フランスの原子力安全機関(ASN)の2008年3月4日のプレスリリースにおいて、2008年2月28日付のデクレ(政令)により、「原子力安全情報と透明性に関する高等委員会」(HCTISN)を構成する委員34名が任命され、同委員会が発足されたことが公表された。HCTISNは、2006年の原子力安全・情報開示法に基づいて設置される委員会である。
同法の規定では、HCTISNは原子力活動に伴うリスク、及びこれらの活動が人の健康、環境、並びに原子力安全に与える影響について、情報の提供を行うとともに討論などを行うための組織であり、以下のような活動を行うとされている。
- 原子力活動分野における監視と情報に関するあらゆる問題に対する意見表明
- 原子力安全に関する情報へのアクセスに関する事項を取り扱い、原子力分野における透明性の確保或いは向上のための措置の提案
- 原子力安全担当大臣、上院・下院の所管委員会の委員長、議会科学技術選択評価委員会(OPECST)委員長、地域情報委員会(CLI)委員長、原子力事業者から依頼される、原子力安全及び監視に関するあらゆる情報に関する問題の検討
また、2006年の放射性廃棄物等管理計画法では、「原子力安全情報と透明性に関する高等委員会」(HCTISN)が放射性廃棄物等の持続可能な管理に関する協議や討論を定期的に行うことを規定している。原子力安全機関(ASN)のプレスリリースによれば、HCTISNは原子力安全・情報最高会議(CSSIN)に取って代る組織としており、CSSINはこれまで次のような組織として活動を行ってきた。
- 原子力安全や放射線防護分野における、公衆及びメディアへの情報提供に関して幅広い役割を担う諮問機関
- 議会議員、科学・技術・経済・社会の専門家、情報提供・コミュニケーションの専門家、労働組合、自然・環境保護団体、事業者、直接関係する行政(首相、防衛、環境、産業、内務、保健、労働)担当者で構成
- 原子力安全や放射線防護分野における情報提供活動の効率向上につながる勧告を環境、産業、保健の各担当大臣に対して行う。
原子力安全機関(ASN)のプレスリリースによると、「原子力安全情報と透明性に関する高等委員会」(HCTISN)は、議会、地域情報委員会(CLI)、事業者、関連機関、労働組合、国の関係部局の代表者、学識経者等で構成されており、ASNの議長も委員となっている。なお、HCTISNの委員長には、現在議会科学技術選択評価委員会(OPECST)の委員長であるルヴォル上院議員が務める。
また、同プレスリリースでは、原子力安全機関(ASN)は、HCTISNの発足はフランスの原子力の安全と透明性にとって重要なステップであり、HCTISNが必要とされる支援を行うとしている。
【出典】
- 原子力安全機関(ASN)、2008年3月4日のプレスリリース、 http://www.asn.fr/sections/accueil/actualites/haut-comite-pour-transparence
- Loi no 2006-686 du 13 juin 2006 relative à la transparence et à la sécurité en matière nucléaire〔原子力に関する安全及び透明性に関する法律(2006-686/2006.6.13)(原子力安全・情報開示法)〕
- Loi no 2006-739 du 28 juin 2006 de programme relative a la gestion durable des matieres et dechets radioactifs 〔放射性廃棄物及び放射性物質の持続可能な管理に関する計画法(2006-739)〕
- Joint Convention on the safety of spent fuel management and on the safety of radioactive waste management, Second national report on the implementation by France of the obligations of the Convention, September 2005〔放射性廃棄物等安全条約に基づくフランス国別報告書(第2回)〕
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )