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《フランス》原子力安全・情報開示法が公布 -新しい原子力の安全規制機関の設置へ

フランス上院のウェブサイトによると、2006年6月1日に上院を通過した原子力安全・情報開示法が2006年6月14日に官報にて公布された。同法に基づき、新しい原子力の安全規制機関として原子力安全機関(ASN)1 が2007年3月31日までに独立行政機関として設置され、活動を開始することとなる。また、同法により原子力安全機関(ASN)は現在の原子力の安全規制機関である原子力安全・放射線防護総局(DGSNR)と全国11ヵ所の地方原子力安全局(DSNR)とを統括する機関になる。ASNという名称は、現在DGSNRとDSNRとを合せた総称として用いられている原子力安全当局(ASN)とフランス語では同一となっている2

原子力安全・情報開示法では、原子力安全機関(ASN)は、5名の合議体で構成され、3名(うち1名は議長)は大統領によって任命され、1名が下院議長、1名が上院議長によって任命され、任期は6年とされている。ASNの主な役割は以下のとおりである。

  • 原子力基本施設(INB)の新設・廃止措置などに関するデクレ(政令)案について政府から諮問を受ける
  • 原子力基本施設(INB)の操業許可の発給
  • 原子力安全規制に関するデクレ(政令)及びアレテ(省令)案について政府から諮問を受ける
  • 原子力安全及び放射線防護に関する規制上の決定(担当大臣の承認要)
  • 原子力安全及び放射線防護に関する一般規則及び個別規定の遵守状況の監督
  • 原子力安全及び放射線防護に関する国民への情報提供
  • 原子力活動における事故・トラブル時の技術調査の実施

原子力安全当局(ASN)の2006年6月1日付のプレスリリースによると、原子力安全・情報開示法では、原子力基本施設(INB)及び放射性物質輸送に関する法制度が刷新され、原子力活動の原則や原子力安全・放射線防護及び情報公開に関する国の役割と責任が定められている。また、同法により地域情報委員会(CLI)に法的権限が与えられるとともに、原子力安全情報公開・情報提供高等委員会が設置されることとなるが、これは国民が原子力安全及び放射線防護に関する情報を原子力事業者から入手できるようにするためとされている。

【2006年11月16日追記】

原子力安全当局(ASN)のプレスリリース(2006年11月9日)によると、2006年11月8日付のデクレにより新しい規制機関となる原子力安全機関(新ASN)に5名の委員が任命され、また、2006年11月13日の第1回会合を持って、新ASNとして活動が開始するとしている。

【出典】

  • フランス上院のウェブサイト、http://www.senat.fr/dossierleg/pjl01-326.html
  • LOI n° 2006-686 du 13 juin 2006 relative à la transparence et à la sécurité en matière nucléaire
  • フランス原子力安全当局(ASN)の2006年6月1日付けプレスリリース、http://www.asn.gouv.fr/data /information/22_2006_aai.asp
  1. 原子力安全・情報開示法は2006年3月から議会で審議が行われていたもので(既報)、当初の法案では機関名は”原子力安全高位機関”(La Haute Autorité de Sûreté Nucléaire)とされていた。 []
  2. フランス語では共に”L’Autorité de Sûreté Nucléaire”と同一に表記されるが、原子力安全・情報開示法で新設される原子力安全機関(ASN)は実体を持つ組織名となっている。 []

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )