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《フランス》2019~2021年を対象とした「放射性物質及び放射性廃棄物の管理に関する国家計画」(PNGMDR)に関する公開討論会が開始

フランスの国家討論委員会(CNDP)1は、2019年4月10日に自身のウェブサイトにおいて、政府が策定中の2019~2021年を対象とした「放射性物質及び放射性廃棄物の管理に関する国家計画」(PNGMDR)に関する公開討論会を2019年4月17日より開始するとし、討論会の日程を公表した。PNGMDRは、フランスにおける全ての放射性物質と放射性廃棄物の管理の現状分析と管理方策の実現に向けた取組(研究開発を含む)を取りまとめたものであり、公開討論会は2019年9月25日までの予定でパリをはじめ、フランス国内の各都市で開催される。

PNGMDRは2006年の放射性廃棄物等管理計画法により、政府による3年ごとの策定・改定が義務付けられており、前回2016~2018年を対象としたPNGMDRは2017年2月に公表されている。2017年の法改正2 を受けて、2019~2021年を対象とする新たなPNGMDRの策定に先がけて、公開討論会が開催されることとなった。

今回の公開討論会は、2018年2月に環境連帯移行省が国家討論委員会(CNDP)に対し、PNGMDRに関する公開討論会の実施を付託したものである。環境連帯移行省は、今回の公開討論会を地層処分プロジェクトに関する透明性強化の方針に沿ったものであると説明している。国家討論委員会(CNDP)は2018年中に、公開討論会を主導する特別委員会(CPDP)を設置し、以下のメンバーを任命していた。

  • イザベル・アレル=デュリトゥ(委員長):フランスにおける司法訴訟の最高裁判所である破棄院の首席書記官
  • ピエール=イヴ・ジュイエヌフ:農業経済学者であり、公衆参加や協議の分野の専門家
  • アントワーヌ・ティロワ:独マックスプランク研究所の理論物理学者
  • カトリーヌ・ラレール:哲学者、パリ第一大学教授
  • イサベル・バルト:元グルノーブル都市圏議員、CNDPが過去に実施した公開討論会の情報提供及び公衆参加を監督する2名の保証人(garants)を務めた経験を有する
  • ミッシェル・バドレ:土木技術者、社会経済環境審議会(CESE)の副会長
  • フィリップ・クエヴレモン:土木技術者、CNDPの保証人(garants)を務めた経験を有する
  • ジュリエット・ロワド:ニュース解説を専門とする組織の設立者、市民参加に関するコンサルタント

国家討論委員会(CNDP)は、PNGMDRに関する公開討論会のための特設ウェブサイト(https://pngmdr.debatpublic.fr/)を開設しており、同ウェブサイトから意見表明や討論を行えるプラットフォームにアクセスできる。また、TwitterやFacebook等のソーシャルネットワークサービス(SNS)やニュースレターによる情報発信も行われている。

公開討論会は、以下の日程で実施される予定である。

日程 開催都市 テーマ
2019年4月17日 パリ 開会
4月24日 カン CAFÉ PHILO : 放射性廃棄物について・・・次世代に何を引き継ぐのか?
5月18日~19日 パリ 15人の市民パネル会合
5月24日~25日 パリ PNGMDRとそのガバナンスに関する分野横断的な学生グループ会合
5月28日 リール 放射性物質及び放射性廃棄物の管理
6月4日 ヴァランス [討論会] 原子力発電所の廃止措置で発生する廃棄物の対応
6月6日 ナルボンヌ [討論会] ウラン転換によって発生する廃棄物とその管理
6月11日 シェルブール [討論会] 使用済燃料の再処理の戦略と長期的影響
6月13日 レンヌ 放射性物質及び放射性廃棄物の管理
6月18日 ヌヴェール [討論会] 使用済燃料の貯蔵容量ひっ迫への対応
6月20日 バール・ル・デュック [討論会] 地層処分以外の最終処分のオプション
6月25日 リヨン CAFÉ PHILO : 放射性廃棄物に関するリスクとは?
6月27日 サクレー [討論会] 放射性物質と廃棄物との区別
7月2日 ボルドー 放射性物質及び放射性廃棄物の管理
7月4日 ルーアン [討論会] 放射性物質の輸送
7月9日 トゥール [討論会] 放射性廃棄物管理による健康や環境への影響
7月11日 ストラスブール 放射性物質及び放射性廃棄物の管理
9月4日 マルクール [討論会] 歴史的廃棄物
9月5日 サンテティエンヌ [討論会] 過去のウラン採掘サイトの健康や環境への影響
9月11日 パリ [討論会] 放射性物質と廃棄物の発生量の抑制
9月12日 グラヴリーヌ [討論会] 原子力事故で発生した廃棄物の管理
9月17日 トロワ [討論会] 長寿命低レベル放射性廃棄物の管理
9月19日 パリ [討論会] 放射性廃棄物管理のガバナンス
9月24日 パリ 公開討論会全体の振り返り
9月25日 パリ 閉会

 

【出典】

 

【2019年9月30日追記】

フランスの国家討論委員会(CNDP)は、2019~2021年を対象とした「放射性物質及び放射性廃棄物の管理に関する国家計画」(PNGMDR)に関する公開討論会について、2019年4月17日に開会した討論会が2019年9月25日に閉会したことを公表した。討論会期間中には全国で約20回の討論会等が開催され、一般から延べ3,000人を超える者が参加した。

一連の討論会では、PNGMDRを策定している環境連帯移行省と原子力安全機関(ASN)や、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)、放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)、フランス電力株式会社(EDF社)、Orano社等の関係機関に加え、グリーンピース等の環境保護団体等による説明に基づいて議論が行われた。公開討論会の特設ウェブサイト上には、討論会で使用された説明資料のほか、関係機関や環境保護団体等が一般公衆向けに取りまとめた資料等、合計約300件の資料が集約されており、閲覧可能となっている。

CNDPは今後、2019年11月25日までに、公開討論会を総括する報告書を公表する予定である。

【出典】

  1. 国家討論委員会(CNDP)は、環境に多大な影響を及ぼす大規模公共事業や政策決定を行うにあたり、事業実施主体の付託を受けて公開討論会を開催する独立した行政委員会である。 []
  2. 環境に重大な影響を及ぼす可能性のある意思決定に関する情報提供や公衆参加を確保するための手続き及び事業、計画等に係る環境影響評価に関する2017年4月25日のデクレ2017-626 []

(post by eto.jiro , last modified: 2023-10-10 )