エネルギー省(DOE)の環境管理局(EM)は、2014年4月24日に、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)の地下施設内で2014年2月14日に発生した放射線事象 についての初めてとなる「事故調査報告書(フェーズ1)」を公表した。WIPPでは、今回の放射線事象における放射性物質の漏洩場所の特定及び原因究明のための地下施設内の調査を実施中であるが、本報告書では、事故調査の第1段階として、放射性物質の地上環境への漏洩とWIPP職員の被ばく、事象発生後の対応、管理体制が中心に取りまとめられている。なお、事故調査の進捗に伴って、放射性物質の漏洩の直接的な原因を中心とした補足報告書が発行される予定としている。
2014年4月23日に開催されたタウンホール・ミーティングで示されたDOEの事故調査委員会(AIB)の資料では、放射性物質の地上環境への漏洩の根本原因は、WIPPを運営・管理するDOEカールスバッド・フィールド事務所(CBFO)と管理・操業(M&O)契約者とが、放射線の危険性を十分に理解・管理していなかったためとしている。また、換気システムの設計及び操作性が不適切であり、安全管理プログラムや安全文化の劣化と合わせて累積的に影響したこと、漏洩の認識及び対応が遅延し、効果的でなかったことが放射性物質の漏洩につながったとしている。
今回公表された事故調査報告書(フェーズ1)では、原子力安全、メンテナンス、放射線防護及び緊急事態管理の各プログラム、行動規範、安全文化・監督の各項目について、事故調査委員会の結論・問題点(CON)と措置必要事項(JON)が示され、一覧表に整理されている。
なお、2014年4月23日に行われた漏洩場所の特定及び原因究明のための調査では、漏洩場所と想定される地下処分施設の第7パネルの第7処分室に調査チームが到達しており、処分室の天井の崩落などは認められず、目視可能な範囲では廃棄物パッケージの異常も認められていない。
2014年4月23日のタウンホール・ミーティングでDOEカールスバッド・フィールド事務所(CBFO)が示した復旧計画では、2014年5月末までに原因の特定と再開計画の策定を行い、2014年6月から除染、換気能力増強などの安全対応、是正プログラムの実施などの安全プログラムの強化を行った上で、施設の操業再開に向けた独立のレビューを受けるとの予定が示されている。
【出典】
- エネルギー省(DOE)環境管理局(EM)ニュースリリース(2014年4月24日)
http://energy.gov/em/articles/doe-issues-wipp-radiological-release-investigation-report - エネルギー省(DOE)環境管理局(EM)、WIPP放射線事象の事故調査報告書(フェーズ1)、2014年4月
http://energy.gov/sites/prod/files/2014/04/f15/Final%20WIPP%20Rad%20Release%20Phase%201%2004%2022%202014_0.pdf - エネルギー省(DOE)、カールスバッド・タウンホール・ミーティング資料(2014年4月23日)
http://www.wipp.energy.gov/WIPPRecovery/Presentations/Town_Hall%20Slides_4_23_14.pdf
(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-11 )