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《スイス》NAGRAが地層処分場の地上施設の設置区域の絞り込みの結果として最初の1カ所を提案

スイスの放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)と連邦エネルギー庁(BFE)は、2013年9月5日付のプレスリリースにおいて、地層処分場の地上施設の設置区域としてNAGRAが提案していた20カ所について絞り込み作業を実施した結果、最初の1カ所として低中レベル放射性廃棄物用の地層処分場の地上施設の設置区域をNAGRAが提案したことを公表した。

スイスでは全ての放射性廃棄物を地層処分する方針である。特別計画「地層処分場」(以下「特別計画」という)に基づいて、3段階のサイト選定を実施しており、2011年11月からは第2段階(低中レベル放射性廃棄物用、高レベル放射性廃棄物用の地層処分場について、それぞれ2カ所以上の候補サイトの選定)が進められている。地層処分場の地上施設を設置する可能性があるエリアは「計画範囲」と呼ばれており、地下施設が建設される可能性がある6つのそれぞれの「地質学的候補エリア」から5kmの範囲内が計画範囲となっている。

第1段階では6つの地質学的候補エリアが確定しており、第2段階に入った直後の2012年1月にNAGRAは、地上施設の設置区域として合計で20カ所を提案した。地域参加を促進するためにBFEが主導して設置した「地域会議」では、NAGRAが提案した地上施設の設置区域案について検討を加えることとなっており、NAGRAの提案とは別に地域会議が独自の地上施設の設置区域案の提案をすることも可能である。今回のNAGRAのプレスリリースによると、地域会議での検討を踏まえ、NAGRAは、計画範囲ごとに1カ所の地上施設の設置区域を提案することになっており、提案するためには設置区域の調査を実施し、調査報告書を作成しなければならないとされている。

今回NAGRAは、低中レベル放射性廃棄物用の地層処分場の計画範囲であるヴェレンベルグ 1 について、絞り込みの結果としては初めてとなる地上施設の設置区域1カ所を提案した 2 。同時にNAGRAは同設置区域に関する調査報告書 3 を公表し、この報告書をヴェレンベルグに設置された地域会議「プラットフォーム・ヴェレンベルグ」の9月5日の総会に提出した。調査報告書では、提案の根拠、地上施設の配置、形態、開発案等が記述されている。また、BFEプレスリリースによれば、調査報告書は、BFEが今後実施する地層処分場が立地する地域に与える環境影響と社会影響に関する調査の基礎になるとされている

今後数週間のうちに、ヴェレンベルグ以外の5つの地域会議の総会が、地上施設の設置区域に関する見解を示す予定である。NAGRAはこれらの見解を踏まえ、絞り込みを行い、計画範囲ごとに1カ所の地上施設の設置区域を提案し、調査報告書をそれぞれの地域会議の総会へ提出することとなる。地域会議の総会の開催と総会でなされる見解表明の時期が各々異なるため、NAGRAによる調査報告書の提出及び1カ所の地上施設の設置区域の提案も別々の時期に行われることとなる。

計画範囲ごとに絞り込まれた地上施設の設置区域について、NAGRAは、建設技術に係るリスク評価を実施し、環境影響評価の仕様書を作成し、予備的安全評価及び安全性の観点からサイトの比較作業を行う。これらの作業を踏まえて、NAGRAが低中レベル放射性廃棄物用、高レベル放射性廃棄物用の地層処分場のそれぞれについて、最低2カ所の候補サイト及びこれらの候補サイトに対する地上施設の設置場所を提案する予定である。

 

【出典】

【2013年10月4日追記】

スイスの放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)は、「ヴェレンベルグ」に続いて、「ジュラ・ジュートフス」及び「ジュラ東部」における地層処分場の地上施設の設置区域の候補を1カ所に絞り込み、2013年9月26日にそれぞれの地域で開催された地域会議の総会に調査報告書を提出したことを公表した。

NAGRAの調査報告書の提出を受けて、地域会議を主導する連邦エネルギー庁(BFE)は、ジュラ東部のサイト地域の住民を対象として、絞り込み結果及び今後のサイト選定の進め方 4 に関する説明会を2013年10月19日に実施するとしている。ジュラ・ジュートフスの説明会は2013年11月7日を予定している。

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「提案された地上施設の設置区域」(NAGRA、技術報告書11-01「特別計画地層処分場第2段階 地層処分場の地上施設の設置区域の配置及びその開発 別冊」、2011年12月より))〔※クリックで拡大表示〕

ジュラ・ジュートフス及びジュラ東部における地上施設の設置区域の1カ所の候補については、NAGRAが提出した調査報告書から整理すると以下の通りである。

❏ジュラ・ジュートフス

ジュラ・ジュートフスは、低中レベル放射性廃棄物用の処分場のみを立地する可能性がある地質学的候補エリアである。ジュラ・ジュートフスの地域会議は、NAGRAが2012年1月に提案した地上施設の設置区域案を拒否し、独自の提案も行わなかった。その後、NAGRAは州などと協議し、設置区域案の絞り込みを行い、最終的に右の地図にあるJS-1を選定した。

❏ジュラ東部

ジュラ東部は、高レベル放射性廃棄物用と低中レベル放射性廃棄物用のいずれかの処分場、または両方の種類の処分場を立地する可能性がある地質学的候補エリアである。ジュラ東部の地域会議は、NAGRAが2012年1月に提案していたJO-3の場所を若干変えるよう要請しており、NAGRAが提案した4カ所に加え、合計6カ所についてNAGRAと地域会議がこれまで検討してきた。この検討を踏まえ、NAGRAは設置区域6カ所の中からJO-3+を選定した。JO-3+では、低中レベル放射性廃棄物用処分場または高レベル放射性廃棄物用処分場、あるいはそれらの両方を共同立地して建設する可能性があるとしている 5

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JO-3とJO-3+との位置関係(ファクトシート「サイト地域ジュラ東部での低中レベル/高レベル/共同放射性廃棄物用の地上施設設置区域JO-3+」及びNAGRAウェブサイトより作成)

【出典】

【2013年12月9日追記】

スイスの放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)は2013年12月4日のプレスリリースにおいて、低中レベル放射性廃棄物用の地層処分場の地質学的候補エリアである「ジュートランデン」における地上施設の設置区域の候補を1カ所に絞り込み、2013年12月4日に開催された地域会議の総会に調査報告書を提出したことを公表した。

連邦エネルギー庁(BFE)は、ジュートランデンのサイト地域の住民を対象として、絞り込み結果及び今後のサイト選定の進め方に関する説明会を2014年5月10日に実施するとしている。なお、説明会で行う現地視察が積雪期となるため、説明会の開催を来春まで遅らせるとしている。

 

ジュートランデンにおける地上施設の設置区域「SR-4」

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「ジュートランデンにおける地上施設設置区域の地理的状況」(NAGRAファクトシート「サイト地域ジュートランデンでの低中レベル放射性廃棄物用の地上施設設置区域SR-4」より作成)

NAGRAの調査報告書によれば、NAGRAが2012年1月に提案した地上施設の設置区域の候補案(右の地図のSR-1、SR-2、SR-3)をジュートランデンの地域会議が拒否したことをうけ、NAGRAは地域会議と代替案を協議し、追加の設置区域の候補2カ所(右の地図のSR-4、SR-5)を提案した。その後、地域会議は、当初の3つの設置区域の候補案と併せたこれら5カ所について改めて検討したが、「最も不適合度が低い」場所はSR-4であるとし、「ジュートランデンに地上施設の設置に適したサイトはない」とする見解を示した。NAGRAは、地域会議及びサイト地域を含む州であるシャフハウゼン州と協議し、他の地質学的候補エリアとの比較を目的とした地上施設の設置区域として、SR-4を選定した。

