諸外国での高レベル放射性廃棄物処分

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米国における高レベル放射性廃棄物処分

米国

国別編(詳細情報):米国
米国 1.HLWの発生状況と処分方針 | 2.地層処分計画と技術開発 | 3.処分事業に係わる制度/実施体制 | 4.処分地選定の進め方と地域振興 | 5.処分事業の資金確保 | 6.安全確保の取り組み・コミュニケーション

現在の状況 (ポイント)


1. 高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針

  • 原子力エネルギー政策の動向
  • 使用済燃料の発生と貯蔵(処分前管理)
  • 処分方針

ポイント

  • 米国では、ネバダ州のユッカマウンテンで高レベル放射性廃棄物を処分することが計画されていましたが、政権交代により計画が中止されており、エネルギー省(DOE)が設置した特別な委員会で放射性廃棄物管理を含むバックエンド対策の代替案が検討されています。

2. 地層処分計画と技術開発

  • 2.1 処分計画
  • 政権交代により誕生した民主党による現政権は、ユッカマウンテン計画を中止し、代替案を検討する方針です。その意向を受けてエネルギー長官は、バックエンド対策のオプションを検討するための特別な委員会を設置しています。
  • 従来の計画では、商業用原子力発電所から発生する使用済燃料、エネルギー省(DOE)が保有する国防活動関連等から発生する高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)及び使用済燃料の3種類を地層処分する方針でした。
  • 2.2 研究開発・技術開発
  • エネルギー省(DOE)の民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)は、1982年放射性廃棄物政策法に基づいて、ユッカマウンテンのサイト特性調査を行い、処分場としての適合性を評価するための研究を行いました。また、DOE/OCRWMは、ユッカマウンテン・サイトに探査研究施設(ESF)を建設して、地層の岩石学的性質や水文地質学的特性を把握するため、熱や水の移動などに関する試験を行いました。

3. 処分事業に係わる制度/実施体制

  • 3.1 実施体制
  • 3.2 処分に関わる法制度
  • 米国では、1982年放射性廃棄物政策法の第111条等によって、高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料の処分の責任は連邦政府にあると定められています。具体的にはエネルギー省(DOE)が処分の実施主体であり、この責任遂行のためDOE内部に設置された民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)が施策の実施に当たることとなっています。
  • 高レベル放射性廃棄物処分に関わる規制行政機関としては、原子力規制委員会(NRC)が処分場の建設等の許認可の審査、許認可に係る技術要件・基準の策定を、環境保護庁(EPA)が高レベル放射性廃棄物の処分に適用する環境放射線防護基準の策定の役割を担っています。

4. 処分地選定の進め方と地域振興

  • 4.1 処分地の選定手続き・経緯
  • 1982年放射性廃棄物政策法では、処分候補地として3地点を選定してサイト特性調査を実施することが規定されていましたが、1987年放射性廃棄物政策修正法が成立し、ユッカマウンテンが唯一のサイト特性調査を実施する処分候補地となりました。その後、1999年に環境影響評価書案(DEIS)が公表され、2002年2月にはエネルギー長官が大統領に最終処分場サイトとしてユッカマウンテンを推薦し、翌日には大統領が議会に推薦を通知しました。同4月にはネバダ州知事が不承認を連邦議会に通知しましたが、これをくつがえす立地承認決議案が7月に可決され、大統領の署名を得て、ユッカマウンテンが最終処分場サイトとして決定されました。
  • 4.2 地域振興方策
  • 立地地域への財政支援として、1982年放射性廃棄物政策法においては、立地を受け入れたネバダ州と関係10郡に対し、使用目的の制限がない補助金交付や、国が行う処分場開発投資に対する課税相当額を補填する制度が創設されていました。

5. 処分事業の資金確保

  • 高レベル放射性廃棄物の処分費用は、1982年放射性廃棄物政策法の第111条により、廃棄物発生者及び所有者が負担することとなっており、そのために同法第302条により放射性廃棄物基金(NWF)が財務省に設置されています。廃棄物発生者である原子力発電事業者は、発電1kWh当たり1ミル(約0.1円)を同基金に拠出しています。処分費用の総額は2007年価格で、約962億ドル(約8兆1,800億円)と見積られています。また、同基金の積立額は2010年1月末の時点で約317億ドル(約2兆6,900億円)です。(1ドル=85円として換算)。

6. 安全確保の取り組み・コミュニケーション

  • 6.1 地層処分の安全確保の取り組み
  • エネルギー省(DOE)は、ユッカマウンテン・サイト適合性指針(10 CFR Part 963)に従って、処分場の閉鎖前及び閉鎖後のサイトの適合性を判定することとなっています。この指針では、1万年を超える長期間についての閉鎖後の処分場システムの評価のために、トータルシステム性能評価(TSPA)を行うことが規定されています。TSPAでは、処分システムの放射性核種を隔離する性能に影響を与え得るさまざまなプロセスを組み込んだモデルが構築されます。また、処分場の許認可申請書においては、サイト特性調査で収集されたデータなどに基づいて、TSPAにより定量的に評価しています。その結果などから、原子力規制委員会(NRC)及び環境保護庁(EPA)の安全基準を満たすことを示して、安全性の確認を行います。





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hlw/us.1445229273.txt.gz · 最終更新: 2015/10/19 13:34 by 127.0.0.1