諸外国での高レベル放射性廃棄物処分

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フランス フランスにおける高レベル放射性廃棄物処分

フランスにおける高レベル放射性廃棄物処分

全体構成(章別)


3. 処分事業に係わる制度/実施体制

3.1 実施体制

ポイント

  • 高レベル放射性廃棄物処分に関わる規制行政機関は、原子力安全機関(ASN)です。また、ASNに対しては放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)が技術的な支援や諮問への答申を行います。
  • 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が、高レベルを含む放射性廃棄物の長期管理の責任を有し、深地層研究を目的とした地下研究所の建設、操業及び処分場の設計、設置、運営等を行うことになっています。

実施体制の枠組み

処分事業の実施体制
処分事業の実施体制

右図は、フランスにおける高レベル放射性廃棄物処分に係る実施体制を図式化したものです。実施主体である放射性廃棄物管理機関(ANDRA)を含め、主要な関係機関としては政策決定等を行う政府や議会、規制行政機関である原子力安全機関(ASN)が挙げられます。

政府や議会は2006年放射性廃棄物等管理計画法などの法律制定や各種政省令等の制定・公布を行い、放射性廃棄物管理の政策や方針の決定を行います。とくに、議会(国会)の常設委員会である議会科学技術選択評価委員会(OPECST)は、「可逆性のある地層処分」という基本方針の策定に深く関与しています。

政府の諮問組織として「放射性物質及び放射性廃棄物の管理研究・調査に関する国家評価委員会」(CNE、右図中では単に「国家評価委員会」と表記)が設置されています。CNEは当初、1991年の放射性廃棄物管理研究法に基づき、高レベル・長寿命放射性廃棄物の管理方策に関する3つの研究分野の進捗を毎年評価し、15年目に総括報告書をまとめる役割を担う組織として設置されました。その後も2006年の放射性廃棄物等管理計画法により、全ての放射性廃棄物の管理を評価対象として、年次評価報告書を取りまとめています。

原子力安全機関(ASN)の戦略計画
原子力安全機関(ASN)の戦略計画
ASNのコミッションは、ASNの運営戦略を策定・公表し、ASNのVision, Task, Values, Goalを明確化しています。
source: ASN, STRATEGIC PLAN FOR 2010-2012

原子力分野の規制体制は、2006年6月に制定された原子力安全・情報開示法により、独立性を高めた形で再編されました。規制機関である原子力安全機関(ASN)は、中央省庁から独立させるために大統領府の下に新設され、大統領が任命する3名、議会(国会)の両院議長が任命する各1名の、計5名のコミッショナー制で運営されています。ASNを技術面で支援する組織として、放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)が設置されています。

また、原子力安全・情報開示法に基づき、ASNとは独立した「原子力安全情報と透明性に関する高等委員会」(HCTISN)が設置されており、国レベルで原子力安全及びその情報提供に関する問題の検討や意見提示を行います。


実施主体

CSFMACSTFA

ANDRAが操業している低中レベル放射性廃棄物処分場
(左:CSFMA  右:CSTFA)source: ANDRA/4 vents

ANDRAは、放射性廃棄物の長期管理を実施する責任を有する、廃棄物発生者とは独立した立場の「商工業的性格を有する公社」(EPIC)という形態で設置されています。ANDRAは、当初フランス原子力・代替エネルギー庁(CEA)の一部門として1979年に創設されましたが、1991年の放射性廃棄物管理研究法の規定により、CEAから独立した組織として、現在の役割や機能が定められています。

ANDRAは、高レベル放射性廃棄物の処分実施主体であるほか、低中レベル放射性廃棄物の処分も実施しています。


安全規則

フランスにおける高レベル放射性廃棄物及び長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分に適用される安全規制として基本となるものは、原子力安全・情報開示法です。同法の施行デクレでは放射性廃棄物処分場も対象となっている原子力基本施設(INB)の定義やその具体的な設置許可手続などが規定されています。

安全規則としては、1991年に策定された安全基本規則(RFS III.2.f)を置き換えるものとして、深地層における放射性廃棄物の最終処分に関する安全指針が原子力安全機関(ASN)により2008年に策定されています。この指針では処分場閉鎖後の安全性を確保するために、放射性廃棄物の地層処分場の設計及び建設段階で遵守する必要のある目標を定めています。また、処分場の設計及び建設の責任を負う実施主体であるANDRAは、ASNに対して、この規則の適用状態に関する報告を行うことが定められています。本指針では、処分場閉鎖後の長期安全の線量基準として、0.25mSv/年(個人線量当量)を設定しています。






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