英国の環境・食糧・農村地域省(DEFRA)は、2007年10月25日付けのプレスリリースで、放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)を再構成し、委員らを新たに指名したことを公表した。再構成されたCoRWMは、中間貯蔵及び地層処分を含む放射性廃棄物の長期管理に関する政府及び実施主体である原子力廃止措置機関(NDA)の提案、計画、プログラムに対する精査及び助言について、重要な役割を果たすものとされている。
放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)に対する改訂された委任事項によると、再構成されたCoRWMは委員全員の指名後、早い段階で政府との議論及び合意に向けた3カ年の活動プログラムの草案を所轄大臣に提出することになっている。活動プログラムには、廃棄物パッケージの選択、地層処分場の実現に向けたプログラム及び計画、サイト選定の手続及び基準、公衆及びステークホルダーの関与に関するアプローチ等の活動のレビューなどが含まれるとされており、特に地層処分場の実施計画の根拠の分析が重要な活動内容と位置づけられている。また、再構成されたCoRWMは、政府、原子力廃止措置機関(NDA)、地方当局及びステークホルダーと対話を継続すると共に、活動についての年次報告を政府に提出することが求められている。
政府への助言を行う独立機関については、2003年に設置された初代の放射性廃棄物管理委員会(以下、初代CoRWM)が2006年7月に政府に対する管理オプションの最終勧告をまとめ、その主要な役割を終えていたが、その最終勧告において、初代CoRWMは実施手続きを監督する独立機関の迅速な設置を求めていた 。これを受けて、政府は2006年10月の高レベル放射性廃棄物等の長期管理計画の発表に際して、政府に対して独立した立場で助言を行う、初代CoRWMの後継機関を設置することとしていた 。現在、2007年11月2日までの期限で実施している地層処分の実施方法に関する公衆協議の協議用文書には、初代CoRWMの有していた公開性及び透明性に対する義務を継承する形で、政府を独立した立場で監視し助言を行う新たなCoRWMを再構成することが提案されており 、改訂された委任事項が示されていた。
同プレスリリースによると、再構成された放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)は、当初、委員長及び12名のメンバーによって構成され、任期は3年間となっている。新たに指名されたCoRWMの委員長と委員12名は以下の通りである。
- <委員長>
- ロバート・ピッカード:カーディフ大学名誉教授(神経生物学)、消費者団体代表
- <委員>
- ディビッド・ブロートン:元英国原子力公社(UKAEA)技術者
- マーガレット・バーンズ:アバディーン大学非常勤講師、元保健安全委員会(HSC)委員
- ブライアン・D・クラーク:アバディーン大学教授(環境管理・計画)、スコットランド環境保護機関(SEPA)理事、初代CoRWM委員
- マーク・ダットン:放射線防護、原子力安全、放射性廃棄物管理専門家、初代CoRWM委員
- ファーガス・ギブ:シェフィールド大学教授(岩石学、地球化学)
- マリオン・ヒル:コンサルタント(原子力産業の公衆及び環境への放射線医学的影響)、元英国放射線防護委員会(NRPB)職員
- サイモン・ハーリー:エディンバラ大学教授(下部地殻形成過程)
- ウィリアム・リー:ロンドン大学インペリアル・カレッジ教授(放射性廃棄物固化技術)
- フランシス・ライブンズ:マンチェスター大学教授(放射化学)
- レスリー・ネーサートン:コンサルタント(環境衛生)、元地方当局職員
- ジョン・レンニルソン:地方当局職員
- リンダ・ウォーレン:ウェールズ大学名誉教授(環境法)、王立環境汚染委員会委員、初代CoRWM委員
【出典】
- 環境・食糧・農村地域省(DEFRA)、2007年10月25日付けプレスリリース、
(http://www.defra.gov.uk/news/2007/071025c.htm) - Managing Radioactive Waste Safely, A framework for implementing geological disposal, A public consultation by Defra, DTI and the Welsh and Northern Irish devolved administrations、2007年6月25日
(http://www.defra.gov.uk/corporate/consult/radwaste-framework/consultation.pdf)
【2008年5月7日追記】
2008年5月1日に英国政府は、環境・食糧・農村地域省(DEFRA)のプレスリリースにおいて、環境大臣が同日付で放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)の委員として新たに下記の2名を任命したことを公表した。このことにより、CoRWMは委員長と委員14名となった。
- レベッカ・ラン:ストラスクライド大学土木工学部准教授(水文地質学)
- アンドリュー・スローン:公認技術者、ストラスクライド大学土木工学部客員教授、コンサルタント(地質工学)
・環境・食糧・農村地域省(DEFRA)、2008年5月1日付プレスリリース、http://www.defra.gov.uk/news/2008/080501a.htm
(post by 原環センター , last modified: 2013-07-03 )