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《カナダ》使用済燃料処分場のサイト選定の状況-先行地域で第3段階第2フェーズを開始

カナダ参加自治体数_02

(NWMOによるサイト選定プロセスの進捗動向)

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、2014年3月28日に、2011年度から2013年度までの事業内容等を取りまとめた報告書(以下「3年次報告書」という)を連邦天然資源大臣に提出したことを公表した。NWMOは、3年次報告書に「適応性のある段階的管理」(APM)詳細はこちらの2014年~2018年の5年間における実施計画書を添付しており、使用済燃料処分場のサイト選定プロセスの第3段階第2フェーズを2014年に開始するとしている。

NWMOは、第3段階にあたる“使用済燃料処分場の潜在的な適合性の予備的評価”を前期と後期に分けて実施しており、机上で調査を行う前期(第1フェーズ)と現地で調査を行う後期(第2フェーズ)で構成している。第1フェーズの調査結果をもとに第2フェーズの調査を実施する地域の絞り込みがなされている。この第2フェーズで実施する初期フィールド調査について、調査が先行している4地域(右上図のオレンジ色マークの地域)で上空から地表及び地下の状況を調査する“空中物理探査”を2014年4月から5月にかけて実施することをウェブサイトで公表した。

サイト選定プロセスの初期スクリーニングを通過した21地域のうち、20地域(図中オレンジ・灰色・紫色)は潜在的な適合性の予備評価の実施を希望し第3段階に進み、1地域(青色)は意向をまだ表明していない。第3段階に進んだ20地域ではNWMOが第3段階第1フェーズの文献調査を進めており、その結果から既に6地域(灰色)については第2フェーズの調査を実施しないとする決定を行っている 。3年次報告書の公表時点では、サイト選定プロセスには15地域(オレンジ4カ所・紫色10カ所・青色1カ所)が残っていることになる。NWMOは、第3段階において潜在的な適合性が低いと判断した地域をサイト選定プロセスから除外し、次の第4段階で注力する立地エリアを特定する意向である。第4段階では、処分場立地によって影響を受ける可能性のある周辺自治体も参加した上で、詳細なサイト評価を実施することになっている。

NWMOは、第3段階第2フェーズにおいて、フィールド調査、詳細な調査、広範な地域の参画活動を通して、当該地域の潜在的な適合性を評価していくとしている(下記参照)。

〇初期フィールド調査の実施

  • 関心表明を行った自治体、その周辺自治体、及び先住民コミュニティとの対話を行い、技術的評価、安全評価、より広範な自治体の参画、自治体の福祉向上に関する調査の実施計画を策定する。
  • NWMOが設定した技術的なサイト評価要素を満たす可能性がある地域を特定し、潜在的な適合性を評価するため、空中物理探査、環境調査、地質図の作成を行う。

〇処分施設の立地見通しの検討

  • 初期フィールド調査の結果に基づいて、技術的要件と自治体の福祉向上に係る要件を満たす可能性が低い自治体については、フェーズの途中でも評価を終了する。
  • 処分プロジェクトの要件を満たす可能性が高い地域を、集中的なフィールド調査を行う対象とする。

〇集中的なフィールド調査の実施

  • 適合性があると選定された地域において、限定的なボーリング調査を実施する。
  • 関心表明を行った自治体、その周辺自治体、及び先住民コミュニティを交えたパートナーシップのもとで以降のサイト選定作業を行えるようにするため、周辺自治体等に参画を促す活動を行う。

NWMOは、第3段階第2フェーズの調査を完全に実施するには1地域当たり3~4年を要するが、立地見通しについて当該自治体と定期的に検討・協議を重ねる過程において、潜在的な適合性が高い自治体に絞り込んでいくとしている。このため、地域によっては上記の活動項目のすべてを実施しない可能性がある。NWMOは、第2フェーズの途中で自治体が撤退を決定できることを確約している。

《参考》カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

【参考出典】『連携して進む:カナダの使用済燃料の地層処分場選定プロセス』(NWMO, 2010年)

【出典】

 

(post by sahara.satoshi , last modified: 2023-10-11 )