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《英国》カンブリア州の議決により、コープランド市及びアラデール市でのサイト選定プロセスが次段階に進めないことが決定

英国政府のエネルギー・気候変動省(DECC)及びカンブリア州の2013年1月30日付のプレスリリースによると、カンブリア州議会は地層処分場のサイト選定プロセスにおいて、机上調査を実施する第4段階に進まないことを議決(賛成3、反対7)した。関心表明を行っていたカンブリア州、カンブリア州のコープランド市及びアラデール市のうち、コープランド市議会は第4段階に進むことを議決(賛成6、反対1)したが、第4段階に進むかどうかの決定においては2市1州の合意が必要とされていたため、これら2市1州はそろってサイト選定から撤退することとなった。

カンブリア州のプレスリリースによれば、州議員等には、西カンブリアの地質学的な適性に対する懸念や、サイト選定プロセスからの撤退権が法律によって担保されていない状況の中で第4段階に進むことに対する懸念があったとしている。

DECCのプレスリリースによると、英国政府は、カンブリア州での2市1州の撤退を受け、自治体の関心を喚起し、今後、サイト選定に新たに参加する自治体が現れるようにするための努力を開始するとしている。また、カンブリア州で続けられてきたプロセスで得られた知見を反映するとともに、自治体や関係者との対話を通じて教訓を見出していくとしている。なお、公衆協議を経ずに現在のアプローチを変更することはないとしている。

なお、コープランド市が第4段階に進むことを議決した理由について、コープランド市のプレスリリースでは、西カンブリア放射性廃棄物安全管理パートナーシップの最終報告書によれば、ステークホルダーの多くが問題となっている点について助言や意見を求めることを支持していること、地質学的な理解を深めることで、今後、事実や情報に基づいた意思決定ができるようになることを挙げている。また、DECCのプレスリリースによれば、アラデール市議会の議決の結果は得られていないが、カンブリア州議会が既に第4段階に進まないことを議決したため、アラデール市議会の議決の結果に関わらず、カンブリア州の2市1州はサイト選定から撤退することになるとしている。

【出典】

【2013年2月1日追記】

英国政府のエネルギー・気候変動省(DECC)は、2013年1月30日のカンブリア州、カンブリア州のコープランド市及びアラデール市の各々の議会における、地層処分場のサイト選定プロセスの第4段階に進むかどうかの議決の結果を受け、2013年1月31日付で大臣の声明を公表した。
今回の大臣の声明では、以下の点が示されている。

  • カンブリア州議会はサイト選定プロセスの第4段階へ進むことに反対する決議を行ったが、地元のコープランド市議会に加えて、アラデール市議会も賛成の決議を行った1。ただし、第4段階に進むに当たっては、

    州と市の両方のレベルで同意が得られることが合意されており、そのような同意が得られなかったことから、西カンブリアでの現状のサイト選定プロセスは終了する。

  • 英国政府は、処分場のサイト選定を行うための最善の方法は地元の自主性とパートナーシップによる取組に基づくアプローチであるとの見解を維持する。
  • 処分場の建設を受け入れた自治体の社会的・経済的なサポートを行うため、英国政府は、数億ポンド規模に相当する可能性のあるものとして、利益のパッケージを立地自治体に提供することを確約する。
  • サイト選定へ自治体が関心表明を行うように呼びかけることは維持するが、新たな推進策に着手するとともに、西カンブリアでの経験を反映するための検討を行う。
  • 2008年の白書が規定している目標を引き続き英国政府は追及していく。地層処分場のサイトが見出せるということについては、大きな心配はしていない。
  • 今回の西カンブリアでの経験は、サイト選定プロセスの詳細の改善策について検討するための良い機会であり、今後必要であれば変更を行うための再協議を実施する。

【出典】

【2013年2月21日追記】

カンブリア州コープランド市の2013年2月13日付のプレスリリースによると、コープランド市及びアラデール市の市議会議長は、英国政府のエネルギー・気候変動省(DECC)の政務次官と高レベル放射性廃棄物等の処分に係るサイト選定プロセスについて会談を行ったとのことである。会談では、現時点で次段階に進まないこと、中間貯蔵などで緊密な関係を保つことを確認したとしている。

一方、カンブリア州の2013年2月19日付のプレスリリースによると、カンブリア州議会議員の要請に基づいて、州議会の経済・環境審査パネルが第4段階に進まないとする2013年1月30日の議決について再検討を行ったが、経済・環境審査パネルでは全会一致で撤退を決定したカンブリア州議会の議決を支持したとしている。また、今回の経済・環境審査パネルの会合の後でも、カンブリア州議会の立場に変化はないとしている。

なお、カンブリア州議会による議決の再検討を依頼した理由について、州議会議員は、以下の点などを挙げている。

  • サイト選定プロセスから撤退するという決定について、説得力のある理由が示されていない。
  • 撤退により適性を有するサイトを特定するという機会が失われる。
  • 時期尚早な撤退の決定は、英国政府とカンブリア州議会の政策を無視するものである。
  • 撤退するという決定は、サイト選定の第4段階に進むことを望んでいる多くのコープランド市民の見解を尊重していない。
  • 撤退するという決定は、特に原子力発電所の新設に関して、英国政府とカンブリア州議会の間の関係を危うくする。
  • 撤退という決定により、コープランド市における経済発展が損なわれる。

【出典】

  1. アラデール市議会での投票結果については、賛成5、反対2であったことが議事録に記載されている。http://democracy.allerdale.gov.uk/mgAi.aspx?ID=22337 []

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-11 )