米国連邦議会の上院環境・公共事業委員会は、2007年10月31日、ユッカマウンテン処分場の許認可手続きに関するヒアリングを開催した。環境・公共事業委員会は、高レベル放射性廃棄物処分場開発の規制官庁である原子力規制委員会(NRC)及び環境保護庁(EPA)に対する監督権限を有してる。ヒアリングにおける証言者は、ネバダ州・サウスカロライナ州の上院議員、連邦エネルギー省(DOE)民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)局長、EPA及びNRCの担当上級職員、及びネバダ州司法長官などである。
ヒアリングでは、2004年7月の連邦控訴裁判所判決により一部無効とされ 、最終規則が未発行となっている環境保護庁(EPA)の放射線防護基準及びNRCのユッカマウンテン処分規則に関しても、証言、質疑が行われた。EPAの証言では、EPAが2005年8月に連邦官報に掲載された規則案 に対して2,000件以上のコメントが寄せられ、それらは基本的には以下の3つのトピックに集約されることが示された。
- 長期的な基準設定に際して基準値を高く、また自然放射線量を使用することの論拠を含め、1万年を超える期間に対する350ミリレム/年(3.5ミリシーベルト/年)という線量限度について
- 線量限度との比較における線量予測値の中央値(メジアン)利用について
- 長期間における地震や気候変動などの事象やプロセスの取り扱いについて
また、環境保護庁(EPA)の証言では、最終規則案は2006年12月に大統領府の行政管理予算局(OMB)に提出したこと、処分場の閉鎖後100万年間にわたって適用される規則を設定することによって生じる重要かつ複雑な問題について他の連邦機関との間で議論を行ってきたことが示されている。EPAの証言ではこうした議論を終結させ、パブリックコメントを分析した上で早期に最終規則を発行したいとの意向が示されたが、具体的な期日は質疑においても示されなかった。
エネルギー省(DOE)と原子力規制委員会(NRC)からも許認可手続きを中心とする枠組みや現状について証言が行われた。環境保護庁(EPA)の放射線防護基準との関係では、EPA及びNRCの最終規則が未発行の状態でもDOEからNRCへの申請書の提出は可能であるが、申請に対するNRCによる決定はEPA及びNRCの最終規則の発行後になるとしている。
【出典】
- 上院環境・公共事業委員会ウェブサイト情報(2007年11月1日)
ヒアリングでの証言者及びその証言書等は、以下の上院環境・公共事業委員会ウェブサイトページで参照可能である。
(epw.senate.gov/public/index.cfm?FuseAction=Hearings.Hearing&
Hearing_id=d447b939-802a-23ad-434f-7596d4a068d7)
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )