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《ドイツ》BMU大臣がゴアレーベンでの探査活動再開について発言

ドイツの連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)は、2010年3月15日付のプレスリリースにおいて、高レベル放射性廃棄物等の最終処分場候補サイトである、ゴアレーベンでの探査活動再開について、ノルベルト・レトゲンBMU大臣の発言内容を公表した。プレスリリースによれば、レトゲン大臣は、未解決のままである高レベル放射性廃棄物の最終処分は避けて通れない問題であり、その解決を次世代に先送りしないためにも、ゴアレーベンでの探査活動を可能な限り迅速に再開し、最終処分場としての適性を判断しなければならないとしている。

また、今後、複数の段階から成る探査に係る手続きにより、ゴアレーベン・サイトの最終処分場としての適性が確認された場合には、原子力法に基づく計画確定手続が実施されることになるとしている。具体的には、計画確定手続に至るまで、以下の取組が予定されるとしている。

  • 2009年7月に公表された「発熱性放射性廃棄物の最終処分場に関する安全要件」 のゴアレーベン・サイトへの適用について、BMUは、許認可当局であるニーダーザクセン州政府との協議を実施し、2010年中に承認を得る。
  • 同安全要件に係る州政府の承認に基づき、探査活動凍結までに得られたデータ及び知見から、ゴアレーベン・サイトに関する予備的な安全評価を実施し、その結果についての国外の専門家による国際的なピア・レビューを実施する。この安全評価とピア・レビューの結果は、今会期中の連邦議会に提出される見込みである。
  • 探査活動凍結後の状況変化を踏まえ、ゴアレーベン・サイトの最終処分場概念及び最終処分計画を必要に応じて見直す。
  • ゴアレーベンについて最終処分場サイトとしての適性が確認された場合、原子力法による計画確定手続を開始する。

これらの取組及び原子力法に基づく計画確定手続には、すべての段階において市民参加が組み込まれる予定であり、これによって手続きの透明性と立証の可能性が確保されるとしている。

なお、ドイツでは、1998年に成立した連立政権の脱原子力政策により、2000年からゴアレーベンでの新たな探査活動が暫時凍結されていたが 、2009年秋の総選挙の結果を受けて新たに誕生した中道右派の連立政権は、その連立協定において、ゴアレーベンにおける探査活動の凍結等をただちに撤廃し、探査を再開する方針を示していた

【出典】

【2010年3月25日追記】

許認可当局であるニーダーザクセン州環境大臣は、2010年3月18日のプレスリリースにおいて、緑の党及び社会民主党(SPD)の質問に答える形で、ゴアレーベンでの探査活動凍結を解除し、あくまで処分サイトとしての適性の確認を目的として探査を再開すること(結論ありきではなく、処分サイトとしての適性を否定する結果が示される可能性もある)に同意したと発表した。また、同プレスリリースにおいて大臣は以下の点について言及している。

  • 探査活動に必要な鉱山法上の許認可(枠組み操業計画)の期限が2010年9月30日に切れるため、連邦放射線防護庁(BfS)は、2010年3月30日までに枠組み操業計画に係る許認可を再申請する必要がある。
  • ゴアレーベン探査活動凍結の解除に関する連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)大臣の発言内容を支持する。

また、実施主体である連邦放射線防護庁(BfS)は、2010年3月19日付のプレスリリースにおいて、ゴアレーベンでの探査活動再開に関する下記の3段階からなるスケジュールを発表した。

  • 2010年10月1日までに、「発熱性放射性廃棄物の最終処分場に関する安全要件」 について各州と合意し連邦官報に掲載する。その後地下探査活動を再開する。
  • 2012年末までに、ゴアレーベン・サイトに対する予備的な安全評価を行い、安全評価に基づく処分概念を示す。その後、2013年前半までに、処分概念についての国際ピア・レビューを実施する。
  • 連邦議会の次の立法会期が終了するまで(7年以内)に、ゴアレーベン・サイトに対する原子力法に基づく計画確定手続のための計画書の作成を含めた探査活動を終了する。

【追記部出典】

  • ニーダーザクセン州、2010年3月18日付プレスリリース、http://www.umwelt.niedersachsen.de/master/C62499727_L20_D0_I598.html
  • ニーダーザクセン州、2010年3月18日付プレスリリース、http://www.umwelt.niedersachsen.de/master/C62499867_L20_D0_I598.html
  • 連邦放射線防護庁(BfS)2010年3月19日付プレスリリース、http://www.bfs.de/de/endlager/gorleben/vorgehen.html

【2010年3月31日追記】

連邦放射線防護庁(BfS)は、2010年3月30日付プレスリリースにおいて、ゴアレーベンの探査に係る鉱山法に基づく枠組み操業計画の許認可について、同日、当局であるニーダーザクセン州に再申請したことを公表した。プレスリリースによれば、同申請では、枠組み操業計画の許認可を2020年9月30日まで延長するとしている。

【追記部出典】

  • 連邦放射線防護庁(BfS)2010年3月30日付プレスリリース、http://www.bfs.de/de/endlager/gorleben/verlaengerung_rbp.html

【2010年5月20日追記】

連邦放射線防護庁(BfS)は、2010年5月18日に自身のウェブサイトにおいて、ゴアレーベンの探査に係る鉱山法に基づく主操業計画の許認可について、2010年4月30日に当局であるニーダーザクセン州に申請したことを公表した。BfSによれば、同申請はゴアレーベン・サイトの「調査エリア1」と「調査エリア3」を対象としたものであり、対象期間は2010年10月1日から2012年9月30日までとされている。

また、ゴアレーベンでの探査活動を実施し、将来、最終処分場として操業する上で必要となる岩塩採掘権について、2015年12月31日に譲渡契約が失効するため、譲渡契約の延長(既報を参照)をゴアレーベン・サイトの岩塩採掘権を有する者と合意する必要がある。現在、BfSは、岩塩採掘権の現状を調査するとともに、岩塩採掘権の譲渡契約の延長に向けて当事者と会合を開くとしている。

【追記部出典】

  • 連邦放射線防護庁(BfS)ウェブサイト、2010年5月18日、http://www.bfs.de/de/endlager/gorleben/salzrechte_gorleben_weitere_schritte.html

(post by j-nakamura , last modified: 2023-10-11 )