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《フランス》ビュール地下研究所の地域情報フォローアップ委員会(CLIS)委員長にバタイユ議員

フランスのビュール地下研究所の地域情報フォローアップ委員会(CLIS)のウェブサイトにおいて、CLIS委員長に国民議会(下院)のバタイユ議員が任命され、2008年2月6日付のムーズ県及びオート=マルヌ県の両県議会議長によるアレテ(命令)が公布されたことが公表された。CLISは地下研究所または地層処分場のある地域において、実施主体と地元住民との間の情報の仲介、放射性廃棄物処分に関する研究の監視、情報提供、協議に関する全般的な使命を担う組織である。

ビュール地下研究所のCLISは1991年放射性廃棄物管理研究法(通称バタイユ法)に基づいて設置されていたが、2006年に制定された放射性廃棄物等管理計画法により改組されることが決定された。2007年5月7日付のデクレ(政令)によりCLISの構成員等が規定され、地下研究所を有する県の県議会議長によるアレテによってCLISの委員長及び委員が任命されることとなっていた。

今回CLISの委員長に任命されたバタイユ議員は、1990年に議会科学技術選択評価委員会(OPECST)委員として高レベル放射性廃棄物等の管理について分析した報告書を取りまとめ(同報告書をもとに1991年に放射性廃棄物管理研究法が制定された)、その後の地下研究所のサイト選定では、調停官として公募方式を導入するとともに応募地域との事前協議を実施した。また、2006年の放射性廃棄物等管理計画法制定前の2005年には、OPECST報告書として放射性廃棄物の管理に関わる勧告を取りまとめるなど、ビュール地下研究所の設置や高レベル放射性廃棄物等の管理方策等の検討において深く関与してきた人物である。

地域情報フォローアップ委員会(CLIS)の委員は、政府の代表、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)の代表、国民議会(下院)と上院それぞれから2名、関係する地方自治体の議員、環境保護団体のメンバー、農業その他の職能団体の代表、学識経験者などによって構成されている。CLISの会合は少なくとも年に2回開かれることになっており、CLISには処分に関する研究の目的、内容と成果に関する情報が提供される。CLISは地下研究所に関して、環境及び周囲に影響を及ぼすようなすべての問題を討議し、外部専門機関の活用やヒアリングを行うこともできる。

1991年放射性廃棄物管理研究法のもとでは、地域情報フォローアップ委員会(CLIS)の活動資金はムーズ県及びオート=マルヌ県の公益事業共同体(GIP)によって賄われてきたが、2006年放射性廃棄物等管理計画法によって、CLISの活動資金は、国の補助金と処分関連事業者による拠出金で均等に負担される形に変更されている。なお、1991年の放射性廃棄物管理研究法に基づき、ビュール地下研究所のある2つの県に2000年より設置されていたGIP(ムーズ県GIPとオート=マルヌ県GIP)も、2006年の放射性廃棄物等管理計画法に基づき2007年に改組されている。このGIPは、以下の3つの役割を果たすこととされている。

  • 地下研究所または地層処分場の設置及び操業の促進
  • 地下研究所または地層処分場の周辺区域などにおける国土整備及び経済開発事業の自県内での推進
  • 地下研究所内において研究されている諸分野及び新しいエネルギー技術分野などにおける、人材養成事業ならびに科学的技術的知見の開発、活用及び普及事業の推進

なお、これらの役割を果たすための財源として、GIPには原子力基本施設(INB)に課税される連帯税及び技術普及税による税収の一部が割り当てられている。

【出典】

  • 地域情報フォローアップ委員会(CLIS)ウェブサイト、 http://www.clis-bure.com/
  • Loi no 2006-739 du 28 juin 2006 de programme relative a la gestion durable des matieres et dechets radioactifs 〔放射性廃棄物及び放射性物質の持続可能な管理に関する計画法(2006-739)〕
  • Loi no 91-1381 du 30 decembre 1991 relative aux recherches sur la gestion des dechets radioactifs 〔放射性廃棄物管理研究に関する法律〕
  • 経済・財政・雇用省ウェブサイト、http://www.minefe.gouv.fr/
  • Décret no 2007-720 du 7 mai 2007 relatif à la composition et aux modalités de fonctionnement du comité local d’information et de suivi institué par l’article L. 542-13 du code de l’environnement auprès des laboratoires souterrains de recherche sur la gestion des déchets radioactifs et modifiant le décret no 99-686 du 3 août 1999〔CLIS改組デクレ〕
  • Mission de médiation sur l’Implantation de Laboratoires de Recherche Souterrains, Rapport du Médiateur, Christian Bataille Député du Nord aux Ministres de l’Industrie et de l’Environnement, 20 décembre 1993〔地下研究所の立地に関する交渉活動-廃棄物交渉官の1993年の報告書〕
  • Décret no 2006-1606 du 14 décembre 2006 relatif aux groupements d’intérêt public régis par l’article L. 542-11 du code de l’environnement〔公益事業共同体(GIP)改組デクレ〕

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )