スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)は、2025年1月15日付けプレスリリースにおいて、エストハンマル自治体のフォルスマルクサイトで使用済燃料処分場の建設を開始したと公表した。今回開始された建設作業は、地上での準備作業に限られており、森林の伐採、掘削土保管場所の建設、フォルスマルク原子力発電所の冷却水取水路をまたぐ道路橋の架橋工事、地下湧水の処理施設の設置などが含まれている。なお、処分場の地下施設の建設を開始するためには、今後、規制機関である放射線安全機関(SSM)からのさらなる承認等を受ける必要がある。
■処分場の許認可プロセスとこれまでの経緯
SKB社は2011年3月に、原子力活動法及び環境法典に基づく使用済燃料のキャニスタ封入施設及び処分場の立地・建設許可申請等を提出し、環境法典に基づく審理はナッカ土地・環境裁判所が、原子力活動法に基づく審査は放射線安全機関(SSM)が実施し、2018年1月に、それぞれの意見書をスウェーデン政府に対して提出していた 。その後、スウェーデン政府は2022年1月に、使用済燃料処分場計画の承認を行い、使用済燃料のキャニスタ封入施設及び処分場に関して、SSMによる建設前・操業前の段階的な審査と承認を受けることを前提に、SKB社に対して原子力活動法に基づく許可を発給していた 。また、土地・環境裁判所は、2024年10月に環境法典に基づく許可を発給し、処分場建設のための地上での準備作業が可能となっていた 。
■今後のプロセス
今後、SSMにより、使用済燃料のキャニスタ封入施設及び処分場の建設に向けた条件が決定されることとなっている。また、SKB社が、処分場の地下施設の掘削作業を開始するためには、2011年の立地・建設許可申請以降の進捗を反映した安全解析書(SAR)の承認をSSMから受ける必要がある。SKB社は、今回開始した地上での準備作業は約2年かかり、使用済燃料の処分開始は2030年代半ばになる見込みを示している。
【出典】
- スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)、2025年1月15日付けプレスリリース、「使用済燃料処分場の建設開始(Construction begins on Swedish Spent Fuel Repository)」
https://skb.com/nyhet/construction-begins-on-swedish-spent-fuel-repository/ - スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)、2022年2月10日付け情報政府決定後の次のステップ
https://skb.com/nyhet/next-step-following-government-decision/
(post by tokushima.hideyuki , last modified: 2025-01-16 )