スイスの連邦エネルギー庁(BFE)は、2010年5月28日付のプレスリリースにおいて、特別計画「地層処分場」(以下「特別計画」という)の方針部分 に基づく処分場サイト選定手続において、地域参加プロセスに参加する自治体の候補を公表した。地域参加プロセスは、特別計画に基づく3段階のサイト選定の第2段階以降に、地層処分場の安全性や社会経済的影響、及び環境に対する影響などを検討するために実施されるものである。
プレスリリースによれば、地域参加プロセスに参加するのは、次の自治体である。
- 地質学的な基準のみを考慮して放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が提案した地質学的候補エリアに一部でも含まれる自治体
- 処分場の地上施設が設置される可能性のある地点が含まれる「計画範囲」に一部でも含まれる自治体
- 「計画範囲」に含まれる自治体に隣接し、経済や観光の点で特別な関係を有する自治体
スイスでは、2008年4月に策定された特別計画に基づき、3段階の処分場サイト選定手続きが行われており、第1段階として2008年10月に、廃棄物処分義務者(放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA))が、特別計画に示されている安全及び技術的な実現可能性に関する基準に従って、地層処分場の地質学的候補エリアを提案した 。この提案は、安全性と技術的な実現可能性という点のみに基づくものであり、放射性廃棄物の処分に適した地層によって定められている。NAGRAの提案については、2010年2月に連邦原子力安全検査局(ENSI)が安全性及び技術的な観点から承認しており 、さらに2010年5月に、原子力安全委員会(KNS)がENSIの承認に合意したことにより、規制当局の安全性評価は終了している 。また2009年12月には、連邦エネルギー庁(BFE)が、特別計画に基づいて、処分場の地上施設が設置される可能性のある地点が含まれる「計画範囲」の案を設定していた 。
プレスリリースによれば、地域参加プロセスに参加する自治体の候補は、地層処分場が建設される可能性のある州、「計画範囲」に含まれる自治体内で地域参加の準備を行う作業チーム、及び隣接するドイツ国内の郡の協力の下で選定されており、合計で202(スイス190、ドイツ12)の自治体が含まれている。
特別計画に基づくサイト選定手続の第1段階では、複数の地質学的候補エリアが選定される。連邦エネルギー庁(BFE)は、2010年夏に3ヵ月間にわたって、州、近隣諸国、政党などから放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)の提案、安全規制当局の評価に対する意見聴取を実施する準備を進めており、最終的に2011年に連邦評議会が地質学的候補エリアを承認して、第1段階が完了する予定であり、それとともに「計画範囲」及び地域参加プロセスに参加する自治体も確定されることとなっている。
右の図は、地域参加プロセスに参加する自治体について模式的に示したものである。
なお、低中レベル放射性廃棄物及び高レベル放射性廃棄物の処分のための6カ所の地質学的候補エリアについて、地域参加プロセスに参加する自治体を示した図、及び自治体名を、下記の連邦エネルギー庁(BFE)のウェブサイトで閲覧することができる(ドイツ語)。
http://www.news-service.admin.ch/NSBSubscriber/message/attachments/19257.pdf
【出典】
(post by y-nishimura , last modified: 2023-10-11 )