ドイツの連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)は、2010年8月5日付のプレスリリースにおいて、高レベル放射性廃棄物等の最終処分場候補サイトであるゴアレーベン・サイトに関する予備的な安全評価を、施設・原子炉安全協会(GRS)に委託したことを公表した。この予備的な安全評価では、ゴアレーベン・サイトに関するこれまでの知見と調査結果を取りまとめるとともに、同サイトでの発熱性放射性廃棄物(高レベル放射性廃棄物を含む)の処分について、2009年7月にBMUが策定した「発熱性放射性廃棄物の最終処分に係る安全要件」 への適合性を検討することになっている。
プレスリリースによれば、ゴアレーベン・サイトに関する予備的な安全評価では、長期安全性に重点を置き、同サイトでの安全な処分が可能か否かを明らかにするとともに、どのような条件において処分が可能になるのかが、検証可能な形で示されることになるとしている。さらに、予備的な安全評価の結果を基に、安全操業のために最適な最終処分場概念の策定、及び今後調査すべき項目の確定が必要になるとしている。
ゴアレーベン・サイトに関する予備的な安全評価は、2012年末までに終了する予定であり、その後、評価結果についての国際ピア・レビューが予定されている。予備的な安全評価に関する中間結果と報告書はBMU、GRS及び連邦放射線防護庁(BfS)の各ウェブサイトにおいて公開されるほか、BfSは、予備的な安全評価に関する作業、ゴアレーベン・サイトでの探査活動などの取組の進捗状況を積極的に公開していくとしている。
プレスリリースによれば、予備的な安全評価においては、GRSのほかに、ゴアレーベン・サイトに関する専門的な知識を有する以下の機関の研究者の協力も得るとしている。
- 連邦地球科学・天然資源研究所(BGR)
- DBEテクノロジー社(ドイツ廃棄物処分施設建設・運転会社(DBE)の子会社)
- カールスルーエ研究所放射性廃棄物研究所(INE)
- ライプツィヒ岩盤力学研究所(IfG)
また、安全評価の品質保証については、クラウスタール工科大学最終処分技術研究所が外部機関として監視・評価を担当するとしている。
なお、ドイツでは、1998年に成立した連立政権の脱原子力政策により、2000年からゴアレーベンでの新たな探査活動が凍結されていたが 、2009年秋に成立した中道右派の連立政権は、連立協定においてゴアレーベンにおける探査活動の凍結等をただちに撤廃し、探査を再開する方針を示していた 。その後、2010年3月にBMUは、今回公表された予備的な安全評価の実施を含む、複数の段階からなる探査活動によってゴアレーベン・サイトの最終処分場としての適性を確認し、適性が確認された場合には、原子力法に基づく 計画確定手続を実施することを発表していた 。
【出典】
(post by j-nakamura , last modified: 2023-10-11 )