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スイス

スイスの原子力安全に関する規制機関である連邦原子力安全検査局(ENSI)は、地層処分場の長期的な安全性を確保するために適用される目標を定めた新たな指針ENSI-G03「地層処分場の設計原則とセーフティケースに関する要件」(以下「ENSI-G03」という)を2009年4月2日付で策定した。この指針は、2008年3月18日に草案が公開され、意見聴取が行われていたものである。

同指針の解説書によれば、今回策定されたENSI-G03は、地層処分における具体的な防護目標を定めた1993年のHSK-R-21「放射性廃棄物処分に関する防護目標」(以下「HSK-R-21」という)に代わるものとされている。また、原子力令第11条では、連邦原子力安全検査局(ENSI)が指針によって地層処分場の具体的な設計原則を規定することが定められており、同解説書においてENSIは、ENSI-G03の策定によってENSIは原子力令の要請を満たしたとしている。

ENSI-G03では、地層処分の長期的な安全性を確保するための防護目標及び防護基準、ならびに地層処分場の要件を定めるだけでなく、地層処分場のセーフティケースの手続きを規定している。このうち、地層処分場の閉鎖後段階に関する防護基準については、発生確率の高いものと低いものとに区分され、以下の2つが定められている。

防護基準1 将来の変遷のうち、発生確率が高いと分類されたものについては、放射性核種の放出による個人線量が、年間0.1mSvを上回ることがないようにすべきである。
防護基準2 将来の変遷のうち、発生確率が低いと分類されたものについては、放射線による追加的な健康リスクが年間100万分の1を上回ることがないようにすべきである。

ENSI-G03では、安全評価においてこの防護基準が100万年までの期間にわたって遵守されるべきとされている。なお、これらの防護基準に示されている個人線量と健康リスクの値は、HSK-R-21に示された値から変更されていない。

地層処分場のセーフティケースについては、許可手続の各段階(概要承認及び建設、操業、閉鎖)において、許可申請者が地層処分場の操業段階、閉鎖後段階のそれぞれに対応するセーフティケースを提出することが求められている。ENSI-G03によれば、セーフティケースは、地層処分場の長期的な挙動とその放射線学的影響に関する安全評価に依拠した、閉鎖後の地層処分場の長期安全性に関する総合的な評価であるとされている。また、このセーフティケースには、安全評価の実施方法と使用されたデータの評価などが含まれるとされている。

一方、原子力法第37条は、処分場が閉鎖されるまで多額の費用を伴わない放射性廃棄物の回収可能性が維持されなければならないと規定している。ENSI-G03では、操業段階において地層処分場の長期的安全性が保証されないことが明らかになった場合には、廃棄体を回収しなければならないと規定している。

【出典】

  • 連邦原子力安全検査局(ENSI)ウェブサイト、ENSIのガイドライン一覧
    http://www.ensi.ch/index.php?id=146&no_cache=1&tx_damdownloads_pi1[pointer]=1
  • 原子力施設安全本部(HSK)、Protection Objectives for the Disposal of Radioactive Waste, Guideline for Swiss Nuclear Installations HSK-R-21, November 1993
  • ENSI, Spezifische Auslegungsgrundsätze für geologische Tiefenlager und
    Anforderungen an den Sicherheitsnachweis (ENSI-G03), (「地層処分場の設計原則とセーフティケースに関する要件」)、2009年4月2日 http://www.ensi.ch/fileadmin/deutsch/files/G-003_D.pdf
  • ENSI, Spezifische Auslegungsgrundsätze für geologische Tiefenlager und Anforderungen an den Sicherheitsnachweis. Erläuterungsbericht zur Richtlinie,
    (「地層処分場の設計原則とセーフティケースに関する要件」解説書)、2009年4月
    http://www.ensi.ch/fileadmin/deutsch/files/G-003_D_Erlaueterungsbericht.pdf
  • Kernenergiegesetz(原子力法)、http://www.admin.ch/ch/d/sr/7/732.1.de.pdf
  • Kernenergieverordnung(原子力令)、http://www.admin.ch/ch/d/sr/7/732.11.de.pdf

スイスの環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)及び連邦エネルギー庁(BFE)は、2008年11月6日付のプレスリリースにおいて、放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が提案している地層処分場の建設に適した地質学的候補エリアを公表した。公表された地質学的候補エリアは、低中レベル放射性廃棄物(LILW)及び高レベル放射性廃棄物(HLW)に対してそれぞれ6エリア及び3エリアで、NAGRAが2008年10月末にBFEへ提出していた報告書において示されていたものである。今後、約10年間にわたる3段階の選定手続きによって、詳細な検討が行われて処分場サイトが絞り込まれる予定となっている。

スイスでは、放射性廃棄物の処分場サイトを透明性の高い参加型手続によって評価・選定するため、サイト選定基準や手続を特別計画「地層処分場」(以下「特別計画」という)の方針部分(詳細は こちら)に規定することとしている。この特別計画は2008年4月に連邦評議会によって承認されていた 。特別計画では、3段階の手続でサイト選定を行うこととなっており、第1段階は、廃棄物処分義務者(実際には放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA))が特別計画に示されている安全及び技術的な実現可能性に関する基準に従い選定した地質学的候補エリアを提案することで開始される。NAGRAでは、2008年中に地質学的候補エリアを提案するために準備を進めていた

今回、放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)によって提案された地質学的候補エリアは以下の通りである。ただし、地質学的候補エリアの提案は、サイトの決定を意味するものでなく、今後の検討のための基礎となるものであるとされている。なお、高レベル放射性廃棄物(HLW)の地質学的候補エリアでは、全ての種類の放射性廃棄物を同一サイトに処分することも検討されることとなっている。

放射性廃棄物 地質学的候補エリア 面積 岩種
高レベル放射性
廃棄物(HLW)
チュルヒャー・ヴァインラント
(チューリッヒ州・トゥールガウ州)
約50km2 オパリナス粘土
北部レゲレン
(チューリッヒ州・アールガウ州)
約65km2 オパリナス粘土
ベツベルク
(アールガウ州)
約27km2 オパリナス粘土
低中レベル放射性
廃棄物(LILW)
ジュートランデン
(シャフハウゼン州)
約24km2 オパリナス粘土
チュルヒャー・ヴァインラント
(チューリッヒ州・トゥールガウ州)
約50km2 オパリナス粘土
北部レゲレン
(チューリッヒ州・アールガウ州)
約65km2 オパリナス粘土
ベツベルク
(アールガウ州)
約60km2 オパリナス粘土
ジュラ・ジュートフス
(ゾロトゥルン州・アールガウ州)
約65km2 西部:オパリナス粘土
東部:泥灰岩(マール)
ヴェレンベルク1)
(ニドヴァルデン州・オプヴァルデン州)
約6km2 泥灰岩
(マール)
(放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)ウェブサイトから作成)

【注1】
ヴェレンベルグでは、1994年に低中レベル放射性廃棄物処分場が計画されたが、1995年及び2002年に2度の州民投票が実施された。2度とも否決されたため計画は断念された。

プレスリリースによれば、地質学的候補エリアの住民を対象とする説明会が2008年11月18日から12月17日にかけて順次開催される。説明会では、州政府の代表、連邦エネルギー庁(BFE)、原子力施設安全本部(HSK)、放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が説明を行い、住民からの質問に答えるとされている。また、今後、連邦政府は州と協力して、関係自治体及び地域住民がサイト選定手続に参加できるよう準備を進め、自治体や住民の利益や要望が考慮されるように進めていくことが示されている。

また同プレスリリースによれば、NAGRAは、原子力法によって提出が義務付けられている放射性廃棄物管理プログラムも地質学的候補エリアに関する報告書と同時にBFEに提出している。

【出典】

  • 環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)、2008年11月6日付プレスリリース
    http://www.uvek.admin.ch/dokumentation/00474/00492/index.html?lang=de&msg-id=22594
  • 連邦エネルギー庁(BFE)、2008年11月6日付プレスリリース
    http://www.bfe.admin.ch/energie/00588/00589/00644/index.html?lang=de&msg-id=22594
  • 放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)ウェブサイト http://www.nagra.ch/
  • 特別計画「地層処分場」方針部分(2008年4月2日)
    http://www.news-service.admin.ch/NSBSubscriber/message/attachments/11679.pdf〔約5MB〕

【2008年11月21日追記】

地層処分場の地質学的候補エリアが含まれる7つの州は、連邦エネルギー庁(BFE)による2008年11月6日の処分場の地質学的候補エリアの公表を受けて、同日付でプレスリリースを発表した。これらのプレスリリースでは、トゥールガウ州以外の6つの州政府は、地質学的候補エリアに選定されたことに対する否定的な見解を示している。このうち、高レベル放射性廃棄物(HLW)処分場の地質学的候補エリアを含むチューリッヒ州は、同州が空港や金融など、スイス全体の中で占める特別な負担が多いとして、提案を拒否するとしている。また、同じくHLW処分場の地質学的候補エリアを含むアールガウ州は、すでに州内に2つの原子力発電所と1つの中間貯蔵施設があることから、原子力分野における全ての義務を負うことはできないとしている。一方、トゥールガウ州は、今後のサイト選定手続に対して積極的な協力を行うとしている。

  • チューリッヒ州政府、2008年11月6日付プレスリリース
    http://www.sk.zh.ch/internet/sk/de/mm/2008/285.html
  • アールガウ州政府、2008年11月6日付プレスリリース
    http://www.ag.ch/medienmitteilung/de/pub/medienmitteilungen.php?controller=Mitteilung&MitteilungsId=4720&navId=Medienmitteilungen
  • シャフハウゼン州政府、2008年11月6日付プレスリリース
    http://www.sh.ch/News.316.0.html?&tx_ttnews[pointer]=1&tx_ttnews[tt_news]=259&tx_ttnews[backPid]=1&cHash=e68373468b
  • ゾロトゥルン州政府、2008年11月6日付プレスリリース
    http://www.so.ch/fileadmin/internet/sk/sksek/pdf/medienmitteilungen/2008/november/pmSachplanTiefenlager.pdf
  • ニドヴァルデン州政府、2008年11月6日付プレスリリース
    http://www.nw.ch/dl.php/de/4912de8b961dc/11-06_tiefenlager.pdf
  • オプヴァルデン州政府、2008年11月6日付プレスリリース
    http://www.ow.ch/dl.php/de/4912dbff969d1/08_87_Ablehnung_Tiefenlager_Wellenberg.pdf
  • トゥールガウ州政府、2008年11月6日付プレスリリース
    http://www.tg.ch/xml_1/internet/de/file/modul/news/html.cfm?config=4608F97F-E7F2-64D4-A05B83C3558022BB&did=1&lid=1&lg=DE&userLG=DE&newsID=11368&archiv=1

【2009年5月7日追記】

連邦エネルギー庁(BFE)は、2009年5月1日付のプレスリリースにおいて、環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)が、サイト選定手続の実施において独立した立場で同省を支援する処分場諮問委員会を設置し、委員長を含む6名の委員を任命したことを公表した。本委員会は、特別計画「地層処分場」でUVEKが設置することになっていたものであり、その任務として以下が示されている。

  • サイト選定手続において紛争・リスクを早期に把握し、解決策を立案するための支援を行う。
  • 国家的観点から立場、見解、意見を評価し、UVEKへの勧告を行う。
  • サイト選定手続において独立した見解を示すとともに、UVEKに助言を行う。
  • ステークホルダー間の対話を推進し、連邦の広報活動を支援する。

【追記出典】

  • 連邦エネルギー庁(BFE)、2009年5月1日付プレスリリース
    http://www.bfe.admin.ch/energie/00588/00589/00644/index.html?lang=de&msg-id=26683
  • 特別計画「地層処分場」方針部分(2008年4月2日)
    http://www.news-service.admin.ch/NSBSubscriber/message/attachments/11679.pdf〔約5MB〕

【2009年6月22日追記】

連邦原子力安全検査局(ENSI)は、2009年6月19日付のプレスリリースにおいて、特別計画「地層処分場」の枠組みの中で設置された安全技術フォーラムが、2009年6月18日に最初の会合を開いたことを公表した。同フォーラムは、連邦エネルギー庁(BFE)、ENSI、放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)、州などの専門家やサイト地域の代表から構成されるもので、安全性と地質についての住民や地質学的候補エリアの自治体等からの質問を検討し、回答するものである。同フォーラムは年4回開催され、寄せられた質問とその回答は公開されることとなっている。

【追記出典】

  • 連邦原子力安全検査局(ENSI)、2009年6月19日付プレスリリース
    http://www.ensi.ch/index.php?id=165&tx_ttnews[tt_news]=228&tx_ttnews[backPid]=1&cHash=8692ad610b
  • 安全技術フォーラム・ウェブサイト
    http://www.bfe.admin.ch/radioaktiveabfaelle/01277/01309/01327/02622/index.html?lang=en

スイスの連邦エネルギー庁(BFE)は、2008年4月2日付のプレスリリースにおいて、地層処分場のサイト選定手続等を定めた特別計画「地層処分場」(以下「特別計画」という)のうち方針部分(詳細は こちら)を連邦評議会が承認したことを公表した。同プレスリリースによれば、今回の承認によって地層処分場のサイト選定を開始することが可能になったとしている。

特別計画は、放射性廃棄物の処分場サイトを公正で透明性の高い参加型手続によって評価・選定するための基準や手続を定めたものである。今回承認された特別計画は、公表されていた草案を基に、連邦省庁、各州、近隣諸国などにより、2年間に亘って詳細に検討されたものである

特別計画に示されたサイト選定は、以下の3段階の手順で進められる

  1. 低中レベル放射性廃棄物(LILW)と高レベル放射性廃棄物(HLW)それぞれに複数の地質学的候補エリアを選定
  2. LILW、HLWそれぞれについて少なくとも2カ所以上の処分場候補サイトを選定
  3. LILW、HLWそれぞれについて処分場サイトを1カ所選定(または全ての廃棄物を処分する処分場サイトを1カ所選定)し、概要承認手続を開始

承認された特別計画に示されたスケジュールによれば、上記のサイト選定と概要承認の発給は2016年から2018年まで1 に完了するとされている。また、特別計画では、概要承認発給以降のスケジュールが変更され、以下のように示されている。

手続 時期
概要承認に対する連邦会議(上下両院の合同会議)の承認(1年) 2017~19年まで
地球科学的調査と地下特性調査施設の建設許可手続(2-4年) 2019~23年まで
処分場サイトでの地下特性調査施設の建設・操業、地層処分場の建設許可手続(LILWの場合6-8年、HLWの場合16-18年) LILWの場合:
2025~31年まで
HLWの場合:
2035~41年まで
処分場の建設と操業許可手続(5-7年) LILWの場合:
2030~38年まで
HLWの場合:
2040~48年まで
処分場の操業開始 LILWの場合:
2030年以降
HLWの場合:
2040年以降

BFEのプレスリリースによれば、連邦評議会は、原子力法により廃棄物処分義務者(実際には放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA))が提出を義務付けられている処分の実施計画などを含んだ放射性廃棄物管理プログラムについて、地質学的候補エリアの提案と同時に提出させることを決定したとしている。

なお、NAGRAの2008年4月2日付プレスリリースによると、NAGRAは、サイト選定の開始となる地質学的候補エリアの提案を2008年中に行うことを示している。

【出典】

  • 連邦エネルギー庁(BFE)、2008年4月2日付プレスリリース
    http://www.bfe.admin.ch/energie/00588/00589/00644/index.html?lang=de&msg-id=18051
  • BFE、特別計画「地層処分場」(2008年4月2日)
    http://www.bfe.admin.ch/radioaktiveabfaelle/01277/01306/index.html?lang=de&dossier_id=01374
  • 放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)、2008年4月2日付プレスリリース
    http://www.nagra.ch/index1.tpl?lang=3&iid=l118a1b10&iid2=118&r=122&cart=11515509182686571

  1. 概要承認の発給時期については追加のボーリング調査の必要性により変動する。 []

スイス連邦議会のウェブサイトによると、2007年6月22日に「連邦原子力安全検査局(ENSI)に関する連邦政府の法律」(以下「ENSI法」という)の法案が連邦議会で可決された。ENSI法は、現在のスイスにおける原子力部門の監督機関である原子力施設安全本部(HSK)をENSIに改組することを目的としたものである。

スイスの原子力法では、原子力部門の監督機関の独立について規定されている。しかし、現在の監督機関である原子力施設安全本部(HSK)は、組織上、許可発給機関である環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)が所轄する連邦エネルギー庁(BFE)の一部であり、許可発給機関からの独立が確保されていない。今回可決されたENSI法によれば、HSKは連邦原子力安全検査局(ENSI)に改組され、ENSIは法人格を持った連邦政府の機関となり、連邦評議会1 の監督を受けることとなる。ENSI法によれば、ENSIは、ENSI評議会、組織運営部門、監査部門によって構成される。ENSI評議会はENSIの戦略的な目標の策定や業務の遂行の監督などを行うもので、専門家の中から連邦評議会により選任された5~6名の評議員によって構成されることとされている。また、ENSI法によれば、現在のHSKの人員はENSIに移管されることになっている。

なお、原子力部門における諮問機関である原子力施設安全委員会(KSA)のウェブサイトによると、KSAは初期の法案の段階では廃止されることになっていたが、今回連邦議会によって可決されたENSI法案では、KSAに代わり原子力安全委員会(KNS)が設置されることとなっている。

ENSI法は、2006年10月18日に連邦評議会によって法案が策定されており、その後、連邦議会において審議が行われていた。ENSI法は今回の連邦議会での法案の可決により、任意の国民投票2 が行われなかった場合、2008年1月1日から施行されることとなっている。

【出典】

  • Kernenergiegesetz(原子力法)、http://www.admin.ch/ch/d/sr/7/732.1.de.pdf
  • Bundesgesetz über das Eidgenössische Nuklear-Sicherheitsinspektorat(ENSIG)(連邦原子力安全検査局(ENSI)に関する連邦政府の法律)、2007年6月22日
  • 連邦エネルギー庁(BFE)、2006年10月18日付プレスリリース、http://www.bfe.admin.ch/energie/00588/00589/00644/index.html?lang=de&msg-id=7741
  • 原子力施設安全委員会(KSA)ウェブサイト、http://www.ksa.admin.ch/website/front_content.php?client=1&lang=1&sid=80d290402c4e2f9e36efa0b50c70b565
  • Bundesverfassung der Schweizerischen Eidgenossenschaft(スイス連邦憲法)

【2007年10月23日追記】

連邦エネルギー庁(BFE)は、2007年10月17日付プレスリリースにおいて、2007年6月22日に連邦議会で可決された「連邦原子力安全検査局(ENSI)に関する連邦政府の法律」案について、任意の国民投票は実施されず、国民投票期間が終了したことを公表した。同法におけるENSI評議会に関する規定は、2008年1月1日に施行され、その他の規定は2009年1月1日に施行されるとしている。これによりENSI評議会は2008年初めに設立され、2009年初めの原子力施設安全本部(HSK)からENSIへの移行の準備を行う。

また、同プレスリリースによると、2007年10月17日に、連邦評議会によってENSI評議会及び原子力安全委員会(KNS)の委員が選任された。

  • 連邦エネルギー庁(BFE)、2007年10月17日付けプレスリリース、http://www.bfe.admin.ch/energie/00588/00589/00644/index.html?lang=de&msg-id=15181

  1. 連邦評議会は、7人の大臣から構成される連邦における最高の指導的・執行的官庁であり、位置付けとしては内閣に相当する。ただし、議院内閣制ではないため、議会による不信任、連邦評議会による議会の解散などはない。 []
  2. 任意の国民投票は憲法で定められたもので、連邦法などについて、公布後100日以内に有権者5万人または8つの州の請求があった場合に、その法律の施行の是非について国民投票を行う制度である。 []

スイスの連邦エネルギー庁(BFE)は、2007年4月23日付のプレスリリースにおいて、地層処分場のサイト選定手続きなどを定めた、特別計画「地層処分場」(詳細は こちら)(以下「特別計画」という)の方針(以下「特別計画の方針」という)の草案に対する意見聴取が終了したことを公表した。意見聴取においては、スイス以外にドイツやオーストリアの諸機関や個人から意見の表明があったとされている。

特別計画「地層処分場」の方針の草案は、2006年3月15日に公表され、改訂後の最新版が2007年1月11日に公表されていた。この最新の草案に対する意見聴取が、2007年1月15日から4月20日まで行われていたが 、今回公表されたプレスリリースは、この意見聴取が終了したことを伝えるものである。

同プレスリリースによると、意見聴取期間中に、スイス、ドイツ、オーストリアの当局、スイスの州及び様々な組織から、約150の意見が提出された。内訳は、スイスから125件、ドイツから22件、オーストリアから3件とされている。また、主に共同提出であるが、個人からも約1万600件の意見が提出されたとされている。

プレスリリースでは、表明された意見の中の重要な点として、地層処分場のサイト選定から操業に至るスケジュール、及び新規原子力発電所を将来稼動させた場合の処分場の拡張の可能性が挙げられている。また、サイト選定手続に関係する州の主要な役割をより明確にすべきであるという意見もあったことが示されている。

提出された意見は、今後、環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)により詳細に分析・評価され、特別計画の方針の改訂において考慮されることとなっている 。また、連邦評議会が2007年夏頃に、特別計画の方針を決定し、議論されている諸問題について結論を下すこととされている。その後、放射性廃棄物の処分責任を有する放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が当局の監督の下、サイト選定手続を実施することとされている。更に、今世紀の半ばまでに地層処分場の操業を開始することが目標として示されている。

【出典】

  • 連邦エネルギー庁(BFE)、2007年4月23日付プレスリリース、http://www.bfe.admin.ch/energie/00588/00589/00644/index.html?lang=de&msg-id=12200
  • 連邦エネルギー庁(BFE)、特別計画「地層処分場」の方針の草案(最新改訂版)、2007年1月11日、http://www.entsorgungsnachweis.ch/media/dokumente/Sachplan/Sachplan_
    geologische_Tiefanlager070111_d.pdf

スイスの連邦エネルギー庁(BFE)は2006年6月28日付プレスリリースにおいて、放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)の「処分の実現可能性実証プロジェクト」が連邦評議会による承認を受けたことを公表した。今回の連邦評議会による承認は、スイスにおいて高レベル放射性廃棄物、使用済燃料及び長寿命中レベル放射性廃棄物の処分のための地層処分場を建設することが、原則的に可能であることを確認するものである。今後は、連邦評議会が特別計画(詳細は こちら)「地層処分場」(既報、以下「特別計画」という)においてサイト選定手続及び基準を策定し、具体的なサイト選定手続が開始されることとなっている。

同プレスリリースによると、放射性廃棄物の処分の実現可能性の実証については1978年の「原子力法に関する連邦決議」によって求められており、2005年2月に施行された新しい原子力法においても定められている。NAGRAは結晶質岩と堆積岩に関する調査・研究を行った後、2002年12月にチュルヒャー・ヴァインラントのオパリナス粘土を対象とする「処分の実現可能性実証プロジェクト」報告書を公表していた

NAGRAの2006年6月28日付けプレスリリースによると、同報告書については、2003年から2005年にかけて、スイス連邦原子力施設安全本部(HSK)、放射性廃棄物管理委員会(KNE)、原子力施設安全委員会(KSA)、さらには経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)やドイツのサイト選定手続委員会(AkEnd)などがレビューを行い、高い評価を与えていたとしている。またNAGRAは連邦評議会に対して、今後のさらなる調査の対象を、サイト選定の可能性のあるチュルヒャー・ヴァインラントのオパリナス粘土に絞ることの承認も要求したが、連邦評議会はこの要求は退けている。

BFEのプレスリリースによると、今後の具体的なサイト選定手続は、2007年に開始されることになっている。それに先立ち、「特別計画」においてサイト選定手続が定められることとなっており、連邦評議会による「特別計画」の方針 の決定が2007年夏に行われることとなっている。また、高レベル放射性廃棄物の処分場は2040年に操業を開始し、低中レベル放射性廃棄物の処分場については、可能であればそれより前に操業開始できるようにする、という見通しを示している。

【出典】

  • 連邦エネルギー庁(BFE)、2006年6月28日付プレスリリース、http://www.bfe.admin.ch/energie/00588/00589/00644/index.html?lang=de&msg-id=5857
  • 放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)、2006年6月28日付プレスリリース、http://www.nagra.ch/index1.tpl?iid=l118a1b10&lang=3&iid2=118&r=[r]&cart=11515409532385429

スイス連邦エネルギー庁(BFE)は2006年3月15日付のプレスリリースにおいて、地層処分場のサイト選定に向けた手続きなどを定めた、特別計画(詳細はこちら)「地層処分場」(既報、 以下「特別計画」という)の一部をなす方針(以下「特別計画の方針」という)の草案を公表した。プレスリリースによると、特別計画の方針は継続的な情報公開、候補対象を3段階で絞る透明性の高いサイト選定手続き、関係する州、自治体及び隣国との協力を保証するものになるとされている。

今回公表された草案によると、特別計画の方針によって、放射性廃棄物を国内で処分するための諸前提が定められるとされている。特別計画は、処分場のサイト選定における安全技術等に関する基準を確定し、サイト選定手続きを定め、最終的に処分場サイトを決定するものであり、このうち特別計画の方針は、具体的なサイト等の特定をせずに手続きや基準のみを定めたものである。今回の草案によると、特別計画の方針は、連邦エネルギー庁(BFE)によって作成され、連邦評議会による承認を受けることにより、サイト選定手続きの実施作業の開始が可能となるとされている。

今回の特別計画の方針の草案では、サイト選定は以下のように3段階の手続きで進められることが示されている。

  1. 特別計画の方針で示された安全技術上の基準に従い、高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料(HLW)、低中レベル放射性廃棄物(LILW)1 のそれぞれについて、立地候補となる地域を選定
  2. HLW、LILWそれぞれについて、少なくとも2カ所以上の処分場候補サイトを選定
  3. HLW、LILWそれぞれについて、処分場サイトを1カ所選定(または全ての廃棄物を処分する処分場サイトを1カ所選定)

サイト選定後には、概要承認手続き(詳細は こちら)が行われることになる。

また、今回の特別計画の方針の草案では、スイスにおける今後の地層処分場のサイト選定に向けたスケジュールが以下のように示されている。

手続き 時期 内容

特別計画

地層処分場

特別計画の方針の策定 2007年 連邦評議会が特別計画の方針を承認
特別計画の実施 ~2013年/2016年2 ・特別計画の方針(安全技術基準)に基づき、HLW及びLILWそれぞれについて立地候補となる地域を選定【2~3年】
・社会経済的影響調査、空間開発計画などの評価、2ヶ所以上の処分場候補サイトにおいてプロジェクトの具体化【2~3年】
・HLW及びLILWそれぞれについての概要承認申請書の準備及び提出(必要に応じて地球科学的調査を実施)【2~3年】
概要承認手続き ~2017年/2020年 HLW及びLILWそれぞれについての連邦評議会による概要承認の発給【2年】
HLW及びLILWそれぞれについての概要承認発給に関する議会による承認、国民投票による可決【2年】
建設許可手続き ~2021年 /2028年 HLW及びLILWそれぞれについての建設許可手続き、必要に応じた地球科学的調査の追加実施 【4~8年】
岩盤研究所・地下坑道の建設・操業、操業許可 LILW
~2028年/2035年
LILW処分に向けた岩盤研究所の建設と操業準備【約4年】、岩盤研究所の操業【約3年】
処分場の操業許可申請書の作成・準備
HLW
~2038年/2045年
HLW処分に向けた地下坑道と岩盤研究所の建設【約7年】、岩盤研究所の操業【約10年】
処分場の操業許可申請書の作成・準備
操業開始 LILW
2030年~
LILW処分場の操業開始
HLW
2040年~
HLW処分場の操業開始


【出典】

  • 連邦エネルギー庁(BFE)、2006年3月15日付プレス リリース、http://www.bfe.admin.ch/energie/00588/00589/00644/index.html?lang=de&msg-id=3766
  • BFE、特別計画「地層処分場」の方針案(改訂版)、2006年3月15日、http://www.news.admin.ch/NSBSubscriber/message/attachments/2205.pdf
  • 原子力法、 http://www.admin.ch/ch/d/sr/7/732.1.de.pdf
  • 原子力令、 http://www.admin.ch/ch/d/sr/7/732.11.de.pdf

【2007年1月15日追記】

2007年1月12日付連邦エネルギー庁(BFE)プレスリリースによると、連邦環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)は、特別計画の方針の草案の最新改訂版を国内外の関係自治体などに提出し、意見聴取手続を開始した。意見聴取期間は2007年4月20日までの予定である。UVEKは意見聴取の結果を、特別計画の方針の最終化に当たり考慮することとしている。その後、2007年の夏頃に連邦評議会により、特別計画の方針の決定が行われることが見込まれている。
なお、特別計画の方針の草案については、2006年3月15日の公表後、諮問ワークショップ及びフォーカスグループにおける議論 等を踏まえ、2007年1月11日には最新改訂版が公表されていた。

  • 連邦エネルギー庁(BFE)、2007年1月12日付プレスリリース、 http://www.entsorgungsnachweis.ch/news.php?userhash=&lID=1&newsID=48
  • BFE、特別計画「地層処分場」の方針の草案(最新改訂版)、2007年1月11日、 http://www.entsorgungsnachweis.ch/media/dokumente/Sachplan/Sachplan_geologische_Tiefanlager070111_d.pdf

【2007年3月27日追記】

スイスの特別計画「地層処分場」の方針部分の草案に対する意見聴取について、ドイツの連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)が設置した専門家グループが行った評価が公表された。2007年3月26日付ドイツ連邦放射線防護庁(BfS)プレスリリースによると、専門家グループは、特別計画が透明性のある選定手続を可能とするものであり、国際的な防護目標や高度な安全基準を考慮したものであると評価している。また、ドイツが潜在的な隣接国として、サイト選定手続に当初から参画できるようにすべきであると勧告している。

なお、ドイツでは、スイスの地層処分場が国境地域に設置される可能性があることから、サイト選定に対する関心が高く、専門家グループはそうした諮問のために設置されたものである。

  • ドイツ連邦放射線防護庁(BfS)、2007年3月26日付プレスリリース、http://www.bfs.de/bfs/presse/pr07/pr0704.html

  1. アルファ廃棄物(アルファ線放射体の含有量が20,000Bq/gを超える廃棄物)は分類され、一部はHLWの処分場、残りはLILWの処分場に処分することが今回の特別計画の方針の草案で示されている。 []
  2. 別途ボーリング調査などが必要な場合、期間が変動する。 []

連邦エネルギー庁(BFE)は2006年2月15日付のプレスリリースにおいて、スイスにおける地層処分場のサイト選定に向けた手続きなどを定めた、地層処分場の特別計画(詳細は こちら)(Sachplan Geologische Tiefenlager、以下「特別計画」という)の策定に関する現在の見通しを公表した。

スイスでは、連邦政府が空間及び環境に大きな影響を与える事業を行う際に、当該事業に関する特別計画を定めることが都市計画法・令において求められている。連邦評議会は2004年12月に、地層処分場についてもこの特別計画を策定し、サイト選定手続き及び適用されるべき判断基準などをその中で定めることを決定した。2005年2月に施行された原子力令には、この特別計画の策定に関する規定が盛り込まれている。
連邦政府は、この特別計画を策定することにより、空間利用計画の観点から関連する事業に関する全ての影響を適切に調整し、公的機関、その他利害関係を有する組織に加え、影響を受ける州、自治体、周辺国の当局などを早い段階から手続きに関与させることを保証するとしている。

同プレスリリースによると、BFEは連邦評議会の指示の下、特別計画の策定のための基礎的な作業を行っており、この特別計画の一部をなす方針(事業目標及びその達成に向けた枠組みなどを定める部分、以下「特別計画の方針」という)について、現段階では草案の第一次案が準備されたところとしている。BFEは国土計画庁(ARE)との共同作業の下、以下のような特別計画の策定プロセスを立案している。

  • 2006年3月中旬:BFEが特別計画の方針(案)を公表し、州の関係部署への意見聴取を実施
  • 2006年6~8月:意見の反映がなされた特別計画の方針(案)について、諮問ワークショップ及びフォーカスグループが協力体制の下で議論を実施。その結果を連邦官庁及び近隣諸国に提示し、意見聴取を実施
  • 2006年11月頃:それまでの意見聴取・議論などを踏まえ、広範囲にわたる意見聴取の実施のために、最新の特別計画の方針(案)を連邦官庁及び近隣諸国、国内の関係諸機関に対して提示
  • 2007年前半:連邦評議会が各州への意見聴取後、特別計画の方針に関する決定を行う見込み

同プレスリリースでは、処分場のサイト選定については、まずスイス全体を対象に検討を行い、次第に候補を絞り込むことがこの特別計画(詳細は こちら)の方針の中で示されるとしている。この流れを受けて、2004年9月に放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)は連邦環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)より、高レベル放射性廃棄物の処分場に関して、チュルヒャー・ヴァインラントの代替候補地域を提示する報告書の提出を求められ 、2005年9月にこの報告書を公表している

2006年には連邦評議会が処分の実現可能性実証プロジェクトに対する決定を行う予定となっているが、その際に この特別計画の方針によって、高レベル放射性廃棄物の処分場に関する将来的な手続きが示されるとしている。なお、原子力法に基づいて放射性廃棄物の管理義務を負う者が放射性廃棄物管理プログラムを作成することが求められているが、NAGRAはプログラム作成のためには、連邦評議会のこうした決定によって、具体的な条件などが示されるのを待つ必要があるとしている。

【出典】

  • 連邦エネルギー庁(BFE)、2006年2月15日付プレスリリース、http://www.energie-schweiz.ch /internet/medienmitteilungen/04123/index.html?lang=de
  • 放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)2004年年次報告書、2005年4月
  • 原子力令、http://www.admin.ch/ch/d/sr/7/732.11.de.pdf
  • 都市計画法、http://www.admin.ch/ch/d/sr/7/700.de.pdf
  • 都市計画令、http://www.admin.ch/ch/d/sr/7/700.1.de.pdf
  • 国土計画庁、連邦の方針及び特別計画(都市計画法第13条)、1997年12月

