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《米国》環境保護庁(EPA)が廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)の4度目の適合性再認定を決定

米国の環境保護庁(EPA)は2022年5月3日に、超ウラン核種を含む放射性廃棄物(TRU廃棄物)の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)について、適合性再認定の決定を行ったことを連邦官報で告示した。WIPPでは、1999年3月26日から軍事起源のTRU廃棄物の地層処分をエネルギー省(DOE)が実施しているが、1992年WIPP土地収用法において、処分開始以降の5年毎に、廃止措置段階が終了するまで、連邦規則(CFR)の要件に適合していることの再認定を受けることが要求されている。前回の3度目は、2014年3月26日に適合性再認定申請書をDOEがEPAに提出し、2017年7月13日に適合性再認定の決定をEPAが公表し、2017年7月19日付の連邦官報で告示された。今回は4度目の適合性再認定になり、DOEは2019年3月26日に適合性再認定申請書をEPAに提出していた

連邦官報に掲載された適合性再認定の決定文書では、EPAによる適合性再認定の決定は、DOEが提出した情報の詳細な審査、独自の技術的な解析、パブリックコメントに基づいて行われたことが示されている。本決定は、EPAのTRU廃棄物等処分の環境放射線防護基準に係る連邦規則(40 CFR Part 191)及びWIPPの適合性認定の基準に係る連邦規則(40 CFR Part 194)の要件について、引き続き満足されていることをEPAが確認したものと説明している。また、EPAは、次回の適合性再認定の申請に向けて、DOEの技術的解析や説明根拠には改善の余地がある領域が確認されたことも付記している。WIPPの適合性再認定の決定は、EPAがDOEの申請書の完全性を確認して決定してから6カ月以内に行うものと規定されている。EPAは、2021年11月17日付の書簡で、申請書の完全性を確認したことをDOEに通知していた

なお、WIPPについては、2014年2月に発生した火災事故及び放射線事象を受けて一時操業が停止されていたが、2017年1月には操業が再開された 。WIPPでは、2014年2月の事故・事象を受けた設備更新も進められており、DOEは、2023会計年度1 について、以下のとおり予算要求を行っており、総額で462,822千ドル(約532億円、1ドル=115円で換算)の予算要求額となっている。

項目 予算要求額 (千ドル) 活動内容
廃棄物処分施設:WIPPの操業 363,283 廃棄物の定置や坑道の維持・整備等を含むWIPPの操業
(以上の内、建設関連) (84,073) 「安全上重要な閉じ込め換気システム(SSCVS)」の建設(59,073)、換気立坑の建設(25,000)
特性評価プロジェクト(中央) 26,245 DOE各サイトからWIPPへのTRU廃棄物搬出に向けた特性評価プロジェクト(Central Characterization Project)
重要インフラの維持・補修 21,250 空調設備交換などインフラ再整備プロジェクト、鉱山近代化等
輸送:WIPP 45,238 輸送ペースの増加(~週17回)、新型輸送容器調達等
    WIPP小計 456,016  
保障措置・セキュリティ 6,806 WIPP施設のセキュリティ及びサイバーセキュリティ確保等
     合 計 462,822  

WIPPでの操業状況については、2022年4月19日付のDOE環境管理局(EM)のニュース記事において、地下処分施設の第7パネルのうちの第1処分室での廃棄物定置が開始され、第7パネルでの処分完了というマイルストーンに一歩近づいたことが伝えられている。第7パネルでの処分完了は、晩夏から初秋に掛けてと見込まれており、その後は第7パネルが密封され、第8パネルでの廃棄物定置が開始されることになる。第8パネルの掘削は2021年に完了しており、供用開始に向けて電気設備等の整備が行われている。

なお、WIPPにおける余剰プルトニウム2 の処分に関して、廃棄物の輸送や、1992年WIPP土地収用法で規定された処分容量の超過などを懸念して、WIPPの拡張を止めるための行動を起こすことをニューメキシコ州知事に求めるニューメキシコ州民による請願書が2022年3月に提出されている。ニューメキシコ州知事がエネルギー長官に宛てた2022年4月8日付の書簡において、ニューメキシコ州民による請願書は、WIPPにおける廃棄物処分・輸送や長期計画について、DOEが透明性を確保した有意義な公衆との関与を行っていないことへの不満を反映したものであると指摘している。ニューメキシコ州知事は、請願書で示された懸念を重大に受け止めているとして、ニューメキシコ州民が提起した問題に対応する行動をDOEが取ることを要求している。余剰プルトニウムの処分についてDOEは、2020年12月に、余剰プルトニウムを希釈してWIPPにおいて処分する案についての環境影響評価の実施を連邦官報で告示しているが、環境影響評価書(EIS)の案等は公表されていない。DOEは、WIPPについて、2014年2月の放射線事象で汚染された処分エリアの代替処分パネル(第11パネル及び第12パネル)の建設を提案している他、さらに処分パネルを増設する構想も示している

【出典】

  1. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2023会計年度の予算は2022年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  2. 冷戦の終結によって発生した兵器級余剰プルトニウムのうち、MOX燃料として利用する予定であった34トンの余剰プルトニウムについて、MOX燃料利用計画が中止されたことから、余剰プルトニウムを希釈した上で、廃棄物として処分することが検討されている。 []

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-11 )