諸外国での高レベル放射性廃棄物処分

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フランスにおける高レベル放射性廃棄物処分

フランス

国別編(詳細情報):フランス
フランス 1.HLWの発生状況と処分方針 | 2.地層処分計画と技術開発 | 3.処分事業に係わる制度/実施体制 | 4.処分地選定の進め方と地域振興 | 5.処分事業の資金確保 | 6.安全確保の取り組み・コミュニケーション

現在の状況 (ポイント)


1. 高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針

  • 原子力エネルギー政策の動向
  • 使用済燃料の発生と貯蔵(処分前管理)
  • 処分方針

ポイント

  • フランスでは、原子力発電で発生する使用済燃料を再処理しています。2006年に制定された放射性廃棄物等管理計画法において、再処理に伴って発生する高レベル放射性廃棄物及び長寿命中レベル放射性廃棄物は「可逆性のある地層処分」を行う方針を定めています。

2. 地層処分計画と技術開発

  • 2.1 処分計画
  • 可逆性のある地層処分」を実現するための調査・研究は、2006年に制定された放射性廃棄物等管理計画法に定められた目標―2015年までに設置許可を申請する―の達成に向けて進められています。実施主体のANDRAは、ビュール地下研究所での活動を中心とした調査や研究を進めています。
  • 2.2 研究開発・技術開発
  • 実施主体の放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が中心となって、国内外の機関と共同で処分技術や安全評価等に関する研究を進めています。2006年に放射性廃棄物等管理計画法が制定され、2015年までに可逆性のある地層処分場の設置許可申請ができるように、処分に関する研究が実施されることとなっています。また、同法では処分に関する研究とともに長寿命放射性核種の分離・変換と中間貯蔵についての研究も実施することが示されています。なお、放射性廃棄物管理に関する研究方針等を含む国家計画(PNGMDR)を、政府が3年毎に策定することになっています。

3. 処分事業に係わる制度/実施体制

  • 3.1 実施体制
  • 3.2 処分に関わる法制度
  • 高レベル放射性廃棄物処分に関わる規制行政機関は、原子力安全機関(ASN)です。また、ASNに対しては放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)や原子力基本施設諮問委員会(CCINB)が技術的な支援や諮問への答申を行います。
  • 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が、高レベルを含む放射性廃棄物の長期管理の責任を有し、深地層研究を目的とした地下研究所の建設、操業及び処分場の設計、設置、運営等を行うことになっています。

4. 処分地選定の進め方と地域振興

  • 4.1 処分地の選定手続き・経緯
  • 1991年に制定された放射性廃棄物管理研究法のもと、地域からの自発的立候補を原則として、地下研究所の設置のためのサイト選定が進められ、1999年に粘土層を有するビュールが選定されました。その後、2006年の放射性廃棄物等管理計画法では、処分場の設置許可申請が行えるのは、地下研究所による研究の対象となった地層だけとされています。
  • 処分場の設置許可の発給は、実施主体が設置許可を申請した後、可逆性の条件を定める法律の制定を経て、デクレ(政令)によって発給されます。
  • 4.2 地域振興方策
  • 「放射性廃棄物等管理計画法」(2006年)の規定により地下研究所または地層処分場が設置される区域を有する県には公益事業共同体(GIP)が設置されることになっています。ビュール地下研究所が位置するムーズ県とオートマルヌ県の両県にGIPが設置されており、年間3,000万ユーロ(33億円)の助成金が各GIPに交付されています(1ユーロ=110円として換算)。更に、放射性廃棄物発生者による雇用創出のための事業が、地域と検討を進めながら進められています。

5. 処分事業の資金確保

  • 高レベル放射性廃棄物及び長寿命中レベル放射性廃棄物の処分費用は、フランス電力株式会社(EDF)等の原子力基本施設(INB)の操業者が負担することになっています。放射性廃棄物等管理計画法により、処分費用は操業者が引当金として確保し、建設段階以降に放射性廃棄物管理機関(ANDRA)に設置される基金に必要な資金が拠出され、独立した会計管理が行われることが定められています。

6. 安全確保の取り組み・コミュニケーション

  • 6.1 地層処分の安全確保の取り組み
  • 1991年の放射性廃棄物管理研究法のもと、ビュール地下研究所では、地下研究所のサイト選定時の予備的な調査結果なども用いて地層処分場の安全性の検証と処分場の工学的設計が反復的に行われており、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)によって研究成果全体を考慮した安全評価が行われています。
  • 6.2 処分事業の透明性確保とコミュニケーション
  • フランスでは、放射性廃棄物処分場などの原子力基本施設(INB)の設置に当たっては、公開討論会や公衆意見聴取を行うことが制度化されています。
  • また、地下研究所の所在サイトに地域情報フォローアップ委員会(CLIS)を設置することが、1991年の放射性廃棄物管理研究法で規定されています。CLISは実施主体と地元住民との間の情報の仲介と、地下研究所の建設、操業の監視を行う目的で設置される組織です。同委員会の設置は2006年の放射性廃棄物等管理計画法でも引き継がれ、構成メンバーの拡大などが盛り込まれ、2007年5月に新たなCLISが設置されています。
  • 6.3 意識把握と情報提供
  • 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、処分事業の理解を得るための活動として、インターネットのウェブサイトやレター、CD-ROM、雑誌等の様々な媒体を用いて情報提供活動を行っています。





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hlw/fr.1445229145.txt.gz · 最終更新: 2015/10/19 13:32 by 127.0.0.1