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《スイス》連邦エネルギー庁が地層処分場のサイト選定スケジュールを改訂

スイスの連邦エネルギー庁(BFE)は、2014年4月15日に発行したニュースレター 1 において、放射性廃棄物の地層処分場のサイト選定スケジュールの改訂を公表した。改訂されたスケジュールでは、高レベル放射性廃棄物用の地層処分場の操業開始が2060年頃(改訂前:2050年頃)と10年遅らせており、低中レベル放射性廃棄物用の地層処分場の操業開始は2050年頃(改訂前:2035年頃)と15年遅らせることとなっている。

○サイト選定スケジュール

スイスでは、原子力令によって策定され、連邦評議会 2 が2008年4月に承認した特別計画「地層処分場」(以下「特別計画」という)に基づいて3段階からなるサイト選定プロセスが実施されており、連邦エネルギー庁(BFE)はスケジュールを含めた計画全体の進捗管理・監督を行っている。2014年4月現在、サイト選定プロセスは第2段階にあり、地層処分場の地上施設の設置区域の絞り込みが行われている。今回、BFEがニュースレター及びBFEウェブサイトにおいて公表したサイト選定スケジュールは、下表の通りである。

 

スイスにおける地層処分場サイト選定スケジュール(改訂後)

第1段階(終了)

2008年~2011年

放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)の技術的観点での提案に基づいて、6つの地質学的候補エリアを確定

第2段階

2011年~2017年半ば(5.5年)

(改訂前:~2016年)

3年間:地質学的候補エリアの調査

2014年末:NAGRAが2カ所以上の候補サイトを提案

2.5年間:提案された候補サイトの検証、意見聴取(3カ月間)

2017年半ば:連邦評議会による候補サイト承認(改訂前:2016年)

第3段階

2017年半ば~2027年(10年)

(改訂前:2016年頃~2019年頃)

3年間:候補サイトの詳細調査

2020年頃:NAGRAによる処分サイトの提案

2年間:NAGRAによる概要承認申請準備

2022年頃:概要承認申請

5年間:概要承認手続き、意見聴取

2027年頃:連邦評議会による概要承認発給(改訂前:2019年頃)

2028/29年頃:概要承認を連邦議会が承認、連邦議会が承認した後、一定数の署名があれば、国民投票の実施

地下特性調査施設の建設・操業、地層処分場の建設

2029年以降

高レベル放射性廃棄物用の地層処分場の操業開始

2060年頃(改訂前:2050年頃)

低中レベル放射性廃棄物用の地層処分場の操業開始

2050年頃(改訂前:2035年頃) 3

(BFEニュースレター及びウェブサイトをもとに作成)

 

2008年の特別計画策定当時、サイト選定プロセス全体の実施期間は約10年と見込まれていた。しかし、プロセスに組み込まれている州や地域の参画に関する手続きが複雑であり、前例がない規模での公衆参加型のプロセスであることから、BFEは当初の約10年の実施期間が短かったと判断し、上記の通りスケジュールの改訂を決定した。

また、連邦エネルギー庁(BFE)は、連邦国土計画庁(ARE)、連邦環境庁(BAFU)、連邦原子力安全検査局(ENSI)、原子力安全委員会(KNS)、州、地域会議、ドイツからの代表及びNAGRAと、サイト選定プロセスの第3段階の実施内容の策定に向けた協議を行っている。この協議の結果は2014年5月に公表される予定である。

○サイト選定プロセス長期化の影響

ニュースレターによると、NAGRAは、国内の中間貯蔵施設が十分な容量を確保しており、原子力発電所の廃止措置により発生する放射性廃棄物を勘案しても、サイト選定プロセスの長期化によって収容能力が不足することはないとの見方を示している。NAGRAは、2016年に連邦評議会への提出が予定されている「放射性廃棄物管理プログラム」 4 において、処分場操業までの中間貯蔵についても報告を求められている。

また、原子力発電事業者の団体であるスイスニュークリアは、ニュースレターにおいて、サイト選定プロセスの長期化により放射性廃棄物管理費用 5 は増加するものの、放射性廃棄物管理基金の積立金に対する利子も増加するため、費用増加による影響は小さいとしている。2011年時点の見積額からの増額は5%以下に留まるとの見通しを示している。今回のサイト選定スケジュールの改訂とその影響については、2016年に更新予定の費用見積に反映されるとしている。

 

【出典】


  1. 2011年11月にサイト選定の第1段階が終了したことを受けて、2012年12月に連邦エネルギー庁(BFE)は、一般を対象として地層処分に関連する内容を取り扱う「ニュースレター『地層処分場』」の発行を開始した。これまで不定期に12回発行された。http://www.bfe.admin.ch/radioaktiveabfaelle/01277/01309/01328/index.html?lang=de&dossier_id=05183[]
  2. 日本の内閣に相当。[]
  3. BFEのニュースレターにおいて、処分の実施主体である放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)は低中レベル放射性廃棄物用の処分場の操業開始予定が15年遅れになった理由を説明している。連邦評議会は、NAGRAが2008年に提出した放射性廃棄物管理プログラムを2013年8月に承認した際に、2016年提出予定の次回の管理プログラムにおいて、低中レベル放射性廃棄物についても地下研究所を設置し、そこでの研究成果を処分場の建設許可申請書に反映することを含めた内容とすることを求めた。NAGRAはこの連邦評議会からの指示を反映させるためには、サイト選定プロセスの10年間の遅延に加え、さらに5年間の期間延長が必要になると見込んでいる。[]
  4. 原子力法第32条は、処分義務者が放射性廃棄物管理プログラムを策定し、連邦評議会が作成・更新する期限を定めるとしており、原子力令第52条では同プログラムの5年ごとの更新が規定されている。NAGRAは2008年に初の管理プログラムを提出した。連邦評議会は2013年8月に同プログラムを承認するとともに、サイト選定スケジュールの遅延等を考慮し、次回のプログラム提出を2016年とするようNAGRAに指示した。[]
  5. 「廃止措置・廃棄物管理基金令」に基づいて、スイスニュークリアは5年ごとに廃止措置及び放射性廃棄物管理費用の見積りを行っている。[]

(post by yamamoto.keita , last modified: 2024-02-13 )