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《フィンランド》使用済燃料処分場の建設状況:ポシヴァ社がキャニスタ封入施設の建設を開始

フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、2019年6月25日付けプレスリリースにおいて、使用済燃料処分場の地上施設を構成するキャニスタ封入施設の建設を開始したことを公表した。本施設は、国内2カ所の原子力発電所から使用済燃料を輸送キャスクに収納して受け入れ、処分用の銅-鋳鉄キャニスタ(外側が銅製、内側が鋳鉄製)に使用済燃料を移し替えて封入する施設である。乾燥させた使用済燃料は、キャニスタに収納され、アルゴンガスが充填される。キャニスタの蓋部分は「摩擦撹拌溶接法」(friction stir welding、FSW)と呼ばれる方法により、接合部周辺を塑性流動させて練り混ぜて一体化することにより、使用済燃料が密封される。

ポシヴァ社は2012年12月に、地上のキャニスタ封入施設と地下の処分施設の建設許可申請書を政府に提出し、政府は2015年11月に建設許可を発給していた。地下の処分施設の建設は、2016年12月より開始されており、キャニスタ封入施設の建設開始とあわせて、処分施設との接続に必要なシステムも設置される予定である。

また、ポシヴァ社は、キャニスタ封入施設と処分施設を合わせた処分場全体の建設費用が約5億ユーロ(625億円、1ユーロ=125円で換算)になるとしている。ポシヴァ社は、現在のところ2021年末に操業許可を申請し、2020年代に操業を開始する予定である

キャニスタ封入施設のイメージ図(ポシヴァ社ウェブサイトより引用)

キャニスタ封入施設のイメージ図(ポシヴァ社ウェブサイトより引用)

銅-鋳鉄キャニスタ(写真:ポシヴァ社ウェブサイトより引用)

銅-鋳鉄キャニスタ(写真:ポシヴァ社ウェブサイトより引用)

【出典】

 

 

【2019年7月2日追記】

ポシヴァ社は、キャニスタ封入施設の建屋建設について、スウェーデンの大手建設会社であるSkanska社と工事契約を締結したことを公表した。ポシヴァ社のプレスリリースによると、キャニスタ封入施設は床面積約11,500m2、コンクリート使用量約16,000m3であり、工事契約額は約4,500万ユーロ(約56億3,000万円、1ユーロ=125円で換算)である。竣工は2022年夏の予定である。

Skanska社は、スウェーデンの首都ストックホルムに本社を置く建設・不動産開発企業である。原子力施設の建設にも携わっており、フィンランドのオルキルオトでも原子力関連事業を請け負った経験も有している。なお、今回の工事契約の締結に先立ってポシヴァ社とSkanska社とは、2018年11月にキャニスタ封入施設建設プロジェクトの準備に関する契約を締結していた。

【出典】

(post by t-yoshida , last modified: 2023-10-10 )