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以前のリビジョンの文書です
ドイツにおける高レベル放射性廃棄物処分
下の図は、ドイツにおける高レベル放射性廃棄物処分に係る実施体制を図式化したものです。連邦政府では、原子力問題全般を担当する連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMU)が管轄官庁であり、その下に設けられた連邦放射性廃棄物処分庁が、高レベル放射性廃棄物処分に関する規制を担います。処分場建設・操業の実施主体である連邦放射線防護庁(BfS)も、BMUに所属する連邦官庁です。
2014年1月1日付けで発効した連邦放射性廃棄物処分庁設置法により、今後、連邦放射性廃棄物処分庁が設置される予定です。同庁は処分場サイト選定手続き全体の監督・調整を担います。処分場サイトが決定した後は、高レベル放射性廃棄物処分に関する規制当局として、実施主体であるBfSに対する監督を行います。
なお、従来は高レベル放射性廃棄物の処分場については、州の管轄官庁が許認可当局としての役割を担っていましたが、連邦放射性廃棄物処分庁の設置などに伴い規制・実施体制が見直されました。
連邦放射性廃棄物処分庁は、サイト選定の段階から処分場の建設・操業・閉鎖に至るまで一貫して、高レベル放射性廃棄物の処分事業場規制監督の任を担います。
原子力法では、同庁が許認可を発給する際は、州や関係自治体も決定に参加することとされています。
各研究所等が行う基礎的な調査・研究は、連邦経済・エネルギー省(BMWi)及び連邦教育・研究省(BMBF)が中心となって進めています。
ドイツの原子力法では、放射性廃棄物の処分場を連邦政府が設置することになっています(州は、必要な場合、中間貯蔵施設を設置する責任があります)。処分場の建設・操業の実施主体として、連邦放射線防護庁(BfS)が1989年に設置されています。BfSは、連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMU)の監督下にあり、主として放射線防護、通信機器の電磁波対策に関する連邦の業務を実施していますが、所掌の一つとして放射性廃棄物の処分・輸送などに関する業務も担当しています。
2013年7月に新たに制定された「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(サイト選定法)では、BfSは“サイト選定の任務を第三者に委任できない”と規定されました。なお、サイト選定以外の業務の委任については制限はありません。ドイツでは、高レベル放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定プロセスは連邦政府が主導する形になります。
サイト選定法の制定以前は、BfSは民間会社であるドイツ廃棄物処分施設建設・運転会社(DBE社)と業務契約を結び、放射性廃棄物処分に関する実務作業(ゴアレーベンでの地下探査など)を委託していました。DBE社は、PTBが実施主体であった1979年に連邦政府系の出資も含めて設立された会社です。現在は政府系機関からの出資はなく、原子力発電所を所有する電力会社が株主となっている原子力サービス社(GNS)が、DBE社に75%を出資しています。
ドイツにおける放射性廃棄物処分に関する安全規則としては、1983年4月に当時の所轄官庁であった内務省が制定した「鉱山における放射性廃棄物の最終処分に関する安全基準」があります。ここでは、放射線防護令で規定された安全基準である年間0.3mSv(ミリシーベルト)が保証されなければならないとされています。この最終処分の安全基準は、コンラッドでの非発熱性放射性廃棄物の処分に係る計画確定手続において適用されました。
発熱性放射性廃棄物の最終処分に関する安全要件(2010年9月30日改訂版)に規定されている線量基準
発熱性放射性廃棄物の最終処分に関する安全要件
一方、BMUは、2009年7月に「発熱性放射性廃棄物の最終処分のための安全要件」を策定しました。なお、ゴアレーベンでの探査活動の再開に先立ち、BMUはゴアレーベン・サイトへの安全要件の適用についてニーダーザクセン州を含む各州の政府と協議し、2010年9月に安全要件の一部を改訂しています。ただし、安全要件に幾つかの課題があることから協議を継続していました。
今後は、2013年に制定されたサイト選定法に基づき、2015年末までに「高レベル放射性廃棄物処分委員会」が安全要件に関する検討結果を勧告としてまとめて政府・議会に提出し、議会がこれを元に安全要件等のサイト選定に関わる各種の基準を、連邦法として採決する予定となっています。
現状の安全要件では、100万年を評価目安期間として線量基準を規定しています。その他放射線防護一般に関しては放射線防護令で定められています。