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《ドイツ》BfSがアッセⅡ研究鉱山の閉鎖オプションを提示

ドイツの連邦放射線防護庁(BfS)は、2009年9月3日付のプレスリリースにおいて、放射性廃棄物処分の地下研究所であったアッセⅡ研究鉱山の閉鎖に関して、廃棄物の回収、同鉱山のより深い地層への処分、特殊なコンクリートによる埋め戻しという3つのオプションの中から、2009年末までに最良のオプションを決定すると発表した。BfSは、この決定を透明性の高い形で行うことが可能としている。

プレスリリースによれば、連邦放射線防護庁(BfS)は、最良の閉鎖オプションの選定のため、市民運動家などを中心としたアッセⅡ監視グループとの協議を経て策定された評価基準と手続を公表しており、この評価基準に沿って選定が行われるとしている。

また、プレスリリースによれば、3つのオプションは、以下の観点において評価されるとされている。

  • 作業時の安全性
  • 制御できない地下水の浸入が生じた場合の環境への影響
  • 予備的な長期安全性に関する評価
  • 実現可能性
  • 必要とされる期間

プレスリリースによれば、以下のスケジュールでいずれの閉鎖オプションが最も安全かが決定され、2009年12月中旬に発表するとしている。

  • 2009年10月初めに、3つのオプションの実現可能性及び影響に関する研究が完了
  • インターネット及び公式のワークショップにおいて研究成果を公表
  • 2009年12月中旬までに、実現可能性の研究に対する連邦放射線防護庁(BfS)の専門的評価
  • BfSが2009年12月中に専門的評価の結果を公表
  • BfSの提案に対する公衆の意見聴取
  • BfSがアッセⅡ研究鉱山の閉鎖に関する最終決定

ドイツでは、放射性廃棄物処分に関する調査を実施するため、1965年に、現在のミュンヘン・ヘルムホルツセンター(HMGU)が岩塩鉱山であったアッセ鉱山を取得し、1967年から1978年まで低中レベル放射性廃棄物の試験的な処分が行われた。その後、アッセⅡ研究鉱山では、放射性廃棄物処分に係る地下研究所として調査活動が続けられた。一方で、近年になって、地下水の浸入により岩塩から成る処分坑道の安定性が確保できなくなる可能性が示されたことから、処分場としての閉鎖方策を早急に決定することが急務とされていた。なお、原子力法の改正(2009年3月改正)により、アッセⅡ研究鉱山の廃止措置が同法の規制を受けることとなった。また、2009年1月からは連邦放射線防護庁(BfS)がアッセⅡ研究鉱山の閉鎖手続の実施主体となっている。

【出典】

  • 連邦放射線防護庁(BfS)、2009年9月3日付プレスリリース、
    http://www.bfs.de/de/bfs/presse/pr09/pr0929.html
  • 連邦放射線防護庁(BfS)ウェブサイト、アッセⅡ研究鉱山:岩塩層での廃棄物処分の経緯
    http://www.bfs.de/en/endlager/asse/grundlagen/geschichte.html
  • 連邦放射線防護庁(BfS)ウェブサイト、アッセⅡ研究鉱山:地層及びその安定性の問題
    http://www.bfs.de/en/endlager/asse/grundlagen/geologie.html
  • 連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)、2008年11月19日付プレスリリース、
    http://www.bmu.de/pressemitteilungen/aktuelle_pressemitteilungen/pm/42605.php

(post by j-nakamura , last modified: 2023-10-11 )