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《台湾》低レベル放射性廃棄物最終処分場設置条例が施行される

2006年5月24日付の中華民国(台湾)総統府公報において「低レベル放射性廃棄物最終処分場設置条例」が掲載され、台湾における低レベル放射性廃棄物最終処分場のサイト選定、安全及び環境保護に対する要求を規定した法令が公布・施行された。

本条例の草案は、低レベル放射性廃棄物の最終処分に関する問題の解決に資するため、2002年12月に行政院(内閣)から立法院(国会)へ提出されたものの、会期内の審議で可決されなかった。その後、2005年6月に行政院が本条例の修正草案を立法院へ再度提出し、2006年4月28日には本条例が立法院で可決され、総統府へ提出されていた。

制定された本条例によると、下表に示す手続きにより行政院経済部が主導してサイト選定を実施するよう規定している。また、第12条では、処分場の選定作業を推進するため、行政院経済部が原子力発電バックエンド運営基金 1 より補助金を拠出することを認めており、その最高金額は50億元(約170億円)と定められている。この補助金の配分は、次のように規定されているが、行政院経済部が補助金の使用方法を別途定めることとなっている。

  1. 処分場が所在する村(町・市)に40%以上。
  2. 処分場に隣接する村(町・市)の全体に30%以上。隣接する村(町・市)がない場合、処分場が所在する村(町・市)及び県(市)の配分を15%ずつ増配。
  3. 処分場が所在する県(市)に20%以上。

上述の他に本条例では、最終処分場の設置が適さない地質・土地の条件(第4条)、環境影響評価の実施(第13、14条)、最終処分場を設置する土地の使用及び収用の手続き(第15-17条)などが定められている。

表 制定された低レベル放射性廃棄物処分場のサイト選定手続き

実施時期 サイト選定に関わる実施項目 該当項
条例施行日から 3カ月以内 行政院経済部がサイト選定委員会を設置 第5条
行政院経済部が、国内の主要な低レベル放射性廃棄物発生機関を処分場サイト選定の執行者として選定あるいは指定 第6条
サイト選定委員会設置後 6カ月以内 サイト選定委員会が、処分場サイト選定計画を行政院経済部に提出 第7条
処分場サイト選定計画受領後 15日以内 行政院経済部が、公報及びホームページにて処分場サイト選定計画を30日間公告 第7条
公告期間終了後 2カ月以内 行政院経済部がサイト選定計画を確定 第7条
サイト選定計画確定後 6カ月以内 サイト選定委員会が、潜在的候補サイト 2 2)を行政院経済部に報告後、公表 第8条
潜在的候補サイト公表後 6カ月以内 サイト選定委員会が、行政院経済部に2カ所以上の推薦候補サイト 3 3)を推薦 第9条
推薦候補サイト報告後 15日以内 行政院経済部が、報告内容をホームページで公表、ならびに推薦候補サイト所在地の適切な場所に30日間縦覧あるいは掲示 第9条
潜在的候補サイトの公表後 4カ月以内 県(市)政府が自ら管轄地区内に処分場を設置しようとする場合、県(市)議会及び村(町、市)民意代表会議の可決を受け、所定の手続きののち申請書を行政院経済部に提出
(第4条の規定を満たしていると認められた場合、優先的に推薦候補サイトとして公告される)
第10条
公告期間終了後 30日以内 推薦候補サイトの所在県(市)において地方公民投票を実施(可決された場合のみ候補サイト 4 4)として認められる) 第11条


【出典】

  • 中華民国(台湾)総統府、2006年5月24日付総統府公報、http://www.president.gov.tw/paper/pdf /6690.pdf
  • 立法院、2006年5月12日付立法院公報、http://lci.ly.gov.tw/doc/communique/final/pdf/95/23 /LCIDC01_952301.pdf
  • 行政院原子能委員会(AEC)ホームページ(英語版)、http://www.aec.gov.tw/english/
  • 行政院、「低レベル放射性廃棄物最終処分場サイト選定条例草案(含む総括説明)」(2002年12月)(注:行政院作成の草案段階では、サイト“選定”条例となっていた)

  1. 発電所の廃止措置や放射性廃棄物の処分のための資金を確保するため、国家予算法に基づき行政院により設立された。基金の積立額は、原子力発電量による拠出率(0.17元/kWh:1元=3.4円とすると、約0.58円/kWh)によって算出され、発電事業者(台湾電力公司)が負担している。[]
  2. サイト選定計画に基づく地区選定と初期調査により選定された、条例に規定された要求を満たすサイト。[]
  3. 担当機関がサイト選定計画を通じて選定した潜在的候補サイト、または県(市)が自ら申請を提出し審査を経たサイトから、行政院経済部が選定し公告する2カ所以上のサイト。[]
  4. 県(市)の公民投票により公民の同意を得た推薦候補サイト。[]

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )