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《米国》エディ・リー・エナジー・アライアンス(ELEA)サイトにおける中間貯蔵施設の建設に係る許認可申請書をホルテック社が提出

米国のホルテック・インターナショナル社(以下「ホルテック社」という。)は、2017年4月6日付のハイライト情報において、ニューメキシコ州のカールスバッド市近傍の自治体で構成されるエディ・リー・エナジー・アライアンス(ELEA)サイトにおける使用済燃料の中間貯蔵施設について、2017年3月31日に原子力規制委員会(NRC)へ建設に係る許認可申請書を提出したことに関する記者会見のビデオを公表した。

ホルテック社は、2015年8月3日に、許認可申請の意向通知をNRCに提出してNRCとの事前協議を進めてきたほか、採用する地下貯蔵方式のHI-STORM UMAX(Holtec International STORage Module Underground MAXimum securityの頭字語)システムについて、米国で使用中のすべての乾式貯蔵キャスクの受入れ・貯蔵が可能となるよう、適合承認(CoC)の変更申請を2016年8月30日にNRCに提出している

ホルテック社が許認可申請書を提出した中間貯蔵施設は、HI-STORE CIS(CISは集中中間貯蔵施設(Central Interim Storage)の略)と呼ばれ、HI-STORM UMAXシステムにより、ELEAサイトの最大貯蔵容量である10,000基の乾式貯蔵キャスクが貯蔵された状態でも、環境放射線量は実質的にゼロで無視できるレベルであるとしている。また、ホルテック社は、今回の許認可申請では、同様な貯蔵システムを採用して許認可までを取得し、中止された民間燃料貯蔵(PFS)社の集中中間貯蔵施設の計画において、許認可申請書の審査を通じて得られた10,000年間での再来地震(return earthquake)等の知見が活かされているとしている。さらに、ホルテック社の貯蔵システムは、ウクライナのエネルゴアトム社による集中中間貯蔵施設でも採用されているとしている。

なお、ホルテック社は、今回の許認可申請書の提出に際し、ニューメキシコ州、ELEAを構成するエディー郡、リー郡、カールスバッド市及びホッブズ市など地元自治体等の支持に感謝を示すとともに、エネルギー省(DOE)が民間による中間貯蔵施設の開発の動きを支持する姿勢を見せていることを評価するとの見解を示している。

【出典】

 

【2017年5月25日追記】

原子力規制委員会(NRC)は、ホルテック・インターナショナル社(以下「ホルテック社」という。)が計画している使用済燃料の中間貯蔵施設について、2017年3月31日にNRCが受領した建設・操業に係る許認可申請書を公開した。本許認可申請書は、初期分として5,000トンの使用済燃料の40年間の貯蔵について、NRCの連邦規則10 CFR Part 72「使用済燃料、高レベル放射性廃棄物及び原子炉関連のクラスCを超える廃棄物の独立貯蔵の許認可要件」に基づく許認可の発給を求めて申請されたものである。

ホルテック社の許認可申請に係るNRCのウェブサイトでは、下記の許認可申請書などが公表されている。

  • 許認可申請書の提出書簡
  • 安全解析書(SAR)
  • 環境報告書
  • 許認可付帯条件案

ホルテック社が建設・操業を申請した中間貯蔵施設は、HI-STORE CIS(CISは集中中間貯蔵施設(Central Interim Storage)の略)と呼ばれるものであり、地下貯蔵方式のHI-STORM UMAX(Holtec International STORage Module Underground MAXimum securityの頭字語)システムが採用されており、安全解析書(SAR)においては既にNRCが承認済みのHI-STORM UMAXシステムが参照されている。ホルテック社は、HI-STORM UMAXシステムについて、米国で貯蔵されているすべての乾式貯蔵キャスクの受入れ・貯蔵が可能となるよう、適合承認(CoC)の変更申請を2016年8月にNRCへ提出している

ホルテック社の環境報告書では、最終的に想定される10万トンの使用済燃料の貯蔵に係る環境影響等が評価されている。また、中間貯蔵施設の建設については、20段階に分けて20年間で進める予定が示されている。なお、ホルテック社の環境報告書及び安全解析書(SAR)では、想定するスケジュールとして、2019年 3月に許認可申請書をNRCが承認し、2022年6月に建設が完了して使用済燃料の受入を開始することが示されている。

【出典】

 

【2017年7月11日追記】

原子力規制委員会(NRC)は、ホルテック・インターナショナル社(以下「ホルテック社」という。)がニューメキシコ州で計画している使用済燃料の中間貯蔵施設について、2017年3月31日にNRCへ提出した建設・操業に係る許認可申請書に関する情報の十分性を確認する受理審査を実施した。その結果、技術的情報等が十分に示されていないとして、2017年7月7日付けのNRCの書簡及び添付書類において、ホルテック社に対する補足情報要求(RSI)等が示された。

NRCは、補足情報要求(RSI)への対応の期限を書簡の日付けから28暦日としており、対応ができない場合は2週間以内にNRCに通知することを求めている。NRCは、補足情報要求(RSI)へ十分に対応できない場合、許認可申請書を受理しない可能性もあるとしている。

なお、NRCは、補足情報要求(RSI)に加えて、許認可申請書の受理審査を通じた所見(Observations)として課題・問題点も示している。所見については、許認可申請書の受理のために必要となる補足情報要求(RSI)をする段階には達していなが、許認可申請書が受理された後に、さらなる明確化を要求する場合があるとしている。

【出典】

 

【2017年9月26日追記】

原子力規制委員会(NRC)は2017年9月25日に、ホルテック・インターナショナル社(以下「ホルテック社」という。)がニューメキシコ州で計画している使用済燃料の中間貯蔵施設について、許認可申請書に対する補足情報要求(RSI)に関して行われた2017年8月21日の公開ミーティングの議事要旨を公開した。

2017年7月7日付けのNRCの補足情報要求(RSI)では、RSI通知書簡の日付から28暦日以内の情報提出がホルテック社に要求されていた。ホルテック社は、2017年7月21日にNRCへ提出した対応計画において、ほとんどの項目については2017年10月6日までに、残る3項目については2017年12月22日までに補足情報を提出する予定を示していた。2017年8月21日に行われた公開ミーティングでは、NRCの補足情報要求(RSI)への対応計画等についてホルテック社から説明が行われ、その後、NRCとの質疑応答が行われている。

【出典】

 

【2018年3月1日追記】

原子力規制委員会(NRC)は2018年2月28日に、ホルテック・インターナショナル社(以下「ホルテック社」という。)がニューメキシコ州で計画している使用済燃料の中間貯蔵施設について、許認可申請書の審査に十分な情報が含まれていることが確認されたとして、正式な受理に関する書簡を発出した。ホルテック社が2017年3月31日に提出した許認可申請書については、NRCから2017年7月に補足情報要求(RFI)が出されており、ホルテック社は2017年12月までにRFIへの対応を行ってきた。

NRCがホルテック社に宛てた受理に関する書簡では、NRCは安全性・セキュリティ・環境の審査を行うスケジュールを設定し、追加情報要求(RAI)を2018年3月から2018年8月までの間に行うこと、必要に応じて、さらなるRAIを2019年2月から行う可能性があること、RAIへの対応が高品質で遅滞なく行われるとの前提で、2020年7月には安全性・セキュリティ・環境の審査を完了する見込みであることが示されている。なお、NRCは近く、審査プロセスに関する詳細などについて協議するため、公開ミーティングを開催する予定としている。

なお、テキサス州で使用済燃料の中間貯蔵施設を計画しているウェイスト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社の許認可申請書の審査については、WCS社が2017年4月18日付の書簡で審査手続の一時停止を要請したことを受けて、現在も停止された状態が続いている。WCS社が許認可審査停止要請の理由として挙げたエナジーソリューションズ社によるWCS社の買収は、独占禁止法に抵触するとの判決を受けて断念されたが、WCS社の親会社のヴァルヒ社は2018年1月26日に、WCS社をJ.F.リーマン社グループに売却したことを公表している。2018年2月末現在、WCS社の中間貯蔵施設の許認可審査については、新たな情報はWCS社などから公表されていない。

【出典】

 

【2018年4月2日追記】

原子力規制委員会(NRC)は、2018年3月30日付けの連邦官報において、ホルテック・インターナショナル社(以下「ホルテック社」という。)がニューメキシコ州で計画している使用済燃料の中間貯蔵施設について、環境影響評価(EIS)の準備の実施、EISのスコーピング手続によるパブリックコメントの募集、パブリックミーティング等の開催に関する告示を行った。このうち、パブリックコメントの募集期限については、2018年5月29日までとされている。

スコーピング手続でのパブリックミーティング及びオープンハウスの開催についてNRCは、以下のとおり、計画している中間貯蔵施設サイトの近郊及びNRC本部において開催する日程を2018年3月30日に公表している。

  • スコーピングミーティング
    • 2018年4月25日:メリーランド州NRC本部
    • 2018年5月 1日:ニューメキシコ州ホッブス市
    • 2018年5月 3日:ニューメキシコ州カールスバッド市
  • オープンハウス
    • 2018年4月30日:ニューメキシコ州ロズウェル市

【出典】

 

【2018年5月14日追記】

原子力規制委員会(NRC)は、2018年5月11日付けのニュースリリースにおいて、ホルテック・インターナショナル社がニューメキシコ州で計画している使用済燃料の中間貯蔵施設について、環境影響評価(EIS)のスコーピングに係るパブリックミーティングを追加で2回開催するとともに、一般からの要求に基づいてパブリックコメントの募集期限を2018年7月30日まで(当初は2018年5月29日まで)の約2カ月間延長することを公表した。

追加で実施されるパブリックミーティングは、以下で開催される予定となっている。

  • 2018年5月21日:ニューメキシコ州ギャラップ市
  • 2018年5月22日:ニューメキシコ州アルバカーキ市

【出典】

 

【2018年7月19日追記】

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2018年7月18日付けのニュースリリースにおいて、ホルテック・インターナショナル社(以下「ホルテック社」という。)によるニューメキシコ州リー郡での使用済燃料の中間貯蔵施設の建設・操業に係る許認可申請書について、裁判形式の裁決手続によるヒアリングの開催要求及びヒアリングへの当事者としての参加申立ての受付を開始したことを公表した。ヒアリングの開催要求及び参加申立てについては、2018年7月16日付けの連邦官報で告示されており、提出期限は2018年9月14日とされている。

ホルテック社は、2017年3月30日付けで中間貯蔵施設の許認可申請書をNRCに提出しており、ニューメキシコ州のカールスバッド市とホッブズ市の中間に位置する中間貯蔵施設において、当初は500基、最終的には10,000基の乾式貯蔵キャスクで使用済燃料を貯蔵する計画である。NRCは、2018年2月28日に許認可申請書を公式に受理し、2018年3月30日には環境審査を開始しており、2018年7月30日までの期限で環境影響評価(EIS)のスコーピングに係るパブリックコメントを募集している。

ヒアリングの開催要求及び参加申立てが認められた場合には、NRCの原子力安全・許認可委員会パネル(ASLBP)から選定される3人の行政判事により、裁判形式の裁決手続によるヒアリング手続が実施される。ヒアリングでは、ホルテック社の許認可申請書に示された事実または法的問題について、争点を提起することができる。

【出典】

 

【2019年5月9日追記】

原子力規制委員会(NRC)の原子力安全・許認可委員会(ASLB)は2019年5月7日に、ホルテック・インターナショナル社(以下「ホルテック社」という。)がニューメキシコ州で計画している使用済燃料の中間貯蔵施設の建設・操業に係る許認可申請書について、裁判形式の裁決手続によるヒアリングの開催要求をすべて否認することを決定した。ヒアリングの開催要求及び参加申立てについては、2018年7月16日付けの連邦官報で告示された後、6件の開催要求及び参加申立てが提出されていた。ASLBはNRCから独立した行政判事団であり、参加申立てを行った者は、NRCの委員会に対して、ASLBの決定に関する不服申立てを行うことができる。

今回の決定でASLBは、2つの環境団体と地域の採鉱事業者については「当事者の適格性(standing)」を認めたが、市民グループ連合、及びキャスク供給事業者(ナック・インターナショナル社)については当事者の適格性を否認した。ヒアリングの開催要求では、全部で50件近い争点が提出されていたが、ASLBは、当事者の適格性を認めた者から提出されたものも含め、ホルテック社の許認可申請書に対する「真正な争点(genuine dispute)」が確立されておらず、すべて争点としては認められないとの決定を下している。

【出典】

 

【2019年7月5日追記】

原子力規制委員会(NRC)は、2019年7月1日付けのホルテック・インターナショナル社(以下「ホルテック社」という。)宛の書簡において、ホルテック社によるニューメキシコ州での使用済燃料の中間貯蔵施設の建設・操業に係る許認可申請について、審査スケジュールを改定したことを通知した。NRCの書簡では、これまで2020年7月と見込まれていた安全性・セキュリティ・環境の審査の完了が、2021年3月に先送りになるとのスケジュールが示されている。

NRCは、今回の審査スケジュールの改定は、NRCによる追加情報要求(RAI)の発行、及びホルテック社によるRAIへの回答の時間を考慮したものとしている。また、改定前のスケジュールと同様に、改定したスケジュールでも、ホルテック社がRAIに対する回答を高い品質で60日以内に行うことを前提としており、ホルテック社の回答の品質や提出の遅れがNRCでの審査の遅延につながる可能性もあるとしている。

なお、ホルテック社の中間貯蔵施設の建設・操業に係る許認可申請書の審査については、NRCの原子力安全・許認可委員会(ASLB)が2019年5月7日に、裁判形式の裁決手続によるヒアリングの開催要求をすべて否認していたが、ヒアリング開催を要求した環境団体等は、NRCの委員会に不服申立てを行っている。

当初、ホルテック社による中間貯蔵施設の建設は、州が歓迎するものとなっていたが、2019年6月7日にニューメキシコ州知事が反対を表明する書簡をエネルギー長官とNRCの委員長に送付したほか、州当局や同州選出連邦議会議員の一部も反対を表明している。なお、ホルテック社の中間貯蔵施設は、ニューメキシコ州南東部のエディ郡、リー郡、カールスバッド市及びホッブズ市の4自治体から構成されるエディ・リー・エナジー・アライアンス(ELEA)のサイトでの建設を計画するものであり、ELEAを構成する4自治体の支持に加え、ニューメキシコ州の前知事も同計画を支持する書簡をエネルギー長官に送付するなどしていた

【出典】

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-10 )