【2006年10月18日追記】

連邦エネルギー庁(BFE)は、2006年10月13日付プレスリリースにおいて、2006年6月から8月にかけて、特別計画の方針案に関し諮問ワークショップ が開催され、フォーカスグループにおける議論2)が実施されたことを公表した1 。また、それらの結果を取りまとめた報告書がBFEウェブサイト上に掲載された。

【追記部出典】

  • 連邦エネルギー庁(BFE)、2006年10月13日付プレスリリース、http://www.bfe.admin.ch/energie/00588 /00589/00644/index.html?lang=de&msg-id=7684

  1. 諮問ワークショップは、様々な組織や政党の代表によるワークショップで2006年6月16日に開催された。また、今回のフォーカスグループにおける議論は、2006年6月から8月にかけて、ラッペルスビル、ベルン、ローザンヌ、ノイエンブルク、オルテンの5ヶ所で 開催された。 []

スイスの連邦環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)は2005年9月12日付のプレスリリースにおいて、2002年末に放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が提出した「処分の実現可能性実証プロジェクト」報告書に関する連邦当局による技術的な検証作業が、同日公表された評価文書及び報告書をもって終了したことを発表した。また、2004年9月に連邦環境・運輸・エネルギー・通信相がNAGRAに対し、チュルヒャー・ヴァインラント地域の代替案となる高レベル放射性廃棄物処分場の候補地域の提示のために作成を要請 した、NAGRAのオプション報告書も公表された。「処分の実現可能性実証プロジェクト」は1978年に連邦政府によってその実施が求められたもので、2002年12月にNAGRAはチュルヒャー・ヴァインラントのオパリナス粘土を対象とする「処分の実現可能性実証プロジェクト」報告書を発表している

今回のプレスリリースによると、以下の4つの文書によって、評価文書を含む「処分の実現可能性実証プロジェクト」報告書に関連するすべての報告書類が揃ったことになる。

NAGRAのオプション報告書:
NAGRAは地質学的観点から、高レベル放射性廃棄物処分場の候補サイトとして、母岩候補が存在する地域とその岩種、具体的に候補となりうる区域などを記述し、オパリナス粘土とその他の候補となる母岩(結晶質岩と、下部淡水モラッセの粘土層)を比較して、オパリナス粘土の母岩が安全性の観点からみて優位にあるという判断を提示。
処分の実現可能性実証プロジェクトに関する原子力施設安全本部(HSK)の検証:
HSKは、使用済燃料、ガラス固化された高レベル放射性廃棄物及び長寿命中レベル放射性廃棄物に関して、法律で定められた処分の実現可能性の実証が、NAGRAによって適切に実施されたという全体的な見解を提示。
高レベル放射性廃棄物処分の歴史的な経緯に関するHSKの報告書:
HSKは、一般公衆を対象に、高レベル放射性廃棄物処分に関する歴史的な経緯を読みやすいパンフレット形式でまとめ、処分の実現可能性実証のためにチュルヒャー・ヴァインラントのオパリナス粘土が選択された理由を説明。
処分の実現可能性実証に関する原子力施設安全委員会(KSA)の見解表明:
KSAは、スイスにおける高レベル放射性廃棄物処分の実現可能性の実証がNAGRAによって適切に実施されたと結論。


同プレスリリースでは、2005年9月13日から2005年12月12日までの間、関連する全ての文書が公表され、スイス国内のみならず隣接する外国を含めて、関心を有するすべての州、地方自治体、組織及び個人などが、これらの報告書に関する意見を表明することができるとされている。また、この意見収集手続きにおいて、関連する当局、住民及び隣接する外国に対する情報の公開とその継続的な提供が連邦環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)にとって重要であると述べられている。このために、連邦エネルギー庁(BFE)はチュルヒャー・ヴァインラントのあるチューリッヒ州の建設局との協力により、2005年9月17日に同州内の自治体の一つであるマルタレンにおいて、地域住民への情報提供のための集会を開催するとしている。

また、2005年9月9日には、BFE関連の放射性廃棄物処分に関する情報公開用ウェブサイトのプレスリリースにおいて、チュルヒャー・ヴァインラント北部での「処分の実現可能性実証プロジェクト」の社会・経済的な影響に関する調査が実施されたことが報じられ、調査報告書が公開された。同プレスリリースによると、この調査は、高レベル放射性廃棄物処分場の建設及び操業が、チュルヒャー・ヴァインラント北部地域の経済及び地元住民の生活の質に与える影響についての調査を目的として、NAGRAの費用負担で、同地域の3つの自治体の代表などからなるオパリナス・ワーキンググループにより実施されたものである。

さらに同プレスリリースは、この調査と並行して、BFEにより、国内外において建設または建設予定の地層処分場に関して、社会・経済的な影響に関する基礎的な調査が実施されており、調査の結果が2005年末に公表される予定としている。

「処分の実現可能性実証プロジェクト」に関する関連評価書・報告書類は以下のサイトで閲覧が可能である。
http://www.entsorgungsnachweis.ch/index.php?navID=39&userhash=457211&lID=1

【出典】

  • BFE関連の放射性廃棄物処分に関する情報公開用ウェブサイトのプレスリリース(2005年9月9日) (http://www.entsorgungsnachweis.ch/news.php?userhash=&lID=1&newsID=35)
  • 連邦環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)プレスリリース(2005年9月12日)(http://www.energie-schweiz.ch/imperia/md/content/medienmitteilungen/mm07-122005/24.pdf)

【2005年12月15日追記】

連邦環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)は、2005年12月13日付けのプレスリリースにおいて、2005年12月12日をもって高レベル放射性廃棄物の処分の実現可能性実証に関して公開された文書及び報告書についての意見聴取期間が終了したことを発表した。

同プレスリリースによると、連邦エネルギー庁(BFE)の下には約3,800件の見解が寄せられ、その内訳はスイス国内の個人、州、市町村、政党などから825件、ドイツは連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)からのものも含めて2,770件、オーストリアから200件、フランスから5件となっている。

また、同プレスリリースによると、BFEは今後数ヶ月をかけて寄せられた見解の分析を行い、報告書を取りまとめるとしている。また、連邦評議会はこの報告書及び「処分の実現可能性実証プロジェクト」に関連する文書に基づいて、2006年上半期には処分の実現可能性が実証されたかどうかの判断を行うとしている。

  • 連邦環境・交通・エネルギー・通信省(UVEK)プレスリリース(2005年12月13日)
    (http://www.uvek.admin.ch/dokumentation/00474/00492/index.html?lang=de&msg-id=1189)

【2006年6月20日追記】

2006年6月15日、連邦エネルギー庁(BFE)関連の放射性廃棄物処分に関する情報公開用ウェブサイトにおいて、BFEが提出した地層処分場の社会・経済的な影響に関する調査報告書が公開された。

  • 連邦エネルギー庁(BFE)関連の放射性廃棄物処分に関する情報公開用ウェブサイトのプレスリリース(2006年6月15日)
    (http://www.entsorgungsnachweis.ch/news.php?userhash=&lID=1&newsID=43)

2005年4月28日に、放射性廃棄物管理委員会(KNE)1 の「NAGRAのチュルヒャー・ヴァインラントにおけるオパリナス粘土プロジェクト-地球科学的なデータの基礎および工学的な実現可能性についての判断」と題する評価報告書が原子力施設安全本部(HSK)のウェブサイト上に公開された。同報告書は、放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が提出した「処分の実現可能性実証プロジェクト」報告書 に対して、KNEが地質学および工学的側面における評価をまとめたものである。この中で、KNEはチュルヒャー・ヴァインラントのオパリナス粘土層が、使用済燃料、高レベル放射性廃棄物および長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分場サイトとして地質学的に適していることが実証されていると結論を下している。

KNEの評価報告書では、チュルヒャー・ヴァインラントのオパリナス粘土層について、これまでの地質学的な変遷に関する入手可能なデータによる解析および解釈の結果、今後数百万年間のうちに、地層処分場を露出させるような侵食を生じるプロセスの存在を示唆するものは無いとしている。また、NAGRAが長期的な安全評価のために用いた地質学上の仮定は、慎重に収集および解析されたデータに基づいており、地質に関するデータを最新の技術を用いて適切にまた正しく解釈していると評価している。

また、KNEは同報告書の中で、深さ650mのオパリナス粘土層における処分場建設に関する工学的な概念の評価も行い、技術的に実現可能であるという結論を下している。なお、処分場のアクセス坑道のレイアウトや立坑の建設に関して、坑道の規模などに関するいくつかの重要な問題点や提案を示しているが、これらは処分場の実現可能性には影響しないとしている。

さらに、KNEは、評価報告書の中でNAGRAに対して、今後の調査の過程で明らかにされるべき問題点や勧告なども示している。これらの問題点の多くは、処分場の建設過程および放射性廃棄物の処分によって生じ得る熱の発生などの物理的および化学的な変化が、オパリナス粘土の特性に与える影響に関するものである。KNEは、これらの問題に関しては、将来処分場サイトに設置される地下特性調査施設での原位置試験によって解決されるべきであるという見解を示している。

一方、スイスの連邦エネルギー庁(BFE)は、2005年4月28日付のニュースリリースで、放射性廃棄物管理ワーキング・グループ(AGNEB)2 の年次報告書が公表されたことを発表した。同ニュースリリースによれば、このAGNEBの年次報告書には、NAGRAの「処分の実現可能性実証プロジェクト」に対する政府関係機関の評価に関する進捗などがまとめられており、評価結果の一つとして今回公表されたKNEによる評価報告書の要旨も示されているとしている。またAGNEBの年次報告書には、2004年4月に公表された経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)の国際レビューチームによる「処分の実現可能性実証プロジェクト」に対する評価報告書において、「NAGRAの安全評価は現行の国際的な勧告および慣行に適合しており、チュルヒャー・ヴァインラントでのオパリナス粘土層の好ましい特性と人工バリアシステムの安全性に関する科学的な根拠が提示されている」と評価されたことも言及されているとしている。

なお、同ニュースリリースでは、現在、HSKおよび原子力施設安全委員会(KSA)による「処分の実現可能性プロジェクト」報告書の評価も進められており、こうした結果は、2005年秋には公表される予定であるとしている。また、これらの報告書および専門家の意見を基に、連邦評議会が2006年中には今後の放射性廃棄物管理の進め方について決定を下す予定であるとしている

【出典】

  • 連邦エネルギー庁(BFE)2005年4月28日付プレスリリース http://www.entsorgungsnachweis.ch/news.php?userhash=&lID=1&newsID=26
  • 放射性廃棄物管理委員会(KNE)「NAGRAのチュルヒャー・ヴァインラントにおけるオパリナス粘土プロジェクト-地球科学的なデータの基礎および工学的な実現可能性についての判断」2005年2月 http://www.hsk.psi.ch/deutsch/files/pdf/gus_28_04_05_d.pdf

  1. 放射性廃棄物管理委員会(KNE):連邦地質学専門委員会(EGK)の小委員会として連邦環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)によって設置され、放射性廃棄物処分に関連した地球科学的な問題に関してHSKに助言を与える機関。 []
  2. 放射性廃棄物管理ワーキング・グループ(AGNEB):1978年に連邦評議会によって設置され、BFE、HSK、パウル・シェラー研究所(PSI)などの代表で構成されており、連邦評議会およびUVEKに代わり、スイスの放射性廃棄物管理に関する専門家の見解などをまとめる役割を有す。 []