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《ドイツ》CDU、CSU、FDPが連立協定に署名-ゴアレーベンでの探査活動再開へ

ドイツのキリスト教民主同盟(CDU)は、2009年10月26日付のプレスリリースにおいて、CDU、キリスト教社会同盟(CSU)及び自由民主党(FDP)の各党首と各党の議会会派代表が、同日、連立協定に署名したことを発表した。

2009年9月27日に行われたドイツ連邦議会選挙では、CDUが194議席、FDPが93議席、CSUが45議席を獲得し、3党合計で過半数(総議席数622)を獲得した。その後、3党は保守・中道の新連立政権の発足に向けて、2009年10月5日から連立協議を開始し、2009年10月24日に連立協定案に合意していたところである。

ドイツでは、1998年に誕生した社会民主党(SPD)と緑の党の連立政権が脱原子力政策を推し進め、2001年6月に原子力からの段階的撤退や高レベル放射性廃棄物等の最終処分場候補サイトとして調査中であったゴアレーベンにおける新たな探査活動の凍結等に関する電力会社との協定に署名していた。2002年4月には、原子力発電からの段階的撤退を規定する原子力法が制定された 。その後、2005年11月に発足したキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)とSPDの連立政権においても、脱原子力政策が継続されていた。

今回、CDU、CSU及びFDPによって署名された連立協定では、原子力発電を、再生可能エネルギーによって確実に代替されるまでの過渡的なエネルギーとして位置づけており、原子力法に基づく原子力発電所の新設禁止は堅持するものの、既設原子力発電所の運転期間延長を承認するという方針が示されている。また、放射性廃棄物処分に関しては、次の方針が示されている。

  • 責任ある原子力利用では、放射性廃棄物の安全な最終処分もその条件となる。したがって、結果の出ていない調査作業を進めるためにも、ゴアレーベン(旧岩塩鉱山)における探査活動の凍結等をただちに撤廃する。ゴアレーベンが最新の国際基準に達しているか否かについては、国際的なピアレビュー・グループと共に検討する必要がある。これにより、プロセス全体が明らかになり、透明性が確保される。
  • アッセⅡ研究鉱山 及びモルスレーベン処分場 を、速やかに透明性のある手続により閉鎖しなければならない。閉鎖に当たっては、人と環境の安全確保を最優先事項とする。アッセⅡ研究鉱山の閉鎖については、電力会社が費用を負担する。
  • 国にとって重要な処分場を受け入れた地域に対しては、法的に補償を行う。

【出典】

  • キリスト教民主同盟(CDU)、2009年10月26日付プレスリリース、
    http://www.cdu.de/home/index_29125.htm
  • キリスト教民主同盟(CDU)、キリスト教社会同盟(CSU)、自由民主党(FDP)間の連立協定、2009年10月26日
    http://www.cdu.de/doc/pdfc/091026-koalitionsvertrag-cducsu-fdp.pdf

【2009年12月2日追記】

2009年11月18日に、高レベル放射性廃棄物処分の実施主体である連邦放射線防護庁(BfS)は、ゴアレーベンでの探査活動の凍結を早期に撤廃するという新連立政権の方針を受け、放射性廃棄物の最終処分場に関する問題を解決するため、目標を迅速に遂行するとするプレスリリースを公表した。また、BfSは、2000年から探査活動が凍結されていた間も、再開に向けて調査方法の検討などの準備を進めており、今後、国民の信頼を得て探査を進めていくためには、次の課題への対応が必要としている。

  • 1999年まで実施された調査計画について、最新の科学・技術レベルからの判断、安全要件への適合性の確認
  • 2015年に失効する、探査活動に必要な岩塩の採掘権の再取得
  • ゴアレーベンでの探査活動において、ステークホルダーや住民の参加プロセスを採用すること

【追記部出典】

  • 連邦放射線防護庁(BfS)、2009年11月18日付プレスリリース
    http://www.bfs.de/de/endlager/gorleben/gorleben_erkundungsmoratorim.html

【2009年12月2日追記】

ニーダーザクセン州環境省は、2009年11月26日付のプレスリリースにおいて、ゴアレーベン・サイトの適性を早期に確認するために、新しい安全要件に適合した方法で同サイトをさらに調査する必要があるとする同州の環境大臣のスピーチを公表した。大臣は、現時点でゴアレーベンの探査は90%が完了しており、順調に行けば7年後に探査が完了するとしている。

また、今後の探査では透明性を確保することが信頼を回復するために極めて重要であることから、今後の探査及びその結果の評価に協力することを目的とした、専門家と公衆とで組織されるゴアレーベン監視グループを支援すると述べている。

【追記部出典】

  • ニーダーザクセン州環境省、2009年11月26日付プレスリリース
    http://www.umwelt.niedersachsen.de/master/C60054136_N11281_L20_D0_I598.html

(post by j-nakamura , last modified: 2023-10-11 )