 

【出典】

【2014年5月19日追記】

スイスの放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)は、2014年5月15日のプレスリリースにおいて、サイト地域である「チューリッヒ北東部」における地上施設の設置区域の候補を1カ所に絞り込み、2014年5月15日に開催された地域会議の総会に調査報告書を提出したことを公表した。

チューリッヒ北東部は、高レベル放射性廃棄物用と低中レベル放射性廃棄物用のいずれか、または両方の処分場を立地する可能性がある地質学的候補エリアである。

チューリッヒ北東部における地上施設の設置区域「ZNO-6b」

「チューリッヒ北東部における地上施設設置区域の地理的状況」(NAGRAファクトシート「サイト地域チューリッヒ北東部での低中レベル/高レベル/共同放射性廃棄物用の地上施設設置区域ZNO-6b」より作成)

「チューリッヒ北東部における地上施設設置区域の地理的状況」(NAGRAファクトシート「サイト地域チューリッヒ北東部での低中レベル/高レベル/共同放射性廃棄物用の地上施設設置区域ZNO-6b」より作成)

チューリッヒ北東部の地域会議は、2013年2月7日の総会において、NAGRAが2012年1月に提案した地上施設の設置区域の候補区域(ZNO-1、ZNO-2、ZNO-3、ZNO-4)を拒否した。これを受け、NAGRAは、地域会議と協議し、追加の設置区域案として、さらに4つの区域(ZNO-5、ZNO-6、ZNO-7、ZNO-8)を提示した。

その後、地域会議は2014年1月に、これらの合計8カ所について、詳細には差はあるものの、いずれも地上施設の設置には不適合であるとの見解を示した上で、他のサイト地域との比較を目的とした地上施設の設置区域を、チューリッヒ州に所在する「イーゼンブック/ベルク」地区に限ることを提案した。

これを受け、NAGRAは「イーゼンブック/ベルク」地区にあるZNO-6について、地域会議及びチューリッヒ州の関係者の意見を踏まえ、NAGRAの案の設置区域の形状を修正したZNO-6b(右図及び右下図参照)を選定した。連邦エネルギー庁(BFE)は、チューリッヒ北東部のサイト地域の住民を対象として、今回の絞り込み結果及び今後のサイト選定の進め方に関する説明会を2014年7月3日に開催する予定である。

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ZNO-6とZNO-6bとの位置関係(ファクトシート「サイト地域チューリッヒ北東部での低中レベル/高レベル/共同放射性廃棄物用の地上施設設置区域ZNO-6b」及びチューリッヒ北東部地域会議ウェブサイトより作成)

なお、NAGRAは、6つのサイト地域のうち、唯一、地上施設の設置区域の絞り込みを終えていない北部レゲレンについても、近日中に地域会議に調査報告書を提出する予定であるとしている。

 

【出典】

【2014年5月28日追記】

「NL-2とNL-6の位置関係」(ファクトシート「サイト地域北部レゲレンでの低中レベル/高レベル/共同放射性廃棄物用の地上施設設置区域NL-2」)より

「NL-2とNL-6の位置関係」(ファクトシート「サイト地域北部レゲレンでの低中レベル/高レベル/共同放射性廃棄物用の地上施設設置区域NL-2」)より

スイスの放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)は、2014年5月24日のプレスリリースにおいて、サイト地域「北部レゲレン」における地上施設の設置区域として2カ所(右写真参照)を選定し、地域会議の総会に調査報告書を提出したことを公表した。特別計画「地層処分場」に従い、以降の作業で地質学的候補エリアの相互比較を可能とするため、NAGRAは計画範囲ごとに地上施設の設置区域を1カ所以上選定することになっている。北部レゲレンでは、他の地質学的候補エリアとは異なり、地上施設の設置区域が2カ所選定された。

北部レゲレンは、高レベル放射性廃棄物用と低中レベル放射性廃棄物用のいずれか、または両方の処分場を立地する可能性がある地質学的候補エリアである。

 

北部レゲレンにおける地上施設の設置区域「NL-2」及び「NL-6」

「北部レゲレンにおける地上施設設置区域の地理的状況」(NAGRAファクトシート「サイト地域北部レゲレンでの低中レベル/高レベル/共同放射性廃棄物用の地上施設設置区域NL-2」より作成)

「北部レゲレンにおける地上施設設置区域の地理的状況」(NAGRAファクトシート「サイト地域北部レゲレンでの低中レベル/高レベル/共同放射性廃棄物用の地上施設設置区域NL-2」より作成)

NAGRAは2012年1月20日に、全体で20カ所の地上施設の設置区域案を提示していたが、このうち、北部レゲレンでは4カ所(NL-1、NL-2、NL-3、NL-4)を提示していた。北部レゲレンは、アールガウ州とチューリッヒ州にまたがっている。アールガウ州は、同州内での地上施設の設置区域の設定に否定的な見解を示し、一方、チューリッヒ州は地下水保護の観点から、これら4カ所以外の地上施設の設置区域案を提示するようNAGRAに要求した。

これを受けNAGRAは、2013年3月12日に行われた地域会議の会合において、地上施設の設置区域案を追加的に4カ所(NL-5、NL-6、NL-7、NL-8)提示する一方、地域会議側も当初の提案にあったNL-2の位置を南側に移動する案「NL-2a」を検討するようNAGRAに求めた。その後、NAGRAは地下水保護を重視するチューリッヒ州の要請に応えるため、追加の地上施設の設置区域案「NL-9」を2013年4月に提示した。

地域会議は、これら合計10カ所の地上施設の設置区域案を検討し、不適合度が低い区域案は「NL-2」と「NL-6」であるとの見解を示した。 これを受け、2014年5月24日にNAGRAは、「NL-2」と「NL-6」をともにサイト地域「北部レゲレン」における地上施設の設置区域に選定した(右図参照)。

これら2カ所の地上施設の設置区域は、いずれもチューリッヒ州が指定する地下水保護区域の内部、あるいはその辺縁にある。これを問題視するチューリッヒ州に対して、NAGRAは今後のサイト選定手続きの過程で、地域会議やチューリッヒ州などと協力しながら、解決を図っていくとしている。

なお、連邦エネルギー庁(BFE)は、北部レゲレンのサイト地域の住民を対象として、今回の地上施設の設置区域の絞り込み結果及び今後のサイト選定の進め方に関する説明会を、2014年6月16日と2014年7月7日に開催する予定である。

 

【出典】

 


  1. ヴェレンベルグでは、当時のヴェレンベルグ放射性廃棄物管理共同組合(GNW)が低中レベル放射性廃棄物の地層処分場の建設を提案し、1995年と2002年の二度にわたる州民投票の結果、建設を断念した経緯がある 。GNWは2003年に解散した。[]
  2. 2012年1月にNAGRAが提案したヴェレンベルグの地上施設の設置区域は1カ所であったことから、今回は同設置区域の提案を再確認する意味合いが強い。[]
  3. 作業報告書NAB13-61「ヴェレンベルグでの低中レベル放射性廃棄物用地層処分場の地上施設設置区域“WLB-1-SMA”計画調査報告書」(2013年9月) http://www.nagra.ch/display.cfm?id=101857&isAdmin=1

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  4. 特別計画に基づくサイト選定手続きの第2段階では、NAGRAが計画範囲ごとに1カ所の地上施設の設置区域を提案した後、低中レベル放射性廃棄物用、高レベル放射性廃棄物用の地層処分場について、それぞれ2カ所以上の候補サイトを選定することとなっている。[]
  5. ジュラ東部での地上施設の設置区域は3つの場合ともに同じ場所である。[]

(post by yamamoto.keita , last modified: 2024-02-13 )