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《ドイツ》BMUBがゴアレーベン中間貯蔵施設に代わる返還ガラス固化体の貯蔵先を提案

ドイツの連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)は、2015年6月19日のプレスリリースにおいて、使用済燃料の海外再処理に伴って発生した発熱性放射性廃棄物の高レベルガラス固化体及び中レベルガラス固化体を収納したキャスク(貯蔵・輸送容器)のうち、ドイツへの返還が完了していない26基のキャスクの貯蔵先に関する提案を示した。BMUBは、4か所の原子力発電所サイトにおいて、26基のキャスクを分散して貯蔵することを提案している。

ドイツでは原子力法の規定により、2005年7月1日以降、再処理を目的とした使用済燃料の海外輸送が禁止されているが、これ以前にフランスに5,379トン、英国に851トンの使用済燃料が輸送された。これらの使用済燃料の再処理に伴って発生した放射性廃棄物のうち、フランスからの高レベルガラス固化体の返還は2011年11月までに完了し、ゴアレーベン(ニーダ―ザクセン州)に存在する集中中間貯蔵施設において108基のキャスク(高レベルガラス固化体で3,024本)が貯蔵されている。フランスからはさらに、中レベルガラス固化体〔CSD-B〕(わが国では「低レベル放射性廃棄物ガラス固化体(CSD-B)」と呼称)を収納した5基のキャスクが返還されることになっている。また、英国からの返還は開始されておらず、再処理により発生する中低レベル放射性廃棄物については等価交換が行われるため、今後、高レベルガラス固化体を収納した21基のキャスクのみが返還される。

これらの今後返還されることになる放射性廃棄物については当初、フランスからの高レベルガラス固化体と同様に、ゴアレーベンの集中中間貯蔵施設において貯蔵することが計画されていた。しかし、2013年7月の原子力法の改正において、海外から返還されるガラス固化体については、原子力発電所サイト内外の中間貯蔵施設での貯蔵に配慮することが規定された。このため、ゴアレーベン中間貯蔵施設に代わる貯蔵先の検討が進められてきた。

プレスリリースによるとBMUBは、原子力利用に伴う負担の公平性、及び技術的、法的、政治的、また手続的な側面を考慮した結果、異なる4つの州に所在する以下の4カ所の原子力発電所サイト内の中間貯蔵施設が、返還されるガラス固化体の貯蔵先として最適であるとしている。

  • フランスから返還される中レベルガラス固化体(キャスク5基)の貯蔵先
    • フィリップスブルク原子力発電所サイト(バーデン・ビュルテンベルク州)
  • 英国から返還される高レベルガラス固化体(キャスク21基)の貯蔵先
    • ビブリス原子力発電所サイト(ヘッセン州)
    • ブロックドルフ原子力発電所サイト(シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州)
    • イザール原子力発電所サイト(バイエルン州)

プレスリリースによると、BMUBと廃棄物発生者である電気事業者4社は、今後、共同の作業グループを設置して、貯蔵先及び各貯蔵先に貯蔵する廃棄体キャスク数を決定することなどで合意したとしている。また、フランスからの返還は2017年に、英国からの返還は2018~2020年に行われることが予定されている。これらの原子力発電所サイト内の中間貯蔵施設において返還されるガラス固化体を貯蔵するためには、別途、連邦放射線防護庁(BfS)から許可を取得する必要がある。

なお、フランスからは、固型物収納体〔CSD-C〕1 も返還されるが、この廃棄物については、アーハウス集中中間貯蔵施設(ノルトラインヴェストファーレン州)における貯蔵が計画されている。

 

【出典】

  1. 燃料棒のせん断片(ハル)等を圧縮して高レベルガラス固化体と同型の容器に収納したもの []

(post by tokushima.hideyuki , last modified: 2023-10-11 )