱・水・応力(THM)挙動に関する研究を実施している。その結果を反映してANDRAは、地下施設の高レベル放射性廃棄物の処分区域のレイアウトを大きく変更した。処分場のTHM挙動を精緻に把握し、カロボ・オックスフォーディアン粘土層における熱応力破壊の範囲をより明確にするとともに、熱応力破壊に関する判断基準が満たされないことによる安全性への影響を評価するためには、さらなる調査・研究が必要である。
  • ANDRAは、廃棄物発生者と共同で策定する廃棄物管理産業プログラム(PIGD)1 で示される全ての高レベル放射性廃棄物について、安全規則を遵守して処分を行うため、高レベル放射性廃棄物の処分区域の設計を十分慎重に行うべきである。また、今後の新たな知見により、地下空間をより効率的に利用できる可能性もある。
  • ANDRAは、地層処分場内での大規模火災を想定した熱条件下におけるビチューメン(アスファルト)固化体の挙動に関する研究を行い、これらのパッケージのロバスト性及びビチューメン固化体の化学的な不活性さを確認している。これらの新たなデータによって、火災が廃棄体に与える影響に関する懸念は払しょくされたとCNEは判断した。引き続きANDRAは、地層処分場の操業期間を通じて、ビチューメン固化体の化学的安定性に関する研究を継続すべきである。
  • ANDRAは現在も、処分場の操業開始後、最初に処分する廃棄物パッケージの仕様を確定するため、廃棄物発生者(事業者)と協議を行っている。CNEは、放射性廃棄物の管理プロセスにANDRAが可能な限り早い段階から関与できるようにすることを勧告する。
  • 地層処分場のコスト評価について、ANDRAと廃棄物発生者との間で意見が対立している。CNEは、コストが慎重に評価され、安全性の確保に必要なコストが削減されることがないよう改めて要望する。

【出典】


  1. 地層処分場の設計にあたって考慮すべき廃棄物インベントリ、中間貯蔵施設からの輸送手段や流れ等に関してANDRAと廃棄物発生者が共同で策定した計画 []

フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は2015年4月24日付プレスリリースにおいて、地層処分場の操業時のリスク管理に関する原子力安全機関(ASN)の2015年4月7日付の書簡を公表した。今回のASNの書簡は、ANDRAが2013年12月にASNに提出していた地層処分場の操業時におけるリスク管理に関して、研究開発の進捗報告書に対するレビュー結果を示したものである。レビュー結果としてASNが示す要求事項・見解は、ANDRAが進める地層処分場の設置許可申請に向けた研究開発を方向付けるものとなる。なお、ASNは、2006年以降、ANDRAが実施している地層処分関連の研究開発状況をレビューしており1 、今回のASNの書簡も、こうしたレビューの一環で提示されたものである。

今回のASNの書簡によると、ANDRAは、2013年12月にASNに提出した研究開発の進捗報告書において、放射性物質の拡散リスク、廃棄体から発生した水素ガスに起因する爆発リスク、火災リスク、地下施設における処分活動と建設活動の同時進行に伴うリスク、地上施設と地下施設との連結によるリスク管理に重点を置いた研究開発の進捗状況を報告していた。ASNは、以下の点について、操業時のリスク低減に寄与する有意な進展があったとの見解を示している。

  • ASNの要求に基づく火災リスクを低減するための要求事項をまとめた「火災基準」の策定。
  • 長寿命中レベル放射性廃棄物用の処分坑道への超高性能フィルタの設置を伴う動的閉じ込め機能の確保。この措置は、2010年に提出したANDRA報告書のレビューにおいて、廃棄体による静的閉じ込め機能の不具合の場合に対応するため、動的閉じ込め機能を確保する措置の提示を求めたASNの要求に沿ったものである。なお、コンクリート構造の地下施設に設置する設備は、通常の環境よりも早いペースで閉塞を起こす可能性があるため、設置許可申請書と合わせて提出する補助文書において、設備の保守に関する事項を明確にする必要がある。
  • 施設全体の設計が進展しており、放射線管理区域と建設区域の分離を徹底することにより、操業時のリスク管理の容易化が図られている。これは、地下施設における操業活動と建設活動が同時進行することによるリスク分析を補完するよう求めたASNの要求に沿ったものである。

一方、ASNは、操業時のリスク管理との兼ね合いから、設置許可申請書と共に提出する「安全証明」に関する文書において、特に以下の点に注意を払うべきと指摘している。

安全証明アプローチと安全要件

  • 安全機能と主要パラメータ
    設置許可申請書の補助文書では、地層処分場の閉鎖後安全性の範囲を規定し、操業中に監視する主要パラメータ及び操業中の安全性の範囲を規定しなければならない。また、施設の操業安全及び閉鎖後安全に照らして、廃棄体の受け入れ時及び操業中も監視する主要パラメータについて、逸脱を確認した場合に講じる是正措置を提示しなければならない。
  • 施設の設計とサイト内緊急時計画(PUI)において採用する設計基準シナリオの選定方法
    安全オプションに関する資料2 では、深層防護レベル及び原子力基本施設(INB)に関する2012年2月7日付アレテの規定と整合する形でシナリオを分類して示すのが望ましい。一部の廃棄体内部で発熱反応が急速に進むシナリオについても提示しなければならない。
  • 放射線防護目標
    安全オプションに関する文書では、事故・事象発生の状況下で放射線管理区域にいる職員に適用される放射線防護上の目標の最終決定に向けた最適化アプローチを提示しなければならない。

資料等で説明すべきリスク

  • 火災リスク
    安全オプションに関する資料では、供用部分または長寿命中レベル放射性廃棄物の処分坑道のハンドリング用セルで火災が発生した場合、火災発生区画を発生源とする放射性物質の放出を抑制する措置を説明しなければならない。
    設置許可申請書の補助文書では、火災リスクの分析に使用する計算シミュレーションツールを提示し、その使用分野における有効性を立証すること。また、経験のフィードバックや専門家の判断も考慮したうえで、同ツールと地層処分場の特性との整合性を立証する要素について提示しなければならない。
  • 爆発リスク
    火災リスクと同様に、ANDRAが「爆発基準」を策定することが有益である。
  • 放射性物質の拡散リスク
    設置許可申請書の補助文書では、高レベル放射性廃棄物処分孔の排水の管理方法を明示するとともに、廃棄体の移送ケージにハッチが存在する可能性を考慮しなければならない。
  • 作業の同時進行に関するリスク
    設置許可申請書では、施設の安全性に関して影響を与える人間活動を特定する。また、地層処分場の建設開始から操業期間にわたり、関与する企業間の責任所掌を詳細に定めなければならない。

施設の操業

  • 事故・事象発生の状況下での介入と避難
    設置許可申請書の補助文書では、目標とする期限内に事故・事象発生の状況に介入できるよう、採用する技術的・組織的措置を提示しなければならない。
  • 廃棄体の回収
    ANDRAは、地層処分場の操業段階で廃棄体の回収可能性を実証するために慎重なアプローチを採用しなければならない。また、回収可能性オプションに関する研究は、操業中にとどまらず長期的な視野で、安全と放射線防護の観点から種々のオプションの長所と短所を評価しなければならない。

事故・事象発生後の処分場の各種機能の回復

安全オプションに関する資料では、深層防護の原則を適用し、事故・事象発生後の処分場の各種機能の回復について、処分作業の継続、廃棄体の回収、処分場の閉鎖の可能性を区別したうえで、安全面での課題を提示する。また、設置許可申請書では、これらの課題を考慮し、その対応について提示する。

 

【出典】


  1. 原子力基本施設及び原子力安全・放射性物質輸送管理に関する2007年11月2日のデクレ(2007-1557)の第6条に規定。原子力施設の設置許可申請に先立って、安全オプションをASNに提出し、その見解を求めることができるとされている。ASNは見解において、設置許可申請を行う場合、申請までに事業者が実施しておくべき補完的な研究や証明についても特定することができる。 []
  2. ANDRAは地層処分場の安全オプションに関する資料を2015年中にASNに提出する方針である 。 []

