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《ドイツ》連邦政府がバックエンド資金確保のあり方を検討する委員会の設置を決定

ドイツ連邦政府は2015年10月14日に、原子力発電からの撤退 1 に関連して、原子力発電所の廃止措置及び放射性廃棄物管理のための資金(以下「バックエンド資金」という)について、資金確保のあり方を検討する「脱原子力に係る資金確保に関する検討委員会」(以下「検討委員会」という)の設置を決定した。検討委員会は、原子力発電事業者がバックエンド資金に係る費用負担の責任を果たすため、十分なバックエンド資金を長期的に維持できるような資金確保方策を検討するとされている。

脱原子力に係る資金確保に関する検討委員会

2015年10月14日付で設置された検討委員会は、3名の共同委員長及び委員16名の合計19名で構成される。

共同委員長は以下の3名である。

  • マティアス・プラツェク(元ブランデンブルク州首相、社会民主党(SPD))
  • オーレ・フォン・ボイスト(元ハンブルク市長、キリスト教民主同盟(CDU))
  • ユルゲン・トリッティン(元連邦環境大臣、緑の党)

16名の委員には、州首相経験者を含む政治家、連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)の原子力安全局長、会計監査、法律の専門家の他、経済団体、環境団体、労働組合、大学、宗教団体などに所属する委員が含まれている。

ドイツには現在、バックエンド資金確保に関して公的な基金制度などはなく、原子力発電事業者が独自に引当金として資金確保を行っている。しかし、資金確保のあり方については、「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」に基づき設置された「高レベル放射性廃棄物処分委員会」の市民対話集会などにおいても、基金や財団を設置して管理すべきとの意見が出されていた

検討委員会は2016年1月までに検討結果を勧告にとりまとめ、「原子力発電に関する政務次官委員会」に提出する。同政務次官委員会は、今回の閣議決定によって検討委員会と同時に設置された関係省庁の次官級組織であり、連邦経済エネルギー省(BMWi)、BMUB、連邦財務省(BMF)、連邦運輸・デジタルインフラ省(BMVI)の次官や連邦内閣官房長官等で構成され、検討委員会の活動に協力すると共に、検討委員会から提出された勧告のレビューを行う。

原子力発電事業者のバックエンド資金に係る費用負担能力に関するストレステスト

検討委員会の設置に先立ち、連邦経済エネルギー省(BMWi)は2015年10月10日に、原子力発電事業者のバックエンド資金に係る費用負担能力に関するストレステストの結果を公表した。本ストレステストは、BMWiが会計監査法人に委託して実施したものであり、原子力発電事業者を傘下に持つ事業者がバックエンド資金に係る費用負担に耐えうるかの観点で財務状況を評価したものである。

本ストレステストでは、原子力発電所の廃止措置及び放射性廃棄物管理費用を含むバックエンド費用見積りの総額は、475億2,700万ユーロ(約6兆4,637億円、2014年価格)と算出されている。また、バックエンド費用見積りの内訳が、5種類の費用区分で示されている。費用区分ごとの見積額を下表に示す。

ドイツ原子力発電所の廃止措置及び放射性廃棄物管理費用を含むバックエンド費用見積り(2014年価格)

廃止措置と解体

197億1,900万ユーロ(約2兆6,818億円)

キャスク・輸送・運転廃棄物 99億1,500万ユーロ(約1兆3,480億円)
中間貯蔵 58億2,300万ユーロ(約7,919億円)
コンラッド処分場 37億5,000万ユーロ(約5,100億円)
高レベル放射性廃棄物処分場 83億2,100万ユーロ(約1兆1,320億円)
総額 475億2,700万ユーロ(約6兆4,637億円)

 

バックエンド費用見積り総額を基に、金利、インフレ率などのパラメータを変動させたシナリオにより、事業者によって確保されるべきバックエンド費用総額が計算されており、その幅を約299億ユーロ(約4兆700億円)から約774億ユーロ(約10兆5,000億円)と評価している。これに対し、2015年8月現在でのバックエンド資金として利用可能な対象事業者の資産総額は約830億ユーロ(約11兆3,000億円)であり、うち約383億ユーロ(約5兆2,100億円)が引当金として確保されている。このため、バックエンド費用が最も高額となるシナリオの場合でも、原子力発電事業者を傘下に持つ事業者はバックエンド資金に係る費用負担に対応できるとの評価結果を示している。

なお、本ストレステストの結果は、検討委員会に資料として提示されることとなっている。

 

【出典】


  1. ドイツ政府は2022年末までにすべての原子力発電所の営業運転を停止することを決定している。[]

(post by tokushima.hideyuki , last modified: 2023-10-11 )