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《カナダ》使用済燃料処分場のサイト選定の状況-オンタリオ州ブルース郡内の5地域での第3段階第1フェーズの調査が完了

(NWMOによるサイト選定プロセスの進捗動向)

NWMOによるサイト選定プロセスの進捗動向
(2014年12月時点)

Bluce-county

ブルース郡のサイト選定プロセス参加地域の位置

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(Nuclear Waste Management Organization, NWMO)は、2014年12月2日付で、サイト選定プロセスに参加していたオンタリオ州南部のブルース郡内で実施していた第3段階第1フェーズの調査がすべて完了したことを公表した。ブルース郡では5地域(右上図の16~20番)で調査を進めていたが、今回、ヒューロン=キンロス・タウンシップとサウスブルース自治体(図の19番及び20番)はサイト選定要件に合致する可能性が高いと評価し、第2フェーズの調査を実施するとした。一方、先に調査対象から除外していたアラン=エルダースリー自治体、ソーギーンショアーズ町に続いて(図の16番及び17番) 、今回、新たにブロックトン自治体(図の18番)を調査対象から除外した。NWMOは、ブロックトン自治体で地層処分場を建設できる見通しはあるものの、地元福祉や経済発展に対する住民意見の違いが見られており、地層処分場プロジェクトの議論が進行することによって自治体全体の福祉を損ねる可能性があるとしている。なお、ブルース郡のキンカーディン自治体には、ブルースパワー社が運転するブルース原子力発電所がある(右下図参照)。

サイト選定プロセスの第3段階では、“使用済燃料処分場の潜在的な適合性の予備的評価”が行われており、机上調査を行う前期(第1フェーズ)と、現地での調査を行う後期(第2フェーズ)で構成されている。右上の地図は、サイト選定プロセスが進められている地域の状況を整理したものである。オンタリオ州については、今回のヒューロン=キンロス・タウンシップとサウスブルース自治体を含めて、オレンジで示された6の地域において、サイト選定プロセスの第3段階第2フェーズが今後進められるか、または既に進められている。灰色で示された8地域は、NWMOがこれまでに第3段階第2フェーズに移行しないとの決定を行った地域 、または自治体がプロセスからの撤退を選択した地域 である。紫色で示された7つの地域では、第3段階の第1フェーズが進められている。

NWMOは、地層処分場のサイト選定プロセスに対するこれまでの貢献を高く評価し、ブルース郡内の5地域の各地域別の地域福祉準備基金に対して、40万カナダドル(3,760万円)を提供するとしている1 。この支援金は、各地域が管理し、地域の持続可能性の維持や福祉向上に向けた取り組みに活用できることになっている。

なお、今後実施されるサイト選定プロセスの第3段階第2フェーズでは、関心表明を行った自治体、その周辺自治体、及び先住民コミュニティとの対話を行い、技術的評価、安全評価、より広範な自治体の参画、自治体の福祉向上に関する調査が実施されることになっている。さらに、第3段階第2フェーズでは、初期フィールド調査も開始される。この調査は、技術的な安全要件に則して地質やサイトの適性についてより詳細に評価するものであり、空中物理探査や、将来的には限定的なボーリング調査も実施される予定である。

《参考》カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

【参考出典】『連携して進む:カナダの使用済燃料の地層処分場選定プロセス』(NWMO, 2010年)

【出典】

  1. 地域福祉準備基金は、NWMOが設立し、同基金から各地域に対して支援金が提供される。NWMOは、第3段階第1フェーズを完了した地域に支援金を提供することを明らかにしていた。 []

(post by sahara.satoshi , last modified: 2023-10-11 )