フランスの原子力安全機関(ASN)は、2015年1月20日付プレスリリースにおいて、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が2015年中にASNに提出予定である「地層処分場の主要な技術オプション」及び「廃棄物パッケージの受入基準案」に対する記載要求事項をまとめた2014年12月19日付けの書簡を公表した。ASNは、本書簡において、「地層処分場の主要な技術オプション」及び「廃棄物パッケージの受入基準案」のレビューを通じて、フランスの処分方針である「可逆性のある地層処分」の実現可能性を評価するが、その際に適用する「可逆性」に関する考え方を提示している。

ASNは、今回公表された書簡において、「可逆性」は以下2つの概念を含むことが適当であるとしている。

  • 適応性
    経験の蓄積や科学技術的な知見の向上によるフィードバック、政策や事業方針の変更、社会受容性の変化によって、処分シナリオが変わることを考慮して、設置許可申請段階で想定していた設計や操業方法を変更できること。
  • 回収可能性
    定置した廃棄物パッケージをある一定期間にわたって回収できることが担保されていること。

ASNは、ANDRAが作成する「地層処分場の主要な技術オプション」及び「廃棄物パッケージの受入基準案」において、ASNが提示した「可逆性」の考え方に沿って、処分施設が備える順応性(フレキシビリティ)の度合いを説明しなければならないとしている。ただし、ASNは、「可逆性」の正式な定義は、ANDRAが地層処分場の設置許可申請書を提出し、安全審査が行われた後に法律によって定められるものであるとしており、今回ASNは、この定義に抵触しないと考えられる範囲で「可逆性」の考え方を示したとしている。

「地層処分場の主要な技術オプション」及び「廃棄物パッケージの受入基準案」の作成とレビューの背景

フランスでは、原子力施設の設置許可申請に先立って、安全オプションをASNに提出し、その見解を求めることができるとされている1 。2013年5月から約7カ月間にわたって開催された地層処分プロジェクトに関する公開討論会を受け、ANDRAは、2014年5月に公開討論会の結果をふまえたプロジェクト継続に関する新たなスケジュール等を公表し、「地層処分場の主要な技術オプション」及び「廃棄物パッケージの受入基準案」を2015年中にASNに提出することを提案していた。2014年12月19日付けの書簡において、ASNは、これらの書類の提出に係るANDRAの決定を承諾し、レビューを実施するとしている。

「回収可能性の技術オプションに係る資料」の作成上の考慮事項

ANDRAは、公開討論会の結果をふまえた新たなスケジュール等の提案の中で、「回収可能性の技術オプションに係る資料」もASNに提出するとしていた。ASNは2014年12月19日付けの書簡において、「回収可能性の技術オプションに係る資料」の作成に当たって、ANDRAが考慮すべき事項を以下のように示している。

  • 特に処分空間やアクセス坑道が埋め戻された後は、廃棄物パッケージへのアクセスが困難になる。
  • 廃棄物パッケージの閉じ込め機能の健全性が損なわれた場合、放射線防護の点で大きな不都合が生じ、作業の可能性が制限される可能性がある。
  • 構築物の経年劣化や損傷(たとえば、処分空間の変形)により作業が困難になる。

「地層処分場の主要な技術オプション」及び「廃棄物パッケージの受入基準案」のレビュー要件

ASNは2014年12月19日付けの書簡において、ANDRAが「地層処分場の主要な技術オプション」及び「廃棄物パッケージの受入基準案」について、地層処分場全体(地上施設及び地下施設)をカバーしていることや、地層処分場の基本設計書の内容が2008年の地層処分に関するASN指針に整合していることを説明するとともに、操業のあらゆる段階の安全を確保するために採用された安全目標、設計、原則について網羅的に提示するようANDRAに要請している。さらにASNは、10件程度の具体的な要求事項を示しており、以下のような内容が含まれている。

  • 適用される規制基準・技術基準や国内外の経験のフィードバック
  • 2008年のASN指針や国際取組みに照らした長期的な操業における安全目標。採用された安全目標とASN指針に示された安全目標との間に差がある場合はその妥当性の証明。
  • 処分しようとする廃棄物のインベントリ、これらの廃棄物の処分方法へ適合させるためのコンディショニング方法、長期的な時間枠でのインベントリの変更に関する仮定
  • 地層処分場の建設から閉鎖後のモニタリング期間における、施設の安全性を考慮した操業範囲と主要なパラメータの初期状態の設定
  • 可逆性の概念としての処分場の適応性。特に、設計時に処分対象となっていない放射性廃棄物を処分することになった場合の容量の拡大可能性。

 

【出典】


  1. 原子力基本施設及び原子力安全・放射性物質輸送管理に関する2007年11月2日のデクレ(2007-1557)の第6条に規定。ASNは見解において、設置許可申請を行う場合、申請までに事業者が実施しておくべき補完的な研究や証明についても特定することができる []

フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、2014年12月16日付プレスリリースにおいて、原子力安全機関(ASN)が地層処分場における閉鎖技術の安全性に関するANDRAによる説明が十分であるとの見解を示すとともに、ANDRAに対して設置許可申請までに追加で詳細な情報の提供を求めた。ANDRAは、ASNからの要請により、2013年に閉鎖技術に関する詳細情報を提示していた。ASNからの見解を受け、今後、ANDRAは、すでに実施してきた研究の適切性を検証するとともに、地層処分場の設置許可申請に向けて実施する研究の方向性を検討するとしている。

地層処分場の閉鎖技術は、放射性廃棄物の閉じ込めを人間の行為を伴うことなく確保するため、地層処分場の処分孔、地下坑道、アクセス坑道をそれぞれ閉鎖するために用いる技術であり、主にベントナイトを使用した「プラグ」と呼ばれる構造物を設置することが計画されている。ANDRAのプレスリリースによれば、ASN及びASNの廃棄物担当常設専門家グループ1は、地層処分場における閉鎖技術に関して以下のような見解を示している。

  • 閉鎖技術の実現可能性について、ANDRAはすでに説得力のある要素を提示した。
  • ANDRAが提案した閉鎖技術は、必要な機能を有していることが実証されており、閉じ込め能力の確保のために設定している研究目標も適切である。

また、ASN及びASNの廃棄物担当常設専門家グループは、ANDRAに対し、設置許可申請時点までに、以下の事項に関する詳細な情報を提供するよう要請している。

  • Ÿ処分場設計の妥当性:2008年の地層処分に関するASN指針に従い、アクセス坑道ではなく、粘土層を放射性核種が移行するように採用した地層処分場の設計について、他の設計オプションと比較したうえで妥当性を立証する必要がある。
  • ŸASNが示した安全目標と地層処分場設計との整合性:カロボ・オックスフォーディアン粘土層には自己修復能力があり、坑道の掘削により損傷を受けても、時間の経過とともに本来の不浸透性を回復すると考えられている。しかし、ANDRAは安全裕度を確保するため、安全評価上は粘土層の自己修復能力を考慮していない。ANDRAは現時点までに実施された安全評価において、ASNが示す安全目標は遵守されているとの結果が得られたとしているが、実規模での試験が実施可能となるまで研究を継続し、自己修復能力を想定する場合としない場合のそれぞれについて、地層処分場設計との整合性を立証する必要がある。
  • Ÿ高レベル放射性廃棄物の処分孔のプラグに関する現時点における設計について、試験結果を提示する必要がある。

ANDRAは、上記のASNによる見解を受け、地層処分場の設置許可申請までの間に新たな安全評価を実施する方針である。なお、ANDRAは、この評価結果の検証を行うため、パイロット操業フェーズにおいて、実規模での試験を実施することを計画している。

 

閉鎖後安全性に関するレビューの経緯

ANDRAは、地層処分場の閉鎖技術の安全性について、2010年に原子力安全機関(ASN)に提出した報告書の中で、研究成果を示していた。しかし、ASNは、報告書で示された研究方針等を検討する中で、地層処分場の設置許可申請の審査に向けて追加情報を要求した。これを受けてANDRAは、2013年4月~8月にかけてASNに追加情報を提供していた。この情報を検討するに際してASNは、規制支援機関である放射性防護・原子力安全研究所(IRSN)へ技術的評価を依頼しており、IRSNは2014年7月1日に評価報告書を公表していた。このIRSNによる評価に基づいて、ASN及び廃棄物担当常設専門家グループは、それぞれ2014年7月と同年10月に研究方針の妥当性に関する判断を示していた。

 

【出典】

  • ANDRAウェブサイト、2014年12月16日付け公表情報「地層処分場閉鎖評価の総括」
    Retour sur l’évaluation des ouvrages de fermeture de Cigéo
    http://www.cigeo.com/tags/item/retour-sur-l-evaluation-des-ouvrages-de-fermeture-de-cigeo
  • 原子力安全機関(ASN) 2014年10月9日の見解書「閉鎖の実施に関して―深地層における放射性廃棄物プロジェクト」
    Dossier « projet de stockage de déchets radioactifs en couche géologique profonde – ouvrages de fermeture »
    http://www.cigeo.com/images/cigeo/blog/rapport_ASN.pdf
  • 放射性防護・原子力安全研究所(IRSN)報告書 No.2014-00006「深地層処分場における放射性廃棄物プロジェクト―閉鎖の実施に関して」(2014年7月1日の廃棄物担当常設専門家グループ会合にて公開)
    Projet de stockage Cigéo – Ouvrages de fermeture – Rapport IRSN n°2014-00006. Réunion du groupe permanent d’experts pour les « Déchets » du 1er juillet 2014
    http://www.cigeo.com/images/cigeo/blog/rapport_IRSN.pdf

※Cigéoは、フランス語のCentre industriel de stockage géologique pour les déchets HA et MA-VL(高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分産業センター)の略語である。


  1. ASNの諮問組織であり、廃棄物担当の専門家グループの他、原子炉、研究所・プラント、輸送、原子炉圧力機器についてそれぞれ常設専門家グループが設置されている []

フランスにおいて放射性廃棄物等の管理計画に関する研究・調査の進捗状況を評価する国家評価委員会(CNE)は、第8回評価報告書を2014年6月10日にてCNEウェブサイトで公表し、地層処分プロジェクト及び可逆性のある地層処分に対する見解を表明した。

2006年放射性廃棄物等管理計画法の規定に基づいて、CNEは放射性廃棄物等管理計画に関する取組や研究・調査等の進捗状況について毎年評価を行い、評価結果を取りまとめた評価報告書を議会に提出することになっている。なお、前回の第7回報告書は、2013年12月10日に公表されている

CNEは、地層処分プロジェクトについて、2013年5月~12月に実施された公開討論会の総括報告書及びその結果を取り入れた放射性廃棄物管理機関(ANDRA)による新たなスケジュールの提案を踏まえ、以下のような見解を示している。

  • Ÿビュール地下研究所における試験結果は、高レベル放射性廃棄物の処分エリアにおける放射性核種の長期挙動のモデル化のために不可欠である。
  • 処分セルの形状を明確にすること、廃棄物パッケージとコンクリート(坑道の支保)との間隙の設計が重要である。これは、廃棄物の回収と処分場の長期の安全性についての要求として対立を与えている。また、ANDRAと廃棄物発生者とが協力し、自然発火性、塩及びビチューメン(アスファルト)を含有する廃棄物の挙動に関する研究、並びに有機化合物とアクチノイド元素との相互作用に関する研究を促進すべきである。これにより、同一の処分エリアに異なる種類の廃棄物を処分できるパッケージの仕様を早急に特定すべきである。
  • 地層処分場内の廃棄物の運搬用坑道及び長寿命中レベル放射性廃棄物の処分坑道の支保の設計、水素ガスの存在する環境下での長期的な粘土の挙動、岩盤の不飽和及び再冠水、モニタリングと埋め戻しなど、地層処分場を管理するために考慮すべき問題が残っている。ANDRAは、地層処分場の第1ユニットの完成後すぐに、原位置での試験を実施すべきである。そのための計画を立案し、設置許可申請前に検討すべき点を、2015年5月末までに列挙すべきである。
  • 地層処分場の開発期間を通じたコスト(初期投資コスト、操業コスト、廃棄物パッケージの処分料金)を特定し、事業者間で分担するための検討を行うべきである。

  また、CNEは、可逆性の定義を「計画された地層処分プロセスのあらゆる段階において、継続・中断・前段階へ立ち戻る可能性を将来世代に対して保証すること」とすることを提案している。これに基づきCNEは、経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)の可逆性の概念を採用するANDRAに対し、以下のような見解を示している。

  • Ÿ可逆性に含まれる回収可能性を有効なものとすべきであり、換言すると、定置後の廃棄物パッケージの移動や、地上への引き上げを技術的・組織的に担保する必要がある。地層処分場の地下施設の建設に際しては、柔軟性を担保する必要がある。
  • 将来世代に可逆性の段階を変更する余地を残すため、処分場へ廃棄物を定置する段階(OECD/NEAの可逆性の第2段階に相当)から処分エリアを閉鎖する段階(OECD/NEAの可逆性の第3段階に相当)に進むまでに十数年~二十数年といった十分な期間をかけるべきである。
  • 地層処分場の開発プロセス全体を、閉鎖しない段階にとどめるオプションを将来世代に対して強制することは、安全上望ましくない。したがって、最初の監視期間後、安全上の観点から適切であると考えられる場合には、可逆性の第2段階から第3段階に進める決定を下すべきである。

Ÿ   【出典】

フランスの会計検査院(CDC)は、2014年5月27日付プレスリリースにおいて、放射性廃棄物の長期管理を含めた原子力発電事業の費用を検証した「原子力発電事業の費用に関する報告書」の更新版を公表した。

現在、フランスでは、2013年12月に国民議会に設置された「原子力発電の過去、現在、将来に係る様々な費用、原子炉の運転期間及び原子力発電とその商業利用に関する経済的、社会的、財務的影響等に関する調査委員会」(以下「調査委員会」という)が、原子力発電事業に関する費用について検証を行っている。この検証作業に用いる最新の費用算定結果を得るため、調査委員会は、2014年2月6日に会計検査院に対し、会計検査院が2012年に取りまとめた放射性廃棄物の長期管理を含む「原子力発電事業の費用に関する報告書」の内容を更新するよう要請していた1

今回の更新版の報告書において、放射性廃棄物に関わる今後の長期管理費用の試算総額は318億ユーロであり、2012年の報告書での284億ユーロに比べ増加している。ただし、会計検査院は、本試算は原子力発電事業者の計算に基づくものであり、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)の試算額と大きく異なる等、信頼を欠くものであると評価しており、より金額が確からしい放射性廃棄物管理事業に係る費用の見積りを行うべきであるとの見解を示している。

さらに、会計検査院は、放射性廃棄物管理事業に備えるため原子力事業者が積み立てる引当金の算定に採用する割引率(将来費用の現在価値への換算係数)に関する提言を示している。フランスでは、「原子力債務の資金確保に関する2007年3月21日のアレテ(省令)」において、割引率に上限値を設定している2 。昨今の経済状況の変化を反映して2012年の割引率の値は小さくなっており、その結果、原子力事業者が引き当てるべき金額が増加することに繋がり、原子力事業者の負担となっている。2013年の割引率はさらに低下する見込みであったことから、原子力事業者と政府は、割引率の上限の設定方法に関する見直しを協議している。会計検査院は、この協議において早急に設定方法を決定すべきであると提言している。

なお、調査委員会は、原子力発電事業に関する費用に関する調査結果を取りまとめた報告書を2014年6月に提出する予定である。

 

【出典】


  1. 財政裁判所法典L132-4条では、会計検査院またはその地方裁判所の管轄下にある組織の運営について、議会財政委員会及び調査委員会から要請があった調査を会計検査院が実施することが規定されている。 []
  2. 「原子力債務の資金確保に関する2007年3月21日のアレテ(省令)」の第3条では、割引率の上限値について「当期の決算日において確認された固定金利タイプ30年満期国債金利(TEC 30)の直近48ヶ月の算術平均に1ポイントを加算したものに等しい」と規定されているが、経済状況の変化により国債金利が低下している。原子力事業者は同規定に基づいて、2012年まで割引率を5%に設定してきたが、国債金利の低下に伴い、割引率は5%を下回っている。 []