Top » 海外情報ニュースフラッシュ(全記事表示モード)

ドイツ

ドイツの連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)は、2009年7月15日付のプレスリリースにおいて、発熱性放射性廃棄物(高レベル放射性廃棄物を含む)の地層処分に係る新たな安全要件を策定したことを発表した。この安全要件は、2008年7月29日に草案が公開され、2009年3月18日に草案の改訂版が出されていたものである。

今回策定された安全要件は、発熱性放射性廃棄物の地層処分のみに適用されるものであり、発熱性放射性廃棄物処分に適用されるという観点で、1983年の「鉱山における放射性廃棄物の最終処分に関する安全基準」に代わるものとされている。また、プレスリリースによれば、新たな安全要件は、最新の科学技術に適合したものであり、ドイツにおける放射性廃棄物の処分事業の実施主体である連邦放射線防護庁(BfS)が計画を立てる際の基盤となるものとされている。

プレスリリースによれば、今回策定された安全要件では、1983年の安全基準と比較して、主に以下の点が変更されている。

  • 処分場から放出される放射性物質は、僅かで限られたものであることが100万年にわたって示されなければならない。
  • 処分場の安全性は、処分場の計画段階から閉鎖に至るまで、定期的な安全性の確認により最適化されなければならない。
  • 問題が発生した場合に備え、少なくとも処分場の閉鎖までは、処分場からの放射性廃棄物の回収可能性を維持しなければならない。

さらに、今回策定された安全要件では、処分場の閉鎖後段階における放射線防護の基準(リスク基準)については、対象となる事象の発生確率により、以下の通り定められている。

  • 100万年の評価期間にわたる発生確率が10%より大きい事象(10-7/年): 個人が生涯に重大な影響を受けるリスク(放射線被ばくにより、ガンの発生、遺伝子損傷といった重篤な病気にかかる確率)は10-4未満(寿命70年とすると約10-6/年)とならなければならない。
  • 100万年の評価期間にわたる発生確率が10%未満かつ1%より大きい事象(10-8/年): 個人が生涯に重大な影響を受けるリスクは10-3未満(寿命70年とすると約10-5/年)とならなければならない。

なお、上記の「発生確率が10%より大きい事象」とは安全評価において通常発生する事象を、「発生確率が10%未満かつ1%より大きい事象」とは低頻度事象をそれぞれ示す。

【出典】

  • 連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)、2009年7月15日付プレスリリース、
    http://www.bmu.de/pressemitteilungen/aktuelle_pressemitteilungen/pm/44587.php
  • Sicherheitsanforderungen an die Endlagerung wärmeentwickelnder radioaktiver Abfälle
    (「発熱性放射性廃棄物の最終処分に関する安全要件」)、2009年7月
    http://www.bmu.de/files/pdfs/allgemein/application/pdf/endfassung_sicherheitsanforderungen_bf.pdf

ドイツの連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)は、2008年6月30日付のプレスリリースにおいて、放射性廃棄物管理に関してBMUに助言を与える独立した委員会として「廃棄物管理委員会」(ESK)が設立され、その設立会議が2008年6月30日に開催されたことを公表した。ドイツでは、原子力安全や放射線防護に関する諮問委員会として、すでに原子炉安全委員会(RSK)と放射線防護委員会(SSK)が設立されているが、ESKは新たな委員会として設立された。

同プレスリリースによれば、これまでは原子炉安全委員会(RSK)の小委員会が廃棄物管理の安全及び技術面の課題を担当していたが、廃棄物管理の重要性が高まっていることから、独立した委員会に廃棄物管理に係る事項を諮問することを連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)のガブリエル大臣が決定したものである。廃棄物管理委員会(ESK)は主に、放射性廃棄物と使用済燃料の処理及び中間貯蔵、原子力施設の廃止措置、全ての種類の放射性廃棄物の処分などを担当するとされており、BMUが諮問する喫緊の課題としては、アッセの立坑施設の廃止措置に関する安全技術的事項が挙げられている。

また、同プレスリリースによれば、廃棄物管理委員会(ESK)には11名の科学者が委員として召集されている。ESKの作業に国際的な経験と作業方法が活用されるため、委員として、フランスの規制機関である原子力安全機関(ASN)が諮問を行う「廃棄物管理常設グループ」(GPD)と、スイスの規制機関である原子力施設安全本部(HSK)の代表者も加えられている。

2008年6月12日に発効した廃棄物管理委員会(ESK)の規約によれば、ESKには放射性廃棄物処分小委員会(EL)、廃棄物処理・中間貯蔵小委員会(AZ)、廃止措置小委員会(ST)が設置される。また個々の専門分野及び複数の専門分野にまたがる課題等については、連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)との合意または要請に基づいて作業グループが設置されることとなっている。

廃棄物管理委員会(ESK)の規約では、連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)からの諮問に加えて、ESKが独自に委託のテーマを定めることができるとしている。また諮問手続については、ESKが作業結果としてBMUのために科学的及び技術的な勧告または見解表明を作成するとしている。この勧告や見解表明は、州当局に伝達されるとともに、原則としてESKのウェブサイトに掲載される。なお、ESKの事務局は、連邦放射線防護庁(BfS)内に専門領域における指示からは独立した立場で組織されるが、当該事務局が組織されるまでは原子炉安全委員会(RSK)の事務局が代行するとされている。

【出典】

  • 連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)2008年6月30日付プレスリリース、
    http://www.bmu.de/pressemitteilungen/aktuelle_pressemitteilungen/pm/print/41912.php
  • 廃棄物管理委員会(ESK)規約(2008年6月12日)、
    http://www.entsorgungskommission.de/537870988c07d4e04/537870989309db81e/index.htm

ドイツにおける放射性廃棄物の処分事業の実施主体である連邦放射線防護庁(BfS)は、2008年5月15日付のプレスリリースにおいて、同日にコンラッド処分場(非発熱性放射性廃棄物の地層処分場)に関する情報提供施設「INFO KONRAD(インフォ・コンラッド)」を開設したことを公表した。インフォ・コンラッドは、コンラッド処分場があるザルツギッター市のザルツギッ ター・レーベンシュテットの中心部に設置されている。

同プレスリリースによると、連邦放射線防護庁(BfS)の長官はインフォ・コンラッドの開設に際し、BfSは信頼の構築を目指しており、そのためには率直で誠実なコミュニケーションが必要であること、さらに、透明性によってのみ、BfSに対して信頼がもたらされることを述べている。

プレスリリースでは、インフォ・コンラッドの訪問者は、次の4つの主要な展示物等を見学できるとしている。

  • 模型:100分の1規模の地上施設、1,000分の1規模の処分施設・地層断面
  • ガラスギャラリー:11枚のガラス板に、放射性廃棄物の発生から最終処分までの中間貯蔵、処理、輸送といった放射性廃棄物管理の過程に関する説明や対話形式の学習
  • ホームシアター:処分場への放射性廃棄物の定置の経過・工程を示したアニメーション映像の上映などに利用
  • ドイツ全土のガンマ線線量率のリアルタイム表示:コンラッドとその他の地域の線量率が比較可能

さらに、プレスリリースでは、対話促進の目的などのインフォ・コンラッドにおける情報提供に関して、次の点も示されている。

  • 関心を有する市民が意見を伝えることができる投書箱の設置
  • インターネット上(www.endlager-konrad.de)における市民フォーラムの開設
  • 職員による、電子メール、インターネット、電話での質問への対応
  • 将来的に、鉱山内の見学の予約受け付け
  • 学生・生徒の鉱山内の体験が可能

なお、コンラッド処分場については、2007年4月に原子力法による建設・操業の計画確定決議(閉鎖も含む)の法的効力が確定しており 、また2008年1月には鉱山法による処分場建設の主操業計画が許可されている

【出典】

  • 連邦放射線防護庁(BfS)、2008年5月15日付プレスリリース(http://www.bfs.de/de/bfs/presse/pr08 /pr0809.html)

2008年1月17日付の連邦放射線防護庁(BfS)プレスリリースにおいて、コンラッド処分場(非発熱性放射性廃棄物の地層処分場)建設のためのBfSの主操業計画がニーダーザクセン州鉱業・エネルギー・地質庁により許可されたことが公表された。これによって、コンラッド鉱山を低中レベル放射性廃棄物処分場へ転換するための改造が可能となった。

同プレスリリースによると、この主操業計画は、連邦鉱山法の規定に基づき事業の実施主体である連邦放射線防護庁(BfS)が2007年10月16日に申請していたものである。この計画が許可されたことにより、コンラッド鉱山を改造して放射性廃棄物処分場とするために必要な鉱山作業及び建設作業を実施することが可能となった。実施可能となった作業としては、最終処分場の操業開始後に最初の廃棄物搬入エリアとなる第一定置エリアの坑内の掘削などが挙げられる。また、最終処分場としての利用とは関係しないが、建設作業における安全確保のための立坑の搬送装置の改良も予定されている。主操業計画は、2013年末までのコンラッド鉱山を最終処分場とするための改造及び最終処分場操業準備にわたる全期間に適用されることとなっている。

また同プレスリリースによれば、連邦放射線防護庁(BfS)は、建設開始までに2007年から開始した一連の準備作業を終了しておく必要がある。この約2年間に及ぶ準備作業を通じて、必要なインフラ整備や建設作業の前提条件の整備が必要とされている。その後の立坑施設の改造には約4年かかることが見込まれている。

コンラッド処分場の建設・操業に向けた法的手続について、原子力法及び連邦鉱山法に基づく手続が必要となる。原子力法に基づく計画確定手続については、2002年5月にニーダーザクセン州環境省により処分場の建設・操業・閉鎖に関する計画確定が決議された。その後、この決議に対する異議申し立てに関する裁判が実施された結果、2007年4月に計画確定決議が法的に有効となった 。ただし、この計画確定決議では、鉱山法で要求される枠組み操業計画のみが許可され、鉱山法で要求される主操業計画の許可は含まれていなかった。今回鉱山法に基づく主操業計画が許可されたことにより、原子力法に基づく計画確定決議に含まれなかった作業の実施が可能となった。

【出典】

  • 連邦放射線防護庁(BfS)、2008年1月17日付プレスリリース(http://www.bfs.de/de/bfs/presse/pr08/pr0801.html)
  • 「非発熱固体放射性廃棄物もしくは固型化した放射性廃棄物を最終処分するための施設として、コンラッド鉱山(ザルツギッター)を設置及び操業するための2002年5月22日付計画確定決議(Planfeststellungsbeschluss für die Errichtung und den Betrieb des Bergwerkes Konrad in Salzgitter als Anlage zur Endlagerung fester oder verfestigter radioaktiver Abfälle mit vernachlässigbarer Wärmeentwicklung vom 22 Mai 2002)」

【2009年7月28日追記】

連邦放射線防護庁(BfS)は、2009年7月23日にウェブサイトにおいてコンラッド処分場の建設準備作業の進捗状況について報じ、処分場の操業開始の準備が整う時期が当初の予定である2013年から2014年となる見込みであることを明らかにした。同ウェブサイトでは、その理由として、直下に処分場が建設されるシャフト2の改造作業が重要な意味を持つものであり、工事請負企業選定のための入札手続を新たに行うことから、処分場建設のスケジュールの見直しが必要になることを挙げている。なお、入札手続は、BfSから処分場に係る研究・建設・操業に関する委託を受けているドイツ廃棄物処分施設建設・運転会社(DBE社)が行う。

注)コンラッド処分場には2本の立坑があり、「シャフト1」は建設資材・人員輸送用のもの、「シャフト2」は直下に処分場を建設するためのものとなっている。

【追記部出典】

  • 連邦放射線防護庁(BfS)、コンラッド処分場に関するウェブサイト、2009年7月23日
    http://www.endlager-konrad.de/cln_108/nn_1072862/sid_2ABA8852479E404B67A10DF13B46D761/nsc_true/DE/Aktuelles/Artikel/neue_20vergabe_20arbeiten_20konrad.html

【2010年5月19日追記】

連邦放射線防護庁(BfS)は、2010年3月8日時点での状況として、コンラッド鉱山の立坑を非発熱性放射性廃棄物の地層処分場に改造するための費用の見積りが約16億ユーロになることを公表した。

BfSによれば、この費用の見積りは、同庁が、コンラッド処分場の建設を委託している「ドイツ廃棄物処分施設建設・運転会社」(DBE)の協力を得て、初めて行った詳細な見積り作業の結果として示されたものとしている。なお、1980~90年代に行われた費用の概算見積りでは、9億ユーロ程度であったとしており、今回の見積額が大幅に増加した理由として以下に示す当時の状況との違いを示している。

  • 同鉱山での調査活動等に要する費用の増大
  • 2007年に法的に有効となった計画確定決議 の付帯条項を遵守する上で必要となる費用の追加
  • 現在の法的規制要件の遵守に応じた費用の追加
  • 既存施設の経年劣化への対応や物価及び税率の上昇など

また、同処分場に係る調査活動及び計画策定作業のために、2007年末までに9億4,500万ユーロが投じられたとしている。

【追記部出典】

  • 連邦放射線防護庁(BfS)、コンラッド処分場に関するウェブサイト、
    http://www.endlager-konrad.de/cln_153/nn_1072978/DE/Themen/Kosten/artikel.html

2007年4月3日付の連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)プレスリリースによると、コンラッド処分場(非発熱性放射性廃棄物の地層処分場)に関するニーダーザクセン州環境省の計画確定の決議に対する、地方自治体等からの異議申し立てを却下する決定が同日に下され、コンラッド処分場の計画確定決議が法的効力を持つこととなった。また、同プレスリリースにおいて、この決定を受けた連邦環境・自然保護・原子炉安全大臣(以下、環境大臣)の声明が公表された。

コンラッド処分場については、1982年に当時の実施主体であった連邦物理・技術研究所(PTB)により計画確定手続の申請が開始され、2002年5月には計画確定決議が行われたものの、地元自治体や住民より異議申し立てが出されていた。この異議申し立ては、2006年3月8日にリューネベルク上級行政裁判所により却下されたが、その際、原告に上告する権利が認められなかったことに対し、新たな異議申し立てが出されていた。同プレスリリースによると、ライプチヒ連邦行政裁判所において、上告の権利が認められなかったことに対する異議申し立てが却下され、これによりコンラッド処分場の計画確定決議に対する地方自治体等の異議申し立てを却下する判決が確定したことになる。

同プレスリリースに掲載された環境大臣の声明によると、本判決によりコンラッド処分場に関する行政法上の係争が終結し、計画確定決議に対する異議申し立てが最終的に全て棄却されたことになる。環境大臣は、「今後、連邦政府が、コンラッドを最終処分場へと変更するために準備する義務を負うこととなった」と述べている。また、同大臣は、ゴアレーベン・プロジェクト1 に関して、「コンラッドに関する本決定がゴアレーベン・プロジェクトについての検討に影響を与えることはない」とも述べている。さらに、「ゴアレーベン・サイトの場合、長期的な安全性が実証されていない。したがって、現在、我々は、ゴアレーベンの代替サイトがないかを調査する必要があると考えている。これは、国際的な基準に照らしても妥当な措置である」と言及している。

【出典】

  • 連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)、2007年4月3日付プレスリリース
    (http://www.bmu.de/pressemitteilungen/pressemitteilungen_ab_22112005/pm/ 39106.php)

【2009年12月2日追記】

連邦放射線防護庁(BfS)は、2009年11月26日付のプレスリリースにおいて、憲法判断を行う連邦憲法裁判所が、コンラッド処分場に関する2002年5月のニーダーザクセン州環境省の計画確定決議に対する憲法異議申立を受理しなかったことを公表した。これにより、今後、ドイツ国内では、計画確定決議に対する異議申立ができなくなる。なお、2007年に、ライプチヒ連邦行政裁判所によって、計画確定決議に対する異議申立の却下の判決が下され、コンラッド鉱山を処分場にするための準備作業が開始されている。

  • 連邦放射線防護庁(BfS)、2009年11月26日付プレスリリース
    http://www.bfs.de/de/endlager/publika/verfassungsbeschwerde_konrad.de

  1. ゴアレーベン・サイトでは、発熱性放射性廃棄物の処分場の候補サイトとして調査が行われていたが、1998年に成立した連立政権の原子力政策見直しの一環として、2000年10月から新たな探査活動は中断している。 []

2006年3月8日付の連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)プレスリリースによると、非発熱性放射性廃棄物1 用の地層処分場であるコンラッド処分場について、ニーダーザクセン州環境省の計画確定の決議(詳しくは こちら)に対する地方自治体や住民の異議申し立てをリューネベルク上級行政裁判所が2006年3月8日に却下したことを受け、連邦環境・自然保護・原子炉安全大臣(以下、環境大臣)の声明が公表された。

なお、コンラッド旧鉄鉱山は1976年より適合性調査が開始され、1982年には当時の実施主体であった連邦物理・技術研究所(PTB)により計画確定手続の申請が開始された。コンラッド処分場の操業は、2001年6月に署名された連邦政府と電力会社の協定において、裁判所への異議申し立ての判決が下るまで開始できないと合意されており、2002年5月に計画確定手続きが決議されたものの異議申し立てがあったため、この計画確定決議がこれまで法的に有効ではなかった。この決議が法的に有効となると、コンラッド処分場は米国の廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)に次ぐ世界で2番目の地層処分場となる。

判決では、コンラッド処分場の計画確定決議が法的な要件を十分に満たしていると判断され、地方自治体や住民の異議申し立てが却下されている。原告は、この判決そのものに対する上告は認められていないが、上級行政裁判所が上告を認めなかったことに対する異議申し立ての権利を有する。原告がこの権利を行使した場合、この異議申し立てに対する連邦裁判所の決定後に初めてコンラッド最終処分場プロジェクトに対する決定が法的に確定することとなる。

声明の冒頭で、社会民主党(SPD)に所属する環境大臣は、以前からコンラッド処分場プロジェクトに反対の立場であったが、20年以上に及ぶこのプロジェクトの「相続人」となり、同時にコンラッド処分場の建設申請を提出し、非発熱性放射性廃棄物の安全な最終処分の全ての問題において、このプロジェクトが適切と考える当局の上官となっていると述べている。引き続き、環境大臣は今後のコンラッド処分場プロジェクトについて次のような見解を示している。

コンラッド処分場に関する連邦行政裁判所の手続きの後、決議が法的に確定される場合(上告についての判決毎に12カ月から18カ月の期間が必要となる見込み)、当初の計画の準備及び調整に5年から6年の期間が必要となると見込まれる。また、計画確定手続が20年以上前に開始され、放射性廃棄物処分を取り巻く状況が変化したことから、コンラッド処分場の経済性に関するこれまでの計算を再検討し、廃棄物発生者であるエネルギー関連企業と協議する必要性がある。このような背景から、コンラッド処分場に対して法的に確定した判決が下されるまでの時間を利用し、ドイツにおける一般的な最終処分場概念を開発し、この概念に基づきコンラッド処分場における最終処分方法を評価することは有意義なことであろう。

環境大臣は次のような姿勢でこの概念を作成する作業を指導することになると述べている。

  • 国が責任を負う:ドイツの放射性廃棄物は国内で最終処分する必要があり、安全基準の低いことも考えられる他の国々に輸出することはできない。
  • 現世代で責任を負う:原子力を利用した世代が、廃棄物を最終処分する必要がある。
  • 安全性を最優先する:最終処分の際には、安全性が最優先される。このため、全ての放射性廃棄物が地層処分場に処分されることになる。
  • 透明性及び追跡可能性を確保する:このような最終処分場に関するコンセンサスのもとで、透明性が高く、追跡可能な手続きを実現することが不可欠である。

【出典】

  • 連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)、2006年3月8日付プレスリリース
    (http://www.bmu.de/pressemitteilungen/pressemitteilungen_ab_22112005/pm/36756.php)
  • 連邦エネルギー庁(BfS)、 「コンラッド鉱山 非発熱性放射性廃棄物を対象としたドイツの計画処分場」 (1990年)
  • BMU、「放射性廃棄物等安全条約第2報告書」
    (http://www.bmu.de/files/english/nuclear_safety/application/pdf/2nationaler_bericht_atomenergie_en.pdf)
  • DBE社ウェブサイト、http://www.dbe.de/index.htm

  1. ドイツにおける放射性廃棄物は、処分時に地層への熱影響を考慮しなければならない発熱性放射性廃棄物と、熱の影響を無視できる非発熱性放射性廃棄物とに大きく区分され、ドイツではこの区分毎に地層処分場が建設される計画である。なお、ガラス固化体や使用済燃料は発熱性放射性廃棄物に区分される。 []

連邦放射線防護庁(BfS)は、2005年11月5日付のプレスリリースにおいて、最終処分の安全上重要で体系的・概念的な検討事項についての包括的な調査プログラム の最終報告書「母岩の比較-連邦放射線防護庁の総括報告書」を公表したことを示すとともに、ドイツでは特段に優れた母岩は存在せず、最適な処分場サイトは個々のサイトの比較で決定すべきことをBfSの主要な結論として示した。さらに同プレスリリースには、この報告書が連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)に提出されたことも記されている。

プレスリリースは、本調査プログラムの経緯について概略を示した上で、この調査は具体的な最終処分場サイトや岩塩の適格性に関する検討ではなく、ドイツにおいて最終処分が可能なすべての地層について考察を行ったものであるとしている。 また、概念的な問題と安全・技術面での問題に対する科学的な回答の限界と可能性がどこにあるのか、どのような研究が必要であるか、どのような規制面での決定が下されるのかという点は、今後明らかになるとしている。 さらに、個別課題(回収可能性と長期安全性など)の検討の結果、様々な安全技術的な側面に関する要件が、相互に依存しており部分的に対立するものであることが明らかになったとしている。

同プレスリリースによると、最終報告書では、次の4点が結論として挙げられている。

1.特段に優れた母岩は未確認

ドイツでは、母岩候補の地層として岩塩、粘土質岩、花崗岩が挙げられているが、サイトを特定しない母岩の比較の結果、基本的に最終処分場の安全性がどんな場合でも最も高くなると考えられる母岩は存在しないことが明らかとなった。

2.岩種の有利/不利は、個別サイトの比較においてのみ確認可能

母岩の状況は局所的な変動が大きいこともあるため、最終処分場サイトに関するサイトごとの安全評価を実施する前に、個別のサイトに関する具体的な比較を実施する必要がある。

3.最終処分に伴う防護目標に関する規制が必要

立証を行う必要のある期間、人間及び環境の防護目標、いわゆる確率論的な安全評価の結果の分析、放射性物質の安全な閉じ込めのための要件、多重バリア概念を構成する個々のバリアに関する基準値などの特定の問題については、あらかじめ規則を設定するか、規制内容を決定しておく必要がある。さらに、意図しない人間の侵入を取り扱うレファレンス・シナリオや廃棄物の回収を行うかどうかも決定しておく必要がある。

4.サイト固有の安全評価についての研究が必要

放射性廃棄物の最終処分のための将来の活動の重点は、サイトに固有の安全評価に置かれる必要があり、この安全評価では、様々なサイトの調査、サイトの比較、最終処分場の計画策定に関する多様な作業を、並行して、反復的なプロセスとして実施する必要がある。

【出典】

  • 連邦放射線防護庁(BfS)、2005年11月5日付プレスリリース
    http://www.bfs.de/bfs/presse/pr05/pr0534.html
  • 連邦放射線防護庁(BfS)、「母岩の比較-連邦放射線防護庁の総括報告書」
    http://www.bfs.de/www/endlager/publikationen/Synthesebericht_Endfassung.pdf

ドイツ連邦放射線防護庁(BfS)は2005年9月28日付プレスリリースにおいて、地層処分の安全上重要で体系的・概念的な12の検討事項に対して、第三者機関により取りまとめられた報告書が公表され、これらの報告書をピアレビュー1 するワークショップが行われたことを公表した。BfSはワークショップの成果と第三者機関の報告書の内容をまとめた要約報告書を作成し、年末には公開する予定であるとしている。

同プレスリリースによると、上記の一連の作業の出発点となったのはゴアレーベンにおける新たな探査活動の凍結を決めた連邦政府と電力会社の協定であり、岩塩ドームの最終処分のための母岩としての適性のみならず、ドイツ全土で考え得る岩種についての、安全上重要で体系的・概念的な12の検討事項が設定された。これらの問題の検討は、BfSによってドイツ内外の企業や研究所などのさまざまな第三者機関に委託され、その成果が今回公表された報告書である。なお、これらの報告書の結論は概念的なものであり、具体的な最終処分場のサイト選定には関るものではないとされている。

プレスリリースによると、公表された第三者機関の報告書は、結論の正確性を期すため専門家によるピアレビューを受け、専門知識のある複数の人員で構成されたグループによって検討が加えられたとされている。BfSは、最終処分の安全技術に関する検討事項を討議するために約80人の学者や専門家が参加した今回のワークショップの成果、並びに今回公表された検討事項に関する報告書において記述された成果を、「岩種の比較-総括」と題した報告書に取り入れ年末に公開する予定であるとしている。

なお、プレスリリースでは、特に重要な意味を持つ問題点として、次の6点が示されている。

  • 諸外国における知見を背景とした、粘土質岩や花崗岩等の岩種と比べた場合の、岩塩の母岩としての適性
  • 放射性廃棄物の回収可能性
  • 廃棄物の腐食と分解による、高密度な岩塩内におけるガス発生のコントロールの可能性
  • 人工バリアと天然バリアの役割
  • 核分裂物質の臨界防止
  • 意図的ではない処分場への人間侵入

また、前述の12の各検討課題に対しBfSのウェブサイトに公表された報告書の表題は次の通りである。

作業グループ1:処分の実現可能性の実証

  • 「放射性廃棄物の最終処分のためのさまざまな地質構造や岩種の天然の隔離能力、及び処分の実現可能性の時間軸の規定」
  • 「モデル計算」
  • 「自然物と人工物の比較によるプロセス志向的な評価と、放射性廃棄物の最終処分施設のための安全評価における信頼を構築する要素としての評価」
  • 「放射性廃棄物の最終処分の長期安全性の評価のための安全性指標」

作業グループ2:個別の観点

  • 「放射性廃棄物の最終処分におけるガス発生メカニズム、及びそれによる最終処分場の安全性に関連した影響の調査」
  • 「地球化学的なモデル化のためのデータの選別・設定・及び評価」
  • 「さまざまな岩種の地層における使用済燃料最終処分場の操業終了後の臨界安全性調査」
  • 「あらゆる種類の放射性廃棄物における化学的有害物質の種類と量の算定、及び水管理法の防護目標の観点におけるその放出の評価」

作業グループ3:概念的な基本問題

  • 「ドイツ国内の地層に直接最終処分する際の、国際的な核物質の監視(「セーフティ・ガード」)」
  • 「放射性廃棄物の最終処分場への人間侵入及びそれと関連する長期的安全性の実証に対する影響の研究」
  • 「定置された廃棄物を処分場から回収するというオプションの可能性、及びその安全技術的な帰結の研究」
  • 「防護目標の遵守を証明する際の放射性廃棄物最終処分場の多重バリア概念の意義」

【出典】

  • 連邦放射線防護庁(BfS)、2005年9月28日付プレスリリース、 http://www.bfs.de/bfs/presse/pr05/pr0532.html
  • BfSウェブサイト、 http://www.bfs.de/endlager/publikationen/Einzelfragen_Endlagerung.html

  1. 専門家間での評価 []

ドイツの連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)は、2005年6月23日のプレスリリースにおいて、放射性廃棄物最終処分場のサイト選定の手続きおよび管轄などについて規定する法案を策定したことを発表し、同省のウェブサイトにおいて法案および政令案の全文、理由書などの関連資料を公開した。ただし、連邦議会の現在の議会期は期間を満了せずに終了1 する見込みのため、連邦議会への法案の提出はできないとしている。ドイツでは、サイト選定手続委員会(AkEnd)による2002年末の勧告を受けて、公開の場での協議を経た後にサイト選定手続きを法的拘束力ある形で決定する予定が示されていた

プレスリリースでは、最終処分場の検討作業は、オープンで透明な手続きとすることが連邦政府の考えであること、今回公表された法案はサイト選定手続委員会(AkEnd)の勧告に基づいたものであるとの連邦環境相の発言を伝えている。
また、サイト選定手続きに関する法案は、以下のような考え方に基づいていることが示されている。

  • あらゆる種類の放射性廃棄物の最終処分場を2030年までに操業可能とする
  • サイト選定手続きは、透明かつ追跡可能なものでなければならない
  • 発生者責任に応じた資金負担が必要であり、BMUの監督下で処分場開発を実施する主体として、主な廃棄物発生者の原子力発電事業者等から成る公法人を設置 する
  • サイト候補地および最終サイトの決定は、連邦議会が行う

なお、このプレスリリースは、「ドイツはプルトニウム利用からの撤退途上にある」と題されており、過半の部分は、現政権による原子力撤退政策の意義と野党が表明している原子力発電延長策への批判に当てられている。

【出典】

  • 連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)プレスリリース(2005年6月23日)(www.bmu.de/pressemitteilungen/pressemitteilungen_ab_01012005/pm/35675.php)
  • 「組織・サイト選定手続き法案(Gesetz zur Errichtung eines Verbands und Festlegung eines Standortauswahlverfahrens für die Endlagerung radioaktiver Abfälle 〔Verbands- und Standortauswahlgesetz – VStG〕)」(BMU、2005年6月17日版)

  1. ドイツでは連邦議会の任期は4年間と定められており、この期間は議会期、任期などと呼ばれている。前回の総選挙は2002年10月に実施されているが、2005年5月、シュレーダー首相は総選挙時期を憲法上可能な限りの早い実施時期である2005年秋に前倒すとの意向を表明している。 []

ドイツの連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)は、2005年5月4日のプレスリリースにおいて、探査活動が凍結されているゴアレーベン地下の岩塩ドームに変更を加えることを禁止する政令案が閣議決定されたことを発表した。ドイツでは、今後は放射性廃棄物最終処分施設のためのサイト選定手続きが法的に規定される予定であるが、この政令案は、立地調査確保のためにゴアレーベンの岩塩ドームが利用不能な状態にならないようにするためのものである。また、これはゴアレーベンの将来について明示的な決定をするものではなく、ゴアレーベンが今後も処分場候補地となる余地があるかないかは、最適な候補地選択のためのサイト選定手続きの結論次第であるとされている。なお、政令の制定には連邦参議院の承諾が必要とされている。

ドイツでは、ニーダーザクセン州ゴアレーベンにおいて最終処分施設建設のための調査が1970年代から行われてきたが、2000年10月1日からは新たな探査活動が凍結されていた。プレスリリースでも示されているが、この探査活動凍結などを取り決めた2000年6月14日の連邦政府と電力会社間の協定において、ゴアレーベンの岩塩ドームを現状のまま維持し、第三者の侵入から保護する義務を連邦政府が負うことになった。これを受けて、2002年4月に大幅に改正された原子力法 では、処分場立地調査地域における現状変更禁止を規定する条項が追加されている。

プレスリリースによれば、政令案は、ゴアレーベン地下の岩塩ドームのみの保護を図るものである。岩塩ドームを損傷する行為は今後すべて禁じられるが、家屋や灌漑施設の建設のようなその他の行為は政令の適用外とされている。政令案では、周辺自治体を含む地域が計画地域として指定され、地表から100mより深い場所への変更が禁止される。さらに特別に指定された3つの区域については、50mより深い部分での変更も禁止される。変更が禁止される期間は、政令の公布から10年間とされている。
今回のゴアレーベンの岩塩ドームの現状変更禁止に関する政令については、地元および周辺自治体に政令案を提示して協議を行うことが2004年7月に発表されており、地元からの意見のいくつかが政令案に加えられたことがプレスリリースにおいて示されている。

なお、ドイツでは、2002年12月のサイト選定手続委員会(AkEnd)の勧告 を受けて、2003年から約2年間にわたって公開の場で議論を行った上でサイト選定手続きについて法的拘束力のある決定が下される予定が連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)から示されていたが、地元のニーダーザクセン州や電力業界の反発等もあり、具体的な動きは公表されていない。

【出典】

  • 連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)プレスリリース(Nr.108/05, 2005年5月4日) (www.bmu.de/fset1024.htm)
  • ゴアレーベン「現状変更禁止」政令案(www.bmu.de/files/atomenergie/downloads/application/pdf/gorlebenvspv.pdf)
  • 連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)ウェブサイト情報 (www.bmu.de)
  • ニーダーザクセン州環境省ウェブサイト情報 (www.mu1.niedersachsen.de)
  • ドイツ原子力産業会議(DATF)ウェブサイト情報 (www.kernenergie.net)

【2005年8月31日追記】

本政令案は2005年6月17日に連邦参議院により承諾され、2005年8月17日に発効した。

  • 連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)ウェブサイト情報(http://www.bmu.de/atomenergie/downloads/doc/35431.php)