Top » 海外情報ニュースフラッシュ » (個別記事表示)

§ 2020年3月23日 発行 海外情報ニュースフラッシュ

米国でエディ・リー・エナジー・アライアンス(ELEA)サイトにおける中間貯蔵施設の建設・操業に係る環境影響評価が進行

タグ:

原子力規制委員会(NRC)は、2020年3月20日付けの連邦官報において、ホルテック・インターナショナル社(以下「ホルテック社」という。)がニューメキシコ州で計画している使用済燃料等の中間貯蔵施設について、建設・操業・廃止措置等に係るドラフト環境影響評価書(DEIS)に対するパブリックコメントの募集を開始することを告示した。NRCは、2020年3月10日付けのニュースリリースにおいて、DEISを公表するとともに、DEISに対するパブリックコメントの募集及びパブリックミーティングの開催を行う予定を公表していた。DEISでは、ホルテック社が申請した使用済燃料等の貯蔵が環境に与える影響は小さいとして、許認可発給を勧告するNRCスタッフの評価が示されている。NRCスタッフは、パブリックコメントのレビューを行った上で、2021年3月までに最終環境影響評価書(FEIS)を策定する予定としている。

具体的にDEISでは、NRCがホルテック社から2017年3月31日に受領した中間貯蔵施設の許認可申請書等を踏まえて、プロジェクトの第1段階(Phase 1)として行われる500基の乾式貯蔵キャスクによる約8,680トンの使用済燃料等の貯蔵について評価が行われている。ホルテック社は、20段階に分けて貯蔵プロジェクトを実施し、最終的には10,000基の乾式貯蔵キャスクで約10万トンの使用済燃料等の貯蔵を行う計画である。NRCは、保守的な境界条件の下での解析(bounding analysis)を行うものとして、第2~20段階の実施を含む貯蔵プロジェクト全体についての評価も行っており、見込まれる環境影響は小さいとしている。また、DEISでは、内務省(DOI)土地管理局(BLM)による評価に基づいて、中間貯蔵施設への鉄道支線の建設及び運行に対して許認可発給を勧告するとのNRCの意見も示されている。

DEISは、500ページ近くに及ぶ文書となっており、NRCウェブサイトのホルテック社集中中間貯蔵施設のページでは、DEIS本体のファイルや連邦官報告示へのリンクとともに、環境影響評価書(EIS)の読者ガイドも公表されている。本読者ガイドでは、DEISの概要とともに、ホルテック社の中間貯蔵プロジェクトの概要、NRCの許認可審査手続きの概要などについても、図等を含めて示されている。

ホルテック社の集中中間貯蔵施設の建設予定サイト

なお、ホルテック社の中間貯蔵施設は、ニューメキシコ州南東部のエディ郡、リー郡、カールスバッド市及びホッブズ市の4自治体から構成されるエディ・リー・エナジー・アライアンス(ELEA)のサイトでの建設を計画するものであり、ニューメキシコ州環境省(NMED)も、NRCとの協定を締結して協力機関(cooperating agency)として位置付けられている。NMEDは、EISの策定において、水資源に関する問題でNRCスタッフと協力しているほか、DEISの草案段階でコメントも提出していた。NRCは、NMEDのコメントに対応した上でDEISを策定したとしている。

DEISに対するパブリックコメントの募集は2020年5月22日までの期間で行われるものとされ、NRCは、パブリックコメントの募集と並行してパブリックミーティングも開催する予定としている。

【出典】

 

【2021年4月2日追記】

米国のニューメキシコ州は、2021年3月29日に、ホルテック・インターナショナル社(以下「ホルテック社」という。)がニューメキシコ州で計画している使用済燃料の中間貯蔵施設 等の建設・操業に係る許認可審査手続の中止などを求めて、原子力規制委員会(NRC)などを提訴した。ニューメキシコ州司法長官の同日付けのプレスリリースにおいて、ニューメキシコ地区連邦地方裁判所に提出した訴状が公表された。ニューメキシコ州の訴訟は、ホルテック社が計画する中間貯蔵施設に加えて、中間貯蔵パートナーズ(ISP)社がテキサス州アンドリュース郡で計画している中間貯蔵施設についても、許認可審査手続の中止等を求めるものとなっている。

ニューメキシコ州の訴状では、以下の確認判決及び差止めの仮処分が請求されている。

  • NRCによる中間貯蔵施設の許認可発給について、1954年原子力法や1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)で規定された権限を越えるものであるとの確認判決
  • NRCによる中間貯蔵施設の許認可発給について、違法で資金提供なしに連邦義務を課すものであるとの確認判決
  • ホルテック社が中間貯蔵施設の建設を計画している土地について、石油・ガス、農業資源等の公共信託における権益を州が有していることの確認判決
  • ニューメキシコ州への回復不可能な損害を防止するため、中間貯蔵施設の許認可審査手続を差止める仮処分命令

ニューメキシコ州では、ホルテック社の中間貯蔵施設に係るドラフト環境影響評価書(DEIS)に対しても、ニューメキシコ州知事やニューメキシコ州環境省(NMED)などから反対するコメントが提出されており、今回の訴訟は、その一環の行動と見られる。2020年9月22日付けのニューメキシコ州知事のコメント文書では、中間貯蔵施設が事実上の恒久的な処分場となった場合の影響などの安全上の懸念がDEISでは適切に評価されていないこと、中間貯蔵施設建設は大きな輸送リスクへの対応等を資金提供なしにニューメキシコ州自治体に強いるものであること、石油・天然ガス資源等への影響を含めてニューメキシコ州の経済に受容しがたいリスクがあることなど、今般の訴状と同様の指摘が表明されていた。ニューメキシコ州知事は、隣接するテキサス州のISP社の中間貯蔵施設に係るDEISについても、同様のコメントを提出していた

なお、ホルテック社が計画する中間貯蔵施設の許認可審査については、2021年3月までに安全審査が完了する予定が示されていたが、NRCによる追加情報要求(RAI)に対するホルテック社の回答が不十分であるなどとして、スケジュールは遅延することが2021年3月25日付けのNRCの書簡で通知されている。NRCは、2021年4月に第2回のRAIを出す予定であるが、ホルテック社の回答が確認されるまでは改定スケジュールは発出しないことを表明している。

【出典】

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2021-04-02 )