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《米国》環境保護庁(EPA)が放射線防護基準を見直す規則案を公表 -1万年に加えて100万年までの放射線防護遵守期間を設定

米国の連邦環境保護庁(EPA)は、2005年8月9日、ユッカマウンテンの高レベル放射性廃棄物処分場に適用される環境放射線防護基準(40 CFR Part 197)の見直し規則案を同庁ウェブサイトにおいて公表した。規則案では、従来規定されていた1万年という放射線防護遵守期間の経過後、100万年までの期間について、自然放射線に基づきより緩やかな放射線防護基準を設定することが提案されている。EPAの環境放射線防護基準は、2004年7月に連邦控訴裁判所判決によって1万年という遵守期間が無効とされ、その後 2005年5月には2005年9月に規則案を公表する予定が示されていた

環境保護庁(EPA)のニュースリリースでは、公表された規則案は、2001年に制定された従来のEPAの放射線防護基準を維持した上で追加の規定を行うものであり、100万年にわたる期間において近隣の住民が自然放射線より高いレベルの被ばくを受けない基準とすることが示されている。また、規則案では、地震、火山活動や雨量の大幅増加などの影響も考慮に入れることが要求されているとしている。以下は、EPAが公表したファクトシートに示された、規則案の概要である。

【放射線防護基準】
(当初の1万年間)

  • 従来の年間15ミリレム(150マイクロシーベルト)の個人防護基準を維持
  • ユッカマウンテン近隣の住民が、現在米国で唯一操業中の地層処分施設であるニューメキシコ州の廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)近隣の住民と同程度に防護されること

(1万年後から100万年後までの期間)

  • 年間350ミリレム(3.5ミリシーベルト)の基準を追加
  • ユッカマウンテン近隣の住民が生涯に受ける放射線量が、米国の他地域の人々が受ける自然放射線量を超えないように処分場からの放射線を制限
【自然事象の考慮】
100万年間にわたって自然過程、破壊事象による潜在的な影響を評価。この評価には以下の事象を含める。

  • 処分坑道への影響及び廃棄物容器の破損をもたらすような地震活動
  • 廃棄物容器への直接的影響または放射性核種の環境への放出をもたらすような火山活動
  • 放射性核種の環境放出につながる雨量の大幅増加を引き起こすような気候変動
  • 廃棄物容器を破損しうる腐食プロセス
【その他】
エネルギー省(DOE)による安全評価に際して以下を要求

  • 1万年後から100万年後までの期間において安全に影響を及ぼす事象とプロセスの評価
  • 放射線量の計算において中央値(メジアン)を採用し、最も予想される処分場性能に基づいた形で遵守を判定
  • 放射線量の計算において、健康影響についての国際的合意など最新の科学的要素を使用

環境保護庁(EPA)によれば、規則案については連邦官報に掲載後60日間のパブリックコメントが募集されるほか、同期間内には公聴会を開催する予定も示されている。

【出典】

【2005年8月23日追記】

2005年8月22日、環境保護庁(EPA)による規則案が連邦官報に掲載された。

【2005年9月26日追記】

2005年9月22日、環境保護庁(EPA)は意見募集の期間を30日間延長し、2005年11月21までに変更した。

  • 出典:環境保護庁(EPA)ウェブサイト(www.epa.gov/radiation/yucca/comments.htm#deadline)

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )