カナダ、オンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社の10月15日付けニュースリリースにおいて、OPG社と同社のブルース原子力発電所があるオンタリオ州キンカーディン自治体は、低・中レベル放射性廃棄物の長期管理のための立地協定を締結したことを公表した。
OPG社はオンタリオ州内に3ヶ所の原子力発電所(原子炉計20基)を所有しており、これらの原子力発電所で発生した低・中レベル放射性廃棄物は、ブルース原子力発電所内のウェスタン廃棄物管理施設(WWMF)で貯蔵されている。OPG社は、低・中レベル放射性廃棄物の地層処分場をブルース発電所サイトにおいて建設することを検討しており、住民の賛同が得られた場合、この立地協定は処分場建設承認を支援するものとなる。
OPG社ウェブサイトの情報によると、今回の立地協定の主な点は以下の通りである。
- OPG社は、キンカーディン自治体の支援の下、規制機関等からの地層処分場建設許可を求める。
- 同自治体および周辺自治体は、一時金および毎年の金額として合計3,500万カナダドルの支援を受ける。
- OPG社所有の原子力発電所について、2035年までの運転に伴い発生する低・中レベル放射性廃棄物と、原子炉解体に伴い発生する廃棄物との合計約20万m3を受け入れる。
- 同自治体は新たにオンタリオ州に建設される原子炉からの低・中レベル放射性廃棄物のための処分場拡張の交渉に応ずる。
- 使用済燃料は現在同自治体に提案されている処分場には処分しない。
- OPG社は、廃棄物管理施設での新たな雇用の提供、資産価値の保全を行う。
- OPG社と同自治体は、原子力に関する中核的研究拠点の構想、専門学校および海外視察をサポートする。
- 規制機関から建設許可を得る前に、同自治体は、地元住民が地層処分オプションに関する自治体議会の決定を支持するかどうか住民と協議を行う。
OPG社ウェブサイトの情報によるこれまでのOPG社と同自治体との間での低・中レベル放射性廃棄物の長期管理に関する動きを以下に示す。
- 2002年、OPG社とキンカーディン自治体は、ブルース原子力発電所内での低・中レベル放射性廃棄物の長期管理計画を策定するための覚書を締結。
- OPG社とキンカーディン自治体は、第三者機関に対し、低・中レベル放射性廃棄物管理に関する以下の3つのオプションについて、技術的な実現可能性、安全性、環境および社会経済的影響などの調査・評価を委託。
- 高減容化処理・建屋内貯蔵
- 地表コンクリート・ピット
- 深地層処分
- 2004年2月、いずれのオプションも実現可能であるという評価結果が公表され、その後、同自治体議会が、地層処分が好ましい低・中レベル放射性廃棄物管理方法であるとして検討していくことを決議。
- 2004年4月、同自治体とOPG社は立地協定の内容についての交渉を開始し、同年10月13日、立地協定を締結。
ニュースリリースによると、地層処分場の設置にはパブリックコメントを含む環境アセスメントが必要であり、またOPG社はカナダ原子力安全委員会(CNSC)から処分場の建設および操業許可を得る必要がある。
また、OPG社ウェブサイトの情報によると、今後2005年1月に、第三者機関による低・中レベル放射性廃棄物地層処分場の建設を支持するかどうかの地元住民の意識調査が行われる。住民の支持が得られた場合には、OPG社は規制機関からの許認可を得るためのプロセスを開始し、順調にプロセスが進むと、2013年に処分場建設許可取得、2017年に処分場操業許可を得る予定である。
【出典】
- オンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社 2004年10月15日付ニュースリリース http://www.opg.com/info/news/NewsOct15_04.asp
- オンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社ウェブサイト 2004年11月4日
http://www.opg.com/ops/NwasteIAS1.asp
http://www.opg.com/ops/NwasteIAS4.asp
http://www.opg.com/ops/NwasteIAS10.asp - 放射性廃棄物等安全条約に基づくカナダ国別報告書(第1回) Canadian National Report for the Joint Convention on the Safety of Spent Fuel Management and on the Safety of Radioactive Waste Management, CNSC 2003
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )