Top » 海外情報ニュースフラッシュ(全記事表示モード)

米国

米国のエネルギー省(DOE)は、2016年12月16日に、軍事起源の高レベル放射性廃棄物の独立した処分場の計画案を示す報告書を公表するとともに、2016年12月19日付の連邦官報において、2017年3月20日までコメントの募集を行うことを告示した。DOEは、核兵器開発等で発生した高レベル放射性廃棄物や海軍の船舶炉の使用済燃料を保有しており、今回公表された報告書は、これら軍事起源廃棄物の専用処分場の計画案を示すものである。

DOEは、核兵器開発に伴う高レベル放射性廃棄物は米国で新たに発生しておらず、民間の使用済燃料と比較して廃棄物量が限定されて発熱量も小さいことから、軍事起源の高レベル放射性廃棄物の処分場は、民間使用済燃料と共同の処分場よりも立地・建設計画の単純化が可能であり、より早期に開発できるとしている。DOEは、全米各地のDOEサイトで保管されている軍事起源廃棄物の撤去及び処分に責任を有しており、専用処分場の開発のために必要な活動について検討してきた。DOEは、軍事起源廃棄物の専用処分場を同意に基づくサイト選定プロセスで開発することにより、今後の米国の全体的な放射性廃棄物戦略に重要な経験をもたらすとしており、軍事起源廃棄物の専用処分場の計画案についてのコメントを募集することが適切としている。

軍事起源廃棄物について独立した専用処分場を開発する方針は、2015年3月に大統領覚書により示されていた。軍事起源廃棄物の処分について、1982年放射性廃棄物政策法第8条においては、費用対効果、保健及び安全、規制、輸送、社会的受容性及び国家安全保障に関連する要因を評価し、軍事起源の高レベル放射性廃棄物の処分場の開発が必要であると大統領が判断した場合、民間から独立した処分場を計画することができると規定されている。2015年3月の大統領の判断は、本法に沿った検討・評価と位置付けられる。

今回公表された報告書では、軍事起源廃棄物の専用処分場の開発に係る法的権限と規制枠組みを示した上で、計画、戦略、計画で必要とされる様々な活動などが示されている。軍事起源廃棄物の専用処分場の開発は、段階的なアプローチで進めるものとされ、同意に基づくサイト選定プロセスを構築した後、16年後には処分場の建設を開始し、23年後には操業を開始する予備的なスケジュール案が示されている。費用については、一例として30億ドル(3,600億円)の概算も示されているが、より信頼できる想定を行うためには、立地地点、地質環境、廃棄物量等の確定が必要としている。

【出典】

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2016年11月8日に、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の安全審査に関連して、新たな知見を取りまとめるための「ナレッジマネジメント報告書」の策定を行うことを決定した。NRCによる許認可申請書の安全審査については、2013年8月13日の連邦控訴裁判所の判決 を受け、過年度の歳出予算の未使用残高の範囲内で安全審査等の活動が実施され、安全性評価報告(SER)の策定、補足環境影響評価書(SEIS)の策定、許認可支援ネットワーク(LSN) (詳細はこちら) への登録文書の公開作業などが行われてきた。今回のNRCの決定は、2015年2月3日の指示文書で指定された活動が2016年末で終了することから、未使用残高として見込まれる約127万ドル(約1億5,200万円)の使途についてNRCが検討し、NRCの委員会が承認したものである。

未使用の残予算で今後の策定が決定したナレッジマネジメント報告書では、2011年にユッカマウンテン処分場に係る安全審査活動が停止された際に策定されたナレッジマネジメント報告書について、その後の新たな知見などを反映した更新が行われる。ナレッジマネジメント報告書で取りまとめる対象項目は以下が示されており、約9カ月の期間と約70万ドル(約8,400万円)の費用が想定されている。

閉鎖前・閉鎖後の安全評価

  • 不飽和帯の地層処分場における人工バリア性能への腐食科学の新たな知見の適用
  • 処分場の地上施設建屋の地盤工学的安定性の評価
  • 地震フラジリティ曲線(SFC、seismic fragility curve)計算手法の評価
  • 処分場の地上・地下施設の解析への地震動情報の適用

気候と水文学

  • 浸透と地下水流動に係る気候モデルへの取組及び気象データの更新
  • 飽和帯における地下水流動の特性調査・モデル化
  • 地層処分場の性能確認のための独立した地下水流動モデルツールの情報管理
  • 不飽和帯の亀裂性岩盤や熱環境のモニタリング方法及びセンサーの現在の性能(リモートセンサーを含む)

【出典】

 

【2017年8月10日追記】

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2017年8月8日に、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の安全審査に関連して、実施を停止していた裁判形式の裁決手続の開始に関連する情報収集活動を行うことを決定した。今回の情報収集活動を実施することにより、高レベル放射性廃棄物処分に係る2018会計年度の歳出予算の執行に対して、効果的に、かつ、情報に基づいた決定を行うことに寄与するとしている。

具体的な情報収集活動としては、許認可支援ネットワークの諮問レビューパネル(LSNARP)のバーチャル会議を1回開催して、情報を提供するとともに、パネル及び一般からの許認可支援ネットワーク(LSN)、または、適切な代替システムに関する意見を聴取することが考えられている。なお、バーチャル会議の開催のための準備とともに、トレーニングを実施することが想定されている。

また、許認可審査の一環として実施される裁判形式の裁決手続については、ネバダ州でのヒアリング開催の可能性のある場所の調査、ネバダ州のヒアリング施設の購入の可能性を調達局との協議を含めた市場調査を行うとしている。

2017年6月30日現在で、過年度の歳出予算の未使用残高は634,000ドル(約7,160万円、1ドル=113円で換算)となっており、今回の情報収集活動では、このうち、110,000ドル(約1,240万円)を上限として使用することとなっている。

【出典】

 

【2018年10月17日追記】

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2018年10月15日に、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の安全審査について、これまでの活動を経た残予算に関する今後の方針を決定した。NRCによる許認可申請書の安全審査については、2013年8月13日の連邦控訴裁判所の判決   を受け、過年度の歳出予算の未使用残高の範囲内での安全性評価報告(SER)の策定などが実施されるとともに、2017年8月8日には、実施を停止していた裁判形式の裁決手続の開始に関連する情報収集活動を行うことも決定されていた。

NRCスタッフ及び原子力安全許認可委員会パネル(ASLBP)は、2018年8月16日に、情報収集活動の一環として実施されていた許認可支援ネットワーク (詳細はこちら) の諮問レビューパネル(LSNARP)によるバーチャル会議開催やトレーニングの実施、ネバダ州におけるヒアリング施設の市場調査等の実施結果を報告するとともに、未使用の残予算で実施する今後の活動方針について以下の2点を提案していた。

  • 212,000ドル(約2,400万円、1ドル=113円で換算)の予算で許認可支援ネットワーク(LSN)のインターフェースの改良等を実施
  • ネバダ州におけるヒアリング施設に関連した活動は、その必要性が確実になるまで延期

この提案に対する2018年10月15日付のNRCの委員会の指示文書では、上記(1)の許認可支援ネットワーク(LSN)のインターフェースの改良等の実施の提案は否認すること、同じく(2)のネバダ州ヒアリング施設に係る調査の延期の提案は承認することが示された。本委員会指示文書では、今後の方針の決定理由や今後行うべき活動については示されていないが、本決定に係るNRC委員の投票記録文書では、(1)のLSN関連活動の実施を否認した3委員のコメントにおいて、今後も訴訟対応等が必要と想定される中で予算残高が減りすぎることへの懸念が示されるとともに、LSN改良の技術は時間の経過により陳腐化する可能性があることなどが示されている。

なお、過年度の歳出予算の未使用残高は、2018年8月末現在で約443,000ドル(約5,000万円)となっている。

【出典】

 

【2020年10月16日追記】

米国の原子力規制委員会(NRC)は2020年10月9日に、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の安全審査に関連して、これまでの安全審査等の活動を経て残余している歳出予算のうち、164千ドル(約1,800万円、1ドル=110円で換算)を使用して、ナレッジマネジメント活動を行うことを決定した。NRCによる許認可申請書の安全審査については、2013年8月13日の連邦控訴裁判所の判決   を受け、過年度の歳出予算の未使用残高の範囲内での安全性評価報告(SER)の策定などが実施された。さらに、2016年からは、ナレッジマネジメント報告書の取りまとめ、実施を停止していた裁判形式の裁決手続の開始に関連する情報収集活動などが実施されていた。

今回実施が決定されたナレッジマネジメント活動は、ユッカマウンテン処分場の安全審査における重要な技術文書について、規制の枠組みや技術審査との関連性が分かるよう、関連情報の説明等も含めた「ロードマップ」を策定するものとされている。ユッカマウンテン安全審査に携わった専門家の多くは、既に退職し、また、今後数年間で残りの中心的スタッフの参画が得られなくなる見込みであることから、安全審査の再開が決定した場合に技術スタッフを支援するナレッジマネジメント文書の策定がNRCスタッフから提案されたものである。前回のナレッジマネジメント活動では、技術的知見の共有を図るためナレッジマネジメント報告書が取りまとめられており、既に大量の情報が存在しているが、今回のロードマップでは、ユッカマウンテン技術審査の経験のない技術スタッフが裁判形式の裁決手続で証人に立ち、訴訟で弁護士の支援をする際に特に有用であるとされている。

ナレッジマネジメント活動の提案文書(COMSECY-20-0013)に添付された説明文書では、以下の2つのタスクからなるロードマップを策定することが示されている。

  • タスク1:ユッカマウンテンの規制枠組み(10 CFR Part 63)
    ユッカマウンテン高レベル放射性廃棄物処分に係る連邦規則(10 CFR Part 63)の制定・改定に係る規制枠組みロードマップ

    • 10 CFR Part 63の制定(2001年11月2日)、「発生確率の低い」FEP(特性、事象、プロセス)の明確化に係る改定(2002年10月8日)、及び1万年以降の評価期間に適用する線量基準に係る改定(2009年3月13日)が対象
    • 特に、1万年以降の評価期間に対する規則に焦点を当て、規則の技術的事項の策定を支援した重要文書を同定し、各重要文書の重要性と優先度を説明
  • タスク2:ユッカマウンテン技術審査
    安全性評価報告(SER)のアプローチの理解を支援する、リスク的洞察などの審査における重要な技術領域のロードマップ

    • 審査の技術領域に対応する重要文書を同定し、技術審査における各重要文書の重要性と優先度を説明

なお、ユッカマウンテン処分場の安全審査は、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)に基づく放射性廃棄物基金(NWF)から支出されているが、これまでの歳出予算の未使用残高は、2020年8月末現在で約426千ドル(約4,690万円)となっている。

【出典】

米国のエネルギー省(DOE)は、2016年10月24日に、民間プロジェクトによる使用済燃料の集中中間貯蔵のサービスが、DOEによるパイロット規模あるいはフルスケールの使用済燃料貯蔵のために利用可能であるかについて、情報要求(RFI)を行う文書を公表した。情報要求(RFI)は2016年10月27日付の連邦官報で告示されることとなっており、2017年1月27日まで回答を受け付けるとしている。

DOEは、2013年1月に公表した「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分戦略」(以下、「DOE戦略」という)において、パイロット規模及びフルスケールの中間貯蔵施設の開発が必要であるとして、連邦政府による中間貯蔵施設の開発の検討を行ってきた。民間プロジェクトとして進められている中間貯蔵施設は、DOE戦略では想定されていなかったが、連邦政府による中間貯蔵施設の代替または追加として利用可能な有望な選択肢であるとして、本情報要求(RFI)が発行されたものである。今回の情報要求(RFI)では、以下の12の質問への回答が求められている。

  1. 民間プロジェクトが、統合的な放射性廃棄物管理システムの一部として、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の中間貯蔵の実現可能な解決策を提供するため、どのような要因が考慮されなければならないか。
  2. 民間プロジェクトは、中間貯蔵施設が立地する地元自治体・州や先住民族にどのような利益をもたらし得るか。隣接自治体についてはどうか。
  3. 民間プロジェクト及び自治体とともにDOEの参加が必要であるとした場合、組織・構造・契約枠組みとしてどのような形が必要か。また、その理由は。
  4. 連邦政府の投資による連邦政府所有・契約者操業の中間貯蔵施設と比較して、民間プロジェクトの長所・短所は何か。
  5. 使用済燃料が民間の貯蔵施設で効果的に管理され、連邦政府の費用が抑えられているとの連邦政府への保証として、どのようなものが適切と考えるか。
  6. 民間プロジェクトではどのようなビジネスモデルの可能性があるか。また、そうしたビジネスモデルの長所・短所は何か。
  7. 貯蔵期間中に生じる可能性がある責任については、どのように管理するか。
  8. 州・地域・先住民族による承認として、どのようなものが必要か。
  9. 民間プロジェクトの概念を、公正で開かれた透明な形で検討、実施し続けるため、連邦政府はどのようにしたら良いか。
  10. 民間プロジェクトに関わる立地州・先住民族・地域自治体と連邦政府の間で支援協定を締結する場合、どのような協定が期待されるか。
  11. その他に考慮すべきことはあるか。
  12. 連邦政府所有でない施設を開発するため、他の代替的なアプローチはあり得るか(例えば、プロジェクトの資金調達、予想される規制・法的問題など)。もし存在する場合、それはどのようなものであり、上記の質問に対してどのような答えが得られるアプローチか。

DOEは特に、中間貯蔵施設の開発の可能性がある事業者、その立地・隣接自治体、及び既存の放射性廃棄物施設の操業者は、本情報要求(RFI)への回答に関心があるものと考えているとしている。なお、米国では、テキサス州においてはウェイスト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社が、ニューメキシコ州ではエディ・リー・エナジー・アライアンス(ELEA)とホルテック・インターナショナル社が、それぞれ中間貯蔵施設の開発を表明し、原子力規制委員会(NRC)による許認可取得に向けて取り組んでいる。

なお、本情報要求(RFI)は、連邦政府が実際に民間貯蔵サービスを調達することを約したものではないとしている。

 

【出典】

米国のエネルギー省(DOE)カールスバッド・フィールド事務所(CBFO)は、2016年10月14日に、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)のTRU廃棄物の処分エリアの一部について、閉鎖を実施する方針を公表した。WIPPでは、火災事故及び放射線事象が2014年2月に発生して以来、現在まで操業が停止されており、2016年内の操業再開を目指して復旧活動が行われているが、一部の坑道で崩落が続いたことなどを受けて閉鎖の方針が決定された。DOEは、WIPPの規制機関である連邦環境保護庁(EPA)及びニューメキシコ州環境省(NMED)と既に協議を開始しており、地下施設の南側一部を閉鎖する計画の策定を始めている。

閉鎖が検討されているエリアは、下図に示す処分エリア南端の範囲であり、2014年2月の放射線事象により汚染された区域にある。

閉鎖が検討されているエリア

閉鎖が検討されているエリア

WIPPでは、模擬廃棄物容器を用いたコールドによる操業を2016年8月24日に完了するなど操業再開に向けた準備が進められているが、2016年9月27日に第4パネルの入気坑道で、2016年10月4日には第3パネルの排気坑道で、岩塩の崩落が発見された。2014年2月のWIPPでの放射線事象の後、汚染エリアでは坑道の維持作業が削減されていたため、処分エリアの南端部分では崩落等の兆候が確認されていた。WIPPは、岩塩層に建設された処分施設であり、廃棄物の定置後、長期的には岩塩のクリープ現象による崩壊等で開削空間が閉じられていくことにより、処分エリアが密封されることが想定されており、今回の一部の坑道での崩落もこのクリープ現象によるものである。

DOEは、一部の処分エリアの閉鎖により、作業安全が確保されるとともに、今後、処分が予定されるエリアにおける坑道維持作業等に集中することが可能になるとしている。また、今回の一部の処分エリアの閉鎖は、操業再開の準備や今後の廃棄物定置活動には影響せず、操業再開後の処分施設の操業能力が限定されることもないとしている。

【出典】

米国のエネルギー省(DOE)は、高レベル放射性廃棄物の貯蔵施設及び処分施設の立地に向け、同意に基づくサイト選定プロセスの設計についての意見募集等が終了したのを受け、現在、意見募集・パブリックミーティング等を通じて得られた意見等の集約を行っている。2016年9月15日には、収集した意見等を集約するためのミーティングが計画されているが、これに先だって、2016年9月15日付けのドラフト報告書「公衆からの意見の集約に係るドラフト報告書」(以下「ドラフト報告書」という)を2016年9月14日に公表した。

DOEは、同意に基づくサイト選定プロセスの設計に関する意見募集を2015年12月23日から2016年7月31日まで実施した他、サイト選定プロセスの構築について議論するため、2016年1月20日にはワシントンD.C.でキックオフミーティングを、2016年3月29日から7月21日にかけて全米の8カ所でパブリックミーティングを開催した

DOEが公表したドラフト報告書では、意見募集においてDOEが提示した5つの質問に対する意見に加え、同意に基づくサイト選定に関連する主要なテーマに対する意見、その他の論点に対する意見が要約されている。このうち、その他の論点としては、以下の10点が挙げられている。

  • 原子力の役割に対する考え方
  • 使用済燃料の集中中間貯蔵及び現在の原子力発電所サイト内での貯蔵
  • 原子力発電所の立地自治体からの視点
  • 地層処分に対する考え方
  • 貯蔵から処分への移行に対する考え方
  • ユッカマウンテンプロジェクトに対する考え方
  • 軍事関連の廃棄物のみを対象とした処分場の必要性に対する考え方
  • 現在の民間企業によって進められている集中中間貯蔵施設の建設に向けた取り組みに対する考え方
  • 連邦政府の放射性廃棄物基金による資金確保に対する考え方
  • その他の論点

DOEは2016年12月末までに、同意に基づくサイト選定プロセスの第一案(initial draft)を公表する計画である。また、同意に基づくサイト選定プロセスの設計の一部として、サイト選定基準が必要と認識しており、中間貯蔵施設及び地層処分場のサイト選定における検討事項に関するドラフト報告書を作成し、2016年12月には意見募集を開始する計画である。さらに、これまでの意見募集・パブリックミーティング等において、自治体やステークホルダーから、情報提供、資金的な支援が必要との意見が提示されたため、DOEは2017会計年度の予算要求において、資金提供公募を通じて、同意に基づくサイト選定のための相互学習、関与の取組を自治体レベルに移行するための支援に係る予算を要求した。

【出典】

 

【2016年9月16日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は、2016年9月15日付けの連邦官報において、「公衆からの意見の集約に係るドラフト報告書」に対する意見募集を2016年9月15日から2016年10月30日までの期間で実施することを公告した。意見は、電子メール、書簡、FAX及びオンラインでの提出が可能とされている。

【出典】

 

【2016年10月4日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は、2016年9月15日に、同意に基づくサイト選定プロセスについて、意見募集・パブリックミーティング等を通じて得られた意見等を集約するとともに、サイト選定プロセスを構築するための次ステップについて話し合うためのミーティング(以下「意見集約ミーティング」という)を開催した。DOEウェブサイトの意見集約ミーティングのページでは、議事の概要が示されるとともに、議事次第や「公衆からの意見の集約に係るドラフト報告書」等の配付資料のほか、質疑応答を含めた議事録とビデオも掲載されている。

今回の意見集約ミーティングでは、DOEが収集した意見の集約及び今後のステップ等についてDOEから報告が行われた後、約1時間の質疑応答が行われた。今後のステップについては、2016年10月30日まで「公衆からの意見の集約に係るドラフト報告書」についての意見募集を行った上で、2016年12月までに最終報告書を発行すること、2016年12月末までに同意に基づくサイト選定プロセスの第一案を公表して意見募集を行うこと、及び輸送・貯蔵・処分など統合廃棄物管理システム(integrated waste management system)の他の要素に係る活動の状況などが示された。中間貯蔵については、民間での取組についても関心があるとして、近々、情報要求(RFI)により関係者の見解を求める意向であるとしている。

【出典】

 

【2017年1月5日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は、2016年12月29日付で、同意に基づくサイト選定プロセスについて、意見募集・パブリックミーティング等を通じて得られた意見等を集約した報告書「同意に基づくサイト選定プロセス:公衆からの意見の集約に係る最終報告書」(以下「最終報告書」という)を公表した。本最終報告書は、2016年9月14日に公表されたドラフト報告書について、2016年10月30日までの期間で意見募集を行い、収集した意見を反映して最終版としたものである。ドラフト報告書に対する意見は、DOEの回答とともに公表されている。

DOEは、最終報告書に反映され、また、公衆やステークホルダーとの種々の取組を通して得られた意見等は、今後の同意に基づくサイト選定プロセスの案を構築する上で重要なものとしている。なお、最終報告書においては、ドラフト報告書の第5章で将来の展望としていた「同意に基づくサイト選定プロセスの第一案」やサイト基準などの「施設立地に際しての検討事項策定」に係る記述は削除されている。

一方、DOE原子力局(NE)の同意に基づくサイト選定イニシアティブのウェブサイトでは、今後のステップとして、軍事起源の高レベル放射性廃棄物の独立した処分場の計画案に対する意見募集を行っていることが示されている。本計画案では、同意に基づくサイト選定プロセスを構築した後に処分場の開発を進める、段階的なアプローチが採られており、今後の民間を含めた全体的な放射性廃棄物戦略に重要な経験となるとしていた。

【出典】

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2016年5月5日に、ネバダ州ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る補足環境影響評価書(SEIS)の最終版を公表した。補足環境影響評価書(SEIS)は、潜在的に処分場から放出される物質により汚染された地下水が地表に流出する可能性及びその影響などを評価するものであり、環境への影響は小さいとの結論が示されている。補足環境影響評価書(SEIS)については、2015年8月にドラフト版の報告書が公表され、2015年8月21日から11月20日までの期間でパブリックコメントの募集、パブリックミーティング、電話会議を通じての意見募集が行われていた。今回公表された補足環境影響評価書(SEIS)では、1,200件以上のコメントを踏まえて修正・情報補足等が行われるとともに、コメントへの回答も付属資料として示されている。

ユッカマウンテン処分場に関する環境影響評価については、2002年2月に行われたユッカマウンテンサイトのエネルギー長官から大統領への推薦時に最終環境影響評価書(FEIS)が、2008年6月の建設認可に係る許認可申請書の提出時に補足環境影響評価書(SEIS)が、それぞれエネルギー省(DOE)によって作成され、NRCに提出されていた。これらDOEが作成した環境影響評価書(EIS)についてNRCは、2008年9月に、NRCの許認可申請書の安全審査における環境影響評価書(EIS)として採択できるとの判断を示した上で、地下水解析に係る情報の補足を行うようDOEに要求していた。今回の補足環境影響評価書(SEIS)は、2008年9月のNRCの指摘に対応するものであり、DOEは技術報告書を作成するのみで、補足環境影響評価書(SEIS)の作成は行わないこととなったため、NRCが自ら作成を進めていたものである。

NRCにおける許認可申請書の安全審査は、安全性及びセキュリティの審査と環境影響の審査の大きく2つに分けて行われるが、今回の補足環境影響評価書(SEIS)の作成により、2015年1月に公表されたユッカマウンテン処分場の安全性評価報告(SER)と併せて、裁判形式の裁決手続のヒアリングに向けたNRCスタッフによる主要な評価文書が揃ったこととなる。安全性評価報告(SER)及び環境影響評価書(EIS)では、土地の所有権及び水利権に関する要求事項を除いて、DOEが提出した許認可申請書はNRCの連邦規則の要求事項を満足しているとの結論が示されているが、ネバダ州等が提出した安全性及び環境影響等に係る299の争点が有効なものとして承認されており、裁決手続におけるヒアリングでは、これらの争点について審理されることとなる。今回公表された補足環境影響評価書(SEIS)など新しい情報については、今後のヒアリング手続の中で追加することも可能である。

ただし、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係るNRCの許認可申請書の安全審査については、2013年8月の連邦控訴裁判所の判決により、利用可能な予算がある限りの実施が命じられているものの、2012会計年度1 以降はNRCの許認可申請書の安全審査のための予算は付いておらず、ヒアリング手続の再開は目途が立っていない。補足環境影響評価書(SEIS)の作成、及び許認可支援ネットワーク(LSN)(詳細はこちら)に登録されていた文書のNRCデータベース(ADAMS)での公開などを終えた時点での利用可能な予算残額は、100万ドル(約1億1,500万円)未満と見込まれている。2017会計年度のユッカマウンテン処分場の許認可申請書の安全審査予算についても、NRCは予算要求をしておらず、連邦議会の下院で策定された歳出法案では20,000千ドル(23億円)の予算が計上されているものの、上院本会議で審議中の歳出法案では予算は計上されていない

【出典】

 

【2016年5月16日追記】

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2016年5月13日付けの連邦官報において、ネバダ州ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る補足環境影響評価書(SEIS)の最終版の発行を告示した。補足環境影響評価書(SEIS)の最終版は、2016年5月5日にNRCのウェブサイトで公表されていたものである。

連邦官報に掲載された告示では、エネルギー省(DOE)が作成した2002年の最終環境影響評価書(FEIS)及び2008年の補足環境影響評価書(SEIS)、並びに今回NRCが補足を行った補足環境影響評価書(SEIS)について、NRCの最終的な環境影響評価書(EIS)としての採択に係る決定は、裁判形式の裁決手続のヒアリングの完了後となることが示されている。

なお、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書のNRCによる安全審査については、2013年8月の連邦控訴裁判所の判決により、利用可能な予算がある限りの実施が命じられているものの、2012会計年度2 以降はNRCの許認可申請書の安全審査のための新たな予算は付いておらず、裁決手続におけるヒアリングの再開は目途が立っていない

【出典】


  1. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、2012会計年度は2011年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  2. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、2012会計年度は2011年10月1日からの1年間に対するものである。 []

米国テキサス州のウェイスト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社は、2016年4月28日に、使用済燃料の中間貯蔵施設の建設・操業に係る許認可申請書を原子力規制委員会(NRC)に提出した。WCS社による使用済燃料の中間貯蔵施設の建設については、立地自治体となるテキサス州アンドリュース郡が2015年1月に建設計画の承認を決議し、2015年2月にはWCS社がNRCに対して、許認可申請の意向を正式に通知していた

WCS社の中間貯蔵施設の建設プロジェクトの専用ウェブサイトでは、許認可申請書の提出を伝えるプレスリリースに加え、「許認可申請書のハイライト」、「使用済燃料の輸送」、「所有権と賠償責任問題」、「よくある質問」、レイアウト予定図及びフェーズ1の完成予想図がプレスキットとして掲載されている。

WCS社の使用済燃料の中間貯蔵施設は、低レベル放射性廃棄物のWCSテキサス処分場のサイトに隣接しており、全部で8つのフェーズで段階的に建設される計画である。フェーズ1では、約155エーカー(約62万7,000m2)のサイトで5,000トンの乾式キャスク等による中間貯蔵施設が建設され、最終的にはWCS社が保有する敷地の2.5%未満に相当する約332エーカー(約134万m2)のサイトで、約4万トンの使用済燃料を貯蔵する計画である。WCS社は、廃止措置済みの原子力発電所8カ所を含む51カ所の原子力発電所で貯蔵されている使用済燃料(39,687トン)を貯蔵対象としている。

WCS社によれば、WCS社が提出した許認可申請書において、中間貯蔵施設で貯蔵される使用済燃料については、民間原子力発電所サイトでエネルギー省(DOE)が使用済燃料の所有権を取得した上で、輸送にも責任を持つことが明記されるとともに、DOEが中間貯蔵施設の操業費用について契約上の義務を負うこと、及び中間貯蔵施設の操業前にDOEとの契約締結が必要なことが、許認可の附帯条件として提案されている。

NRCにおける許認可申請書の安全審査では、WCS社が提出した許認可申請書が十分な情報を備えているかの受理審査が最初に行われる。許認可申請書が正式に受理された場合には連邦官報で告示され、裁判形式のヒアリングの機会が提供される。正式な受理後の許認可申請書の安全審査は、安全性及びセキュリティの審査と環境影響の審査の大きく2つに分けて行われ、NRCスタッフによる評価に加え、ステークホルダー等から提出された争点が有効と認められた場合、裁判形式のヒアリングを経て許認可の発給が決定される。NRCにおける標準的な許認可審査期間は3年間とされるが、ヒアリングで争点が審理される場合の期間は未定となる。

WCS社は、パートナーのAREVA社とNACインターナショナル社の協力を得て完全で詳細な許認可申請書を提出できたとして、約3年間で許認可発給を得られることを確信しているとしており、条件が整えば、2019年には建設を開始し、早ければ2021年には使用済燃料の受入れが開始可能との見通しを示している。WCS社によれば、許認可申請書では、40年間の許認可期間に続いて20年間の許認可更新を行う可能性についても示されている。

【出典】

 

【2016年5月24日追記】

原子力規制委員会(NRC)は、ウェイスト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社が2016年4月28日にNRCへ提出した使用済燃料等の中間貯蔵施設の建設・操業に係る許認可申請書の書類一式について、NRCウェブサイトのデータベース(ADAMS)において公開した。本許認可申請書は、5,000トンの使用済燃料及びクラスCを超える(GTCC)低レベル放射性廃棄物(以下、「GTCC廃棄物」という)1 の40年間の貯蔵について、NRCの連邦規則10 CFR Part 72「使用済燃料、高レベル放射性廃棄物及び原子炉関連のクラスCを超える廃棄物の独立貯蔵の許認可要件」に基づく個別認可の発給を申請するものである。

WCS社が提出した許認可申請書には以下が含まれており、下記のリンク集から全体が入手が可能である。

NRCのデータベース(ADAMS)におけるWCS社許認可申請書パッケージへのリンク集
https://adamswebsearch2.nrc.gov/webSearch2/main.jsp?AccessionNumber=ML16133A070

  • 安全解析書(SAR)
  • 品質保証プログラム説明書(申請書本体の第6章及び付属資料C)
  • 核物質防護計画(保障措置関連情報を含むため別途提出)
  • 許認可の技術仕様案(申請書本体の付属資料A)
  • WCS社の技術的適格性の説明書(申請書本体の第2章)
  • 訓練計画(申請書本体の第7章)
  • 廃止措置計画及び廃止措置資金計画案(申請書本体の第10章、付属資料B、D)
  • 緊急時対応計画(ERP)
  • 環境報告書
  • 許認可附帯条件案(申請書本体の第13章)

 なお、WCS社の環境報告書では、4万トンの使用済燃料及びGTCC廃棄物の貯蔵に係る環境影響等が評価されている。WCS社は、中間貯蔵施設の建設については、8段階に分けて20年間で進めることを予定している。また、環境報告書では、「使用済燃料の継続貯蔵に関する包括環境影響評価書(GEIS)」など、NRCが策定した使用済燃料の貯蔵・輸送に関する環境影響評価書(EIS)も参照されている。

【出典】

 

【2016年7月8日追記】

原子力規制委員会(NRC)は、ウェイスト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社がテキサス州で計画している使用済燃料等の中間貯蔵施設について、2016年4月28日にNRCへ提出した建設・操業に係る許認可申請書に関する情報の十分性を確認する受理審査を実施した。その結果、技術的情報が十分に示されていないとして、2016年6月22日付けのNRCの書簡及び添付書類1において、WCS社に対する補足情報要求(RSI)等が示された。

NRCがWCS社に宛てた書簡では、補足情報要求(RSI)の概要が以下の通り示されている。

  • 申請されたサイトで貯蔵される見込みの乾式貯蔵システムの許認可基盤が明確に定義されていない。
    例:
    • 申請書には安全基盤を構成する出典が添付されておらず、また、記載もされていない。
    • 申請書では、出典として組み入れられる文書について、どの部分がどのように許認可基盤として認められるべきかが明確に記述されていない。
  • 提出された許認可申請書では、貯蔵対象が既に承認済みの貯蔵キャスクに限定されておらず、NRCが未審査・未承認の適合承認(CoC)の修正が含まれていると考えられる。さらに、許認可条件として提案されている貯蔵対象キャニスタの限定などについても、適切に情報が示されていない。
  • 物的セキュリティを含む施設プログラムの記述などの許認可申請書の一部については、情報の詳細度が適切ではない。

また、NRCは、補足情報要求(RSI)への対応の期限を書簡の日付けから28暦日としており、対応ができない場合は許認可申請書を受理しないとしている。

なお、NRCは、補足情報要求(RSI)に加えて、許認可申請書の受理審査を通じた所見(Observations)として課題・問題点も示している。所見については、許認可申請書の受理のために必要となる補足情報要求(RSI)の段階には達していなが、許認可申請書が受理された後に、さらなる明確化を要求する場合があるとしている。

【出典】

 

【2016年9月23日追記】

ウェイスト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社がテキサス州で計画している使用済燃料等の中間貯蔵施設の許認可審査について、2016年6月22日の原子力規制委員会(NRC)によるWCS社に対する補足情報要求(RSI)に関して、2016年9月21日にNRCは、2016年8月22日に行われた公開ミーティングの議事要旨を公開した。

NRCの補足情報要求(RSI)では、RSI通知書簡の日付から28暦日(2016年7月20日)以内の情報提出がWCS社に要求されていた。WCS社は、2016年7月6日にNRCへ提出した対応計画において、NRCが設定した期限の2016年7月20日までに約半数を、2016年8月末に約3割を、2016年9月末及び10月末に各々約1割の項目について補足情報を提出する予定を示していた。WCS社は、2016年7月20日及び2016年8月31日に、ほぼ予定通りの形で補足情報をNRCに提出している。WCS社の中間貯蔵プロジェクトの専用ウェブサイトでは、NRC提出資料のページを設けて提出済み資料が公表されている。

2016年8月22日に行われた公開ミーティングでは、NRCの補足情報要求(RSI)への対応状況と進捗についてWCS社から説明が行われた。NRCからは、WCS社が2016年7月20日に提出した1回目の補足情報の資料の一部は情報が不足していることが指摘され、不足解消のための方法についてWCS社との質疑応答が行われた。NRCは、NRCが安全性等に関する十分詳細な情報を得て遅滞なく審査を完了するためには、RSIに対する品質の高い対応が重要であることを強調している。

なお、WCS社は、2016年7月21日に、環境評価(ER)関連の補足情報要求(RSI)への対応は完了したとして、許認可申請書の受理審査の完了前に環境影響評価(EIS)手続の準備を開始するよう要求していたが、2016年8月22日の公開ミーティングにおいてNRCは、EIS手続を許認可申請書の受理決定前に開始できるかどうかはWCS社の補足情報要求(RSI)への対応の品質と完全性に掛かっているなどとして、現時点では判断はできないとしている。

【出典】

 

【2016年11月15日追記】

原子力規制委員会(NRC)は、2016年11月14日に、ウェイスト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社がテキサス州で計画している使用済燃料等の中間貯蔵施設の許認可申請について、環境影響評価(EIS)の準備を行うこと、及びEISのスコーピング手続を実施してパブリックコメントの募集を開始することを連邦官報に掲載した。WCS社が2016年4月28日に提出した許認可申請書については、補足情報要求(RSI)の対応などが進められており、NRCによる正式な受理は行われていないため、パブリックコメントの募集は許認可申請書の正式受理が連邦官報に掲載された以降の45日後まで続けられる。

WCS社の中間貯蔵施設に対するNRCの許認可申請書の審査については、環境影響評価(EIS)と安全審査が並行して行われるが、WCS社は、2016年7月21日に、環境影響評価(EIS)を可能な限り早期に開始するようにNRCに要請していた。これに対してNRCは、2016年10月7日に、WCS社の許認可申請書の受理に関わらず、EIS手続を早期に開始することは、手続の早い段階において公衆の見解を得ることを可能とし、連邦・先住民族・州・地方政府との協議を行う時間を増加させるとして、EIS手続の早期開始に合意していた。

NRCは、WCS社が補足情報要求(RSI)に適切に対応しない限り技術的な安全審査を進めることはできないが、環境影響評価(EIS)のスコーピング手続の開始のために十分な情報は既に得られているとしている。EISの実施に係る費用は、仮にNRCがWCS社の許認可申請書を正式受理しないとの決定を行った場合でも、WCS社が負担することになる。

 

【出典】

 

【2017年1月27日追記】

原子力規制委員会(NRC)は、2017年1月26日付のニュースリリースにおいて、ウェイスト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社がテキサス州で計画している使用済燃料等の中間貯蔵施設の許認可申請書について、審査に必要十分な情報が含まれていることが確認されたとして、正式に受理したことを公表した。WCS社が2016年4月28日に提出した許認可申請書については、NRCから2016年6月に補足情報要求(RSI)が出され、WCS社は2016年12月までにRSIへの対応を行ってきていた。NRCが許認可申請書を正式に受理したことは連邦官報で告示される予定であり、連邦官報告示から60日以内は裁判形式の裁決手続によるヒアリングを要求することが可能とされている。

NRCによる許認可申請書の審査では、環境影響評価(EIS)と安全審査が並行して行われる。NRCは、審査のスケジュールについて、2017年第3四半期及び第4四半期に、必要に応じて追加情報要求(RAI)を行い、WCS社のRAIへの対応が高い品質で遅滞なく行われるとの前提で、2019年第2四半期にはEISと安全審査が完了するとの見込みを示している2

NRCは、2016年11月14日付の連邦官報で告示された環境影響評価(EIS)のスコーピング手続について、未定とされていたパブリックコメントの募集期限を2017年3月13日までとすることも公表した。EISのスコーピング手続については、申請された中間貯蔵施設サイトの近郊で以下の通り2回のパブリックミーティングを行うとともに、翌週にはメリーランド州ロックビルのNRC本部でパブリックミーティングを行う予定としている。

  • 2017年2月13日:ニューメキシコ州ホッブス市
  • 2017年2月15日:テキサス州アンドリュース郡

【出典】

 

【2017年3月17日追記】

原子力規制委員会(NRC)は、2017年3月16日付のニュースリリースにおいて、ウェイスト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社による使用済燃料等の中間貯蔵施設の許認可申請に係る環境影響評価(EIS)について、スコーピング手続の期間を延長し、2017年4月28日までパブリックコメントを受け付けることなどを公表した。また、スコーピング手続の延長は、2017年3月16日付の連邦官報で告示された。NRCは、スコーピングに関するコメントを求めるパブリックミーティングについては、当初のニューメキシコ州ホッブス市、テキサス州アンドリュース郡及びメリーランド州ロックビルのNRC本部でパブリックミーティングに加えて、2017年4月6日にもNRC本部で開催する予定としている。

なお、WCS社の中間貯蔵施設の建設に係る許認可手続については、WCS社の許認可申請書を正式に受理したことを告示した2017年1月30日付の連邦官報において、裁判形式の裁決手続によるヒアリングの開催要求の募集、さらには、ヒアリングへの当事者としての参加の申立ての期限を2017年3月31日までとすることが通知されている。なお、本期限を2017年5月31日まで延長することが求められており、WCS社とシエラクラブとの共同申立てとして提出されている。

【出典】

 

【2017年3月31日追記(2017年4月5日再追記:ヒアリングの開催要求及び当事者としての参加申立て期限を2017年5月31日とする連邦官報2017月4月4日を出典に追加)】

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2017年3月29日に、ウェイスト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社による使用済燃料等の中間貯蔵施設の許認可申請の審査に関して、裁判形式の裁決手続によるヒアリングの開催要求及びヒアリングへの当事者としての参加申立ての提出期限を延長することを決定した。これは、WCS社及びシエラクラブからの申立てに対応したものであり、当初、2017年1月30日付の連邦官報では提出期限を2017年3月31日までとしていたところ、2017年5月31日まで延長することとなった。

【出典】

 

【2017年4月21日追記】

米国のウェイスト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社は、使用済燃料等の中間貯蔵施設の許認可申請の審査手続に関して、一時的に停止することを2017年4月18日付けの書簡でNRCに要請した。これは、WCS社をエナジーソリューションズ社が買収する手続が進められており、買収手続が完了するまでの期間について、原子力規制委員会(NRC)による審査活動及びヒアリング開催要求や環境影響評価(EIS)スコーピングに係るコメント募集の活動の一時停止を求めたものである。また、WCS社の要請を受け、ヒアリングの開催に係る連邦官報の告示の取消しの要求について、NRCとWCS社との連名の書簡が2017年4月19日付けでNRCの委員会に提出されている。

WCS社は、許認可申請の審査手続の一時停止を求めた理由として、資金面の制約がある中で、現在操業中の低レベル放射性廃棄物処分施設等の安全な操業・維持を行うとともに、買収対応に集中する必要があるとしている。WCS社の親会社であるヴァルヒ社とエナジーソリューションズ社とは、エナジーソリューションズ社によるWCS社の買収に合意したことを2015年11月19日に発表していた。しかし、本買収は独占禁止法に抵触するとして司法省が2016年11月に提訴しており、2017年4月24日に公判が開始される予定となっている。なお、WCS社は、2017年夏の後半には買収が完了し、許認可申請の審査手続が再開されるとの見通しを示している。

【出典】

 

【2017年6月22日追記】

米国のデラウェア地区連邦地方裁判所は、2017年6月21日に、エナジーソリューションズ社によるウェイスト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社の買収について、本買収は独占禁止法に抵触するとの司法省の訴えを認め、両社の合併を差し止める判決を行った。

司法省は、2017年6月21日付けのプレスリリースにおいて、本判決は参入障壁が極めて高い産業における競争環境を守るものとの見解を示している。

一方、エナジーソリューションズ社は、2017年6月21日付けのプレスリリースにおいて、WCS社の買収は原子力産業の長期的な低レベル放射性廃棄物処分の需要に対する最善の対応であったとして、本判決に対して失望したことを示した。なお、エナジーソリューションズ社は、廃棄物管理及び廃止措置の分野で産業界をリードし続けること、顧客のためにWCS社との協力を行っていくことを表明している。

【出典】

 

【2017年7月21日追記】

原子力規制委員会(NRC)は、ウェイスト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社による使用済燃料等の中間貯蔵施設の許認可申請書の審査に関して、2017年1月30日付の連邦官報で告示した裁判形式の裁決手続によるヒアリング開催要求の募集及びヒアリングへの当事者としての参加の申立て(以下「ヒアリング開催要求の機会(opportunity to request a hearing)」という。)について、ヒアリング開催要求の機会に係る通知を取消すことを2017年7月20日付けの連邦官報で告示した。

WCS社による中間貯蔵施設の許認可申請書の審査については、WCS社が2017年4月18日付の書簡で審査手続の一時停止を要請したことを受けて、ヒアリング開催要求の機会に係る連邦官報での通知の取消しの要求について、NRCとWCS社との連名の書簡が2017年4月19日付けでNRCの委員会に提出されていた。その後、NRCは、2017年5月10日に許認可申請書の審査の一時停止に係るWCS社の要請を承認し、NRCの委員会は2017年6月22日に、ヒアリング開催要求の機会に係る通知の取消しを連邦官報で告示すること、WCS社が許認可審査の再開を要求した場合には改めてヒアリング開催要求の機会に係る通知を連邦官報で告示することを決定していた。

【出典】

 

【2018年6月15日追記】

ウェイスト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社とOrano USA社3 との合弁会社として設立された「中間貯蔵パートナーズ(ISP)社」は、2016年4月28日にWCS社が提出した使用済燃料等の中間貯蔵施設の許認可申請に関して、2018年6月11日に、原子力規制委員会(NRC)に審査の再開を公式に要請するとともに、許認可申請書の改定版を提出したことを公表した。WCS社による中間貯蔵施設プロジェクトについては、Orano USA社がWCS社との合弁会社を設立してNRCの許認可審査を再開する方針について、Orano USA社の2018年3月13日付けのプレスリリースにおいて公表されていた。なお、WCS社については、投資会社のJFリーマン社への売却が完了したことが、2018年1月26日に親会社のヴァルヒ社などから公表されていた。

中間貯蔵パートナーズ(ISP)社は、2018年6月11日付けのプレスリリースにおいて、改定版の許認可申請書では合弁会社の組織や新経営陣の情報を反映しているが、WCS社の低レベル放射性廃棄物貯蔵サイトにおける使用済燃料貯蔵施設の建設・操業という申請内容は変わらないとしている。なお、中間貯蔵パートナーズ(ISP)社のウェブサイトでは、中間貯蔵施設の操業開始は2022年との見通しが示されているが、NRCによる許認可申請書の審査の完了などに係る具体的な見通しは示されていない。

【出典】


  1. 米国では、1985年低レベル放射性廃棄物政策修正法、原子力規制委員会(NRC)の連邦規則(10 CFR Part 61「放射性廃棄物の陸地処分のための許認可要件」)において、地下30mより浅い浅地中処分が可能な低レベル放射性廃棄物としてクラスA、B、Cの分類が定められている。GTCC廃棄物は、放射能濃度などがクラスCの上限値を超える低レベル放射性廃棄物であり、連邦規則に基づいて操業されている浅地中処分場での処分をNRCが承認しない場合、地層処分しなければならないこととなっている。 []
  2. 裁決手続によるヒアリングの開催がNRCにより承認された場合には、環境影響評価(EIS)と安全審査の終了後にヒアリングが開催され、その後にNRCの委員による許認可発給に係る最終決定が行われる。 []
  3. Orano USA社は、フランスの原子力総合企業であるOrano社(旧Areva社)の米国法人である。 []

米国ニューメキシコ州のカールスバッド市近傍の自治体で構成されるエディ・リー・エナジー・アライアンス(ELEA)が計画する使用済燃料の中間貯蔵施設について、ホルテック・インターナショナル社(以下、「ホルテック社」という)は、2016年3月29日に、建設に係る許認可申請書を2016年11月30日に提出する予定であることを原子力規制委員会(NRC)に通知した。ホルテック社は、2015年4月にELEAとの覚書に基づいて、中間貯蔵施設の設計・許認可・建設・操業を担当することとなっており、2015年8月3日には許認可申請の意向通知をNRCに提出していた。

ELEAは、ニューメキシコ州南東部のエディ郡、リー郡、カールスバッド市及びホッブズ市の4自治体が設立した企業体であり、2006年11月にはエネルギー省(DOE)が進めていた国際原子力エネルギー・パートナーシップ(GNEP)計画における統合使用済燃料リサイクル施設の立地調査サイトの1つに選定されていた。ELEAは、GNEP計画が2009年6月に中止された後、GNEP計画のために購入していたリー郡内の土地を使用済燃料の中間貯蔵施設に活用することを目指し、2012年10月にはフランス・AREVA社の米国法人をパートナーに選定した中間貯蔵施設の建設計画が公表されていた

2015年4月に公表されたELEAとホルテック社との開発計画では、原子力発電所で実績のあるホルテック社の使用済燃料の貯蔵システムであるHI-STORM UMAX(Holtec International STORage Module Underground MAXimum securityの頭字語)を拡張した中間貯蔵システムの建設に向けて、許認可申請の準備が進められている。建設が予定されるHI-STORE集中中間貯蔵施設(以下、「HI-STORE CIS」という)の概要は、概念図に示す通りであり、地表面より下の換気付き縦型モジュールに貯蔵キャスクを収納するシステムとなっている。

ELEAで計画されているHI-STORE CIS(第1段階)の概要(左)とキャスク貯蔵概念図(右)

ELEAで計画されているHI-STORE CIS(第1段階)の概要(左)とキャスク貯蔵概念図(右)


キャラウェイ原子力発電所に設置されたHI-STORM UMAXシステム

キャラウェイ原子力発電所に設置されたHI-STORM UMAXシステム

ホルテック社は、ベースとなるHI-STORM UMAXシステムについて、米国で貯蔵中のすべての乾式貯蔵キャスクの受入れ・貯蔵が可能となるよう設計変更した上で、ELEAサイトにおける許認可申請書を提出する意向であり、安全解析書などはHI-STORM UMAXシステムで承認済みのものが参照される形となる。中間貯蔵施設の建設は段階的に進められる計画であり、当初のNRCへの許認可申請は、貯蔵キャニスタ500本を対象とし、最終的に4,000本の貯蔵が可能なシステムに拡張の予定とされている。

中間貯蔵施設の許認可スケジュールについて従来は、2016年6月の許認可申請書提出、2019年6月のNRC許認可取得、2019年9月の建設開始により、2020年には操業を開始する見通しが示されていた。今回のNRCへの申請予定日の通知に伴うスケジュールの見直し等については現状で公表されていない。

なお、ELEAは、中間貯蔵施設の開発事業者への建設予定地の売却を計画しており、2016年2月に、ホルテック社が公募手続を経た上で土地の購入オプション等の契約をELEAと締結している。本契約では、NRCからの許認可の取得及びDOE等との貯蔵契約締結などにより、中間貯蔵施設の建設が可能となった時点での土地購入、及び中間貯蔵施設からの収入をELEAへ分配することなどが規定されている。契約の発効には州の認可が必要とされている。

【出典】

 

【2016年9月23日追記】

米国ニューメキシコ州のカールスバッド市近傍の自治体で構成されるエディ・リー・エナジー・アライアンス(ELEA)は、使用済燃料の中間貯蔵施設を計画しており、中間貯蔵施設の設計・許認可・建設・操業を担当するホルテック・インターナショナル社(以下、「ホルテック社」という)は、2016年9月13日付のハイライト情報において、ELEAサイトにおける中間貯蔵施設の建設に係る許認可申請書の原子力規制委員会(NRC)への提出を、2017年3月に予定していることを公表した。2016年3月に行ったNRCへの通知では、許認可申請書の提出を2016年11月30日の予定としていた。

ELEAサイトにおける中間貯蔵施設の建設についてホルテック社は、ベースとなるHI-STORM UMAX(Holtec International STORage Module Underground MAXimum securityの頭字語)システムについて、米国で貯蔵中のすべての乾式貯蔵キャスクの受入れ・貯蔵が可能となるよう設計変更し、その後、中間貯蔵施設の建設に係る許認可申請を行うという段階的な許認可申請の方針としている。ホルテック社は、2016年8月30日に、HI-STORM UMAXシステムの適合承認(CoC)の変更申請をNRCに提出した。

なお、ホルテック社は、ELEAが保有する建設予定地の購入オプション等の契約を2016年2月に締結していたが、土地購入がニューメキシコ州政府によって承認されたことが、2016年9月13日付のウェブサイト情報で公表されている。

【出典】

米国の連邦議会下院のエネルギー・商務委員会の委員長などは、2016年3月17日に、エネルギー長官に対して、エネルギー省(DOE)の放射性廃棄物管理政策に関する情報を求める書簡を送付した。同委員長らは、2016年2月29日に、DOEがユッカマウンテン許認可申請を完了するための必要事項の検証を政府説明責任院(GAO)に依頼しており、本書簡はそれに続くものとなる。本書簡では、DOEのユッカマウンテン支援活動や放射性廃棄物政策法遵守の状況など8つの項目についての合計14の質問事項が示されており、2016年4月14日までの回答を求めている。

本書簡では、DOEが2013年1月公表の「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分戦略」(以下、「DOE戦略」という)を実施に移すための活動を開始していることに対し、連邦政府は法律上の義務を可及的速やかに果たす必要があり、ユッカマウンテンの許認可申請に係る作業を迅速に再開することが求められているとしている。その上で、包括的な法的枠組みを構築するプロセスの一環として、DOE戦略の実施のために必要な法的権限についてのヒアリングを行う予定としている。

本書簡では、包括的な放射性廃棄物管理政策を検証するための情報として、以下のような質問が行われている。

ユッカマウンテン支援活動

  1. 有効な契約リストの最新状況を報告すること。
  2. DOEは、連邦議会が1982年放射性廃棄物政策法を修正する、またはDOEが放射性廃棄物処分勘定の予算をすべて費消するまで、有効な契約を維持するのか。
  3. DOEは、2013年8月30日付けのDOE次官から下院エネルギー・商務委員会環境・経済小委員会の委員長へ宛てた書簡において、命じられれば、予算がある限り許認可手続が再開できるよう手配していると伝えているが、ユッカマウンテン処分場プログラムの再開に必要な専門能力、インフラ、及び支援文書を維持しているのか。

1982年放射性廃棄物政策法の遵守

  1. 1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)では、ユッカマウンテン以外のサイト特定の活動をすべて終了したが、DOEは、テキサス州における中間貯蔵施設建設の提案のレビューや、中間貯蔵施設についての民間会社役員と既に面会していることをエネルギー長官は述べている。
    1. DOEは、どのような法的権限に基づいてサイト特定の議論を行っているのか。
    2. DOEが連邦以外のステークホルダーと中間貯蔵施設の立地について議論した会合について、日付と参加者を含めたリストを提出すること。
  2. 1982年放射性廃棄物政策法では、原子力規制委員会(NRC)が処分場の建設認可を発給するまでは監視付き回収可能貯蔵(MRS)施設1 (集中中間貯蔵施設)の建設を禁じており、DOE戦略でも、中間貯蔵施設が事実上の処分場となることを避けるため、中間貯蔵施設の操業開始と処分場開発の間にはリンクが必要としている。
    1. 中間貯蔵施設が事実上の処分場とならないために、DOEはどのようなリンク設定を提案するのか。
    2. DOEは、立法措置の可能性を想定して、リンク設定に関する計画を既に準備しているのか。

集中中間貯蔵施設

  1. DOEは、1998会計年度2 に、集中中間貯蔵施設への使用済燃料等の輸送が法律で指示されると想定して、集中中間貯蔵施設の設計と安全解析を完了しているほか、2008年に提出されたユッカマウンテン許認可申請書には集中中間貯蔵施設の構成要素となる諸施設が含まれていたが、DOEは2016年3月4日にパイロット中間貯蔵施設の一般設計に関する公募を行っている。
    1. DOEは、公募に際し、1998年の集中中間貯蔵施設のトピカル安全解析報告書の要素を考慮したか。
    2. DOEは、公募に先立って、ユッカマウンテン許認可申請書の主要な設計要素を考慮したか。
    3. 今回の公募は、1998年のトピカル安全解析書やユッカマウンテン許認可申請書に含まれる諸施設とどのような点が異なるのか。
    4. 中間貯蔵施設に係る以前の研究成果のどのような点が今回の新たな公募に繋がったのか。
  2. DOEは、2008年に、連邦議会の指示により、廃止措置済みの原子力発電所の使用済燃料を既存のDOEサイトや運転中の原子力発電所、または競争プロセスで選定した中間貯蔵サイトに集中させることを検討した
    1. 2008年報告書では、廃止措置済み原子力発電所では既にサイト内貯蔵施設の費用が発生済みであり、限定的な使用済燃料引取り実証プログラムでは連邦政府債務3 は大きく変化せず、廃止措置済み原子力発電所を優先することで他事業者から訴訟の提起や引取り要求が行われる可能性もあると報告されていた。
      DOE戦略の開発の中で、DOEはパイロット中間貯蔵施設の開発コストと債務減少額を再評価したか。もし再評価したのであれば、評価結果を提出すること。
    2. 2008年報告書では、集中中間貯蔵施設の総コストは7億4,300万ドル(1ドル=120円として約892億円)と見積っていたが、DOE戦略の中でその費用見積りの再評価をしたか。もし再評価したのであれば、評価結果を提出すること。

原子力発電所向けの「標準契約」

  1. 1982年放射性廃棄物政策法は、発電用原子炉の許認可の新規発給・更新に際しては、事業者がDOEと使用済燃料処分のためのいわゆる「標準契約」を締結することが必要としている。
    1. 標準契約では、ユッカマウンテン処分場開発・操業のための放射性廃棄物基金への拠出金支払いについて定めているが、2013年の連邦控訴裁判所の判決により、有効な処分場プログラムが無いとして拠出金の徴収が差止められている。DOEは、この判決を踏まえても新たな標準契約を締結する権限があると評価したのか。
    2. 2013年の判決が出てから、DOEは、NRCは原子力法に基づく権限により原子炉の許認可を発給・更新できるか否か、NRCと協議したか。協議した場合は、関連文書を提出すること。
    3. DOEは、事業者と標準契約を締結する権限を有しているか司法省と協議したか。協議した場合は、司法省の法的判断を提出すること。

DOE戦略

  1. DOE戦略では、2021年までにパイロット規模の中間貯蔵施設の操業を開始し、廃止措置済み原子力発電所から使用済燃料を引き取ることが必要としているが、2015年8月の使用済燃料輸送の鉄道車両調達に関するDOEの公募では、鉄道車両の利用可能時期が7~9年後とされている。
    1. DOEは、鉄道車両の調達とパイロット規模の中間貯蔵施設操業開始に係る矛盾したスケジュールをどのように調和させるのか。
    2. DOEの監察官(IG)による使用済燃料関連の債務の監査は、DOE戦略の実施を前提としているが、直近の監査において、DOEはIGに調達の時間軸の情報を提供したのか。

放射性廃棄物基金及び予算要件

  1. 2016年2月12日に、全米公益事業規制委員協会(NARUC)らは、放射性廃棄物基金の正確で明確な年次報告書を全米の電力消費者と納税者に示すよう要求したが、年末前にこの財務報告書を発行することを確約するか。
  2. 今後10年間のDOE戦略の実施のための費用は45億ドル(5,400億円)と伝えられているが、処分場建設のための放射性廃棄物基金の妥当性に与える影響を評価したか。

軍事起源の高レベル放射性廃棄物の処分

  1. 下院エネルギー・商務委員会は、2015年4月に、軍事起源の使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の処分を切り離す決定について追加情報を求めたが、その後、軍事起源の高レベル放射性廃棄物のみを処分する処分場の費用見積りや分析は行ったか。
  2. 最近、ノースダコタ州ピアス郡の郡政委員会が高レベル放射性廃棄物処分のための大深度ボーリング孔のフィールド試験プロジェクトに反対することを満場一致で議決した。エネルギー長官は、2016年3月2日の下院エネルギー・商務委員会のヒアリングで、フィールド試験は科学的実験を行うためのものであり、同意に基づくサイト選定の施設ではないと発言したが、ピアス郡で示されたように科学的実験でも地元ステークホルダーの同意が必要である。
    1. 大深度ボーリング孔掘削に対するピアス郡の決定は、DOEの軍事起源の高レベル放射性廃棄物処分プログラムにどのような影響を与えるか。
    2. DOEは、フィールド試験の公募結果の発表前に、ノースダコタ州やピアス郡の州及び地域のステークホルダーとコミュニケーションを取ったか。
    3. 超深孔処分のフィールド試験の公募への申請に添付された州・地域・先住民族のステークホルダーからの支持の書簡をすべて提出すること。

使用済燃料の輸送

  1. 下院エネルギー・商務委員会のエネルギー・環境小委員会では、DOEが州に対して、1982年放射性廃棄物政策法に基づく緊急時対応訓練のための技術支援と資金提供すべきとの証言を得ているが、DOEは、使用済燃料輸送に対する緊急時対応者の準備が最も早く整うように、州の組織とどのように関わっているか。過去3年間における放射性廃棄物政策法第180条(c)に基づく資金の分配先リストを提出すること。

【出典】


  1. 監視付き回収可能貯蔵(MRS、Monitored Retrievable Storage)施設は、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)において、高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料を監視付きの回収可能性を有する中間貯蔵施設に長期貯蔵することが、安全・確実な管理の選択肢であるとし、エネルギー長官に中間貯蔵施設の設置に係る権限を与えている。http://energy.gov/downloads/monitored-retrievable-storage-background []
  2. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、1998会計年度は1997年10月1日からの1年間となる。 []
  3. 米国では、1982年放射性廃棄物政策法において、エネルギー省(DOE)が1998年1月31日から民間の使用済燃料引取りを開始することが定められおり、原子力発電事業者との間で処分実施のための契約が締結されている。ユッカマウンテン計画の遅れから、DOEは使用済燃料の引取りを行えないため債務不履行状態にあり、事業者からの訴訟により連邦政府の損害賠償義務が確定している。 []

米国のエネルギー省(DOE)は、2016年2月24日に、クラスCを超える(GTCC)低レベル放射性廃棄物(以下、「GTCC廃棄物」という)1 の処分に関する最終環境影響評価書(FEIS)を公表した。本FEISでは、GTCC廃棄物及びGTCC類似廃棄物2 の推奨する処分方策として、ニューメキシコ州カールスバッドに立地するTRU廃棄物の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)での処分、あるいは、一般の商業施設において陸地処分することが示されている。1985年低レベル放射性廃棄物政策修正法では、連邦政府がGTCC廃棄物の処分責任を負うことが規定されており、DOEは2005年5月に環境影響評価書(EIS)の策定の事前告示を行い、2011年3月にドラフト環境影響評価書(DEIS)を公表していた

最終環境影響評価書(FEIS)では、ドラフト環境影響評価書(DEIS)でも示されていた通り、現行管理の継続という選択肢を含めて、以下の5つのオプションに関する評価が行われた。

  1. 現行の管理の継続(現在実施されているGTCC廃棄物発生施設等での貯蔵の継続)
  2. 廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)での地層処分
  3. ハンフォード・サイト、アイダホ国立研究所、ロスアラモス国立研究所、ネバダ国家セキュリティサイト3 、WIPP近傍やその他の商業施設における、新たな中深度ボーリング孔での処分
  4. 上記で示したサイトに、サバンナリバー・サイトを加えたサイトにおける、新たな強化型浅地中処分施設で処分
  5. 上記で示したサイトにおける、新たな地表面より上のボールト処分施設で処分

DOEは、累積的影響も含めた長期的な健康への影響、先住民族との問題、法律その他の要件、その他国家安全保障を始めとする種々の要因について評価を行い、パブリックコメント等も踏まえて、推奨する処分方策をオプション2の廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)での地層処分、あるいは、オプション3~5の商業施設での陸地処分としている。ただし、オプション3~5でのハンフォード・サイト等のDOEサイトでの処分は、推奨する処分方策には含まれていない。

GTCC廃棄物等は多様な特性のものが存在するため、推奨する処分方策は1つに限定されていない。また、商業施設における3つの処分概念(オプション3~5)の間にも優先順位は設定されておらず、その概念設計も、施設の立地に応じて、変更や強化することも可能とされている。さらに、健康への影響や輸送の影響の評価は、廃棄物の種類別に行われているため、この情報に基づいて意思決定を行うことも可能としている。

DOEは、最終環境影響評価書(FEIS)での分析により、GTCC廃棄物等の処分が可能となる望ましい方策を同定するのに十分な知見が得られたとしているが、法改正や許認可要件変更の必要性については不確定要素もあるため、最終的な決定を示す意思決定記録(ROD)の発行までにはさらなる分析が必要としている。なお、2005年エネルギー政策法では、DOEが最終決定を行う前に、検討したすべての管理方策などについて連邦議会に報告書を提出して、その措置を待つことを義務付けている。DOEは、今後連邦議会に報告書を提出し、連邦議会が然るべき措置を取るまでは意思決定記録(ROD)の発行は行わないとしている。

なお、GTCC廃棄物等の環境影響評価については、2005年5月の事前告示によるコメント募集、2007年7月の実施意向告示による評価項目や手法などについてのコメント募集が行われた他、2011年3月のドラフト環境影響評価書(DEIS)については120日間のコメント募集及び9カ所でのパブリックヒアリングが行われた。DOEは、最終環境影響評価書(FEIS)の策定にあたり、DEISへのすべてのコメントを考慮したとしている。

【出典】

 

【2017年11月22日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は、クラスCを超える(GTCC)低レベル放射性廃棄物(以下「GTCC廃棄物」という。)及びGTCC類似廃棄物4 (以下、GTCC廃棄物とGTCC類似廃棄物とを合わせて「GTCC廃棄物等」という。)の処分方策に関して、連邦議会に向けた2017年11月付けの報告書を公表した。本報告書においてGTCC廃棄物等に対して推奨する処分方策としては、商業施設における陸地処分及び廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)における地層処分であるとした上で、WIPPにおけるフル操業は2021年まで見込まれないことから、商業施設における陸地処分を主として考慮しているとのDOEの見解が示されている。

GTCC廃棄物等の処分方策については、2016年2月24日に、最終環境影響評価書(FEIS)が公表されており、5つのオプションについて評価した結論として、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)での地層処分、あるいは、商業施設における陸地処分(新たな中深度ボーリング孔での処分、強化型浅地中処分、または、ボールト処分)が推奨する処分方策として示されていた。ただし、WIPP以外のDOEサイトにおける処分は、推奨する処分方策には含まれていない。DOEは、推奨する処分方策の決定に必要な情報はFEISで提供されており、推奨する処分方策はGTCC廃棄物等の処分に係る要求を満足するものであることを確認したとしている。

GTCC廃棄物等の処分方策については、2005年エネルギー政策法において、DOEが最終決定を行う前に、検討したすべての処分方策などについて連邦議会に報告書を提出して、その措置を待つことが義務付けられており、今回公表された報告書は、この義務を果たすものとされている。

DOEは、推奨される処分方策の実施には法改正等が必要であるとしており、本報告書では以下の項目が示されている。

  • GTCC廃棄物の処分のための費用回収メカニズムを構築する立法措置
  • 商業用の原子力発電所の廃止措置で発生するGTCC廃棄物の処分のための放射性廃棄物基金からの歳出予算の計上5
  • 1985年低レベル放射性廃棄物政策修正法の規定の明確化6
  • 廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)でGTCC廃棄物等を処分することを認める法改正

なお、DOEは、最終環境影響評価書(FEIS)の公表時に、連邦議会に報告書を提出した後に連邦議会が何らかの措置を取るまで、GTCC廃棄物等の処分に係る意思決定記録(ROD)の発行は行わないとしている。

【出典】

 

【2018年10月26日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は、クラスCを超える(GTCC)低レベル放射性廃棄物(以下「GTCC廃棄物」という。)及びGTCC類似廃棄物(以下、GTCC廃棄物とGTCC類似廃棄物とを合わせて「GTCC廃棄物等」という。)7 の処分に関して、テキサス州のウェイスト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社の低レベル放射性廃棄物処分場でのGTCC廃棄物等の処分に係る環境アセスメント(EA)を公表した。本環境アセスメントは、2016年2月24日に公表された最終環境影響評価書(FEIS)を参照する形で策定されており、WCS社の連邦廃棄物施設(FWF)内で、地表面から最大120フィート(約37m)での浅地中処分が検討されている。

米国では、1985年低レベル放射性廃棄物政策修正法において、GTCC廃棄物は連邦政府が処分責任を有すると規定されている。DOEは、この法的責務を果たすとともに、現在確立されていないDOEのGTCC類似廃棄物の処分を実現するため、GTCC廃棄物等の処分方策を策定するためのDOEの取組の目標と必要性を環境アセスメントで示している。

なお、本環境アセスメントの策定に際してDOEは、2018年8月31日に、本環境アセスメントのドラフトをテキサス州に送付した。テキサス州環境品質委員会(TCEQ)は、30日間のレビュー後にコメントを提示したが、DOEはTCEQと協働してすべてのコメントに対応したとしている。テキサス行政法(TAC)では、低レベル放射性廃棄物処分場においてGTCC廃棄物等を処分することが禁止されているため、WCS社がテキサス行政法(TAC)の当該条項の修正をTCEQに求めており、TCEQの要請を受けた原子力規制委員会(NRC)において、GTCC廃棄物等の処分の規制に係る検討が行われている

【出典】


  1. 米国では、1985年低レベル放射性廃棄物政策修正法、原子力規制委員会(NRC)の連邦規則(10 CFR Part 61「放射性廃棄物の陸地処分のための許認可要件」)において、地下30mより浅い浅地中処分が可能な低レベル放射性廃棄物としてクラスA、B、Cの分類が定められている。GTCC廃棄物は、放射能濃度などがクラスCの制限値を超える低レベル放射性廃棄物であり、連邦規則に基づいて操業されている浅地中処分場での処分をNRCが承認しない場合、地層処分しなければならないこととなっている。 []
  2. 米国では、エネルギー省(DOE)は原則としてNRCの連邦規則の適用を受けないため、DOEが保有する廃棄物にはGTCC廃棄物の分類も適用されないが、DOEは、GTCC廃棄物と類似した特性を持つものは「GTCC類似廃棄物」としてGTCC廃棄物と共に処分する方針としている。なお、GTCC廃棄物とGTCC類似廃棄物とを併せて「GTCC廃棄物等」とする。 []
  3. 旧ネバダテストサイト []
  4. 米国では、エネルギー省(DOE)は原則として原子力規制委員会(NRC)の連邦規則の適用を受けないため、DOEが保有する廃棄物にはGTCC廃棄物の分類も適用されないが、DOEは、GTCC廃棄物と類似した特性を持つものは「GTCC類似廃棄物」としてGTCC廃棄物と共に処分する方針としている。 []
  5. エネルギー省(DOE)と原子力発電事業者等が締結した使用済燃料処分等に係る標準契約では、GTCC廃棄物は高レベル放射性廃棄物と見なされており、その処分費用は、原子力発電事業者等が拠出する放射性廃棄物基金からの支出されることになるが、放射性廃棄物基金からの支出には歳出法による承認が必要とされている。 []
  6. 原子力規制委員会(NRC)は、名文上の規定がない限りエネルギー省(DOE)の処分施設等に対する許認可権限を有していないが、1985年低レベル放射性廃棄物政策修正法ではGTCC廃棄物の処分はNRC許可施設で行うなどと規定されているため、連邦議会による明確化が必要としている。 []
  7. 米国では、DOEは原則として原子力規制委員会(NRC)の連邦規則の適用を受けないため、DOEが保有する放射性廃棄物にはGTCC廃棄物の分類も適用されないが、DOEは、GTCC廃棄物と類似した特性を持つものは「GTCC類似廃棄物」としてGTCC廃棄物と共に処分する方針としている。 []