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《カナダ》低・中レベル放射性廃棄物の地層処分場の建設・操業に向けた環境評価の方法等に対するパブリックコメントを募集

カナダ原子力安全委員会(CNSC)は、2006年6月5日付けのプレスリリースにおいて、オンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社がオンタリオ州キンカーディン自治体のブルース原子力発電所サイトでの建設・操業を提案している低・中レベル放射性廃棄物の地層処分場に関して、環境評価のための方法等を示したスコーピング1 報告書案に対するパブリックコメントの募集を開始したことを公表した。

同プレスリリースによると、今回のスコーピング報告書案はカナダ原子力安全委員会(CNSC)のウェブサイトをはじめ、キンカーディン周辺の公立図書館、原子力発電所のビジターセンターなどで公開されており、2006年7月17日までの期間、パブリックコメントを受け付けるとしている。また、OPG社は2006年6月12日に、ブルース地区の公民館において、今回のスコーピング報告書案に関する情報提供の場を設けている。

また、カナダ原子力安全委員会(CNSC)のウェブサイトの環境評価に関するページでは、ブルース原子力発電所サイトへの建設・操業が提案されている低・中レベル放射性廃棄物の地層処分場について、ブルース原子力発電所内のウェスタン廃棄物管理施設(WWMF)に貯蔵されている廃棄物に加え、現在操業を続けているOPG社所有のブルース、ピッカリング、ダーリントンの各原子力発電所で発生する低・中レベル放射性廃棄物が処分される予定であることが示されている。

同ウェブサイトによると、OPG社は原子力安全管理法の下、地層処分場計画に関して実施される活動についてCNSCから許可を得ることが求められている。これを受けて、2006年1月30日にOPG社がCNSCに対して、地層処分場に関する準備、建設、操業に向けた許可申請の意向を正式に伝えていた。また、CNSCの許可発給の前に、OPG社は環境評価法に従って、環境評価に関する詳細調査を実施しなければならないとされており、環境評価の全体手続きについて、以下のように示されている。

  • スコーピング報告書、環境評価ガイドラインの準備
  • 計画の範囲・目的などの環境大臣への報告

同ウェブサイトによれば、さらに、環境大臣より詳細調査の継続を指示された場合は、以下のような手続きがOPG社により行われることになる。

  • 詳細調査の完了
  • 詳細調査報告書の準備
  • 詳細調査報告書に関するパブリックコンサルテーションの実施
  • 詳細調査報告書の環境大臣への提出

なおこの地層処分場の建設については、2004年10月、OPG社とオンタリオ州キンカーディン自治体との間で、低・中レベル放射性廃棄物の長期管理のための立地協定が締結されている

【出典】

  • カナダ原子力安全委員会(CNSC)ウェブサイト 2006年6月5日付けプレスリリース、http://www.nuclearsafety.gc.ca/eng/assessments /RFPC_deep_geological_
    repository.cfm

【2007年1月15日追記】

2006年12月21日、カナダ原子力安全委員会(CNSC)はプレスリリースにおいて、オンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社の提案している低・中レベル放射性廃棄物の地層処分場に関する計画の環境評価について、環境評価法に基づき、評価パネルへの付託を連邦環境大臣に勧告する決定を行ったことを公表した。これを受けて、連邦環境大臣は勧告に対する決定を行うことになる。また、CNSCは同計画に関する環境評価方法等を示したスコーピング報告書の修正版について、環境評価法に基づいて承認することも合わせて発表した。なお、CNSCのウェブサイトによると、このスコーピング報告書については、2006年6月のパブリックコメントの結果を受けて修正版が公表され、2006年10月23日にはCNSCによって公聴会が開催されている。

【追記部出典】

  • カナダ原子力安全委員会(CNSC)ウェブサイト のOPG社の地下処分場の環境評価に関するページ、http://www.nuclearsafety.gc.ca/eng/assessments /EA_06_03_17520.cfm
  1. スコーピングとは、環境評価の手続き、評価項目及び手法の選定などの枠組みを決定するための仕組みである。 []

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )