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《ドイツ》新原子力法が成立

ドイツの新原子力法が大統領の署名を得て正式に成立し、4月26日付けの官報に掲載され、翌27日(土)から発効した。同法の成立により、ドイツにおける原子力発電は廃止されることが明確に法制化された。また、将来における再処理のための使用済燃料の引渡しが禁止されると共に、発電所近郊での使用済燃料の中間貯蔵義務が新たに定められたが、使用済燃料等の最終処分に関する基本的な制度は変更されていない。

この新原子力法は、1998年に誕生した現連立政権の脱原子力政策を法制化するものであり、具体的には2001年6月に最終的に署名された連邦政府と電力会社の協定における、原子力からの段階的撤退・再処理のための使用済燃料の引渡し禁止・発電所サイト内またはその近辺での使用済燃料中間貯蔵等に関する合意事項を踏まえたものである。原子力発電からの撤退に関しては、第7条および付表では2000年1月1日以降の可能発電量が具体的に定められ、それ以降の認可失効が規定されている。

こうした新原子力法の性格は、原子力法を改正する法律の正式名称「商業発電のための原子力利用の秩序正しい終結に関する法律」に表されている。原子力発電からの撤退以外の主要なポイントとして連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)が挙げているのは、以下の4点である。

  • 「平和目的のための原子力利用の推進」という従来の目的を廃し、「商業利用目的の原子力利用の終結、終了までの期間における操業確保の保証」を新たな目的に。
  • 使用済燃料の処分は直接処分に限定し、2005年7月以降は原子力発電所から再処理工場への使用済燃料の搬出を禁止。
  • 原子力発電所運営者は、発電所近辺に使用済燃料の中間貯蔵施設を設置する。
  • 原子力発電所の賠償責任限度額を10倍の25億ユーロに増加。

なお、上に述べた連邦政府と電力会社の協定では、使用済燃料を含む高レベル放射性廃棄物の最終処分場候補サイトとして調査中であったゴアレーベンにおける新たな探査活動の凍結等も合意されていた。しかしながら、このゴアレーベンに関する特別な規定は、新原子力法には盛り込まれていない。高レベル放射性廃棄物の処分に関する基本的な制度も変更は行われていない。

【出典】

  • 連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)プレスリリース(Nr.97/02, 25 April 2002) (www.bmu.de/fset1024.htm)
  • Gesetz zur geordneten Beendigung der Kernenergienutzung zur gewerblichen Erzeugung von Elektrizitat(2002.4.22) (商業発電のための原子力利用の秩序正しい終結に関する法律)〔原子力法改正法〕 (ドイツ官報:www.bundesanzeiger.de/bgbl1f/b1findex.htm)
  • Gesetz uber die friedliche Verwendung der Kernenergie und den Schutz gegen ihre Gefahren (原子力の平和利用およびその危険の防護に関する法律(1959.12.23/2002.04.22)〔原子力法〕(連邦環境・自然保護・原子炉安全省 (BMU):www.bmu.de/english/download/nuclear/files/atg_english.pdf)

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )