Top » 海外情報ニュースフラッシュ(全記事表示モード)

スイス

2005年4月28日に、放射性廃棄物管理委員会(KNE)1 の「NAGRAのチュルヒャー・ヴァインラントにおけるオパリナス粘土プロジェクト-地球科学的なデータの基礎および工学的な実現可能性についての判断」と題する評価報告書が原子力施設安全本部(HSK)のウェブサイト上に公開された。同報告書は、放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が提出した「処分の実現可能性実証プロジェクト」報告書 に対して、KNEが地質学および工学的側面における評価をまとめたものである。この中で、KNEはチュルヒャー・ヴァインラントのオパリナス粘土層が、使用済燃料、高レベル放射性廃棄物および長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分場サイトとして地質学的に適していることが実証されていると結論を下している。

KNEの評価報告書では、チュルヒャー・ヴァインラントのオパリナス粘土層について、これまでの地質学的な変遷に関する入手可能なデータによる解析および解釈の結果、今後数百万年間のうちに、地層処分場を露出させるような侵食を生じるプロセスの存在を示唆するものは無いとしている。また、NAGRAが長期的な安全評価のために用いた地質学上の仮定は、慎重に収集および解析されたデータに基づいており、地質に関するデータを最新の技術を用いて適切にまた正しく解釈していると評価している。

また、KNEは同報告書の中で、深さ650mのオパリナス粘土層における処分場建設に関する工学的な概念の評価も行い、技術的に実現可能であるという結論を下している。なお、処分場のアクセス坑道のレイアウトや立坑の建設に関して、坑道の規模などに関するいくつかの重要な問題点や提案を示しているが、これらは処分場の実現可能性には影響しないとしている。

さらに、KNEは、評価報告書の中でNAGRAに対して、今後の調査の過程で明らかにされるべき問題点や勧告なども示している。これらの問題点の多くは、処分場の建設過程および放射性廃棄物の処分によって生じ得る熱の発生などの物理的および化学的な変化が、オパリナス粘土の特性に与える影響に関するものである。KNEは、これらの問題に関しては、将来処分場サイトに設置される地下特性調査施設での原位置試験によって解決されるべきであるという見解を示している。

一方、スイスの連邦エネルギー庁(BFE)は、2005年4月28日付のニュースリリースで、放射性廃棄物管理ワーキング・グループ(AGNEB)2 の年次報告書が公表されたことを発表した。同ニュースリリースによれば、このAGNEBの年次報告書には、NAGRAの「処分の実現可能性実証プロジェクト」に対する政府関係機関の評価に関する進捗などがまとめられており、評価結果の一つとして今回公表されたKNEによる評価報告書の要旨も示されているとしている。またAGNEBの年次報告書には、2004年4月に公表された経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)の国際レビューチームによる「処分の実現可能性実証プロジェクト」に対する評価報告書において、「NAGRAの安全評価は現行の国際的な勧告および慣行に適合しており、チュルヒャー・ヴァインラントでのオパリナス粘土層の好ましい特性と人工バリアシステムの安全性に関する科学的な根拠が提示されている」と評価されたことも言及されているとしている。

なお、同ニュースリリースでは、現在、HSKおよび原子力施設安全委員会(KSA)による「処分の実現可能性プロジェクト」報告書の評価も進められており、こうした結果は、2005年秋には公表される予定であるとしている。また、これらの報告書および専門家の意見を基に、連邦評議会が2006年中には今後の放射性廃棄物管理の進め方について決定を下す予定であるとしている

【出典】

  • 連邦エネルギー庁(BFE)2005年4月28日付プレスリリース http://www.entsorgungsnachweis.ch/news.php?userhash=&lID=1&newsID=26
  • 放射性廃棄物管理委員会(KNE)「NAGRAのチュルヒャー・ヴァインラントにおけるオパリナス粘土プロジェクト-地球科学的なデータの基礎および工学的な実現可能性についての判断」2005年2月 http://www.hsk.psi.ch/deutsch/files/pdf/gus_28_04_05_d.pdf

  1. 放射性廃棄物管理委員会(KNE):連邦地質学専門委員会(EGK)の小委員会として連邦環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)によって設置され、放射性廃棄物処分に関連した地球科学的な問題に関してHSKに助言を与える機関。 []
  2. 放射性廃棄物管理ワーキング・グループ(AGNEB):1978年に連邦評議会によって設置され、BFE、HSK、パウル・シェラー研究所(PSI)などの代表で構成されており、連邦評議会およびUVEKに代わり、スイスの放射性廃棄物管理に関する専門家の見解などをまとめる役割を有す。 []

スイスの連邦環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)は、2004年12月10日付のプレスリリースで、連邦評議会が新しい原子力令(KEV)を制定したことを発表した。この新原子力令は、連邦会議が可決して公布されていた新原子力法(KEG)(詳しくは こちらを参照)の施行規定を定めた法規命令であり、原子力施設に対する重要な安全要件などもこれによって定められることになる。この新原子力令は新原子力法と共に、2005年2月1日に施行されることも同プレスリリースで示されている。

UVEKのプレスリリースなどによると、この新原子力令の草案は意見募集のために2004年5月12日から8月13日までの間公開され、この期間中に合計68件の意見が提出されていた。今回制定された新原子力令では、草案に含まれる規定はそのまま採用しつつ、寄せられた多くの批判を考慮した修正が加えられているとしている。
これらの修正のうち重要な変更点に関し、地層処分については「深地層処分特別計画(詳細は こちら)」について規定した新原子力令第5条が追加されたことが述べられている。

また、UVEKのプレスリリースによると、連邦評議会が2004年8月18日に採択した保障措置令も新原子力法を法的根拠としているために、新原子力法・令と同時に施行されることとなっている。この保障措置令は、1978年にスイスと国際原子力機関(IAEA)との間で締結された保障措置協定と2000年の付属議定書の合意を具体化したものである。また、新原子力法の施行に伴って整備されるその他の法規命令として、原子力施設の作業員についての要件等に関する法規命令が、2005年半ばには意見募集のために公表される予定であるとしている。

なお、新原子力法は、2003年3月21日に連邦会議で可決され 、2003年5月27日に公布されている 。施行に当たっては、公布後100日目までに5万人以上の署名が集まれば、施行の是非が国民投票にかけられる制度が適用されることになっていたが、国民投票は実施されず、そのまま施行されることになっていた。2005年2月1日に新原子力法が施行されることにより、これまでの「原子力の平和利用に関する法律(原子力法、1959年)」および「原子力法に関する連邦決議(1978年)」が廃止されるほか、新原子力令によって、「原子力分野の定義と許認可に関する法規命令(原子力令、1984年)」、「最終処分場設置の準備行為に関する法規命令(1989年)」など4つの法規命令が廃止され、「原子力施設安全委員会(KSA)に関する法規命令(1983年)」など4つの法規命令が変更されることになる。

【出典】

  • 環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)2004年12月10日付プレスリリース
    http://www.uvek.admin.ch/dokumentation/medienmitteilungen/artikel/20041210/02124/index.html?lang=de
  • エネルギー庁(BfE)ウェブサイト、2004年12月21日
    http://www.energie-schweiz.ch/internet/03362/index.html?lang=de
  • 新原子力令 Kernenergieverordnung (KEV)
    http://www.uvek.admin.ch/imperia/md/content/gs_uvek2/d/energie/div/23.pdf
  • スイスの連邦環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)は、2004年9月28日、プレスリリースにおいて、環境・運輸・エネルギー・通信相が、高レベル放射性廃棄物処分の研究開発及びサイト選定実施主体である放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)との話し合いの場で、これまで調査が行われてきたチュルヒャー・ヴァインラント地域の代替案となる高レベル放射性廃棄物処分場の候補地域を提示するよう要請したことを公表した。

    UVEKのプレスリリースでは、次のように述べられている。

    2002年末に、NAGRAにより、「処分の実現可能性実証プロジェクト」報告書が連邦評議会に提出され、チュルヒャー・ヴァインラントのオパリナス粘土層における高レベル放射性廃棄物処分が実現可能であることが証明された。しかし、これは処分場サイトの決定を意味するものではなく、サイト選定は2010年以降に行われることになっている。UVEKは、処分場候補地となり得る他の地域とチュルヒャー・ヴァインラントの比較の必要性を指摘し、環境・運輸・エネルギー・通信相は、複数候補地域の比較調査の実施に関する提案を連邦評議会に提出する方針である。さらに、サイト選定のために、複数の岩種を検討対象とし続けるか、あるいはオパリナス粘土層のある地域に焦点を絞るのかについての決定は、安全当局による「処分の実現可能性実証プロジェクト」報告書の評価の完了と2005年に予定されている公開協議手続きの後に下されることになっている。

    さらにこのプレスリリースによると、NAGRAは、処分場計画の概要承認1 (詳細は こちら)申請の際に、処分場サイトの選定が適切な手続きによるものであることを証明しなければならず、そのための判断基準は、都市計画法に基づく連邦政府の特別計画(詳細はこちら)「深地層処分場」の枠組みの中で策定され、その検討作業には連邦機関や州、隣国も参加する予定である。現在、連邦エネルギー庁(BFE)がこの基準策定を進めており、関心のある団体や一般市民にも早い段階から情報提供がなされ、適切な形で参加できることが示されている。(BFEは、UVEKの下で、原子力法などエネルギー関連の法律制定の準備および政策を実行する連邦機関である。)

    一方、NAGRAは、2004年9月28日付けのプレスリリースの中で、連邦評議会が高レベル放射性廃棄物処分場の立地の際に安全性を最重要視する姿勢を歓迎する旨を表明した。また、2005年前半にチュルヒャー・ヴァインラントの代替候補地域を提示し、安全基準に基づいて比較する報告書を提出するとしている。NAGRAは、特別計画「深地層処分場」において、処分場立地のためのプロセスが確定される予定であり、その際に、州や隣国も関与することができるという方針に支持を表明している。

    【出典】

    • 放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)9月28日付プレスリリースhttp://www.nagra.ch/deutsch/aktuell/f_archiv.htm
    • 環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)9月28日付プレスリリース http://www.uvek.admin.ch/dokumentation/ medienmitteilungen/artikel/ 20040928/02032/index.html?lang=de

    1. 概要承認とは、立地場所および処分プロジェクトの基本的事項に対する連邦評議会の許可のことを指す。処分プロジェクトの基本的事項としては、処分廃棄物の分類、処分容量ならびに主要構造物のおおよその規模や位置などが挙げられる【原子力法に関する連邦決議】。 []

    放射性廃棄物管理共同組合(Nagra)は2004年3月16日、世論調査会社への委託により、スイス国内で放射性廃棄物の処分に関するアンケート調査を行ったことをプレスリリースで公表した。今回の調査は、2003年11月17日から12月5日にかけて、ドイツ語およびフランス語を話すスイス人1000人以上を対象にしたものであり、放射性廃棄物の処分概念、技術および時間的な面での実現可能性について、スイス国民の考え方を明らかにすることを目的としたものである。調査の結果は以下の通りである。

    可能な限り早期の処理を要望

    この調査における回答者の83%が、地下深部の地層中に建設された処分施設における放射性廃棄物の安全な処分ができるだけ早い時期に実施されることを望んでいるほか、地表における長期間にわたる中間貯蔵には明確に反対する姿勢を示した。現在すべての放射性廃棄物は、原子力発電所の中間貯蔵建屋、ヴュレンリンゲン中間貯蔵施設(ZWILAG)及びヴュレンリンゲンにある連邦中間貯蔵施設(BZL)において貯蔵されている。

    国内における廃棄物処分義務には高い評価

    回答した4人のうち3人は、放射性廃棄物をスイス国内の地下深部の地層中に建設された処分施設に処分することを望んでいる。スイスの放射性廃棄物を外国において処分するオプションを支持したのは、わずか17%であった。 

    スイスにおける処分は技術的に可能

    回答したスイス国民の61%は、スイスの科学者が安全な処分技術を実現できる点について信頼感を抱いている。また回答者の86%は、処分施設のサイト選定が何よりもまず安全性に対する配慮に基づいて行われるべきだという見解を示した。住民の政治的な受け入れまたは地域経済への影響がサイト選定において決定的な役割を果たす可能性があるとしたのは、回答者の13%にすぎなかった。 

    スイスでは、高レベルおよび長寿命の中レベル放射性廃棄物については、「処分の実現可能性実証プロジェクト」の報告書が2002年末にNagraから政府に提出されている。同報告書に対する国内外の評価の実施後、2006年頃に連邦評議会が、国内での処分オプションに関する将来の調査をチュルヒャー・ヴァインラント地方の母岩としてのオパリナス・クレイに集中させることを提案する同報告書に対する最終的な評価についての見解を示す予定である 。一方、低中レベル放射性廃棄物については、Nagraによって処分場サイトに選定されていたニドヴァルデン州ヴェレンベルグにおいて、同州が探査坑掘削許可を与えることについて州民投票で否決されたことにより、サイトとして断念することが決定し、実施主体であるヴェレンベルグ放射性廃棄物管理共同組合(GNW)は解散し、調査坑の埋め戻し作業も完了している というのが現状である。

    今回の調査結果を受けて、Nagraは、放射性廃棄物の持続的な処分がスイスの国境内で可能な限り速やかに実施されなければならないという判断が明確に示されており、スイス国民の過半数が、科学者が安全な処分のための方策を技術的に実現できるものと考えているほか、処分場サイトを選ぶ際には安全性への配慮が最優先されるべきだと考えていることが明らかになったと考えている。

    【出典】

    ヴェレンベルグ放射性廃棄物管理共同組合(GNW)は、2003年12月11日、ニドヴァルデン州ヴェレンベルグ・サイトにおける調査用のボーリング孔の埋め戻し作業が終了したことをプレスリリースにて発表した。プレスリリースによると、作業が行われていたサイトは、原状回復され地主に返還され、地元の自治体当局は作業が完全に終了したことに満足の意を示しているということである。作業は放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)に委託され、所轄の連邦当局および州当局が作業に立ち会っていた。以下、プレスリリースにおける要点を示す。

    低中レベル放射性廃棄物の地層処分場サイトとしてヴェレンベルグ・サイトを断念する決定は、2002年9月22日の州民投票による採決(こちらを参照)に従って下されている。サイト修復作業の実施は、技術的な理由から2003年の天候が穏やかな夏に行われた。1990年代に数百メートルの深さまで掘削されたボーリング孔には、当時より、長期間にわたる調査のために地質学的測定用の機器が設置されていた。そのため、何トンにもおよぶ測定機器類をボーリング孔から引き上げるための重機や装置が設置されて作業が行われていた。 現在では設備は解体され、ボーリング孔は特別なコンクリートで充填され、近辺の環境は元の状態、または地主との協定に基づく状態に修復されている。

    スイス連邦原子力施設安全本部(HSK)の管轄下にある監視委員会は、作業終了報告書を連邦評議会に提出した。また、技術的な作業と平行して、GNWの解散が行われた。2003年8月12日にGNWの整理清算の申請が行われ、2003年11月30日に清算終了に基づく貸借対照表が作成された。

    なお、このGNWのプレスリリースは、NAGRAのウェブサイトからもアクセス可能となっている。

    【出典】

    • ヴェレンベルグ放射性廃棄物管理共同組合(GNW)プレスリリース (http://www.gnw.ch/presse/abschluss2.html)
    • 放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA) (http://www.nagra.ch/)

    諸外国では、高レベル放射性廃棄物を含む放射性廃棄物の管理に必要な費用を賄うために様々な形で資金確保が行われている。日本を含め多くの国においては、基金制度が導入されており、費用負担責任のある電力会社等は決められた拠出金を基金に払い込む方式を取っている。ただし、基金が設けられている場合でも、基金の対象となる費用の範囲は国により異なっている。

    一方フランス、ドイツ、英国では放射性廃棄物処分に関する基金制度が設けられていないため、廃棄物発生者が、各々に将来に必要な資金を引当金として内部留保している。最近、スウェーデン・スイス・カナダが2002年度の基金の情報を公表したことを受けて、以下に基金制度の有無別に、高レベル放射性廃棄物処分に関連する各国の資金確保制度の概要と最新の基金残高または引当金額を表にまとめた。

    続きを読む…

    2003年5月27日に、スイスにおいて新原子力法が公布された。2003年3月21日に連邦議会で可決されたこの新原子力法は、去る5月18日に行われた原子力利用に関する国民発案1 が否決されたことにより公布に至った(新原子力法制定に関する詳細の情報はこちらを、原子力利用に関する国民発案の否決に関する詳細な情報は こちらを参照)。

    同法の施行に当たっては、任意の国民投票2 が適用されることが規定されているため(同法第107条)、公布後100日目に当たる2003年9月4日までに5万人以上の署名が集まれば、2004年に同法施行の是非が国民投票にかけられることとなる。

    しかし、グリーンピースのウェブサイト情報によると、スイスにおける主な環境団体は、署名運動を行わない方針を示している。放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)からの情報でも、上述の国民投票の結果により反原子力発案を国民が明確に否決したため、新原子力法施行の是非を問う国民投票を行うための動きは少なく、国民投票には至らないと見ている。

    連邦エネルギー庁(BFE)のウェブサイト情報によると、現時点における見込みとして、国民投票が行われない場合の新原子力法の施行は、以下の関連法令の制定・改正を行い、2005年1月1日には可能であろうとしている(今後の新原子力法の発効までの流れは下図を参照)。

    1. 原子力令の新規作成
    2. 放射線防護、緊急時対応、廃止措置基金、放射性廃棄物管理基金に関する政令の改正
    3. エネルギー令の改正

    新原子力法が施行されると、原子力発電事業者は、政府に対して「放射性廃棄物管理計画書」を提出しなければならない(第32条)。この計画書は、原子力発電所の閉鎖までの資金計画を含む必要がある。計画書は連邦評議会が指定する機関によるチェックと、定期的な見直しが必要とされている。なお、計画書を提出する具体的な日程は連邦評議会が決定するとされている。

    新しい原子力法の発効までのフロー図

    【出典】

    • 新原子力法(Kernenergiegesetz) 2003.3.21
    • 連邦環境・運輸・エネルギー・通信省ウェブサイト 2003年5月18日プレスリリース (http://www.uvek.admin.ch/gs_uvek/de/dokumentation/ medienmitteilungen/artikel/20030518/01404/index.html)
    • 連邦エネルギー庁(BFE)ウェブサイト (http://www.energie-schweiz.ch/bfe/de/recht/gesetzgebungbund/index/html)
    • グリーンピースのウェブサイト (http://info.greenpeace.ch/de/atom/pressreleases_atom/pr230503)
    • 放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)提供情報より

    1. 国民発案および国民投票はスイスの憲法で認められているもので、国民は憲法の全面改正または一部改正を直接請求出来る権利を有している。連邦レベルでは、憲法の全面改正または一部改正を求める国民発案が提出された後、18カ月以内に10万人の署名が集まれば国民投票にかけらることができる。成立のためには、国民および州の両方で過半数の賛成が必要となる。なお、この場合の国民投票は下記の2)で説明する「任意の国民投票」との比較において、「義務的な国民投票」と呼ばれる。 []
    2. 任意の国民投票とは、連邦法や連邦政府の決定に対して、公布後100日以内に5万人の署名が集まればその施行の是非を国民投票にかけることができるというスイス特有の制度である。 []

    スイスでは、2003年5月18日(日)に原子力利用に関する2つの国民発案に対する国民投票1 が行われ、両発案とも反対多数により否決された。

    モラトリアム・プラス:現行の原子力発電所の新規建設凍結(モラトリアム)をさらに10年間延長する。

    ・投票結果:否決【反対:58.4%、半州を含めた26州のうち24州が反対】 (投票率48.2%)

    原子力に依存しない電力:使用済燃料の再処理禁止と原子力発電所の段階的閉鎖を実施する。

    ・投票結果:否決【反対66.3%、半州を含めた26州のうち25州が反対】 (投票率48.7%)

    これらの国民発案は、憲法の一部改正を求めて、1999年に国民投票に必要な署名(18カ月以内に10万人以上)を集めて提出されており、正式に受理されていた。これに対して連邦議会は、2002年12月に連邦決議においてこれらの国民発案を拒否するよう国民に勧告していた。また、2001年2月から2003年3月までの約2年間の間、これらの国民発案に対する間接的な対案を包含して連邦政府から提出された新原子力法案が審議され、2003年3月21日に可決されている(新原子力法制定に関する詳細の情報は 既報 を参照)。

    2つの国民発案が否決されたことにより、新原子力法は、同法第107条の規定に基づき公布されることとなる。なお、スイスでは、連邦法の施行にあたっては”任意の国民投票”2 という制度が適用されるため、公布後100日以内に5万人以上の署名が集まれば法律の施行に対する国民投票が行われることとなる(今後の新原子力法の発効までの流れは下図を参照)。

    新原子力法では、高レベル放射性廃棄物処分事業に関する重要な規定として、処分場を含む原子力施設の概要承認3 (詳細はこちら)・建設・操業・閉鎖に関しては、連邦政府によってのみ許可発給されることが定められている。さらに、施設の概要承認の際には「任意の国民投票」制度が適用されることが規定されている他、建設および操業に関しては、州(および近隣自治体)が協議を行う権利を有していることが規定されている。また、使用済燃料の再処理については、現在結ばれている再処理契約が終了する2006年以降、10年間の凍結が規定されている。

    新しい原子力法の発効までのフロー図

    【出典】

    • 連邦政府ウェブサイト
      http://www.admin.ch/ch/d/pore/va/20030518/det501.html , http://www.admin.ch/ch/d/pore/va/20030518/det502.html
    • 新しい原子力法(Kernenergiegesetz) 2003.3
    • 2つのイニシアティブに対する連邦決議 http://www.admin.ch/ch/d/ff/2002/8154.pdf

    1. 国民発案および国民投票はスイスの憲法で認められているもので、国民は憲法の全面改正または一部改正を直接請求出来る権利を有している。連邦レベルでは、憲法の全面改正または一部改正を求める国民発案が提出された後、18カ月以内に10万人の署名が集まれば国民投票にかけらることができる。成立のためには、国民および州の両方で過半数の賛成が必要となる。なお、この場合の国民投票は下記の2)で説明する「任意の国民投票」との比較において、「義務的な国民投票」と呼ばれる。 []
    2. 任意の国民投票とは、連邦法や連邦政府の決定に対して、公布後100日以内に5万人の署名が集まればその施行の是非を国民投票にかけることができるというスイス特有の制度である。 []
    3. 概要承認とは、立地場所および処分プロジェクトの基本的事項に対する連邦評議会の許可のことを指す【原子力法に関する連邦決議】。 []

    スイスの放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)は、2003年4月30日に「処分の実現可能性実証プロジェクト」報告書をウェブサイト上にて一般公開した。全部で3巻、約1,200ページから成る膨大なこの報告書は、2002年12月20日にNAGRAから連邦政府に提出されていたものである(当時の速報については こちらを参照)。

    この報告書では、スイスにおいて使用済燃料、高レベル放射性廃棄物および長寿命中レベル放射性廃棄物を安全に管理することができる方法および立地可能サイトの存在が実証されている。この報告書の連邦安全当局による評価には、約2年ほどかかる見込みである。また、経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)によって構成される国際専門家グループによるピア・レビューも受けることとなっている。

    連邦エネルギー庁(BFE)によれば、今回の報告書に関する全ての資料、評価報告書および見解書は2005年に公開されることになっている。これにより、透明性が向上し、全ての利害関係者には懸念事項に対する意見を表明する機会が与えられる。その後、2006年に連邦評議会が、廃棄物管理のためのより詳細な方法を確定する予定である。

    「処分の実現可能性実証プロジェクト」報告書を構成する3巻の報告書の内容は以下の通りである。

    1.NAGRA技術レポート(NTB)02-03:立地の実証
    スイス国内において、安全工学上、処分場立地に適切な地質および水文地質学的な特性を持つサイトが1カ所以上存在するという実証報告書。
    2.NTB02-02:技術的な実現可能性の実証
    立地可能サイトにおいて処分施設を現在の技術レベルで実際に建設すること、また操業することが可能であるという実証報告書。
    3.NTB02-05:安全性の実証
    処分施設が連邦安全当局の定める長期安全性の要件(HSK-R-21)を満たすことができるという実証報告書。

    これらの報告書は、NAGRAのウェブサイト以外にも、他の技術レポートと同様に、NAGRAに直接申し込むことで入手可能である。今回の公開により、利害関係者は地質学的調査、構造工学的概念および安全評価に基づいた情報を入手することができるとともに、報告書に対してコメントを行うことが可能となっている。

    以上に加え、この報告書の発表に至る経緯や背景が述べられているプレスリリース資料がNAGRAのウェブサイト上で公表されている。

    【出典】

    • 放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)ウェブサイト 4月30日プレスリリースより http://www.nagra.ch/deutsch/aktuell/aktuell.htm

    NAGRAプレスリリース資料

    使用済燃料、高レベル放射性廃棄物、長寿命中レベル放射性廃棄物の「処分の実現可能性実証プロジェクト」報告書は、チュルヒャー・ヴァインラントにおけるオパリナス・クレイ・プロジェクトに基づいたものである。オパリナス・クレイとは地層処分施設を設置する岩盤(母岩)の名前である。プロジェクトの結果は、安全当局の設定する安全目標を遵守し、廃棄物の地層処分が基本的に実現可能であることを実証している。総合的な安全評価を含む実証は、地域および地方の地質学上の特性に関する高いレベルの知見に基づいている。また、地球科学的プロジェクトの集大成には、1980年代中頃から実施されてきたNAGRAによるスイス北部における調査やチュルヒャー・ヴァインラントにおける調査、並びにモン・テリ岩盤研究所における実験および研究の結果が含まれている。

    「処分の実現可能性実証プロジェクト」報告書はサイト選定を意味するものではない。つまり、このプロジェクトは今までの調査の集大成に基づいていることから、スイスにおいて高レベル放射性廃棄物のための国内地層処分施設オプションがさらに追求される場合、NAGRAは母岩としてオパリナス・クレイ、調査地域としてチュルヒャー・ヴァインラントを最優先して検討するということである。母岩および調査地域の選択は、担当省庁との合意を得ながら長期の段階的評価手続により行われる。ドイツの「サイト選定手続委員会」(AkEnd)の専門家の評価によると、このように段階的な手続をとることは国際的に求められている要件を満たしているとのことである。

    この段階的手続の枠組みのもと、NAGRAが各段階において作成した数多くの報告書の中で、堆積岩についても種々の代替オプションを示されている。例えばオパリナス・クレイでは「ジュラ山系南部裾野-ボズベルグ」と「レーゲルン北部」の両地域、またスイス中部の下部淡水モラッセ地域である。

    スイス北部の結晶質岩における代替オプションの可能性については、既に1994年の報告書(クリスタリン(Kristallin)-Ⅰ安全評価報告書)において示されている。この報告書は、安全当局により評価が行われている最中である。

    スイスは、高レベル放射性廃棄物の国内処分の他に、国際共同処分場での処分も採択可能な処分オプションとして考えている。このような解決策は、国内の処分オプションと同様に高い安全基準を満たしていなければならない。このオプションの適用可能性については、現在のところ明確にはなっていない。明確になるまでは、国内での地層処分施設の準備に向けた作業が行われなければならない。

    スイス国内における地層処分施設についての決定は、2020年頃に下されることになっている。国内処分の場合、概要承認手続を経て立地場所が確定されることとなる。また、その場合、処分施設は2050年頃に操業を開始できるようにすべきである。

    新しい原子力法の発効までのフロー図

    原子力利用に関する新たな法律として、スイス連邦議会は、2003年3月21日に、新しい原子力法案を可決した(全州議会:32対6、国民議会:102対75)。この法律は、これまでのスイスの原子力利用の基本法である「原子力の平和利用に関する法律(原子力法、1959年)」と同法を補完した「原子力法に関する連邦決議(1978年)」を置き換えるためのもので、2001年2月に議会に提出されて以来、約2年の間審議が続けられてきた。本法律の発効については、後述の2つの国民発案1 に対する国民投票(2003年5月18日に実施)の結果を受けて別途決定されることとなる。(新しい原子力法の発効までの流れについては右図を参照)

    新しい原子力法では、高レベル放射性廃棄物処分場を含む原子力施設の概要承認2 (詳細は こちら)・建設・操業・閉鎖許可に関しては、連邦政府によってのみ発給されることとなっている。その他、使用済燃料の再処理については、現在結ばれている再処理契約が終了する2006年以降、10年間の凍結が規定されているほか、概要承認の際に任意の国民投票3 が適用されることについても規定されている。2001年2月に議会提出された法律案では、高レベル放射性廃棄物処分場の概要承認の発給に関する手続において、地元州による同意の必要性や水利権許可の留保が規定されていた。しかし、その後の約2年間にわたる審議の結果、この規定は削除され、州の同意や水利権等の許可は不要となっている。

    また、新しい原子力法は原子力利用に関する連邦憲法の改正を求めて提出された以下の2つの国民発案に対する連邦政府の間接的な対案として位置づけられている。この2つの国民発案に対する国民投票は2003年5月18日(日)に行われる予定となっている。なお、連邦議会は、連邦決議においてこれらの国民発案を拒否するよう国民に勧告している。

    モラトリアム・プラス:
    現行の新規原子力発電所の建設凍結(モラトリアム)をさらに10年間延長する。
    原子力に依存しない電力:
    使用済燃料の再処理禁止と原子力発電所の段階的閉鎖を実施する。新しい原子力法では、上述の2つの国民発案が取り下げられるか、または否決された場合に公布されると規定されている。また、法律の発効については、別途連邦評議会が定めることとなっている。なお、スイスでは新しい連邦法の発効にあたって、任意の国民投票という制度が適用されるため、新しい原子力法についても公布後に国民投票にかけられる可能性がある。

    【解説】

    スイスでは、ニドヴァルデン州のヴェレンベルグでの低中レベル放射性廃棄物処分場の立地に向けた調査申請の例に見られるように、現行の法制度においては、放射性廃棄物の処分に関するプロジェクトの実施が州の持つ権限により否決される可能性(詳しくは こちらを参照)がある。このため、許可発給手続を連邦レベルに一任するように、新しい原子力法による法的な整備が検討されてきた。

    【出典】

    • 連邦議会ウェブサイト
      http://www.parlament.ch/ab/frameset/d/index.htm 2002/oktober/unterseite1/index.html
    • The Swiss Confederation a brief guide 2002
    • 新原子力法案(Kernenergiegesetz Entwurf)2001.2
    • 新しい原子力法(Kernenergiegesetz) 2003.3
    • 連邦エネルギー庁(BFE)ウェブサイト
      http://www.energie-schweiz.ch/bfe/en/energiepolitik/epolgeschaefte/unterseite6/index.html http://www.admin.ch/ch/d/ff/2001/2825.pdf

    1. 「国民発案」および「国民投票」は、スイスの連邦憲法で認められているもので、国民は憲法の全面改正または一部改正を直接請求出来る権利を有している。連邦レベルでは、憲法の全面改正または一部改正を求める国民発案が提出された後、18カ月以内に10万人の署名が集まれば国民投票にかけられることができる。成立のためには、国民および州の両方で過半数の賛成が必要となる。なお、この場合の国民投票は下記の注3で説明する「任意の国民投票」との比較において、「義務的な国民投票」と呼ばれる。 []
    2. 「概要承認」とは、立地場所および処分プロジェクトの基本的事項に対する連邦評議会の許可のことを指す。【原子力法に関する連邦決議】 []
    3. 「任意の国民投票」とは、連邦法や連邦政府の決定に対して、公布後100日以内に5万人の署名が集まれば国民投票にかけることができるというスイス特有の制度である。 []