諸外国での高レベル放射性廃棄物処分

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HLW.CN

(簡略版)

中国 中国における高レベル放射性廃棄物処分

中国における高レベル放射性廃棄物処分

  • 中国では、放射性廃棄物全般についての管理の枠組みを定めるものとして、2003年10月に中華人民共和国放射能汚染防止法が施行されました。この法律において、高レベル放射性廃棄物を集中的に地層処分することが規定されています。
  • 2006年2月に「高レベル放射性廃棄物地層処分に関する研究開発計画ガイド」が公表され、今世紀半ばまでに処分場を建設することが明記されました。今後、各種の法制度が整備されるとともに、サイト選定、地下研究所の建設・試験、地層処分の安全性評価等が行われる予定です。


使用済燃料の発生と貯蔵(処分前管理)

中国では原子力発電を国家における重要なエネルギー戦略の一環として位置付けており、原子力発電所の建設を推進することで、経済発展に伴うエネルギー需要の増加に対応し、環境保全を図り、工業技術等のレベル向上を図ろうとしています。

2013年に福建省の寧徳原子力発電所、遼寧省の紅岩河原子力発電所がそれぞれ運転を開始しました。2013年5月時点で運転中の原子炉がある原子力発電所が9カ所あり、合計17基―加圧水型原子炉(PWR)が15基、加圧重水型原子炉(PHWR、カナダ型重水炉)が2基―から使用済燃料が発生しています。また、新たに28基が建設中です。

使用済燃料は各発電所の原子炉建屋内の燃料プールなどで貯蔵されています。


処分の実施体制

中国における高レベル放射性廃棄物処分の実施主体は、国営企業体である 中国核工業集団公司(CNNC)です。CNNCは地層処分の研究開発だけでなく、ウラン探鉱、核燃料施設の操業、原子力発電等の事業も行っています。CNNC の下部組織として、研究開発や技術支援を担う機関が複数存在しています。

原子力施設の安全監視や高レベル放射性廃棄物の管理等の原子力安全全般に関わる規制機関として、中国環境保護部(MEP)があります。また原子力エネルギー開発、放射性廃棄物の管理、処理・処分の長期計画等の政策の立案、研究開発資金の確保等の実務管理・監督を国務院に代わって行う国の機関として、国家原子能機構(CAEA)があります。放射性廃棄物の処分費用は廃棄物発生者である事業者が負担することになっています。この費用の拠出方法や管理方法については、国務院の財政当局、価格管理当局、環境行政管理当局及び原子力施設の管理当局が決定することになっていますが、現在のところ未定です。

中国のHLW処分関連組織


処分方針(使用済燃料の管理方針)

中国では、核燃料を十分に活用するため、軽水炉(PWRなど)から発生する使用済燃料は再処理し、発生する高レベル放射性廃液をガラス固化した後に処分する方針です。ただし、天然ウランを燃料として用いる加圧水型重水炉(PHWR)の使用済燃料は再処理せず、直接処分します。これらの廃棄物は、高レベル放射性廃棄物に区分されています。

中国における放射性廃棄物の全般的な管理方針は、2003年10月施行の「中華人民共和国汚染防止法」で規定されています。この法律では、高レベル放射性廃棄物は集中的に地層処分を行うとしています。2012年10月に国務院により承認された「原子力安全及び放射線防護・汚染管理 第12次5カ年計画・2020年長期目標」においても、高レベル放射性廃棄物処理処分場の概念設計を完了させること、地下研究所を建設することなどを長期目標に掲げています。


処分事業の経緯

処分場候補サイト調査対象地域

中国では、1985年に旧核工業部科技核電局(現CNNC)が「高レベル放射性廃棄物地層処分研究発展計画」(DGD 計画)を策定しました。この計画では、花崗岩を母岩とする地層処分場を2040年頃に建設する予定としていました。

DGD 計画に基づき、1986年2月からサイトの1次選定が始まり、5つの候補地域が選出されました。その後、各地域からボーリング調査を含むサイト調査の対象区域が複数選定され、うち西北地域にある甘粛省北山(ペイシャン)及びその周辺での調査に注力しています。現在では、西北地域の西側に位置する新疆地域が追加され、候補地域数が6つに増えています。

2006年2月に、国防科学技術工業委員会(2008年に国防科学技術工業局に改組)、科学技術部及び国家環境保護総局(2008年に中国環境保護部(MEP)に改組)が共同で作成した「高レベル放射性廃棄物地層処分に関する研究開発計画ガイド」が公表されました。このガイドによれば、中国における高レベル放射性廃棄物の地層処分は、下に示す3つの段階で進められることになっています。

「高レベル放射性廃棄物地層処分に関する研究開発計画ガイド」(2008 年)の活動計画

1)2006年~2020年

国による関連法規制及び技術基準の制定に向けて、技術面でのサポートを行うとともに、地下研究所の設計及び処分場の概念設計、核種移行メカニズム等の研究及び安全評価研究を行う。また北山サイト以外の候補地も新たに含めた上で処分場サイトを選定し、様々な地質調査を行い、必要なデータを取得する。

2)2021年~2040年

地下研究所の建設、地下研究所での試験・研究を通じて、既存の施工技術、研究成果を検証するとともに、原位置での各種データを取得し、プロトタイプ処分場のフィージビリティ評価と建設の安全審査に向けた評価を実施する。

3)2041年~今世紀半ば

処分サイトの最終確認を行うとともに、プロトタイプ処分場での実廃棄体を用いた試験による処分場の総合的な機能を検証し、処分場の建設申請と安全評価及び環境影響評価を実施する。また処分場の操業管理、閉鎖及びモニタリング計画について検討し、処分場操業の申請と安全審査に向けた評価を実施する。



備考:通貨換算には、日本銀行の基準外国為替相場及び裁定外国為替相場のレート(平成24年12月中において適用)を使用しています。

  • 1中国元=13円として換算





〔参考資料〕

中国 中国

エネルギー情勢






hlw/cn.1367921260.txt.gz · 最終更新: 2013/05/07 19:07 (外部編集)