スイス:概要承認


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概要承認とは…

スイスでは、原子力施設を建設及び運転(操業)しようとするものは、概要承認と呼ばれる連邦評議会からの許可を得ることが求められている。この概要承認とは、立地場所、施設の目的及びプロジェクトの基本事項などを定める、建設許可申請前に取得が必要な連邦評議会の許可のことである。原子力施設に関する概要承認の取得義務に関しては、原子力法第12条に規定されている。


概要承認ー法的枠組み


概要承認の流れ

概要承認の流れ


2005年2月1日に施行された原子力法で規定されている原子力施設、特に地層処分場の建設及び運転(操業)を行う際に必要な許可は右の図のようになる。地層処分場に関する情報を収集するために処分場立地候補地で実施されるボーリング及び地下研究所などによる地球科学的調査には、環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)の許可が必要であることが規定されている。また、原子力施設の建設許可に際しては、申請者の概要承認の取得及び概要承認の規定の遵守、また原子力施設の運転許可に際しては、概要承認の規定の遵守が許可発給の条件の一つとして挙げられている。



概要承認の内容

原子力法において規定されている概要承認で定められる事項は、以下のとおりである。

  • 許可の取得者
  • 立地場所
  • 施設の目的
  • プロジェクトの基本事項 (下記参照)
  • 施設周辺における人々について許容される最大放射線被ばく量
  • 特に地層処分場に関しては、予定の処分施設が不適格として除外される判定基準及び暫定的な防護区域

上記のうち「プロジェクトの基本事項」とは、主要建造物のおおよその規模及び位置、処分場の場合にはさらに廃棄物のカテゴリー及び最大処分容量を指す。

概要承認発給の条件として、原子力法では、人間及び環境保護の確保、発生する放射性廃棄物の管理の明示等に加え、地層処分場の概要承認の場合には、地球科学的調査の結果によって立地予定場所の適性を立証することが求められている。

概要承認の申請はエネルギー庁(BFE)に提出され、連邦評議会は申請並びに寄せられた抗弁及び異議などに基づいて決定を行う。この決定に関しては連邦議会によって承認されなければならないこととなっている。


放射性廃棄物処分事業における概要承認申請の例

放射性廃棄物処分事業における概要承認としては、ヴェレンベルグ放射性廃棄物管理共同組合(GNW)が、1994年にニドヴァルデン州ヴェレンベルグに低中レベル放射性廃棄物処分場の建設のために申請した例が挙げられる。しかし、処分のための地下利用及び処分場建設に関する州の許可が1995年に州民投票によって否決されたため、1997年に連邦評議会は、概要承認申請を保留した。2002年には、GNWが処分場建設のための探査坑掘削の許可申請を州に提出したが、州民投票によって再び否決され(詳しくはこちら)、 GNWはヴェレンベルグでの処分場建設を断念した。

なお、2005年2月に施行された原子力法では、処分場を含む原子力施設についての地球科学的調査、概要承認、建設、運転(操業)、閉鎖に関しては、連邦政府のみが許可を発給することが定められている。


出典

  • Kernenergiegesetz(KEG), 2003.3〔原子力法〕
  • Bewilligungsverfahren und Gesetzesanderungen im Kanton Nidwalden Chronologie”; Licensing Procedure and Laws in the Canton Nidwalden, internal NAGRA document on the chronology, September 2002, unpublished