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スイス

スイスの原子力部門の諮問機関である原子力安全委員会(KNS)は、2010年5月6日付のプレスリリースにおいて、2008年に放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が提案した地質学的候補エリアに対して連邦原子力安全検査局(ENSI)が行った審査結果 に対する見解を公表した。KNSは、ENSIがNAGRAの地質学的候補エリアの選定方法を詳細に検討し、NAGRAによって提案された地質学的候補エリアを包括的に評価しているとして、ENSIの審査結果について合意するとともに、NAGRAが提案した地質学的候補エリアについても承認できるとしている。

プレスリリースによれば、原子力安全委員会(KNS)は、連邦原子力安全検査局(ENSI)が特別計画「地層処分場」(詳細はこちら)で示された評価基準を評価作業において遵守していること、地質学的な状況に関する最新の知見を考慮に入れていること、さらに、独自の分析に加えて外部専門家も活用して評価を行っていることから、ENSIの審査結果に合意することができるとしている。

また、原子力安全委員会(KNS)は、プレスリリースにおいて、処分場を設置する母岩としてはオパリナス粘土が最も高い適性を有しているとの見解を示している。さらに、KNSは、金属の腐食と有機物の分解によって発生するガスにより母岩のバリア機能が損なわれる可能性があるとして、ガスの発生を防止するか、影響が問題にならない程度まで低減する必要があるとしている。その上でKNSは、次の3点を勧告している。

放射性廃棄物処分概念専門家グループ(EKRA)が比較検討を行った処分概念

放射性廃棄物処分概念専門家グループ(EKRA)が比較検討を行った処分概念

  • 今後、均質かつ稠密な母岩を優先して検討すること
  • 放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が提案した地質学的候補エリアに関する知見を早期に拡充すべきこと
  • 放射性廃棄物処分概念専門家グループ(EKRA)が示した「監視付き長期地層処分」1 (右図参照)の概念を、処分場の設置による影響、母岩の擾乱の最少化及び高レベル放射性廃棄物の処分場の深度という観点から検証すること


スイスでは、処分場のサイト選定基準や3段階のサイト選定手続を定めた特別計画「地層処分場」の方針部分が策定され 、現在地質学的候補エリアを選定するサイト選定の第1段階が実施されている。放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)は、2008年に、低中レベル放射性廃棄物に6地域、高レベル放射性廃棄物に3地域を地質学的候補エリアとして提案しており、2010年3月には、地質学的候補エリアを安全性及び技術的な観点から審査した連邦原子力安全検査局(ENSI)が、NAGRAの提案を承認する審査結果を公表していた。

プレスリリースによれば、今回の原子力安全委員会(KNS)による見解表明によって、放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)の地質学的候補エリアの提案に対する安全規制当局の安全性に関する評価が全て終了したことから、連邦エネルギー庁(BFE)は、2010年夏に開始される3ヵ月間の意見聴取の準備を行っているとしている。この意見聴取では、州、近隣諸国、政党などに、NAGRAの提案と安全規制当局の評価に対する見解を表明する機会が与えられる。


【出典】

  • 連邦エネルギー庁(BFE)、2010年5月6日付プレスリリース、 http://www.bfe.admin.ch/energie/00588/00589/00644/index.html?lang=de&msg-id=32980
  • 特別計画「地層処分場」方針部分(2008年4月2日) http://www.ensi.ch/fileadmin/deutsch/files/Konzeptteil_Sachplan.pdf
  • 原子力安全委員会(KNS)、地質学的候補エリアの提案に関する連邦原子力安全検査局(ENSI)の安全性に関する評価に対する見解、2010年4月 http://www.news-service.admin.ch/NSBSubscriber/message/attachments/18999.pdf
  • 放射性廃棄物処分概念専門家グループ(EKRA)、放射性廃棄物の処分概念 最終報告書、2000年1月

  1. 「監視付き長期地層処分」は、放射性廃棄物の処分概念を検討する目的で環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)により設置された放射性廃棄物処分概念専門家グループ(EKRA)が2000年に公表した報告書において示したもので、地層処分場の閉鎖前に比較的長期のモニタリング期間を設定する処分概念。 []

スイスの連邦エネルギー庁(BFE)は、2010年2月26日付のプレスリリースにおいて、2008年に放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が放射性廃棄物の地層処分場の建設に適しているとして提案した地質学的候補エリアに対する、安全性及び技術的な観点からの連邦原子力安全検査局(ENSI)による審査結果を公表した。審査の結果、ENSIはNAGRAが提案していた全ての地質学的候補エリア(高レベル放射性廃棄物(HLW)は3エリア、低中レベル放射性廃棄物(LILW)は6エリア)を正式に地質学的候補エリアとすることを承認した。今後、2011年には連邦評議会の承認を経て、地質学的候補エリアが最終的に選定される。

プレスリリースによれば、今回の審査には連邦原子力安全検査局(ENSI)に加えて、放射性廃棄物管理委員会(KNE)、スイス国土地理院(swisstopo)及びその他の専門家が参加した。審査においてENSIは、NAGRAが地質学的候補エリアの選定に関連する全ての情報を考慮に入れ、特別計画「地層処分場」(詳細はこちら)で示された基準を厳密かつ適切に適用していると結論付けている。KNEは、NAGRAの提案資料の作成における高い透明性と専門的能力、及び審査機関からの質問や情報提供の要求に対する対応を評価しつつも、建設技術等の観点からの未解決の問題を指摘している。

スイスでは、処分場のサイト選定基準や手続を定めた特別計画の方針部分が2008年4月に連邦評議会によって承認された 。特別計画では、3段階の手続でサイト選定が行われることが定められており、現在、特別計画に基づき、地質学的候補エリアを選定するサイト選定の第1段階が実施されている。放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)は、第1段階の開始として2008年に低中レベル放射性廃棄物(LILW)及び高レベル放射性廃棄物(HLW)のそれぞれに6エリア及び3エリアを地質学的候補エリアとして提案していた

プレスリリースによれば、今後、2ヵ月以内に原子力安全委員会(KNS)が連邦原子力安全検査局(ENSI)の審査結果に対する見解を表明する。KNSの見解表明後、連邦エネルギー庁(BFE)は、成果報告書を作成して州、近隣諸国、政党などに送付し、3ヵ月間の意見聴取が実施される。その後、2011年に連邦エネルギー庁(BFE)の成果報告書を連邦評議会が承認し、第2段階で検討対象となる地質学的候補エリアが最終的に選定されるとしている。

なお、プレスリリースでは、第2段階以降のスケジュールとして、以下が示されている。

  • 2011~2014/15年(第2段階):低中レベル放射性廃棄物(LILW)及び高レベル放射性廃棄物(HLW)のそれぞれに少なくとも2つの候補サイトを選定
  • 2014/15~2018/19年(第3段階):放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が候補サイトに関する詳細な調査等を実施した上で、概要承認(詳細はこちら)申請を提出

【出典】

  • 連邦エネルギー庁(BFE)、2010年2月26日付プレスリリース、
    http://www.bfe.admin.ch/energie/00588/00589/00644/index.html?lang=de&msg-id=32016
  • 放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)、2010年2月26日付プレスリリース、
    http://www.nagra.ch/g3.cms/s_page/78140/s_name/aktuellesdetail/newsID/2724
  • 連邦原子力安全検査局(ENSI)、地質学的候補エリアの提案に対する安全性についての評価、2010年1月、
    http://www.news-service.admin.ch/NSBSubscriber/message/attachments/18420.pdf
  • 特別計画「地層処分場」方針部分(2008年4月2日) http://www.ensi.ch/fileadmin/deutsch/files/Konzeptteil_Sachplan.pdf

スイスの連邦エネルギー庁(BFE)は、2009年12月10日付のプレスリリースにおいて、特別計画「地層処分場」(以下「特別計画」という)(詳細はこちら)の方針部分 に基づく処分場サイト選定手続において、地上施設が設置される可能性のある地点を示した「計画範囲」の案を設定したことを公表した。

スイスでは、2008年10月に、廃棄物処分義務者である 放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が地質学的候補エリアを提案した 。これは、地質学的な基準のみを考慮したものであるが、処分場へのアクセスには約 5 kmの長さのアクセス坑道が使用されるため、サイト地域の周囲 5 kmの範囲で地域開発計画の観点から、どの地域に地上施設を設置することができるかが検討されていた。この検討の結果が今回、「計画範囲」の案として公表された。今後、地下施設の設置の可能性がある地質学的候補エリアに含まれる自治体と、地上施設の設置の可能性がある「計画範囲」に含まれる自治体と、さらには「計画範囲」に隣接し、経済や観光の点で特別な関係を有する自治体とで、地域参加プロセスが構成される。

また、同プレスリリースによると、今回公表された「計画範囲」の案は、関係する州及びドイツの代表の協力の下、地域開発計画の基準に基づいて設定されたものであり、3段階で行われるサイト選定の第1段階の最終段階で「計画範囲」の確定が行われるとされている。なお、2010年春には、放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)の地質学的候補エリアの提案に対する安全技術的な審査が完了し、地質学的候補エリアの案が決定する予定である。第1段階のスケジュールは次の通りである。

  • 2008年10月:放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が複数の地質学的候補エリアを提案
  • 2009年12月:「計画範囲」の案を公表
  • 2010年春:地質学的候補エリアの提案に対する安全技術的な審査が完了し、地質学的候補エリアの案を決定
  • 2011年:連邦評議会が複数の地質学的候補エリア及び「計画範囲」を確定

一方、今回の連邦エネルギー庁(BFE)による「計画範囲」の案の公表を受けて、地質学的候補エリアが含まれる7つの州 のうち、ニドヴァルデン州、シャフハウゼン州及びアールガウ州が2009年12月10日付でプレスリリースを出している。これまでに2度の州民投票でヴェレンベルクにおける低中レベル放射性廃棄物処分場の調査に係る許可発給が否決 されたニドヴァルデン州は、今後、できる限りの手段を用いて、ヴェレンベルクが地質学的候補エリアから外されるよう努力するとしている。また、シャフハウゼン州は、州に影響を及ぼす地質学的候補エリアでの処分場建設を阻止するため、特別計画に基づくサイト選定手続に今後とも建設的かつ批判的に参加するとともに、州内の「計画範囲」以外の自治体も参加プロセスに参加する必要があるとしている。なお、地質学的候補エリアであるジュートランデンはシャフハウゼン州に属しており、またチュルヒャー・ヴァインラント及び北部レゲレンの「計画範囲」の案には、シャフハウゼン州の自治体が含まれている。さらに、アールガウ州は、今回の「計画範囲」の案の設定により、アールガウ州で影響を受ける可能性のある自治体数が、これまでの33か所から91か所に増大したとしており、該当する自治体のすべての家庭に処分場に関する冊子を配布するなど情報提供を行っていくとしている。

【出典】

  • 連邦エネルギー庁(BFE)、2009年12月10日付プレスリリース、http://www.bfe.admin.ch/energie/00588/00589/00644/index.html?lang=de&msg-id=30630
  • 特別計画「地層処分場」(2008年4月2日)
  • ニドヴァルデン州政府、2009年12月10日付プレスリリース、
    http://www.nw.ch/de/aktuelles/aktuellesinformationen/welcome.php?action=showinfo&info_id=5203&ls=0&sq=&kategorie_id=&date_from=&date_to=
  • シャフハウゼン州政府、2009年12月10日付プレスリリース、
    http://www.sh.ch/News.316.0.html?&tx_ttnews[tt_news]=634&cHash=f70d2f96d9
  • アールガウ州政府、2009年12月10日付プレスリリース、
    http://www.ag.ch/medienmitteilung/de/pub/medienmitteilungen.php?controller=Mitteilung&MitteilungsId=5243&navId=Medienmitteilungen

【2010年7月16日追記】

連邦エネルギー庁(BFE)は、2010年7月1日付のプレスリリースにおいて、放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が、「計画範囲」内に設置される地上施設の設置場所の提案の準備のため、2010年7月からフィールド調査を実施することを公表した。この調査の対象は、地形、地盤、開発状況、地域開発計画、景観などであり、州や自治体への事前の情報提供の後に調査が開始されるとしている。

特別計画「地層処分場」に基づく3段階のサイト選定では、第1段階において地質学的な基準のみを考慮して地質学的候補エリアが確定される。第1段階における安全規制当局の審査は終了しており 、2011 年半ばの連邦評議会の決定などにより第1段階は終了する。第2段階では、少なくとも2カ所の候補サイトが選定される。NAGRAは、第1段階の終了から約 1カ月後に、地上施設の設置場所を地質学的候補エリアごとに提案することになっており、今回の調査は、サイト選定の第2段階の準備と位置付けられている。地上施設に関するNAGRAの提案は、地域参加プロセス(既報を参照)において検討されることとなっている。

【追記部出典】

  • 連邦エネルギー庁(BFE)、2010年7月1日付プレスリリース、
    http://www.bfe.admin.ch/energie/00588/00589/00644/index.html?lang=de&msg-id=34078
  • 特別計画「地層処分場」方針部分(2008年4月2日)、
    http://www.ensi.ch/fileadmin/deutsch/files/Konzeptteil_Sachplan.pdf

スイスの連邦エネルギー庁(BFE)と国土計画庁(ARE)は、2009年5月14日のプレスリリースにおいて、地層処分場が環境、経済、社会に及ぼす影響を評価するために用いられる「地域開発上の評価手法」(草案)に基づいた調査を、2009年5月から10月にかけて実施することを公表した。プレスリリースによれば、この草案は、今回の調査結果を基に修正され、特別計画「地層処分場」(以下「特別計画」という)に基づくサイト選定の第2段階において適用される。

同プレスリリースによれば、候補サイトに関する地域開発上の評価は、安全性の検証とともに、サイト選定手続の一部をなしており、サイト選定における重要な根拠の一つであるとされている。今回の調査で用いられる「地域開発上の評価手法」(草案)は、2008年に国土計画庁(ARE)のワーキンググループによって作成されたものであり、環境、経済、社会のそれぞれにおいて以下のような項目が調査されるとしている。

環境 必要とされる面積、地下水の保護、植物相及び動物相に対する影響、掘削ズリの利用、大気汚染、騒音公害、輸送による環境影響など
経済 設備費用、地域における収入・雇用への影響、観光業・農業及び経済の諸部門に関する一般的環境の変化、地域自治体の財政の変化など
社会 人口構成・独自性・文化の変化、住環境及び居住地の開発計画に対する影響、景観及び近郊レクリエーション地域の変化など

また、同プレスリリースによれば、今回の調査は、アールガウ州の17の自治体、バーゼル・ラントシャフト州の29の自治体及びドイツの3つの自治体を対象として実施され、「地域開発上の評価手法」が実際に適用可能かがテストされる。なお、今回の調査は、架空の地層処分場プロジェクトを基にして実施され、調査が行われる地域は、2008年11月に公表された実際の地質学的候補エリア以外の地域であり、将来の地層処分場とは関係ないとされている。また、州とドイツ側が提供する地域に関するデータを基にした机上調査であるため、調査対象地域の住民にはいかなる影響も生じないとされている。

スイスでは、処分場のサイト選定の基準や手続を定めた特別計画が2008年4月に連邦評議会によって承認された 。特別計画では、3段階の手続でサイト選定が行われることが定められており、第1段階で行われる地層処分場の建設に適した地質学的候補エリアの提案は、2008年10月に放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)によって行われ、11月に公表されている 。特別計画によれば、サイト選定の第1段階では、国土計画庁(ARE)が地質学的候補エリアのある州と協力して、「地域開発上の評価手法」を確定する。プレスリリースによると、連邦評議会による地質学的候補エリアの承認とともに、「地域開発上の評価手法」は2011年に最終版とされる見込みである。

【出典】

【2010年4月26日追記】

環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)は、2010年4月21日付で、同日発表されたシャフハウゼン州(低中レベル放射性廃棄物の地質学的候補エリア) による独自の地層処分場の社会経済的影響に関する調査に関して、特別計画に基づくサイト選定手続とは関係なく実施されたものであり、地質学的候補エリア間の比較を可能とするものではないことから、サイト選定手続において検討対象としないとするプレスリリースを発表した。プレスリリースにおいてUVEKは、連邦政府は特別計画で定められたサイト選定手続を遵守し、社会経済的影響に関する調査は、全ての地質学的候補エリアを対象として、2011年半ばから実施するとしている。

【追記部出典】

【2010年6月3日追記】

連邦エネルギー庁(BFE)は、2010年5月28日付プレスリリースにおいて、架空の地層処分場プロジェクトを対象として2009年から実施された調査結果に基づき、「地域開発上の評価手法」を策定したことを公表した。この「地域開発上の評価手法」は、国土計画庁(ARE)を中心として、BFEや放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)、及びサイト選定に関係している州の専門家等によって開発されてきたものであり、2011年の連邦評議会による地質学的候補エリアの承認とともに最終版とされ、サイト選定の第2段階における調査で適用されることとなっている。

【追記部出典】

スイスの原子力安全に関する規制機関である連邦原子力安全検査局(ENSI)は、地層処分場の長期的な安全性を確保するために適用される目標を定めた新たな指針ENSI-G03「地層処分場の設計原則とセーフティケースに関する要件」(以下「ENSI-G03」という)を2009年4月2日付で策定した。この指針は、2008年3月18日に草案が公開され、意見聴取が行われていたものである。

同指針の解説書によれば、今回策定されたENSI-G03は、地層処分における具体的な防護目標を定めた1993年のHSK-R-21「放射性廃棄物処分に関する防護目標」(以下「HSK-R-21」という)に代わるものとされている。また、原子力令第11条では、連邦原子力安全検査局(ENSI)が指針によって地層処分場の具体的な設計原則を規定することが定められており、同解説書においてENSIは、ENSI-G03の策定によってENSIは原子力令の要請を満たしたとしている。

ENSI-G03では、地層処分の長期的な安全性を確保するための防護目標及び防護基準、ならびに地層処分場の要件を定めるだけでなく、地層処分場のセーフティケースの手続きを規定している。このうち、地層処分場の閉鎖後段階に関する防護基準については、発生確率の高いものと低いものとに区分され、以下の2つが定められている。

防護基準1 将来の変遷のうち、発生確率が高いと分類されたものについては、放射性核種の放出による個人線量が、年間0.1mSvを上回ることがないようにすべきである。
防護基準2 将来の変遷のうち、発生確率が低いと分類されたものについては、放射線による追加的な健康リスクが年間100万分の1を上回ることがないようにすべきである。

ENSI-G03では、安全評価においてこの防護基準が100万年までの期間にわたって遵守されるべきとされている。なお、これらの防護基準に示されている個人線量と健康リスクの値は、HSK-R-21に示された値から変更されていない。

地層処分場のセーフティケースについては、許可手続の各段階(概要承認及び建設、操業、閉鎖)において、許可申請者が地層処分場の操業段階、閉鎖後段階のそれぞれに対応するセーフティケースを提出することが求められている。ENSI-G03によれば、セーフティケースは、地層処分場の長期的な挙動とその放射線学的影響に関する安全評価に依拠した、閉鎖後の地層処分場の長期安全性に関する総合的な評価であるとされている。また、このセーフティケースには、安全評価の実施方法と使用されたデータの評価などが含まれるとされている。

一方、原子力法第37条は、処分場が閉鎖されるまで多額の費用を伴わない放射性廃棄物の回収可能性が維持されなければならないと規定している。ENSI-G03では、操業段階において地層処分場の長期的安全性が保証されないことが明らかになった場合には、廃棄体を回収しなければならないと規定している。

【出典】

  • 連邦原子力安全検査局(ENSI)ウェブサイト、ENSIのガイドライン一覧
    http://www.ensi.ch/index.php?id=146&no_cache=1&tx_damdownloads_pi1[pointer]=1
  • 原子力施設安全本部(HSK)、Protection Objectives for the Disposal of Radioactive Waste, Guideline for Swiss Nuclear Installations HSK-R-21, November 1993
  • ENSI, Spezifische Auslegungsgrundsätze für geologische Tiefenlager und
    Anforderungen an den Sicherheitsnachweis (ENSI-G03), (「地層処分場の設計原則とセーフティケースに関する要件」)、2009年4月2日 http://www.ensi.ch/fileadmin/deutsch/files/G-003_D.pdf
  • ENSI, Spezifische Auslegungsgrundsätze für geologische Tiefenlager und Anforderungen an den Sicherheitsnachweis. Erläuterungsbericht zur Richtlinie,
    (「地層処分場の設計原則とセーフティケースに関する要件」解説書)、2009年4月
    http://www.ensi.ch/fileadmin/deutsch/files/G-003_D_Erlaueterungsbericht.pdf
  • Kernenergiegesetz(原子力法)、http://www.admin.ch/ch/d/sr/7/732.1.de.pdf
  • Kernenergieverordnung(原子力令)、http://www.admin.ch/ch/d/sr/7/732.11.de.pdf

スイスの環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)及び連邦エネルギー庁(BFE)は、2008年11月6日付のプレスリリースにおいて、放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が提案している地層処分場の建設に適した地質学的候補エリアを公表した。公表された地質学的候補エリアは、低中レベル放射性廃棄物(LILW)及び高レベル放射性廃棄物(HLW)に対してそれぞれ6エリア及び3エリアで、NAGRAが2008年10月末にBFEへ提出していた報告書において示されていたものである。今後、約10年間にわたる3段階の選定手続きによって、詳細な検討が行われて処分場サイトが絞り込まれる予定となっている。

スイスでは、放射性廃棄物の処分場サイトを透明性の高い参加型手続によって評価・選定するため、サイト選定基準や手続を特別計画「地層処分場」(以下「特別計画」という)の方針部分(詳細は こちら)に規定することとしている。この特別計画は2008年4月に連邦評議会によって承認されていた 。特別計画では、3段階の手続でサイト選定を行うこととなっており、第1段階は、廃棄物処分義務者(実際には放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA))が特別計画に示されている安全及び技術的な実現可能性に関する基準に従い選定した地質学的候補エリアを提案することで開始される。NAGRAでは、2008年中に地質学的候補エリアを提案するために準備を進めていた

今回、放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)によって提案された地質学的候補エリアは以下の通りである。ただし、地質学的候補エリアの提案は、サイトの決定を意味するものでなく、今後の検討のための基礎となるものであるとされている。なお、高レベル放射性廃棄物(HLW)の地質学的候補エリアでは、全ての種類の放射性廃棄物を同一サイトに処分することも検討されることとなっている。

放射性廃棄物 地質学的候補エリア 面積 岩種
高レベル放射性
廃棄物(HLW)
チュルヒャー・ヴァインラント
(チューリッヒ州・トゥールガウ州)
約50km2 オパリナス粘土
北部レゲレン
(チューリッヒ州・アールガウ州)
約65km2 オパリナス粘土
ベツベルク
(アールガウ州)
約27km2 オパリナス粘土
低中レベル放射性
廃棄物(LILW)
ジュートランデン
(シャフハウゼン州)
約24km2 オパリナス粘土
チュルヒャー・ヴァインラント
(チューリッヒ州・トゥールガウ州)
約50km2 オパリナス粘土
北部レゲレン
(チューリッヒ州・アールガウ州)
約65km2 オパリナス粘土
ベツベルク
(アールガウ州)
約60km2 オパリナス粘土
ジュラ・ジュートフス
(ゾロトゥルン州・アールガウ州)
約65km2 西部:オパリナス粘土
東部:泥灰岩(マール)
ヴェレンベルク1)
(ニドヴァルデン州・オプヴァルデン州)
約6km2 泥灰岩
(マール)
(放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)ウェブサイトから作成)

【注1】
ヴェレンベルグでは、1994年に低中レベル放射性廃棄物処分場が計画されたが、1995年及び2002年に2度の州民投票が実施された。2度とも否決されたため計画は断念された。

プレスリリースによれば、地質学的候補エリアの住民を対象とする説明会が2008年11月18日から12月17日にかけて順次開催される。説明会では、州政府の代表、連邦エネルギー庁(BFE)、原子力施設安全本部(HSK)、放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が説明を行い、住民からの質問に答えるとされている。また、今後、連邦政府は州と協力して、関係自治体及び地域住民がサイト選定手続に参加できるよう準備を進め、自治体や住民の利益や要望が考慮されるように進めていくことが示されている。

また同プレスリリースによれば、NAGRAは、原子力法によって提出が義務付けられている放射性廃棄物管理プログラムも地質学的候補エリアに関する報告書と同時にBFEに提出している。

【出典】

  • 環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)、2008年11月6日付プレスリリース
    http://www.uvek.admin.ch/dokumentation/00474/00492/index.html?lang=de&msg-id=22594
  • 連邦エネルギー庁(BFE)、2008年11月6日付プレスリリース
    http://www.bfe.admin.ch/energie/00588/00589/00644/index.html?lang=de&msg-id=22594
  • 放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)ウェブサイト http://www.nagra.ch/
  • 特別計画「地層処分場」方針部分(2008年4月2日)
    http://www.news-service.admin.ch/NSBSubscriber/message/attachments/11679.pdf〔約5MB〕

【2008年11月21日追記】

地層処分場の地質学的候補エリアが含まれる7つの州は、連邦エネルギー庁(BFE)による2008年11月6日の処分場の地質学的候補エリアの公表を受けて、同日付でプレスリリースを発表した。これらのプレスリリースでは、トゥールガウ州以外の6つの州政府は、地質学的候補エリアに選定されたことに対する否定的な見解を示している。このうち、高レベル放射性廃棄物(HLW)処分場の地質学的候補エリアを含むチューリッヒ州は、同州が空港や金融など、スイス全体の中で占める特別な負担が多いとして、提案を拒否するとしている。また、同じくHLW処分場の地質学的候補エリアを含むアールガウ州は、すでに州内に2つの原子力発電所と1つの中間貯蔵施設があることから、原子力分野における全ての義務を負うことはできないとしている。一方、トゥールガウ州は、今後のサイト選定手続に対して積極的な協力を行うとしている。

  • チューリッヒ州政府、2008年11月6日付プレスリリース
    http://www.sk.zh.ch/internet/sk/de/mm/2008/285.html
  • アールガウ州政府、2008年11月6日付プレスリリース
    http://www.ag.ch/medienmitteilung/de/pub/medienmitteilungen.php?controller=Mitteilung&MitteilungsId=4720&navId=Medienmitteilungen
  • シャフハウゼン州政府、2008年11月6日付プレスリリース
    http://www.sh.ch/News.316.0.html?&tx_ttnews[pointer]=1&tx_ttnews[tt_news]=259&tx_ttnews[backPid]=1&cHash=e68373468b
  • ゾロトゥルン州政府、2008年11月6日付プレスリリース
    http://www.so.ch/fileadmin/internet/sk/sksek/pdf/medienmitteilungen/2008/november/pmSachplanTiefenlager.pdf
  • ニドヴァルデン州政府、2008年11月6日付プレスリリース
    http://www.nw.ch/dl.php/de/4912de8b961dc/11-06_tiefenlager.pdf
  • オプヴァルデン州政府、2008年11月6日付プレスリリース
    http://www.ow.ch/dl.php/de/4912dbff969d1/08_87_Ablehnung_Tiefenlager_Wellenberg.pdf
  • トゥールガウ州政府、2008年11月6日付プレスリリース
    http://www.tg.ch/xml_1/internet/de/file/modul/news/html.cfm?config=4608F97F-E7F2-64D4-A05B83C3558022BB&did=1&lid=1&lg=DE&userLG=DE&newsID=11368&archiv=1

【2009年5月7日追記】

連邦エネルギー庁(BFE)は、2009年5月1日付のプレスリリースにおいて、環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)が、サイト選定手続の実施において独立した立場で同省を支援する処分場諮問委員会を設置し、委員長を含む6名の委員を任命したことを公表した。本委員会は、特別計画「地層処分場」でUVEKが設置することになっていたものであり、その任務として以下が示されている。

  • サイト選定手続において紛争・リスクを早期に把握し、解決策を立案するための支援を行う。
  • 国家的観点から立場、見解、意見を評価し、UVEKへの勧告を行う。
  • サイト選定手続において独立した見解を示すとともに、UVEKに助言を行う。
  • ステークホルダー間の対話を推進し、連邦の広報活動を支援する。

【追記出典】

  • 連邦エネルギー庁(BFE)、2009年5月1日付プレスリリース
    http://www.bfe.admin.ch/energie/00588/00589/00644/index.html?lang=de&msg-id=26683
  • 特別計画「地層処分場」方針部分(2008年4月2日)
    http://www.news-service.admin.ch/NSBSubscriber/message/attachments/11679.pdf〔約5MB〕

【2009年6月22日追記】

連邦原子力安全検査局(ENSI)は、2009年6月19日付のプレスリリースにおいて、特別計画「地層処分場」の枠組みの中で設置された安全技術フォーラムが、2009年6月18日に最初の会合を開いたことを公表した。同フォーラムは、連邦エネルギー庁(BFE)、ENSI、放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)、州などの専門家やサイト地域の代表から構成されるもので、安全性と地質についての住民や地質学的候補エリアの自治体等からの質問を検討し、回答するものである。同フォーラムは年4回開催され、寄せられた質問とその回答は公開されることとなっている。

【追記出典】

  • 連邦原子力安全検査局(ENSI)、2009年6月19日付プレスリリース
    http://www.ensi.ch/index.php?id=165&tx_ttnews[tt_news]=228&tx_ttnews[backPid]=1&cHash=8692ad610b
  • 安全技術フォーラム・ウェブサイト
    http://www.bfe.admin.ch/radioaktiveabfaelle/01277/01309/01327/02622/index.html?lang=en

スイスの連邦エネルギー庁(BFE)は、2008年4月2日付のプレスリリースにおいて、地層処分場のサイト選定手続等を定めた特別計画「地層処分場」(以下「特別計画」という)のうち方針部分(詳細は こちら)を連邦評議会が承認したことを公表した。同プレスリリースによれば、今回の承認によって地層処分場のサイト選定を開始することが可能になったとしている。

特別計画は、放射性廃棄物の処分場サイトを公正で透明性の高い参加型手続によって評価・選定するための基準や手続を定めたものである。今回承認された特別計画は、公表されていた草案を基に、連邦省庁、各州、近隣諸国などにより、2年間に亘って詳細に検討されたものである

特別計画に示されたサイト選定は、以下の3段階の手順で進められる

  1. 低中レベル放射性廃棄物(LILW)と高レベル放射性廃棄物(HLW)それぞれに複数の地質学的候補エリアを選定
  2. LILW、HLWそれぞれについて少なくとも2カ所以上の処分場候補サイトを選定
  3. LILW、HLWそれぞれについて処分場サイトを1カ所選定(または全ての廃棄物を処分する処分場サイトを1カ所選定)し、概要承認手続を開始

承認された特別計画に示されたスケジュールによれば、上記のサイト選定と概要承認の発給は2016年から2018年まで1 に完了するとされている。また、特別計画では、概要承認発給以降のスケジュールが変更され、以下のように示されている。

手続 時期
概要承認に対する連邦会議(上下両院の合同会議)の承認(1年) 2017~19年まで
地球科学的調査と地下特性調査施設の建設許可手続(2-4年) 2019~23年まで
処分場サイトでの地下特性調査施設の建設・操業、地層処分場の建設許可手続(LILWの場合6-8年、HLWの場合16-18年) LILWの場合:
2025~31年まで
HLWの場合:
2035~41年まで
処分場の建設と操業許可手続(5-7年) LILWの場合:
2030~38年まで
HLWの場合:
2040~48年まで
処分場の操業開始 LILWの場合:
2030年以降
HLWの場合:
2040年以降

BFEのプレスリリースによれば、連邦評議会は、原子力法により廃棄物処分義務者(実際には放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA))が提出を義務付けられている処分の実施計画などを含んだ放射性廃棄物管理プログラムについて、地質学的候補エリアの提案と同時に提出させることを決定したとしている。

なお、NAGRAの2008年4月2日付プレスリリースによると、NAGRAは、サイト選定の開始となる地質学的候補エリアの提案を2008年中に行うことを示している。

【出典】

  • 連邦エネルギー庁(BFE)、2008年4月2日付プレスリリース
    http://www.bfe.admin.ch/energie/00588/00589/00644/index.html?lang=de&msg-id=18051
  • BFE、特別計画「地層処分場」(2008年4月2日)
    http://www.bfe.admin.ch/radioaktiveabfaelle/01277/01306/index.html?lang=de&dossier_id=01374
  • 放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)、2008年4月2日付プレスリリース
    http://www.nagra.ch/index1.tpl?lang=3&iid=l118a1b10&iid2=118&r=122&cart=11515509182686571

  1. 概要承認の発給時期については追加のボーリング調査の必要性により変動する。 []

スイス連邦議会のウェブサイトによると、2007年6月22日に「連邦原子力安全検査局(ENSI)に関する連邦政府の法律」(以下「ENSI法」という)の法案が連邦議会で可決された。ENSI法は、現在のスイスにおける原子力部門の監督機関である原子力施設安全本部(HSK)をENSIに改組することを目的としたものである。

スイスの原子力法では、原子力部門の監督機関の独立について規定されている。しかし、現在の監督機関である原子力施設安全本部(HSK)は、組織上、許可発給機関である環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)が所轄する連邦エネルギー庁(BFE)の一部であり、許可発給機関からの独立が確保されていない。今回可決されたENSI法によれば、HSKは連邦原子力安全検査局(ENSI)に改組され、ENSIは法人格を持った連邦政府の機関となり、連邦評議会1 の監督を受けることとなる。ENSI法によれば、ENSIは、ENSI評議会、組織運営部門、監査部門によって構成される。ENSI評議会はENSIの戦略的な目標の策定や業務の遂行の監督などを行うもので、専門家の中から連邦評議会により選任された5~6名の評議員によって構成されることとされている。また、ENSI法によれば、現在のHSKの人員はENSIに移管されることになっている。

なお、原子力部門における諮問機関である原子力施設安全委員会(KSA)のウェブサイトによると、KSAは初期の法案の段階では廃止されることになっていたが、今回連邦議会によって可決されたENSI法案では、KSAに代わり原子力安全委員会(KNS)が設置されることとなっている。

ENSI法は、2006年10月18日に連邦評議会によって法案が策定されており、その後、連邦議会において審議が行われていた。ENSI法は今回の連邦議会での法案の可決により、任意の国民投票2 が行われなかった場合、2008年1月1日から施行されることとなっている。

【出典】

  • Kernenergiegesetz(原子力法)、http://www.admin.ch/ch/d/sr/7/732.1.de.pdf
  • Bundesgesetz über das Eidgenössische Nuklear-Sicherheitsinspektorat(ENSIG)(連邦原子力安全検査局(ENSI)に関する連邦政府の法律)、2007年6月22日
  • 連邦エネルギー庁(BFE)、2006年10月18日付プレスリリース、http://www.bfe.admin.ch/energie/00588/00589/00644/index.html?lang=de&msg-id=7741
  • 原子力施設安全委員会(KSA)ウェブサイト、http://www.ksa.admin.ch/website/front_content.php?client=1&lang=1&sid=80d290402c4e2f9e36efa0b50c70b565
  • Bundesverfassung der Schweizerischen Eidgenossenschaft(スイス連邦憲法)

【2007年10月23日追記】

連邦エネルギー庁(BFE)は、2007年10月17日付プレスリリースにおいて、2007年6月22日に連邦議会で可決された「連邦原子力安全検査局(ENSI)に関する連邦政府の法律」案について、任意の国民投票は実施されず、国民投票期間が終了したことを公表した。同法におけるENSI評議会に関する規定は、2008年1月1日に施行され、その他の規定は2009年1月1日に施行されるとしている。これによりENSI評議会は2008年初めに設立され、2009年初めの原子力施設安全本部(HSK)からENSIへの移行の準備を行う。

また、同プレスリリースによると、2007年10月17日に、連邦評議会によってENSI評議会及び原子力安全委員会(KNS)の委員が選任された。

  • 連邦エネルギー庁(BFE)、2007年10月17日付けプレスリリース、http://www.bfe.admin.ch/energie/00588/00589/00644/index.html?lang=de&msg-id=15181

  1. 連邦評議会は、7人の大臣から構成される連邦における最高の指導的・執行的官庁であり、位置付けとしては内閣に相当する。ただし、議院内閣制ではないため、議会による不信任、連邦評議会による議会の解散などはない。 []
  2. 任意の国民投票は憲法で定められたもので、連邦法などについて、公布後100日以内に有権者5万人または8つの州の請求があった場合に、その法律の施行の是非について国民投票を行う制度である。 []

スイスの連邦エネルギー庁(BFE)は、2007年4月23日付のプレスリリースにおいて、地層処分場のサイト選定手続きなどを定めた、特別計画「地層処分場」(詳細は こちら)(以下「特別計画」という)の方針(以下「特別計画の方針」という)の草案に対する意見聴取が終了したことを公表した。意見聴取においては、スイス以外にドイツやオーストリアの諸機関や個人から意見の表明があったとされている。

特別計画「地層処分場」の方針の草案は、2006年3月15日に公表され、改訂後の最新版が2007年1月11日に公表されていた。この最新の草案に対する意見聴取が、2007年1月15日から4月20日まで行われていたが 、今回公表されたプレスリリースは、この意見聴取が終了したことを伝えるものである。

同プレスリリースによると、意見聴取期間中に、スイス、ドイツ、オーストリアの当局、スイスの州及び様々な組織から、約150の意見が提出された。内訳は、スイスから125件、ドイツから22件、オーストリアから3件とされている。また、主に共同提出であるが、個人からも約1万600件の意見が提出されたとされている。

プレスリリースでは、表明された意見の中の重要な点として、地層処分場のサイト選定から操業に至るスケジュール、及び新規原子力発電所を将来稼動させた場合の処分場の拡張の可能性が挙げられている。また、サイト選定手続に関係する州の主要な役割をより明確にすべきであるという意見もあったことが示されている。

提出された意見は、今後、環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)により詳細に分析・評価され、特別計画の方針の改訂において考慮されることとなっている 。また、連邦評議会が2007年夏頃に、特別計画の方針を決定し、議論されている諸問題について結論を下すこととされている。その後、放射性廃棄物の処分責任を有する放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が当局の監督の下、サイト選定手続を実施することとされている。更に、今世紀の半ばまでに地層処分場の操業を開始することが目標として示されている。

【出典】

  • 連邦エネルギー庁(BFE)、2007年4月23日付プレスリリース、http://www.bfe.admin.ch/energie/00588/00589/00644/index.html?lang=de&msg-id=12200
  • 連邦エネルギー庁(BFE)、特別計画「地層処分場」の方針の草案(最新改訂版)、2007年1月11日、http://www.entsorgungsnachweis.ch/media/dokumente/Sachplan/Sachplan_
    geologische_Tiefanlager070111_d.pdf

スイスの連邦エネルギー庁(BFE)は2006年6月28日付プレスリリースにおいて、放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)の「処分の実現可能性実証プロジェクト」が連邦評議会による承認を受けたことを公表した。今回の連邦評議会による承認は、スイスにおいて高レベル放射性廃棄物、使用済燃料及び長寿命中レベル放射性廃棄物の処分のための地層処分場を建設することが、原則的に可能であることを確認するものである。今後は、連邦評議会が特別計画(詳細は こちら)「地層処分場」(既報、以下「特別計画」という)においてサイト選定手続及び基準を策定し、具体的なサイト選定手続が開始されることとなっている。

同プレスリリースによると、放射性廃棄物の処分の実現可能性の実証については1978年の「原子力法に関する連邦決議」によって求められており、2005年2月に施行された新しい原子力法においても定められている。NAGRAは結晶質岩と堆積岩に関する調査・研究を行った後、2002年12月にチュルヒャー・ヴァインラントのオパリナス粘土を対象とする「処分の実現可能性実証プロジェクト」報告書を公表していた

NAGRAの2006年6月28日付けプレスリリースによると、同報告書については、2003年から2005年にかけて、スイス連邦原子力施設安全本部(HSK)、放射性廃棄物管理委員会(KNE)、原子力施設安全委員会(KSA)、さらには経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)やドイツのサイト選定手続委員会(AkEnd)などがレビューを行い、高い評価を与えていたとしている。またNAGRAは連邦評議会に対して、今後のさらなる調査の対象を、サイト選定の可能性のあるチュルヒャー・ヴァインラントのオパリナス粘土に絞ることの承認も要求したが、連邦評議会はこの要求は退けている。

BFEのプレスリリースによると、今後の具体的なサイト選定手続は、2007年に開始されることになっている。それに先立ち、「特別計画」においてサイト選定手続が定められることとなっており、連邦評議会による「特別計画」の方針 の決定が2007年夏に行われることとなっている。また、高レベル放射性廃棄物の処分場は2040年に操業を開始し、低中レベル放射性廃棄物の処分場については、可能であればそれより前に操業開始できるようにする、という見通しを示している。

【出典】

  • 連邦エネルギー庁(BFE)、2006年6月28日付プレスリリース、http://www.bfe.admin.ch/energie/00588/00589/00644/index.html?lang=de&msg-id=5857
  • 放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)、2006年6月28日付プレスリリース、http://www.nagra.ch/index1.tpl?iid=l118a1b10&lang=3&iid2=118&r=[r]&cart=11515409532385429