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《米国》廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)で代替の処分パネルを建設へ

米国のエネルギー省(DOE)のカールスバッド・フィールド事務所(CBFO)は、2021年4月8日付けのニュース記事において、軍事起源のTRU廃棄物の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)について、2つの代替処分パネルの建設などに係る補足分析(SA:Supplement Analysis、以下「補足分析」という。)を完了したことを公表した。補足分析は、1969年国家環境政策法(NEPA)の要件を満たすためのものであり、代替処分パネルの建設によっても環境への影響に重大な変化が生じることはなく、現行の環境影響評価書(EIS)は引き続き有効であるとのDOEの判断が示されている。WIPPでは、2014年2月の放射線事象によって、処分エリアの一部のエリアが汚染されたことなどから、代替処分パネルの建設が提案されたものである。

新たに建設される代替処分パネルは、WIPPの既存の処分パネルと同様の方式で掘削され、処分パネル内に設置される処分室も既存と変わらない設計となっている。WIPPの各々の処分パネルには、長さが約300ft(約91m)、幅が33ft(約10m)、高さが13ft(約4m)の処分室が7つ設けられている。代替処分パネル(第11パネル及び第12パネル)は、以下の配置図に示されるように、既存の処分パネルとは離れた位置に建設される計画となっている。

代替処分パネル(第11パネル及び第12パネル)の提案配置図

WIPPにおけるTRU廃棄物の処分容量は、1992年WIPP土地収用法において620万ft3(約17.6万m3)と規定されている。建設される第11パネル及び第12パネルは、未使用の処分パネルの代替として建設されるものであり、WIPPの処分容量は変更されない。WIPPの既存の処分エリアでは、第1パネル~第8パネルのアクセス坑道として使用されていた部分について、第9パネル(相当)及び第10パネル(相当)として廃棄物が定置される予定となっていたが、2014年2月の放射線事象による一部エリアの汚染、及び岩盤管理状態の悪化による作業安全上の問題から、未使用のまま閉鎖されることとなった1

既存処分エリアの未使用処分スペース

補足分析によれば、第11パネル及び第12パネルの掘削にはニューメキシコ州環境省(NMED)の事前の承認が必要とされている。DOEは、2023年夏にNMEDの承認を得ることにより、第8パネルでの操業終了時に代替処分パネルでの定置が可能になるように計画している。なお、これら代替処分パネルへのアクセス坑道の掘削については、2021年夏にも開始される可能性があると指摘している。また、DOEのニュースリリースによると、WIPPでの将来的な開発については、2021年の後半に開始する予定のパブリックミーティングで議論することとなっている。

【出典】

  1. 第9パネルに相当するエリアは、2016年に閉鎖の方針が決定され 、未使用のまま閉鎖された []

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-17 )